ナタリー PowerPush - GALNERYUS
セルフカバーアルバムを通じて明かす 孤高のメタルバンド10年の歩み
今年メジャーデビュー10周年を迎えたGALNERYUSが、キャリア初となるセルフカバーアルバム「THE IRONHEARTED FLAG Vol. 1 : REGENERATION SIDE」を5月22日にリリースする。本作ではボーカリストの小野“SHO”正利が加入する以前の楽曲を、現在の編成で再録音。原曲のイメージをなぞりつつも、より大きなスケール感を備えた名曲たちを存分に楽しむことができる。
今回ナタリーではバンドの中心人物であるSyu(G)と、小野“SHO”正利(Vo)にインタビューを実施。バンド10周年を振り返りつつ、「THE IRONHEARTED FLAG Vol. 1 : REGENERATION SIDE」の聴きどころ、さらには秋に発売予定の「THE IRONHEARTED FLAG」シリーズ第2弾について語ってもらった。
取材・文 / 西廣智一
ハングリー精神を持って続けたらここまで来れた
──GALNERYUSのメジャーデビューから今日までを振り返ってみて、Syuさんにとってどういう10年でしたか?
Syu(G) 誰もが言うような感じなんですけど、長いようで短くて、あっちゅーまでした。初期の頃はANIMETALでの活動もあったので、レコーディングとツアーを繰り返して1年が終わっていく感じでしたが、小野さんとTAKAさん(B)が入ってからはさらにそれが加速していって、気付けば10周年みたいな。
──結成当時に、活動がここまで長く続くと思ってましたか?
Syu 思ってた……かな? やっぱり周りとのコミュニケーションであったり、もちろんライブの動員やCDの売れ行きとかもそうですけど、それをいかにしてキープしていくかっていうことが重要で。今のところそういうことがうまくいく恵まれた環境でやれているし、それを当たり前だとは思わず、常にハングリー精神を持って続けたらここまで来れたんです。それは自信を持って言えますね。
──ではこれまで、バンドにとって危機的タイミングはありましたか?
Syu 5枚目(のアルバム「REINCARNATION」)が出たとき(2008年末)に、前任ボーカリスト(YAMA-B)が脱退したんですけど、翌年はアルバムが出せなかったんですね。その時期が一番厳しい時期だったかな。僕自身はその間、SPINALCORDっていう別のバンドをやってたんですけど、やっぱり母体となるGALNERYUSが動かせなくてすごくつらい思いをしました。
──ちょうどその時期に小野さんが、最初はゲストという形でGALNERYUSのライブに参加しました。小野さんはいつ頃GALNERYUSのことを知ったんですか?
小野“SHO”正利(Vo) GALNERYUSのプロデューサーと1995年に初めて出会って、何年か経ってから「今度こういうバンドがデビューするんだけど」と言ってGALNERYUSの1stアルバム(「THE FLAG OF PUNISHMENT」)をもらったのが最初で。Syuくんとも2002~2003年くらいにとあるイベントで初めて会ってるんですよ。怖かったですね、初めて会ったときは。
Syu なんで怖いんですか(笑)。
小野 とがってる若者だなあと。なんか怒ってるなあっていう。
Syu それはとがってるっちゅうか、ただの人見知りです(笑)。
──バンドの音楽性は小野さんから見てどう映りました?
小野 正統派ヘヴィメタルバンドだなって。今はヘヴィメタルやハードロックといっても、その中で「○○メタル」とかいろいろ細分化されてますけど、聴いた瞬間にパッと感じたのは正統派のヘヴィメタルバンドだっていうことでした。
仕事が常にある今の状況は本当に恵まれてる
──小野さんが2009年後半に正式加入してから、GALNERYUSはアルバムセールス、ライブの動員数を着実に伸ばしています。小野さんの加入はバンドのスタイルにどのような影響を与えましたか?
Syu そうですね。楽曲は僕とYUHKIさん(Key)で基本的に作ってるんですけど、小野さんが入ってからはキーの制約がなくなりました。それまでは「ライブで表現できないものは録音すべきじゃない」という考えがあったんですけど、今は日本が世界に誇るクリアハイトーンボイスの持ち主、ミリオンヒットを持つ男がいるわけですから(笑)。万人の耳にスッと入るキレイな声を手に入れたことはすごく大きなことですよ。
──確かに今回のセルフカバーアルバム「THE IRONHEARTED FLAG Vol. 1 : REGENERATION SIDE」やライブで過去の楽曲を聴いて、「ボーカルが変わるとここまで印象が変わるんだ」と思いました。
Syu 自分が思ってる以上に、周りの方々はもっと強く感じてるんだなとは思いましたね。例えば今回のアルバムに収録されている「MY LAST FAREWELL」についても、聴いた人から「前はこんなにいい曲でしたっけ?」と言われたし(笑)。改めてそう言っていただけると、こちら的にもすごくハッピーですね。
──では小野さんが入ったことで、結成当初に思い描いていた「GALNERYUS像」に近付くことができた?
Syu 今はまさにそういう状態ですね。透明感がありつつ、ヨーロッパの音楽から影響を受けたような音楽がずっとやりたくて、現時点での最新オリジナルアルバム「ANGEL OF SALVATION」ではかなりそこに近付くことができたと思ってます。
──小野さんはメタルだけじゃなくて、ポップスをはじめいろんなジャンルを歌ってきてますが、改めてこの4年間バンドとして活動してみていかがですか?
小野 楽しいですよ。これだけコンスタントにアルバムを出してツアーに出て、ツアーの最中も何かしら作業することがあって。僕にとってはこれが仕事ですし、その仕事が常にあるっていう状況は今のご時世、本当に恵まれてますよね。ソロデビューして20数年経ちますけど、その間にどこの事務所にも所属しないでフリーだった時期が何年かあって。フリーって言うと聞こえがいいけど、要するにアマチュアに戻ったみたいな時期だったので、そこを思い返すと今はかなり恵まれてます。
- ニューアルバム「THE IRONHEARTED FLAG Vol. 1 : REGENERATION SIDE」 [CD+DVD] 2013年5月22日発売 / 3500円 / VAP / VPCC-80660
- ニューアルバム「THE IRONHEARTED FLAG Vol. 1 : REGENERATION SIDE」
CD収録曲
- BRAVING FLAG
- REBEL FLAG
- POINT OF NO RETURN
- FATE OF THE SADNESS
- MY LAST FAREWELL
- SHIVER
- QUIET WISH
- UNITED FLAG
- THE FLAG OF REINCARNATION
- SILENT REVELATION
DVD収録内容
- “UNDER THE PROMISED FLAG”ツアーでのライブ映像
LIVE INFORMATION
Ozzfest Japan 2013
2013年5月11日(土)
千葉県 幕張メッセ国際展示場9~11ホール
PURE ROCK JAPAN LIVE 2013
2013年5月26日(日)
神奈川県 川崎CLUB CITTA'
MAJOR DEBUT 10th ANNIVERSARY Chapter II, SPIRIT OF THE IRONHEARTED FLAG
- 2013年6月7日(金)
愛知県 名古屋Electric Lady Land - 2013年6月16日(日)
大阪府 梅田CLUB QUATTRO - 2013年6月23日(日)
北海道 札幌cube garden - 2013年6月30日(日)
東京都 新宿BLAZE - 2013年7月5日(金)
香港 Music Zone - 2013年7月7日(日)
台湾 Legacy 傳 音樂展演空間
GALNERYUS(がるねりうす)
Syu(G)を中心に結成されたヘヴィメタルバンド。現在のメンバーはSyu、小野“SHO”正利(Vo)、TAKA(B)、YUHKI(Key)、Jun-ichi(Dr)。2003年に1stアルバム「THE FLAG OF PUNISHMENT」でメジャーデビューを果たし、パワフルなヘヴィメタルサウンドと新人離れした演奏力で注目を集める。2009年に小野、TAKAが加入し現編成となり、翌2010年に6thアルバム「RESURRECTION」を発表。同アルバムの収録曲「A FAR-OFF DISTANCE」がテレビアニメ「RAINBOW -二舎六房の七人-」のエンディングテーマに起用され、幅広い層にアピールすることに成功する。メジャーデビュー10周年を迎えた2013年5月、初のセルフカバーアルバム「THE IRONHEARTED FLAG Vol. 1 : REGENERATION SIDE」をリリース。