GANG PARADEが9月11日にニューシングル「CAN'T STOP」をリリースした。
4月に現体制となり、7月から「REBUILD TOUR」を行っているGANG PARADE。音楽ナタリーでは現体制になって2度目となるインタビューを実施し、ツアーファイナルを前に各地で公演を重ねていく中で得た経験を中心に語ってもらった。また4月に加入した月ノウサギ、ハルナ・バッ・チーンの成長ぶりに加え、同じ事務所のWACKに所属するBiS1st、BiS2ndのライブを観た正直な感想などについても話を聞いた。
取材・文 / 古川朋久 撮影 / 西槇太一
パンストで殻を破る月ノウサギ
──まずは現在行っている「REBUILD TOUR」について。月ノウサギ、ハルナ・バッ・チーンの2名が加わった新体制初のツアーということで気合いが入っていると思うんですけど、今回のツアーに際してテーマみたいなものは考えました?
カミヤサキ ツアータイトルに“REBUILD”とあるように、まずはこの9人で崩せないものをしっかり作っていこう、というのはみんなで話し合って決めましたね。
──そんな思いとは裏腹に、ツアー初日の沖縄が台風というアクシデントであわや開催中止の危機に……。
ユイ・ガ・ドクソン 私たちは前乗りしてたのでよかったんですけど、当日来る予定だった人たちの飛行機が飛ばなくて来れなくなっちゃったんですよね。でも前乗りしてくれてた遊び人(GANG PARADEファンの呼称)の皆さんもたくさんいたので、これはやるしかないなと。台風は傘が一瞬でひっくり返ったりするくらいヤバかったんですけど。
──そんな状況ではありましたけど、初日のライブを振り返ってみていかがでしたか?
テラシマユウカ 初日はまだ手探りな感じでした。気持ちも少しフワフワしていたと言うか。
カミヤ どちらかと言うと初日が終わってからのほうがちゃんとツアーに対してより深いところまで話せました。沖縄に行く前も「こういうツアーにしたい」ってみんなでもちろん話してたんですけど、もっと具体的にセットリストに対しての不安なところとかが見えてきたのは沖縄のあとでした。だから手探りな状態ではあったんですけど台風で中止にならなくて本当によかった。初日がなかったらツアーとの向き合い方が変わってしまっていたかもしれないくらい。
──なんとなく、ギャンパレのツアーって初日までに細部まで作り込んで、決め込んで挑む、みたいなイメージを持ってたんですけど、今回に関しては1回やってみてから積み重ねていくスタイルだったんですね。
カミヤ そうですね。あとはチームというよりは個人ベースの戦いというニュアンスが沖縄はまだ強かったです。それ以降はグループ感をもっと大切にしなきゃダメだなっていう考え方にシフトしていって。
月ノウサギ とは言え初日なのでリラックスしてやれたわけもなく(笑)。曲数もたくさんありましたし。
ココ・パーティン・ココ 確かに沖縄は曲数が多かったんですよ。そこで曲数も少し絞っていい流れのポイントを見せていったほうがいいんじゃないかって意見も出て、以降は少し減らした感じではあります。減らした分、見どころは増やしていこうと考えて、今回はコントにも力を入れてるんです。
──あ、そこなんですね(笑)。
ココ コントって場数踏まないとダメなんですよ。
──アーティストのインタビューではあまり聞かないお話ですね(笑)。
ココ 笑いのポイントって経験がものを言う感じがあって、「こういうところでお客さんは笑うのか」とか、やってみて気付く発見が多くて。私たち、けっこうコントのデキに全体が引っ張られるんです。
ドクソン そうそう。コントがコケたら全部コケると言っても過言ではないです。
カミヤ このメンバーでツアーを回るのも今回が初めてなので、実際にステージに全員で上がるまではどうなるかわからなかったけど、初日で課題がしっかり見えてきたのは結果としてよかったのかなと。明確に先のビジョンが見えたのは大きかったです。
──月ノさん、ハルナさんはギャンパレに入って初のツアーでしたけど、初日公演をはじめ序盤を振り返ってみてどうですか?
月ノ 私はよくも悪くも初日だなという感じのライブをしてしまった……と言うと言い方が悪いかもですけど、そんな印象で。あと今回のコントは私にスポットが当てられていて、今までのライブでは「パンストを被る」と言えばマイカさんだったと思うんですけど、私がそれを引き継がせていただいて。
キャン・GP・マイカ ふふふ(笑)。そうなんです。
月ノ コント初体験だったので緊張がヤバくて。2曲目にしてなぜだか涙が出てきちゃったんですよ。渡辺(淳之介 / WACK代表)さんから「コントやれ」って言われてから、ずっと心に鉛がズシッとある感覚があって。考えるのも嫌になるくらい初日を迎えるまでずっとプレッシャーだったんです。
ココ 月(月ノウサギの愛称)の顔が緊張で本当にヤバくて。
──本来アーティストが感じる必要のないタイプのプレッシャーに悩まされてたんですね。
ココ でもギャンパレにとってはすごく大事なことなので。
月ノ 結果として初日は、そのコントに対するプレッシャーみたいなものが出てしまったライブだったなと。
カミヤ BiSHだったらあっちゃん(ハシヤスメ・アツコ)を軸にしたコントをやってるけど、ギャンパレって都度コントの軸になるメンバーが変わるんです。月ノだけじゃなくて実は歴代コントをやってきたメンバーは悩まされてきたんですよね。
ココ ライブ当日に渡辺さんがアドバイスして、内容がガラッと変わっちゃうこともあって。長ゼリフもあったよね。いろんな課題があって、コントのことを考えるあまり、振り付けが飛んでしまうなんてこともチラホラありました(笑)。
ドクソン コントの前後の曲は怪しい(笑)。
ココ でも月のパンストはかなりクオリティ高いので、ぜひ一度見てほしいです。
──パンスト芸の第一人者としては彼女のパンスト芸、いかがですか?
マイカ 私がパンストを被っていたときは「私はパンストを被っていてもアイドルだぞ!」という気持ちだったんですけど、月はちょっと違いますね。どちらかと言うと「殻を破る」という気持ちが強いかなと。そういう意味合いのパンストなんで。
──そういう意味合いのパンスト(笑)。
ユメノユア 写真を見るとよくわかるんですけど、やっぱりアイドルを貫くマイカと自分の殻を破る月で気持ちの入れ方が違うなと。いろんな思いが込められたパンストです。
月ノ 自分は被っているときの顔がわからないけど、それを見てお客さんが笑ってくれるので「ありがたいな」と思ってます。貴重な体験だし、ツアーを通してメンタルが鍛えられそうです。
──パフォーマンス部分での成長はどうですか?
カミヤ Zepp DiverCity TOKYOでのワンマンのときもちゃんと仕上げていましたけど、ツアーに入ってより洗練されてきたと感じてます。課題も自分で見つけて修正していってるみたいなので、特に何も言うことがないんですよ。だからこそコント部分でがんばってほしいです。本当は彼女、めっちゃ声がデカいんですよ。意外に思われるような一面をもっと出してくれたらさらに成長するかなって。
月ノ 最近はボイトレに通ってるんですけど苦戦してて。思うように声が出ないんです。だからこのツアーを通してもっと成長していきたいです。
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WACKにいなかったタイプのハルナ・バッ・チーン