ナタリー PowerPush - GARNiDELiA

オーバーグラウンドで闘う2人の“メジャーデビュー”

あっ、こんなに歌える人がいるんだ

──Chix Chicksとしてはどのくらい活動を?

メイリア 約5年間ですね。で、それぞれ1人立ちしようって感じで解散したちょうどその頃、お世話になっていた音楽プロデューサーの人から「女性ボーカルを探してる人がいるよ」ってtokuさんを紹介されたのがGARNiDELiA結成のきっかけになったって感じですね。

toku お互いそのプロデューサーさんと仕事してたんですよ。

メイリア でもお互いのことはまったく知らなかったし、そのお話があったあとも、まず顔合わせじゃなくて音源の交換からで。tokuさんの音源を聴かせていただいて、私は私で自分のCDを聴いてもらう文通みたいな知り合い方をするという(笑)。

──いかがでした? tokuサウンドは。

メイリア tokuさんはちょうど「SPiCa」っていう曲をニコニコ動画に投稿して、再生数が伸び始めたって感じの頃だったので、初期のボカロ曲なんかを中心に聴かせてもらったんですけど、すごく壮大で、しかもものすごくピュアな曲だなって。聴いた瞬間、プロデューサーさんに「ぜひお会いしてみたい」って伝えてました。まあtokuさんは私の歌を聴いてどう思ったんだろうって感じなんですけど(笑)。

──今こうやってコンビを組んでるんだから、評価が低かったってことはないと思うんですけど(笑)。

toku もちろん(笑)。「あっ、こんなに歌える人がいるんだ」って改めて気付かされた感じでしたね。

メイリア よかったです(笑)。で、ボカロPとしても活動していたtokuさんに「面白い文化があるんだよー」って教えてもらって。「じゃあ一緒に作ってみよっか」ってことで2010年にtokuさんの「ARiA」っていうボカロ曲の歌ってみたバージョンを投稿してみたんですよね。

2人がネットを選んだ理由

──tokuさんには前回のインタビューでも聞いたことではあるんですけど、やっぱり疑問なんですよ。メジャーでバリバリやっていたお2人がなんでネットに?

GARNiDELiA

toku 僕個人の話をすると、僕の職業はマニピュレーターやアレンジャーであって、純粋な作曲の仕事は数曲やっただけ。ほぼほぼやってなかったんですよ。しかも作曲の腕試しをしてみたいなって気持ちはあったものの、いきなり「曲作りたいです!」って手を挙げたからってお仕事をもらえるって世界でないことは十分知っていたので(笑)。

メイリア あはははは(笑)。

toku 投稿当初はボカロに対して趣味で触って楽しもうっていう気持ちが強かったんですが、次第にのめり込んじゃって(笑)。今思えば自作のボカロ曲を発表できるニコニコ動画が作曲の腕試しの場としてうってつけだったんですよね。それは「2人で音楽やりましょう」ってなったときも同じでした。動画共有サイトっていうムーブメントはかなり大きなものになるんじゃないか?って予感もあったので、そこに向けて作ってみるのもありだなって思いがありましたね。

メイリア 音楽業界の人間同士として出会ってはいるんですけど誰かの後押しがあったり、予算があったりしたわけではない、自分たち始動のユニットなので(笑)。そのときの私たちがやれることをやれる場所としてネットを選んだ感じなんです。作るほうも観るほうも負担なく音楽を楽しめて、しかも不特定多数の人に素早く音楽を届けられる場所として。

──その口ぶりだと、結成当時勝算みたいなものは……。

メイリア まったくなかったですね(笑)。

──にもかかわらず「ARiA」は多くの人に聴かれた。そのときの心境って?

toku マニピュレーターやアレンジャーって仕事をしていると、お客さんってあんまり見えないんですよね。それが再生数という数字できちんと見える、しかもたくさんの方が聴いていることがわかったのは驚きで。プロながらに感動してました(笑)。

誰かに発見されるためのライブ

──ネットで評価を集めたことで何か周囲の状況って変わりました?

toku 僕のことを阿部尚徳って本名で呼ぶ人がいなくなりました(笑)。

GARNiDELiA

メイリア 確かに! 私も本名からメイリアになり(笑)。あと仲間がめちゃめちゃ増えましたよね。

toku うん。ニコ動や同人周辺のクリエイターもそうですし、仕事の現場で「ネット見ましたよ」って言われることもかなりありましたし。音楽業界全体にニコ動視聴者ってめちゃめちゃいるんだなあ、っていうことを知りました。

──メジャーデビューのきっかけもその「ネット見たよ」の流れから?

メイリア いや、ライブです。ネットで評価してもらったり、「ONE」(2010年リリース)っていうミニアルバムをインディーズで出したりしたあと、次のステップに行くために何かできることはないか?って考えて。その答えがライブで、2011年くらいからライブ活動をコツコツ続けていたらデフスターさんが声をかけてくださって。

──ネットを中心に活動っていうと先進的なグループっぽいんだけど、デビューに至る道は……。

メイリア 普通のバンドさんと一緒なんです(笑)。

──なぜライブに打って出よう、と。

toku 世の中全体がライブ指向になってきているっていうのもあったんですけど、根本にあった理由はホントに単純というか。音楽はやっぱり演奏を観てもらったり、高い音質で聴いてもらったりする芸術、芸能だと思っているので。もちろんネットも音楽を知ってもらうための大きなチャンスではあるんですけど、CD不況だなんて言われながらも、それでもやっぱり音楽の一番の楽しみ方ってライブを観ることであり、CDを聴くことなんだろうなって感じてましたから。

メイリア こう言うと「計算してる」って感じに聞こえるかもしれないし、もちろん楽しかったからっていうのが一番の理由ではあるんですけど、見つけてもらうためにライブをやっていた面もありますね。

GARNiDELiA ニューシングル「ambiguous」/ 2014年3月5日発売 / DefSTAR Records
初回限定盤[CD+DVD] 1575円 / DFCL-2054~5
期間限定生産盤[CD+DVD] 1575円 / DFCL-2051~2
通常盤[CD] 1260円 / DFCL-2053
CD(初回限定盤・通常盤)
  1. ambiguous
  2. Gravity
  3. ORiGiNAL
  4. ambiguous(instrumental)
CD(期間生産限定盤)
  1. ambiguous
  2. Gravity
  3. ORiGiNAL
  4. ambiguous(instrumental)
  5. ambiguous(TV size)
DVD(初回限定盤)
  • 「ambiguous」Music Video
DVD(期間生産限定盤)
  • 「キルラキル」OP映像
GARNiDELiA(がるにでりあ)
GARNiDELiA

アニソンシンガーなどとして活躍するメイリア(Vo)と、アンジェラ・アキ、LiSAらのアレンジャー、ボカロP「とく」などの横顔を持つtoku(Key, Compose)からなるユニット。2010年、共通の知人を介して知り合い、オリジナル曲「ARiA」を動画共有サイトに投稿し、toku作編曲、メイリア歌唱のアニメ「フリージング」オープニングテーマ「COLOR」を発表したのと前後して、ユニット結成を宣言する。以来ハードロック由来のヌケのいいギターロックから、ダンスミュージックまで幅広い楽曲群をネットで発表する一方で、2010年末にはミニアルバム「ONE」をインディーズで発表。さらに翌年には東京・JCBホール(現・東京ドームシティホール)での「ニコニコ大会議Final」や、中国・上海での「舞動漫櫻楽祭~ANIME ROCK CONVENTION~」など国内外でのイベントに招聘されるなど、国内外で高い人気を獲得する。そして2014年3月、アニメ「キルラキル」の後期オープニングテーマ「ambiguous」でメジャーデビュー。