「無限の終わり」インタビュー
冷笑主義に見る“げんじぶらしさ”
──皆さんにとって3枚目のフルアルバムとなる「無限の終わり」は、2022年に配信リリースされた8曲と新曲6曲で構成された作品です。こうして1枚にまとまって、どんな作品になったなと感じていますか?
長野 それこそ2022年に得られたものがすごく大きかったので……今回のアルバムは、3年間歩んできた僕らの、一旦の集大成というか。「無限の終わり」を出して、それを携えてのパシフィコ横浜でのライブで1つ区切りがつくという感覚なんです。それと同時に、次の未来へ向けた気持ちの表明をこの1枚に込められたなと思ってます。
──さっそく楽曲についてお話を聞かせてもらえたらと思うのですが、1曲目に収録されているリードトラック「無限シニシズム」は、それこそ皆さんがデビュー当初から築き上げてきた“げんじぶらしさ”がぎゅっと詰まった楽曲なのではと思いました。作詞作曲は、デビュー曲「原因は自分にある。」からげんじぶの数々の楽曲を手がけている久下真音さんです。
小泉 僕も「これがげんじぶだな!」って思いました。この独特な雰囲気、いつもの僕らと言いますか。
長野 この曲は“時間”と“冷笑主義(シニシズム)”がテーマになっていて。相変わらず歌詞がすごく難しいから、いろいろ調べたり考えたりしてみて……コロナ禍や今の情勢に自分たちは大変な思いをしている部分があるけれど、そういう思いを熱く語るのでも直接的に言うのでもなく曲中の表現で伝えるのが、げんじぶらしいなと思いました。サビの最後はめちゃくちゃ低いキーで終わるんですけど、そういう部分にきれいさがあるというか。久下さんが内に秘める情熱を表現してくれたんだなとすごく感じて。自分的には、一番「ライブで早くやりたいな」と思った曲でした。
武藤 僕「今すぐミラクル以下スルーで」の部分が好きで、韻の踏み方も言葉の意味も全部いいなと思うんですよ。これ考えた人天才だなって……。
大倉 久下さんだよ(笑)。
長野 潤くん、歩きながらこのパートよく歌ってるよね。
まさかこんなこと言うと思わなかった
──ほか、特に聴きどころだなと思うパートはありますか?
吉澤 自分の歌割りなんですけど、ラストサビの「うっせー!」からの流れは、「まさか自分がこんなこと言うと思わなかった」というフレーズを歌っているので……。
武藤 確かになあ(笑)。
──要人さんが吐き捨てるセリフ、ものすごくインパクトがありますが、レコーディングはどんなふうに?
大倉 どのメンバーに向けて「うっせー!」って言いましたか?(笑)
吉澤 違う違う(笑)。最初は普通に言いそうな感じで言ってみたんですけど、それでは全然足りなかったので、どんどんヒートアップしていきましたね。「うっせー!」を叫びまくった末にOKテイクが録れたので、注目してもらえたらうれしいなと思いつつ……でもさ、ライブ中に聴いてくれてる人に向けて「うっせー!」って言うのもおかしいよね……?
長野 それ思ったよ!(笑)
吉澤 あの、真に受けないでほしいなって思います!
一同 あはははは!
吉澤 セリフのアレンジのしがいもある部分だと思うんですよ。ライブによって違うことができそうなパートなので、毎回聴き逃さないでほしいですね。
桜木 僕は空人と要人の最後のラップパートを聴いてほしいです。僕、FCツアーで一度だけ空人の代わりにここを歌ったんですけど、自分が実際にやったからこそ空人のラップのすごさを感じられました。で、そのあとの要人パート。要人と僕はイヤモニの系列が同じなんですけど……。
長野 それ、メンバー以外わからんやつ!(笑)
吉澤 系列が同じだと、ほかのメンバーに比べてお互いの声が聞こえやすいんですよ。
桜木 空人のラップが炸裂して、そこから要人の声が直にバーンと来るので、最後の最後にめちゃくちゃアガって終わるっていう(笑)。
──なるほど(笑)。ちなみにこの曲の振付についてはいかがですか?
大倉 無限にある時間の概念と、人間が感じ取れるものの有限さの対比を描いている曲なので、振付にも笑顔と真顔の対比があるんですよ。
小泉 これがめっちゃ難しくて。激しく踊る感じではないんですけど、細かい振りが多くて表情もキッチリ決められているから……表情の凝り具合、これまでよりグレードアップしてるよね。
大倉 うん、過去イチ難しいかも。
──過去イチですか。げんじぶの楽曲は歌いこなすだけでも相当大変なのではと察するのですが……。
大倉 わかってくれますか……!
一同 あはははは!
「エビライ」に関しては潤くんのミスです
──アルバム収録の既発曲8曲はかなりバリエーションが豊かです。特に思い入れがある曲をそれぞれに挙げるとするなら、どの曲になりますか?
武藤 僕は2曲目の「原因は君にもある。」ですね。7月リリースだけど、めっちゃライブで披露したなあっていう思い出と……。
大倉 毎回やってたもんね。
武藤 この曲も久下さんが書いてくれたんですけど、完成形に至るまでのデモが何パターンかあって、それが全部よくて。「げんじぶのためにこだわって作り上げてくれたんだな」といううれしさが心に残っています。
──「原因は君にもある。」といえば、「EBiDAN THE LIVE 2022」でめちゃくちゃ楽しそうにこの曲を歌っていた潤さんの笑顔がすごく印象に残っています。
小泉 和人がサプライズ登場したときですよね?
長野 あれはすごかった。「どれだけ笑ってんだよ!」と思いながらやってたもん(笑)。
武藤 もう、ずっと楽しくて……(笑)。
小泉 でも、あれからじゃない? 「この曲は楽しさを出しちゃってもいい」という認識になったの。
長野 それまではクールな表情を意識して踊る曲だったんですよ。
大倉 今となっては笑顔が定着する曲になったもんね。ただ、「エビライ」に関しては潤くんのミスです。反省したほうがいい!
一同 あはははは!
──(笑)。空人さんはどうでしょう?
大倉 俺は4曲目の「Q」ですね! 前を向く人の背中をそっと押す曲なんですけど、パフォーマンスするとき、「俺たちもネクストフェーズに行くぞ」という強い覚悟を持って歌っているんです。レコーディングにも意志を強く持って臨んだので、印象に残ってる。あと、ラストサビを潤くん、俺、光咲の年上3人で歌うんですけど、FCツアーのライブの最後に「Q」を披露したとき、すごい……「未来に進むぞ!」という思いが、ちゃんと出た気がしたんですよ。自分たちがこれからステップアップするにつれて、この曲はどんどん大切になってくるんじゃないかなとも思えたので、僕は「Q」ですね。
桜木 僕はですね、5曲目の「貴方に溺れて、僕は潤んで。」と、6曲目の「青、その他」です。「貴方に~」は秋ツアー、「青、その他」は春ツアーの1曲目だったんですけど、この2曲を聴くとツアーの思い出がいい意味でフラッシュバックするというか。「ツアーのとき、自分はこうだったな」という感情に……そのときの自分に戻れるんです。
──曲と一緒にツアーの思い出がよみがえったとき、雅哉さんはどんな感情になりますか?
桜木 なんかもう、げんじぶに関わっているすべての人たちへの感謝の気持ちがあふれますね。
大倉 いろいろ経験したからね。
小泉 僕も「青、その他」です。この曲は2022年になって最初に出した曲なんですけど、年相応のさわやかさがある曲で、これまでのちょっと大人で独特な雰囲気がある曲とは異なるげんじぶの新しい一面を見せられたなって。ここから等身大の自分たちを表現する曲を3部作で発表して、また違ったインパクトを与えられたんじゃないかと思うんです。2022年はここから始まったという意味でも、この曲を選びたいです。
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いつも和人にすごくパワーをもらってる