なんとしてでも夏に出してやろう
──アルバムの中には、TAKUROさんが書かれた「聖者のいない町」と「ロングラン」という新曲2曲が収録されています。「聖者のいない町」はTERUさんが「俺こんな曲歌ったことがない」とおっしゃる新しいタイプの曲ですね。
「聖者のいない町」に関しては、曲の展開でいわゆるGLAYの手癖みたいなものは一切やらず、4分間のポップソングにまとめず、新しい音を突き詰めることを考えました。「ホントにアカペラでいいのかな」「こんなに曲が長くていいのかな」「こういったアレンジはやったことないけど大丈夫なのかな」とか、メンバーに不安になってもらいたいと言うか(笑)。1回目のサビが来たらギターソロになって……みたいな今までのGLAYにはないタイプの曲を、みんなでワイワイ言いながら作ることを目指しました。
──一方で「ロングラン」のほうは作るうえでどんなことを意識しましたか?
この曲はめちゃめちゃ早口でTERUに歌ってもらうことを意識しました。今後の武器になりそうな歌い方を発見できればいいかなと思って。
──なるほど。そう言えば、今回のアルバムにはバラードが入っていないですね。
バラードを入れると「SUMMERDELICS」らしさが失われるんじゃないかっていうのがあって。「あなたといきてゆく」っていう「Supernova」ツアーでやっていたバラードがあったんだけど、アルバムのほかの曲と合わなかった。それを入れるよりは「超音速デスティニー」を入れておこうとか「Scoop」は外せないっていう判断があったんです。
──タイトルの「SUMMERDELICS」はTAKUROさんが付けられたそうですね。
JIROの作った「SUMMERDELICS」っていう曲が、70年の夏にジャニス・ジョプリンやGrateful Deadらが汽車に乗ってカナダ各地でライブをやった「Festival Express」っていうフェスの音楽ドキュメンタリー映画「フェスティバル・エクスプレス」をもとに作られた曲で。「Festival Express」は開催当初盛り上がったんだけど、いろいろな理由で1回しか開催されなかった幻のようなフェスだったんです。なんかそのエピソードを聞いて、そういう夏にちなんだ、儚くて幻めいたタイトルにしたいなあって思ったんです。
──GLAYが夏にアルバムをリリースするのは、1998年発表の「pure soul」以来なのでかなりひさしぶりですよね。アルバムのタイトルに季節感を出すのも初めてですし、夏にこだわっているんだなと思いました。
実は「MUSIC LIFE」もけっこう“夏感”を出した作品だったんだけど、結局秋に出したこともあって、秋のイメージの作品になったんですよね。だから今回はなんとしてでも夏に出してやろうと。
──「MUSIC LIFE」リリース時のインタビューで、夏に出せなくて後悔したとおっしゃってましたね(笑)(参照:GLAY「MUSIC LIFE」特集 TAKUROインタビュー)。
そうですね(笑)。今回は「微熱Ⓐgirlサマー」とかタイトル曲の「SUMMERDELICS」とか“儚い夏感”が出てる曲もあったし、夏にこのアルバムを聴いたら夏の思い出の1つになるじゃないですか。シンプルな理由としてはそんなもんでしたよ。あとこれまでのキャリアで、冬にツアーをすることが多くて、メンバーがコート着て全国を回ってるようなイメージが強くて。たまには夏にスタートするのもいいよねっていう思いもあったんです。残暑くらいにツアーを始めて、めちゃくちゃ冷え込む前に終えるっていうのがやりたくて。それが夏リリースにした一番の理由です(笑)。
「SUMMERDELICS」は2枚目のデビューアルバム
──TAKUROさんは今年のはじめにソロアルバムをリリースして、ツアーも開催されましたが、その経験が「SUMMERDELICS」に反映された部分はありますか?
ギタリストとしての表現の幅は広がったと思うので、プレイの面では反映されてはいるけど、メロディやサウンド自体には直接出ていないと思いますね。そもそもソロをやった理由っていうのが、ギタリストとしての成長とアイデアの貯蓄だったんです。今はHISASHIの才能が大爆発してるからそれはそれでいいんだけど、いつかGLAYが音楽的に煮詰まったり、立ち止まることがあったときに今までやってなかった表現、ジャジーなものやブルース的なアプローチを提案できるためにやったことだった。だから、「SUMMERDELICS」にジャズ色やブルース色が出てなければ俺にとってうれしいことなんです。
──そうなんですね。
俺らも40歳を超えたし、より深みのあるサウンドを求められて、メンバーがそういう曲を作りたくなったときに人脈を含めて提案できるようにね。自分の中に血として取り入れておくけど、それが求められる日が来るまではGLAYの曲には持ち込まないと思います。もちろんJIROみたいにTHE PREDATORSの音楽とGLAYの音楽が同一線上っていうケースもあるし、HISASHIのように課外活動を曲に反映する場合もある。俺は出さないけど、メンバーがGLAYでやりたいのであればどんな表現であっても全然受け入れていくんです。
──GLAYの今後のためというお話でしたが、ソロ活動自体を楽しんではいるんですよね?
それはもちろん。作った曲は自分が普段聴いている音楽に近いものでしたし。
──直接的ではないにしても、そういった試みがGLAYの新しさにつながっている気がします。
リスナーにそう思ってもらえるように、どのアーティストもやってるんだろうし努力してると思うんですよ。それが伝わっていれば、まだまだイケるなって気がする。こういう歌詞、こんなメロディならGLAYらしいと言われるだろうし、感動してもらえそうっていうのはわかるんですけど、そういう曲ではダメなんです。「これを今やらなかったら俺は前に進めないんだ」っていうような衝動が、ミュージシャンを突き動かしているし、それこそが人の心を揺さぶるものなんです。そのことは歳を取るごとに感じますね。例えば、TERUがファンクラブの30周年でベネチアライブをやるって言ってて、いまだにその真意はわからないんだけど、あいつが真剣にやろうとしてることだけは伝わってくるんですよ。
──ええ。
だったら、長年の友人としては付き合うに決まってるじゃないかって言う。ベネチアでライブできなきゃ、前に進めないって言うし。だったら俺たちにもお前が抱えている“荷物”を担がせてくれよって。今までのことを考えるとお互い様だしね。TERUにはいろんな“荷物”を持ってもらったし。お互い様っていうスタンスのバンドもなかなかいないと思うけど(笑)。
──ははは(笑)。今回のアルバムもそうなんですけど、GLAYはどんどん自由になっている気がするんですよね。何よりもメンバー全員が楽しそうに活動してる。
そこを面白がって、GLAYの魅力として感じている人は多いんじゃないかなと感じますね。俺自身、デビュー以来一度だって「今日、仕事行きたくないな」と思ったことないし。スタジオに行けば3人がいて、面白いことをみんな言うし。そういう職場でありがたいなって思うし、こうやって“終わらない夏休み”が続くんだな、と。
──それを続けるためには、メンバー全員が健康でい続ける必要がありますね。
そうですね。それと我が社としては、JIROの保険金はちょっと上げなきゃいけないですね(笑)。
──JIROさん、先日のツアーを1公演お休みされましたからね。
あいつが何かあったときにバンドの根幹が揺るがないように。TERUの10倍の保険金をかけなきゃな(笑)。
──最後にリーダーのTAKUROさんにとって、「SUMMERDELICS」はどんなアルバムになりましたか?
誰かの言葉を拝借するならば、俺は「2枚目のデビューアルバム」だと思ってますね。
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HISASHIソロインタビュー
- GLAY「SUMMERDELICS」
- 2017年7月12日発売 / LSG
-
CD+2DVD盤
5400円 / PCCN-00027 -
CD盤
3240円 / PCCN-00028 -
G-DIRECT限定盤
[5CD+3Blu-ray+グッズ]
24800円 / LSGC-0002
- CD収録曲(共通仕様)
-
- シン・ゾンビ [作詞・作曲:HISASHI]
- 微熱Ⓐgirlサマー [作詞・作曲:HISASHI]
- XYZ [作詞・作曲:TAKURO]
- 超音速デスティニー [作詞・作曲:HISASHI]
- ロングラン [作詞・作曲:TAKURO]
- the other end of the globe [作詞:TERU、TAKURO / 作曲:TERU]
- デストピア [作詞・作曲:HISASHI]
- HEROES [作詞・作曲:TERU]
- SUMMERDELICS [作詞:TAKURO / 作曲:JIRO]
- 空が青空であるために [作詞・作曲:TERU]
- Scoop [作詞:TAKURO / 作曲:JIRO]
- 聖者のいない町 [作詞・作曲:TAKURO]
- Supernova Express 2017 [作詞・作曲:TAKURO]
- lifetime [作詞・作曲:JIRO]
- Single Track Only Live @函館アリーナ [DVD(CD+2DVD盤) / Blu-ray(G-DIRECT限定盤)]
-
- My Private "Jealousy"
- 天使のわけまえ
- 疾走れ!ミライ
- とまどい
- SOUL LOVE
- a Boy~ずっと忘れない~
- Way of Difference
- グロリアス
- 真夏の扉
- Bible
- ずっと2人で…
- HOWEVER
- いつか
- 微熱Ⓐgirlサマー
- THOUSAND DREAMS
- 百花繚乱
- 誘惑
- HEROES
- 紅と黒のMATADORA
- サバイバル
- 彼女の“Modern…”
- BLEEZE
- MUSIC LIFE
- VIDEO GLAY 7 [Blu-ray(G-DIRECT限定盤)]
-
- SCREAM
- ANSWER
- ASHES-1969-
- SORRY LOVE
- VERB
- 紅と黒のMATADORA
- I LOVE YOUをさがしてる
- SAY YOUR DREAM
- 春までは
- I am xxx
- LET ME BE Live Ver. 2009-2010 at makuhari messe
- 誘惑
- Apologize
- Precious
- Satellite of love
- everKrack
- My private "Jealousy"
- Time for Christmas
- 君にあえたら
- Bible
- JUSTICE[from]GUILTY
- 運命論
- Eternally
- DARK RIVER
- DIAMOND SKIN
- BLEEZE
- 百花繚乱
- 疾走れ!ミライ
- さくらびと
- 外灘SAPPHIRE ~スタジオセッションVer~
- YOU ~スタジオセッションVer~
- 黒く塗れ! ~スタジオセッションVer~
- BLEEZE ~スタジオセッションVer~
- HEROES
- 微熱Ⓐgirlサマー
- つづれ織り~so far and yet so close~
- 彼女はゾンビ
- Scoop
- Supernova Express 2016
- 空が青空であるために
- デストピア/超音速デスティニー
- the other end of the globe
- SUMMERDELICSハイレゾ音源 / GLAY Documentary Film Part1 ~俺(TERU)にVENEZIAでライブをさせてくれ編~ / GLAY Documentary Film Part2 ~GLAY史上最大の作戦編~[Blu-ray(G-DIRECT限定盤)]
- Live CD Single Track Only Live @函館アリーナ [CD(G-DIRECT限定盤)]
-
- My Private "Jealousy"
- 天使のわけまえ
- 疾走れ!ミライ
- とまどい
- SOUL LOVE
- a Boy~ずっと忘れない~
- Way of Difference
- グロリアス
- 真夏の扉
- ずっと2人で…
- HOWEVER
- いつか
- 微熱Ⓐgirlサマー
- THOUSAND DREAMS
- 誘惑
- HEROES
- HIGHCOMMUNICATIONS TOUR Supernova 16.3.4 ロームシアター京都 [CD(G-DIRECT限定盤)]
-
- SE
- Scoop
- 千ノナイフガ胸ヲ刺ス
- 汚れなきSEASON
- laotour ~震える拳が掴むもの~
- 冬の遊歩道
- 100万回のKISS
- More than Love
- MERMAID
- Believe in fate
- SORRY LOVE
- カナリヤ
- 航海
- 空が青空であるために
- 百花繚乱
- BEAUTIFUL DREAMER
- Supernova Express 2016
- HIGHCOMMUNICATIONS TOUR Supernova reprise 16.11.10 下北文化会館 [CD (G-DIRECT限定盤)]
-
- SE
- MIRROR
- デストピア
- Scoop
- 千ノナイフガ胸ヲ刺ス
- Freeze My Love
- 誘惑
- 生きてく強さ
- THINK ABOUT MY DAUGHTER
- BELOVED
- 都忘れ
- 彼女はゾンビ
- 微熱Ⓐgirlサマー
- 時計
- BLEEZE
- 彼女の“Modern…”
- HIGHCOMMUNICATIONS
- HIGHCOMMUNICATIONS TOUR Never Ending Supernova 17.5.4 足利市民会館 [CD(G-DIRECT限定盤)]
-
- SE
- the other end of the globe
- THE FRUSTRATED
- DIAMOND SKIN
- ASHES -1969-
- BROTHEL CREEPERS
- BE WITH YOU
- May Fair
- SOUL LOVE
- MERMAID
- FRIEDCHICKEN & BEER
- WORLD’S END
- 時計
- XYZ
- CRAZY DANCE
- ピーク果てしなく ソウル限りなく
- HEROES
- GLAY ARENA TOUR 2017 "SUMMERDELICS"
-
- 2017年9月23日(土・祝)新潟県 朱鷺メッセ・新潟コンベンションセンター
- 2017年9月24日(日)新潟県 朱鷺メッセ・新潟コンベンションセンター
- 2017年9月30日(土)大阪府 大阪城ホール
- 2017年10月1日(日)大阪府 大阪城ホール
- 2017年10月7日(土)宮城県 セキスイハイムスーパーアリーナ
- 2017年10月8日(日)宮城県 セキスイハイムスーパーアリーナ
- 2017年10月21日(土)広島県 広島グリーンアリーナ
- 2017年10月22日(日)広島県 広島グリーンアリーナ
- 2017年10月25日(水)東京都 日本武道館
- 2017年10月27日(金)東京都 日本武道館
- 2017年10月28日(土)東京都 日本武道館
- 2017年11月3日(金・祝)北海道 北海道立総合体育センター 北海きたえーる
- 2017年11月4日(土)北海道 北海道立総合体育センター 北海きたえーる
- 2017年11月11日(土)神奈川県 横浜アリーナ
- 2017年11月12日(日)神奈川県 横浜アリーナ
- 2017年11月15日(水)大阪府 大阪城ホール
- 2017年11月16日(木)大阪府 大阪城ホール
- 2017年11月25日(土)福岡県 マリンメッセ福岡
- 2017年11月26日(日)福岡県 マリンメッセ福岡
- 2017年12月9日(土)埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
- 2017年12月10日(日)埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
- 2017年12月16日(土)愛知県 日本ガイシホール
- 2017年12月17日(日)愛知県 日本ガイシホール
- 2018年3月に台湾・台北アリーナライブ開催!
- GLAY(グレイ)
- 北海道函館市出身の4人組ロックバンド。TAKURO(G)とTERU(Vo)を中心に1988年から活動を開始し、1989年にHISASHI(G)が、1992年にJIRO(B)が加入して現在の体制となった。1994年にシングル「RAIN」でメジャーデビュー。1996年にはシングル「グロリアス」「BELOVED」が立て続けにヒットし、1997年に「HOWEVER」がミリオンセールスを記録したことでトップバンドの仲間入りを果たす。1999年7月には千葉・幕張メッセ駐車場特設会場にて20万人を動員するライブ「MAKUHARI MESSE 10TH ANNIVERSARY GLAY EXPO '99 SURVIVAL」を開催し、有料の単独ライブとしては世界最多観客動員を記録する。2000年に入ってからも数多くのヒット曲やヒットアルバムを生み出し、2010年4月には自主レーベル「loversoul music & associates」(現:LSG)を設立。メジャーデビュー20周年となる2014年は、9月に宮城・ひとめぼれスタジアム宮城にて単独ライブ「GLAY EXPO 2014 TOHOKU」を行い、11月にオリジナルアルバム「MUSIC LIFE」をリリースした。2015年には5月に10年ぶりとなる東京・東京ドーム公演を2日間にわたって開催。2016年1月にシングル「G4・IV」を発表し、同月より全国ツアー「GLAY HIGHCOMMUNICATIONS TOUR 2016 "Supernova"」を開催した。2017年7月に2年半ぶりとなるニューアルバム「SUMMERDELICS」をリリース。9月末からは「GLAY ARENA TOUR 2017“SUMMERDELICS”」と題した全23公演、23万人を動員する大型アリーナツアーを開催する。2018年3月には台湾・台北アリーナ公演の開催も決定している。
2017年7月26日更新