ナタリー PowerPush - GALNERYUS

10周年イヤーの総括と11年目の布石

GALNERYUSのライブ作品「RELIVING THE IRONHEARTED FLAG」がリリースされる。本作には昨年10月14日に東京・渋谷公会堂で行われた全国ツアー「"MAJOR DEBUT 10th ANNIVERSARY, Chapter III ARISING THE IRONHEARTED FLAG" TOUR」の最終公演を完全収録。昨年1年間を通してメジャーデビュー10周年を盛り上げるさまざまな企画を行ってきた彼らの、総決算といえるライブを思う存分楽しむことができる。

今回のインタビューではメンバーのSyu(G)と小野“SHO”正利(Vo)に、2013年の活動を振り返りつつライブ作品「RELIVING THE IRONHEARTED FLAG」の見どころ、そしてすでに制作中というニューアルバムについて話を聞いた。

取材・文 / 西廣智一

遠慮せずに新しいことをした結果、動員増につながった

左から小野“SHO”正利(Vo)、Syu(G)。

──まずはメジャーデビュー10周年を迎えた2013年の活動を振り返っていきたいと思います。アルバム2枚発売にツアー2本と精力的に動いた1年でしたが、最初からこの1年はこういう形で活動しようと決めていたんですか?

Syu(G) そうです。2012年の暮れぐらいからみんなで作戦を練った結果、10周年だからアルバム2枚とツアー2本という例年やってることの2倍稼働しようと。まず前半に今の布陣以前の楽曲をセルフカバーしたアルバム(「THE IRONHEARTED FLAG Vol. 1 : REGENERATION SIDE」)を作ってツアーを回り、後半に過去の曲をリメイクしたアルバム(「THE IRONHEARTED FLAG Vol. 2 : REFORMATION SIDE」)を作ってそのツアーを回るということですね。で、最後に渋谷公会堂という大きな会場でやらせてもらって、ライブ作品も作るっていう1年でした。

──セルフカバーアルバム「THE IRONHEARTED FLAG Vol. 1 : REGENERATION SIDE」については前回のインタビュー(参照:GALNERYUS「THE IRONHEARTED FLAG Vol. 1 : REGENERATION SIDE」インタビュー)でじっくり話を聞きましたが、続くリメイクアルバム「THE IRONHEARTED FLAG Vol. 2 : REFORMATION SIDE」は曲のタイトルだけではなく歌詞やメロディも変わっていて、新しいオリジナルアルバムと呼んでも過言ではない内容です。こちらの制作作業はどうでしたか?

小野“SHO”正利(Vo) 僕は2枚目のほうは歌ったことない曲がけっこうあったし、歌詞も変えるってことでしたから新曲を歌う気分ですよね。「こういう曲もあったんだ」って感じでしたし、楽しかったですよ。

──原曲が好きな人からは賛否あるかもしれないですし、逆に今回のリメイクアルバムから入った人にとってはこっちがオリジナルになってそこから過去の原曲をさかのぼって聴くという楽しみ方もあって、とても興味深い1枚になったんじゃないかと思うんです。ライブでリメイク曲を演奏したときのリアクションはどうでしたか?

小野 盛り上がってくれている、受け入れてくれていると感じましたよ。逆にライブに足を運んでくださる方は今のGALNERYUSが好きなわけですし、お金を払ってライブに来て「あの曲を変えやがって、コノヤロー!」って言う人はいないと思うんです(笑)。ありがたいことにライブを重ねるごとに各地の動員は増えてますし、おっしゃったように賛否両論あるだろうけど、遠慮せずに新しいことをしてそれが結果として動員につながっているので、そこはもう間違わずに道筋を進んでいけてるのかなと思いますね。

新曲を作るより難しかったリメイクアルバム制作

──バンドとしての地盤がしっかり固まっているからこそ、こういう作品が作れると思うんですが。そのへんはどう考えてますか?

Syu うーん、これは難しい話でして。2枚目に関しては、過去にやったことを今の布陣でやるともっといいものになるだろうと単純に考えてました。もちろん以前のことを否定するわけではないですよ。ただ「あのとき、こうしておけばよかった」ということを具現化することは興味深いし新鮮だったけど、それ以上に難しい作業だった。いざやり始めてから思ったんですけど、前の曲の持つ力が強くて実際はリメイクするのがすごく難しかったんです。バックのオケはあまり変えず、歌メロと歌詞が変わるというのも難しさに拍車をかけてしまって、そこで小野さんにはすごく苦労をかけてしまったので、今となっては反省してる部分もあるんですけど。

小野“SHO”正利(Vo)

小野 いやいや。ちょっと矛盾するようなことを言うかもしれませんが、ある曲があって、それを作ってから何年か経ったときに「あのとき、こうすればよかった」と感じるのはミュージシャンなら誰でも経験があることだと思うんです。特にSyuくんは結成時からのメンバーだから余計に感じることであって、今回は歌詞についても「ここはこうしないと、前のバージョンに負けてしまうんじゃないか?」と何度も意見を聞いて完成させました。

Syu もうね、本当に難しくて。できればもうやりたくない(笑)。

小野 あはははは!(笑)

Syu 今だったら明らかに自信のあるものができるんだろうなと思ったら原曲に引きずられる部分があって、新曲を作っていく作業よりも全然難しくて。最終的にリリースされたものは120%胸を張って出せる内容にはなったんですけど、そこまでの道のりが本当に険しくて大変でした。後悔のないアルバムには仕上がったんですけど、メンバーに対して負荷がかかってしまったことはすごく考えるべきところだなと思いますね。

小野 でもそれはいいんじゃないですかね。GALNERYUSのレコーディングってそういうものだと思っているので(笑)。よりいいものを目指してやってますから。

Syu まあ毎回毎回チャレンジですよね。メタルバンドってたくさんいるけど、僕たちがいいと思うメタルっていうのはほんのひと握りしかないんです。で、自分たちでやるからには「自分が聴きたいメタル」をやりたいと。テクニカルな演奏要素はもちろんだし、キレイなハイトーンボーカルがあって、それで曲がすごくメロディアスで構成もしっかりしていて、アルバムの流れもすごくよくて独自の世界観があって……そういうアルバムを毎度「うわっ!」っていう驚きとともに聴けるバンドになるためには、毎回すさまじいチャレンジが必要なんです。実はすでに次のアルバムの制作を始めてるんですけど、間違いなく前作「ANGEL OF SALVATION」(2012年発売のオリジナルアルバム)以上にものになると思うんです。

小野 これがまたね……「これぞGALNERYUS」っていうね(笑)。

Syu 「これぞ僕が聴きたかったメタルだ!」っていう作品ができつつあるので、自分でも今から楽しみですね。

ツアー情報
"WELCOME TO OUR EVOLVING IRONHEART!" TOUR 2014
  • 2014年4月5日(土)沖縄県 7th Heaven Koza
  • 2014年4月12日(土)北海道 cube garden
  • 2014年4月19日(土)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
  • 2014年4月20日(日)大阪府 BIGCAT
  • 2014年4月27日(日)東京都 Zepp Tokyo
GALNERYUS(がるねりうす)

Syu(G)を中心に結成されたヘヴィメタルバンド。現在のメンバーはSyu、小野“SHO”正利(Vo)、TAKA(B)、YUHKI(Key)、Jun-ichi(Dr)。2003年に1stアルバム「THE FLAG OF PUNISHMENT」でメジャーデビューを果たし、パワフルなヘヴィメタルサウンドと新人離れした演奏力で注目を集める。2009年に小野、TAKAが加入し現編成となり、翌2010年に6thアルバム「RESURRECTION」を発表。同アルバムの収録曲「A FAR-OFF DISTANCE」がテレビアニメ「RAINBOW -二舎六房の七人-」のエンディングテーマに起用され、幅広い層にアピールすることに成功する。2013年にはメジャーデビュー10周年を迎え、5月にセルフカバーアルバム「THE IRONHEARTED FLAG Vol. 1 : REGENERATION SIDE」、9月にリメイクアルバム「THE IRONHEARTED FLAG Vol. 2 : REFORMATION SIDE」をリリース。同年10月には渋谷公会堂でのワンマンライブを成功させた。このライブの模様を収めたライブ映像作品「RELIVING THE IRONHEARTED FLAG」が2014年3月に発売される。