メンバーそれぞれの個性を凝縮したアルバムの中で、GLAYの王道とも言えるスケール感のあるポップな楽曲を手がけたTERU(Vo)。十八番とも言える伸びやかな歌声を自身が作曲したナンバーで披露しつつ、TAKURO(G)が作詞作曲をした「聖者のいない町」などでは新たな歌唱法にチャレンジしている。

デビューから23年。フロントマンとして走り続ける彼は今、どんな思いで歌を歌うのか。コンポーザーとしても花を開かせつつある彼に話を聞いた。

取材・文 / 中野明子 撮影 / 上山陽介

俺が思う大好きなGLAYの曲を作りました

──3回にわたる「Supernova」ツアーが5月に終わりましたが、今振り返ってみてどんなツアーでしたか?

TERU(Vo)

今回はJIROが病気で1公演出られなかったので、「無事終わってよかったな」っていう気持ちもある一方で、あの1日があったおかげで、よりチームワークが強くなった感じはします。10年前だったら、JIRO抜きでライブをやることはできなかったと思うんです。でもこれまでの経験とGLAYチームの信頼関係があったから、中止することなく開催できた。あの一件で、ファンの子たちを第一に考えて活動できるようなバンドと言うか、そういうチームになれた気がしましたね。

──TERUさんのSNSでの対応やJIROさんへの言葉を拝見しながら、メンバー同士の絆の深さやお互いへの気遣い、ファンへの思いを強く感じました。

そうですねえ。デビュー24年目に突入しましたけどよく一緒にやってられるなあって自分たちでも思う(笑)。今はラバーソウルっていう会社がちゃんとバンドを見てくれているし、TAKUROも社長っていう立場ではありますけど、4人共バンドに集中できる時間も多くなってきてるし。この10年で、メンバーも含めてスタッフとの信頼関係はすごく強くなったなと思います。

──そしてツアーでのトラブルもありつつ、2年半ぶりのアルバムが無事完成しました。初めて聴いたとき、シングル「G4・IV」のアルバム版という印象を受けまして。

まさしくそうですね。TAKUROとプロデューサーの亀田誠治さんが「『G4』の流れを組んだ、メンバーがやりたいことができる、それぞれのメンバーの個性が感じられるようなアルバムにしたい」という方向性を決めて、みんなで作っていった感じです。それぞれ自分たちが今GLAYでやりたい曲を提出したんですけど、その中で僕は「the other end of the globe」を含めて7、8曲出したのかな? それで「MUSIC LIFE」のときのようにメンバーが提出した曲を亀田さんが全部聴いて、選曲してくれて。蓋を開けたらHISASHIとTAKUROが作った曲が4曲ずつ、俺とJIROが3曲ずつっていういいバランスになりましたね。

──それぞれアルバム用の曲を作るにあたって、何か共通のテーマを設けたりは?

具体的にはないんですけど、ツアーを回っているときの日常会話の中で楽曲の方向性を各自が感じ取るというか。TAKUROが「ちょっと変わった曲をやりたいんだよね」って言って、今までのGLAYにはないタイプの曲を作ってたら「じゃあ僕はこういう方向性の曲を作っていこう」って考えたり。シングルのレコーディングをしているときも、亀田さんを交えて「次のアルバムどうする?」みたいな軽い会話がありつつ、それぞれ表現したいものを出した感じでした。

──結果、1曲1曲の個性が際立った作品になりましたね。

ね! 1曲目にHISASHIが作った「シン・ゾンビ」がくるとか(笑)。あの曲を1曲目にしたのはTAKUROで、HISASHIは「真ん中ぐらいのいいところに入れてくれればいい」って言ってたんですけど。まあ、聴いた人は、これがGLAYのアルバムだとは思わないでしょうね。でも、TAKUROはそれを狙ったんだと思います。各々自分の好きなジャンルの音楽をGLAYに取り入れたいっていう考えはあると思うんです。JIROだったらTHE PREDATORSがやるようなパンクテイストの曲をGLAYでもやってみたいだろうし。実際にいい感じでそれぞれの個人活動がGLAYに反映されていってると思います。

──それが今回の作品の自由さやフレッシュさにつながってる気がしました。中でもTERUさんが作った曲は、シングル曲を含めてスケール感のある王道のGLAYというイメージでした。

そうですね。大人になっていくと、技術的な面を見せる方向に行きがちだと思うんですけど、僕の場合は自分の好きなGLAYのポップな部分を出していけたらというのがありました。王道なのかどうかわかんないですけども、俺が思う大好きなGLAYの曲を作りましたね。もうみんなが作り飽きたものを、俺が今作ってます(笑)。

「the other end of the globe」誕生背景

──TERUさんがアルバムのために作曲した「the other end of the globe」は、どういう経緯で生まれたんですか?

ベネチアのムラーノっていう島に、伝統的なベネチアングラスの工房があるんですけど、そこに日本から単身で行って、自分の工房を持つまでになった土田康彦さんという方がいらっしゃるんですね。外国人がその島でベネチアングラスを作るのって、日本で言えば能の世界に外国人が入っていくようなものですごく苦労されたそうなんです。そんな方と出会って、いろんな話を聞いて、「あ、こういう人の生き方を曲にしたいな」「地球の裏側でがんばっている人がいるって伝えたい」と思ったのがきっかけですね。

──サウンドのスケールの大きさはそこからの由来なのかもしれませんね。

TERU(Vo)

音のスケール感に関して言えば、僕が去年のファンクラブ20周年ライブで宣言した「10年後にファンクラブのみんなをベネチアに連れていきたい」っていう夢にもつながってて。デモの段階だとあんまりスケール感がなかったんですけど、もっと大きくしたいと思って、DJ Mass (MAD Izm*)くんっていう友達にバックトラックを作ってもらってこの形になりました。

──歌詞はTAKUROさんとの共作です。

最初僕が書いた歌詞は、1人の男の人生のいいところだけを切り取ってたんですね。でもTAKUROと話をしていく中だったり、ドラマのタイアップの話をいただいたりする中で、苦味が必要だなと思ってTAKUROに半分任せました。いろんな人の思いが混じっていくことによって曲が成長しました。

──これがファンクラブ30周年のベネチアライブに続いてくと。

そうです! この曲をサン・マルコ広場で歌いたいんですよ。まあ、今年1人でアコースティックライブをしてきちゃったんですけど。

──行動が早くてびっくりしました。

ははは(笑)。行ってみてわかったこともあって。当初はファンの子たちだけを連れて行ってそこでイベントをすることを考えてたんですけど、現地に行ったときにお祭りのステージで歌わせてもらう機会があって、そのときに現地の人にも僕の歌が響いたみたいなんです。これは理想ですけど、30周年のライブはGLAYのファンと現地の人に半々くらいで足を運んでもらえるようなものを目指せたらという新しい夢が生まれました。なので来年も再来年もベネチアに行って、GLAYを聴いてくれる人を増やしていきたいですね。

GLAY「SUMMERDELICS」特集トップへ
TERU
TAKURO
HISASHI
JIRO
Message to GLAY
GLAY「SUMMERDELICS」
2017年7月12日発売 / LSG
GLAY「SUMMERDELICS」CD+DVD2枚組

CD+2DVD盤
5400円 / PCCN-00027

Amazon.co.jp

GLAY「SUMMERDELICS」CD

CD盤
3240円 / PCCN-00028

Amazon.co.jp

GLAY「SUMMERDELICS」G-DIRECT限定盤

G-DIRECT限定盤
[5CD+3Blu-ray+グッズ]
24800円 / LSGC-0002

購入はこちら

CD収録曲(共通仕様)
  1. シン・ゾンビ [作詞・作曲:HISASHI]
  2. 微熱Ⓐgirlサマー [作詞・作曲:HISASHI]
  3. XYZ [作詞・作曲:TAKURO]
  4. 超音速デスティニー [作詞・作曲:HISASHI]
  5. ロングラン [作詞・作曲:TAKURO]
  6. the other end of the globe [作詞:TERU、TAKURO / 作曲:TERU]
  7. デストピア [作詞・作曲:HISASHI]
  8. HEROES [作詞・作曲:TERU]
  9. SUMMERDELICS [作詞:TAKURO / 作曲:JIRO]
  10. 空が青空であるために [作詞・作曲:TERU]
  11. Scoop [作詞:TAKURO / 作曲:JIRO]
  12. 聖者のいない町 [作詞・作曲:TAKURO]
  13. Supernova Express 2017 [作詞・作曲:TAKURO]
  14. lifetime [作詞・作曲:JIRO]
Single Track Only Live @函館アリーナ [DVD(CD+2DVD盤) / Blu-ray(G-DIRECT限定盤)]
  1. My Private "Jealousy"
  2. 天使のわけまえ
  3. 疾走れ!ミライ
  4. とまどい
  5. SOUL LOVE
  6. a Boy~ずっと忘れない~
  7. Way of Difference
  8. グロリアス
  9. 真夏の扉
  10. Bible
  11. ずっと2人で…
  12. HOWEVER
  13. いつか
  14. 微熱Ⓐgirlサマー
  15. THOUSAND DREAMS
  16. 百花繚乱
  17. 誘惑
  18. HEROES
  19. 紅と黒のMATADORA
  20. サバイバル
  21. 彼女の“Modern…”
  22. BLEEZE
  23. MUSIC LIFE
VIDEO GLAY 7 [Blu-ray(G-DIRECT限定盤)]
  1. SCREAM
  2. ANSWER
  3. ASHES-1969-
  4. SORRY LOVE
  5. VERB
  6. 紅と黒のMATADORA
  7. I LOVE YOUをさがしてる
  8. SAY YOUR DREAM
  9. 春までは
  10. I am xxx
  11. LET ME BE Live Ver. 2009-2010 at makuhari messe
  12. 誘惑
  13. Apologize
  14. Precious
  15. Satellite of love
  16. everKrack
  17. My private "Jealousy"
  18. Time for Christmas
  19. 君にあえたら
  20. Bible
  21. JUSTICE[from]GUILTY
  22. 運命論
  23. Eternally
  24. DARK RIVER
  25. DIAMOND SKIN
  26. BLEEZE
  27. 百花繚乱
  28. 疾走れ!ミライ
  29. さくらびと
  30. 外灘SAPPHIRE ~スタジオセッションVer~
  31. YOU ~スタジオセッションVer~
  32. 黒く塗れ! ~スタジオセッションVer~
  33. BLEEZE ~スタジオセッションVer~
  34. HEROES
  35. 微熱Ⓐgirlサマー
  36. つづれ織り~so far and yet so close~
  37. 彼女はゾンビ
  38. Scoop
  39. Supernova Express 2016
  40. 空が青空であるために
  41. デストピア/超音速デスティニー
  42. the other end of the globe
SUMMERDELICSハイレゾ音源 / GLAY Documentary Film Part1 ~俺(TERU)にVENEZIAでライブをさせてくれ編~ / GLAY Documentary Film Part2 ~GLAY史上最大の作戦編~[Blu-ray(G-DIRECT限定盤)]
Live CD Single Track Only Live @函館アリーナ [CD(G-DIRECT限定盤)]
  1. My Private "Jealousy"
  2. 天使のわけまえ
  3. 疾走れ!ミライ
  4. とまどい
  5. SOUL LOVE
  6. a Boy~ずっと忘れない~
  7. Way of Difference
  8. グロリアス
  9. 真夏の扉
  10. ずっと2人で…
  11. HOWEVER
  12. いつか
  13. 微熱Ⓐgirlサマー
  14. THOUSAND DREAMS
  15. 誘惑
  16. HEROES
HIGHCOMMUNICATIONS TOUR Supernova 16.3.4 ロームシアター京都 [CD(G-DIRECT限定盤)]
  1. SE
  2. Scoop
  3. 千ノナイフガ胸ヲ刺ス
  4. 汚れなきSEASON
  5. laotour ~震える拳が掴むもの~
  6. 冬の遊歩道
  7. 100万回のKISS
  8. More than Love
  9. MERMAID
  10. Believe in fate
  11. SORRY LOVE
  12. カナリヤ
  13. 航海
  14. 空が青空であるために
  15. 百花繚乱
  16. BEAUTIFUL DREAMER
  17. Supernova Express 2016
HIGHCOMMUNICATIONS TOUR Supernova reprise 16.11.10 下北文化会館 [CD (G-DIRECT限定盤)]
  1. SE
  2. MIRROR
  3. デストピア
  4. Scoop
  5. 千ノナイフガ胸ヲ刺ス
  6. Freeze My Love
  7. 誘惑
  8. 生きてく強さ
  9. THINK ABOUT MY DAUGHTER
  10. BELOVED
  11. 都忘れ
  12. 彼女はゾンビ
  13. 微熱Ⓐgirlサマー
  14. 時計
  15. BLEEZE
  16. 彼女の“Modern…”
  17. HIGHCOMMUNICATIONS
HIGHCOMMUNICATIONS TOUR Never Ending Supernova 17.5.4 足利市民会館 [CD(G-DIRECT限定盤)]
  1. SE
  2. the other end of the globe
  3. THE FRUSTRATED
  4. DIAMOND SKIN
  5. ASHES -1969-
  6. BROTHEL CREEPERS
  7. BE WITH YOU
  8. May Fair
  9. SOUL LOVE
  10. MERMAID
  11. FRIEDCHICKEN & BEER
  12. WORLD’S END
  13. 時計
  14. XYZ
  15. CRAZY DANCE
  16. ピーク果てしなく ソウル限りなく
  17. HEROES
GLAY ARENA TOUR 2017 "SUMMERDELICS"
  • 2017年9月23日(土・祝)新潟県 朱鷺メッセ・新潟コンベンションセンター
  • 2017年9月24日(日)新潟県 朱鷺メッセ・新潟コンベンションセンター
  • 2017年9月30日(土)大阪府 大阪城ホール
  • 2017年10月1日(日)大阪府 大阪城ホール
  • 2017年10月7日(土)宮城県 セキスイハイムスーパーアリーナ
  • 2017年10月8日(日)宮城県 セキスイハイムスーパーアリーナ
  • 2017年10月21日(土)広島県 広島グリーンアリーナ
  • 2017年10月22日(日)広島県 広島グリーンアリーナ
  • 2017年10月25日(水)東京都 日本武道館
  • 2017年10月27日(金)東京都 日本武道館
  • 2017年10月28日(土)東京都 日本武道館
  • 2017年11月3日(金・祝)北海道 北海道立総合体育センター 北海きたえーる
  • 2017年11月4日(土)北海道 北海道立総合体育センター 北海きたえーる
  • 2017年11月11日(土)神奈川県 横浜アリーナ
  • 2017年11月12日(日)神奈川県 横浜アリーナ
  • 2017年11月15日(水)大阪府 大阪城ホール
  • 2017年11月16日(木)大阪府 大阪城ホール
  • 2017年11月25日(土)福岡県 マリンメッセ福岡
  • 2017年11月26日(日)福岡県 マリンメッセ福岡
  • 2017年12月9日(土)埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
  • 2017年12月10日(日)埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
  • 2017年12月16日(土)愛知県 日本ガイシホール
  • 2017年12月17日(日)愛知県 日本ガイシホール
2018年3月に台湾・台北アリーナライブ開催!
GLAY(グレイ)
GLAY
北海道函館市出身の4人組ロックバンド。TAKURO(G)とTERU(Vo)を中心に1988年から活動を開始し、1989年にHISASHI(G)が、1992年にJIRO(B)が加入して現在の体制となった。1994年にシングル「RAIN」でメジャーデビュー。1996年にはシングル「グロリアス」「BELOVED」が立て続けにヒットし、1997年に「HOWEVER」がミリオンセールスを記録したことでトップバンドの仲間入りを果たす。1999年7月には千葉・幕張メッセ駐車場特設会場にて20万人を動員するライブ「MAKUHARI MESSE 10TH ANNIVERSARY GLAY EXPO '99 SURVIVAL」を開催し、有料の単独ライブとしては世界最多観客動員を記録する。2000年に入ってからも数多くのヒット曲やヒットアルバムを生み出し、2010年4月には自主レーベル「loversoul music & associates」(現:LSG)を設立。メジャーデビュー20周年となる2014年は、9月に宮城・ひとめぼれスタジアム宮城にて単独ライブ「GLAY EXPO 2014 TOHOKU」を行い、11月にオリジナルアルバム「MUSIC LIFE」をリリースした。2015年には5月に10年ぶりとなる東京・東京ドーム公演を2日間にわたって開催。2016年1月にシングル「G4・IV」を発表し、同月より全国ツアー「GLAY HIGHCOMMUNICATIONS TOUR 2016 "Supernova"」を開催した。2017年7月に2年半ぶりとなるニューアルバム「SUMMERDELICS」をリリース。9月末からは「GLAY ARENA TOUR 2017“SUMMERDELICS”」と題した全23公演、23万人を動員する大型アリーナツアーを開催する。2018年3月には台湾・台北アリーナ公演の開催も決定している。

2017年7月26日更新