落ち込んだら“素敵なことがあなたを待っている”
──一方の「素敵なことがあなたを待っている」は、もともと藤田さんがお友達に向けて書かれた曲だったとか。
そうなんです。ちょっと前に、たった1人の友達を励ましたくて書いた曲だったんですけど、それを「はじめてのおつかい」の方に提出して聴いていただいたところすぐに気に入ってくださって。で、番組で使っていただけることになったんです。
──「素敵なことがあなたを待っている」は、タイトルになっているフレーズがいいですよね。優しくこんな言葉をかけられたらつらい気持ちがスッと軽くなります。
私自身、落ち込んだときには「あーもう今つらいから、もうすぐ絶対いいことある!」っていつも言い聞かせてるんですよ。がんばれば報われるとかそういうことでもないんですけど、とにかくそうあってほしいみたいな。子供みたいですよね(笑)。この言葉を聞いて、「じゃあがんばろう」とか「ちょっと休憩しよう」とか、自分なりの受け取り方をしてもらえたらうれしいです。
──聴き手のすぐそばで歌ってくれているような藤田さんの歌声が、柔らかなサウンドと相まって優しく響いてきます。
歌はしゃべってる感じにしたかったんですよね。Dメロはちょっと歌い上げてはいますけど、基本的には7割くらいの力の入れ具合で。特に迷うことなく、スムーズにレコーディングは進んだと思います。サウンドに関しては今回、一度テープに録音してからそれをCDにするっていう、ちょっとアナログな手法を使ってるんですよ。スタジオミュージシャンの方々はマニアックなところがあるんで、そういう録り方がすごく楽しかったみたいです(笑)。そんな皆さんの姿を見るのがうれしかったし、私自身ひさしぶりのレコーディングということもあったので本当に楽しい時間でしたね。
──ちなみにこの曲を書くきっかけになったお友達には聴いてもらいました?
聴いてもらいました。ただ、ものすごく傷付いてたはずなのに、聴かせる直前にはもう立ち直ってたんですよ。しかもすでに素敵なことが起こってて。聴かせなくても大丈夫だった、みたいな感じでしたけどね(笑)。
“しまい忘れられた秋の風鈴”を女心に例えた
──もう1つのタイトル曲「秋風鈴」は、ゲームソフト「緋色の欠片 ~おもいいろの記憶~」の主題歌として書下ろされたものです。「緋色の欠片」とのつながりももうだいぶ長いですよね。
はい。私のデビュー曲「恋に落ちて」を主題歌として使っていただいてからのお付き合いなので、もう10年になります。「緋色の欠片」は、その時々で書いた恋愛の曲を提出するとそのまま使っていただけてしまう、ホントにありがたいタイアップなんですよ。なので、今回お話をいただいたときには、「これはまた自分の大好きな世界観を作って思い切り遊んでもきっとOKをくれるぞ、わーい!」みたいな気持ちになって(笑)。すごくうれしかったんです。
──実際、かなり遊び心を感じさせるサウンドになっていますよね。
そうですね。たいしたことが起きていないのに、それをものすごく大げさに表現する恋愛曲が私はすごく大好きで(笑)。この曲も感情の爆発とカオス感みたいなイメージをアレンジャーさんに伝えて編曲していただきました。アウトロのカオスな感じがホントに気に入ってます。
──タイトルにもなっている“秋風鈴”というモチーフも素敵ですね。
冬の終わりくらいに「秋の曲をください」って先方から言われたので、「えー、一番秋が浮かばない季節! これから春なのに」と思って(笑)。で、そこから季節の本とか俳句の本を眺めてキーワードを探している中で“秋風鈴”という言葉を見つけたんです。“しまい忘れられた秋の風鈴はさみし気で”みたいなことが書かれていたので、「これは待ちぼうけくらってる女心だな!」と思って一気に書き上げました。
──最後に「チリーン」というひと言で終わるところがまたすごく切なくって。
最初、ピアノと歌のデモをスタッフさんに聴いてもらったときには「ホラーかと思った」って言われましたけどね(笑)。「これはホラー系の作品じゃないと使ってもらえないでしょ」みたいな。無事、使っていただけることになってよかったです。
これからも健やかな気持ちで
──そしてカップリングにはもう1曲、「あなたがいるから」も収録されています。これはエヌエヌ生命の「拝啓 社員のみなさま~一通の手紙がつなぐ、経営者と社員の絆」キャンペーンの主題歌になっています。このキャンペーンは経営者から社員に手紙を書くという内容で。「あなたがいるから」はその中で大賞を受賞した女性経営者の方のお手紙をもとに書き下ろされたそうですね。
はい。そのお手紙からは、周りの人への感謝をものすごく感じることができたんですよね。私自身、親や友達、そしてファンの方々という数えきれないくらいの人に支えられていることを日々実感しているので、そこへの感謝を重ね合わせて書いていきました。お手紙をもとに作られたアニメーションもあるんですけど、それを観たときにシンプルな雰囲気が合うんじゃないかなと思えたので、私のピアノと歌だけの曲になりました。
──曲作りにおける迷いから抜け出し、さらにたくさんの人たちへと楽曲を届けるべく気持ちを外に向けている藤田さんの“今”が詰め込まれたシングルになりましたね。ここからの活動がさらに楽しみになってきます。
11月にはライブも何本か決まっていますし、とにかく今年後半も力を抜いて楽しもうと思ってます。デビューしてから10年、年齢的にも二十代から三十代になって、いろんな迷いもあるけど、それを経て自分なりに成長するところもあるんだなって今は実感してます。これからもがんばります、健やかな気持ちで(笑)。
- 藤田麻衣子
「素敵なことがあなたを待っている / 秋風鈴」 - 2017年9月27日発売 / Victor Entertainment
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通常盤 [CD]
1296円 / VICL-37320 -
期間限定盤 [CD]
1296円 / VICL-37321
- 通常盤CD収録曲
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- 素敵なことがあなたを待っている
- 秋風鈴
- やるしかない
- あなたがいるから
- 期間限定盤CD収録曲
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- 秋風鈴
- 素敵なことがあなたを待っている
- やるしかない
- あなたがいるから
- 藤田麻衣子「東名阪フリーライブツアー ~素敵なことがあなたを待っている~」
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2017年9月29日(金)東京都 池袋サンシャインシティ噴水広場
START 18:002017年9月30日(土)愛知県 アスナル金山 明日なる!広場
[1部]START 13:00
[2部]START 16:002017年10月1日(日)大阪府 くずはモール 南館ヒカリノモール 1F SANZEN-HIROBA
[1部]START 13:00
[2部]START 16:00
- 藤田麻衣子(フジタマイコ)
- 愛知県名古屋市出身のシンガーソングライター。2006年9月「恋に落ちて」でインディーズデビュー。すべての楽曲の作詞作曲を手がけるほか、アーティストへの楽曲提供も行っている。フリーライブを軸に活動しながらファンを増やし、2012年に東京・渋谷公会堂公演、2013年7月に東京・NHKホール公演を実施。同年10月には東京・日本武道館での弾き語り無料ワンマンライブを成功させた。2014年3月に「涙が止まらないのは」でメジャーデビュー。同年10月にメジャー1stアルバム「one way」をリリースした。2015年12月にメジャー2作目となるアルバム「恋愛小説」を発売している。2016年には47都道府県ツアーを行い、11月にCDデビュー10周年を記念してベスト盤「10th Anniversary Best」を発表した。2017年4月に東京・すみだトリフォニーホールで念願のオーケストラコンサートを初開催。9月にニューシングル「素敵なことがあなたを待っている / 秋風鈴」を発売した。