ナタリー PowerPush - GALNERYUS

10周年イヤーの総括と11年目の布石

GALNERYUSにはメタルファンが望む要素が全部ある

──現在のシーンを見渡してみると、渋公クラスの会場を満員にできる国産のヘヴィメタルバンドってほぼ皆無なんですよ。

TAKA(B)

小野 そうなんですよね。

Syu GALNERYUSがこうして支持していただけるのは、みんなが聴きたいと思うヘヴィメタルをやっているバンドがいないから。ライブにも行きたいと思えるようなバンドが周りにいないっていうことを最近理解し始めまして、それによってGALNERYUSがやるべきこともわかってきたんです。僕もいろんなメタルバンドを観るんですけど、「何か1つ足りない」と感じるバンドがいっぱいいて、改めて「GALNERYUSってなんで支持されてるのかわかった。メタルファンが望む要素が全部あるわ」と気付くわけです。GALNERYUSを観てると小野さんの透明感のある声があって、ドラムもベースもすさまじいプレイをして、キーボードもテクニカルに弾きこなすし、ギターもあれだけ低いポジションで弾くのにテクニカルだし(笑)。あとはですね……「イングヴェイ・マルムスティーン予備軍」にならなければいいんじゃないですかね。

──それはどういうことですか?

Syu 僕はイングヴェイが大好きなんですけども、あえてその道を通ってこなかった。理由はそれをやってしまうとイングヴェイでしかないからなんです。

──ああ、イングヴェイが好きな人ってどうしても似たり寄ったりの印象が強いですよね、プレイ的にも楽曲的にも。

Syu 結局いまだにそのままイングヴェイをやってしまう人が多いんです。イングヴェイが世に登場してすでに30年以上経ちますけどまだイングヴェイ予備軍がいっぱいいるんで、そことは違うものを提供しなくちゃいけないと。ギターも本当はストラトキャスターを使いたいけど、僕はフライングVとか変形ギター中心できてますから。ハーモニックマイナースケールじゃなくてナチュラルマイナーだ、みたいなね。ネオクラシカルだけどペンタトニックを使っちゃえとか。そういう固定観念を覆してきた自分の個性っていうものを大切にしていきたいと思うし、曲的にも例えば昭和歌謡から影響を受けてたり、J-POPであったり、はたまたアイリッシュ音楽だったり、それらをいい感じに混ぜこぜにして曲を書くのがGALNERYUSだと思うので、いい意味で柔軟なバンドだなと思ってます。

新作は「メタラーが聴きたいものが凝縮されたアルバム」

──先ほど、すでにニューアルバムの制作に突入していると言っていましたが、作業は順調ですか?

GALNERYUS

Syu 去年1年間GALNERYUSにおける作曲作業を一切していなかったというのもあるんで、ちょっとブランクがあったんです。で、その間に創作意欲がすごく湧いてきたんですけど、いざ新作の曲作りを始めたときにはちょっとリハビリ期間が必要で。

──リハビリですか?

Syu いつものように曲作りを始めても、意欲はあるのになかなかポンポン出てこなくて。で、なんとか出てきたサビのフレーズとか曲の断片を集めていったら、本当にいいメロディばかりだったんです。そこからワンコーラス作ったところで「そういえばGALNERYUSって演奏も派手なんだ。歌を邪魔しないような素晴らしい演奏が入ってないといけないんだ」っていうことを思い出して……そんな作業が2、3週間あって、最終的に元に戻るまでに1カ月くらいかかりましたね。

──そんなにかかるものなんですね。

Syu そうなんですよ。キーボードのYUHKIさんも新曲を聴いて「あーっ、そうだ、こういう感じだ!」と感覚が戻ってきて、前の「ANGEL OF SALVATION」を作ったときの感覚に戻って、ようやくバックトラックのレコーディングに突入できました。

──GALNERYUSは小野さんが加入してから年に1枚、コンスタントにオリジナルアルバムを発表してきましたもんね。

Syu そうですね。だからこう、リズミカルな生活を続けていかないといろんなことを忘れてしまうんだなって再認識しました。

小野 僕も渋谷公会堂のライブが終わったあと、プロデューサーから「しばらくはGALNERYUSの小野正利じゃなくていいですから」って言われて(笑)。その間にソロでライブをやったけど、いよいよ4月からGALNERYUSのツアーも始まるんで、今は少しずつGALNERYUSに戻りつつあるところです。特にここ(喉)が(笑)。

Syu 本当にね、ギアチェンジがガッとできないんですよ。こないだYUHKIさんと2人でGALNERYUSの曲をインストで披露するライブをやったんですけどYUHKIさん、終わったあとに「……難しいなあ? こんなに難しかったっけ?」と言ってましたから(笑)。

小野 YUHKIさんが言ってる顔が目に浮かぶなあ(笑)。

Syu それを経てレコーディングがあり、4月からツアーなんですけど、今は一生懸命GALNERYUSモードを取り戻してる最中といいますか。今回の渋谷公会堂のライブ映像を観てると「よくこんなことやってるな?」って思いますからね。

小野 僕もGALNERYUSのCDを聴くと、改めて「(キーが)高いなあ!」って思いますし(笑)。よく出してますよね、自分のことながら。

Syu まあとにかく、メタラーが聴きたいものが凝縮されたアルバムになってると思うので、僕たちも今から完成が楽しみです。

ツアー情報
"WELCOME TO OUR EVOLVING IRONHEART!" TOUR 2014
  • 2014年4月5日(土)沖縄県 7th Heaven Koza
  • 2014年4月12日(土)北海道 cube garden
  • 2014年4月19日(土)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
  • 2014年4月20日(日)大阪府 BIGCAT
  • 2014年4月27日(日)東京都 Zepp Tokyo
GALNERYUS(がるねりうす)

Syu(G)を中心に結成されたヘヴィメタルバンド。現在のメンバーはSyu、小野“SHO”正利(Vo)、TAKA(B)、YUHKI(Key)、Jun-ichi(Dr)。2003年に1stアルバム「THE FLAG OF PUNISHMENT」でメジャーデビューを果たし、パワフルなヘヴィメタルサウンドと新人離れした演奏力で注目を集める。2009年に小野、TAKAが加入し現編成となり、翌2010年に6thアルバム「RESURRECTION」を発表。同アルバムの収録曲「A FAR-OFF DISTANCE」がテレビアニメ「RAINBOW -二舎六房の七人-」のエンディングテーマに起用され、幅広い層にアピールすることに成功する。2013年にはメジャーデビュー10周年を迎え、5月にセルフカバーアルバム「THE IRONHEARTED FLAG Vol. 1 : REGENERATION SIDE」、9月にリメイクアルバム「THE IRONHEARTED FLAG Vol. 2 : REFORMATION SIDE」をリリース。同年10月には渋谷公会堂でのワンマンライブを成功させた。このライブの模様を収めたライブ映像作品「RELIVING THE IRONHEARTED FLAG」が2014年3月に発売される。