imaseインタビュー|「ラフにやってみればいい。」夢がなかったあの頃から、偶然たどり着いた現在地 (2/2)

「自分ってどんな人間なんだろう」と確かめる時間が大事

──手紙に「ありのままの自分で一生懸命に取り組んでください」という言葉がありますが、imaseさんが「ありのままでいられる」と感じるのはどんな瞬間でしょう?

自分がやりたいこと、好きなことを見つけたら、自分に自信をもって、ありのままの自分で一生懸命に取り組んでください。前向きな気持ちで、一歩踏み出してみてください。

大丈夫、ここで腐らず諦めなければ、明るい未来が待っています!

<imaseの手紙抜粋(「#あの頃のジブンに届けたいコトバ」presented by FRISK より)>

楽曲制作しているときは常に初期衝動に近い感じなので、ありのままかもしれないですね。

──複数のSNSを使い分けたり、自撮りを修正してアップするのが当たり前の時代ですが、そうなるとどの状態が「ありのまま」なのかわからなくなることもあると思うんです。imaseさんは「ありのままの自分」を保つために大切なことはなんだと思いますか?

一番は家で何も考えずにいる時間を作ったり、地元の友達と過ごす時間を持ったりすることですかね。SNSを気にしてばかりだと、それにとらわれてありのままの自分がわからなくなったり、自分の虚像を作ってしまったりすると思うんです。たまにはインターネットから離れて、「自分ってどんな人間なんだろう」と確かめる時間が大事なんじゃないかなと思います。

──鬱屈したところがないimaseさんらしい考え方だと感じます。

僕はもともとSNSでの姿と普段の生活にそこまで差がないほうなので冷静に考えられるのかもしれません。それに「本当の自分」を誰かに完璧に知ってもらう必要もないと思うんです。特にSNSだと切り取られ方で印象は変わりますし、人によって受け取り方も違いますし。

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──それも“ポジティブなあきらめ”ですよね。

人と人はオフラインでもすべてわかり合えるわけではないから、オンラインはなおさら難しいと思うんです。SNSと現実のギャップで悩んでいるのは学生の方が多いのかな。友達が楽しそうにしていたり同世代が活躍しているのを見たら、「自分はこんなにがんばってるのに……」と思うかもしれない。でもそこに気を取られすぎないことが大事かなって。

──「伝わらない」という前提ありつつ、「だから何もしない」のではなく「それでもやってみる」というのがimaseさんの活動の根本にある気がします。

そうですね。やっぱりSNSでリスナーさんからリアクションがあるとうれしいので。

──この手紙に込めた、高校時代の自分に一番伝えたいメッセージはなんですか?

やっぱり「あきらめてもいいよ」ということですね。サッカー選手という目標が急になくなってしまったけど、違う道がありました。何かに打ち込んでいて、あきらめようか迷っている人は多いと思いますが、ほかにも道はたくさんあります。何かを始めるのに遅いということは決してないと思います。続けてきたことをあきらめることは、必ずしもネガティブじゃないよと伝えたいです。

──imaseさん自身、サッカー選手になる夢はあきらめても、高校でもサッカー部に入るじゃないですか。0か100ではなくて、なんらかの形で関わることはできますもんね。

そうなんです。純粋な気持ちでプレーできて、すごく楽しかったです。結局自分の人生だから、自分がどう感じてどう楽しむかがすごく大事だと思います。

──他人から見たら挫折に見えることでも、実は居心地のいい場所を自分で選んでいるという。

そうですね。そこは自分中心でいいと思います。

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使命感は置いておいて、まずは自分が楽しく生きる

──フェスやテレビへの出演など、大舞台に出ることも多くなっていますが、ストレス発散や気分転換のためのルーチンはありますか?

ゲームをしたり、おいしいものを食べたりすることですかね。仕事でいろいろなところに行かせていただくので、そこでおいしいものを食べればストレス解消にもなります。1つ嫌なことがあっても、おいしいものを食べればプラマイゼロみたいな。楽曲制作のときにFRISKを食べたりもしますよ。作業を始める前や終わったあとに。スッキリするので、運転中に食べることもあります。

──そういったリフレッシュメントを通じて、自分らしく楽しみながらさまざまなことにチャレンジする人をサポートしたいというのがFRISKであり、今回のプロジェクトなんです。

特に学生さんは「自分のやりたいことを見つけなくちゃいけない」みたいな強迫観念や葛藤がある方も多いと思います。活躍している人がSNSなどで目につきやすい時代ですし。でもそれを重く捉えすぎないでほしいです。他人じゃなく自分と向き合って、やりたいことをラフにやってみればいいし、焦る必要はないと思います。今回FRISKさんの素敵な企画を通して僕の経験や思いを伝えられて、すごくよかったです。

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──「やりたいことを見つける」という言葉に、「それで有名に、お金持ちにならなければ」というニュアンスが含まれるようになってると思うんですよね。しかしimaseさんのお話を聞いていると「趣味で楽しくやればいいじゃん」という軽やかさを感じます。

「絶対に成功しないといけない」と思うから踏み出せないこともあるので、自分に過度なプレッシャーを与えたり思い詰めすぎないほうがいい気がしますね。

──今回、手紙の執筆に加えて、ご自身の楽曲から「当時の自分や今の若者に贈りたい1曲」として「ユートピア」を選んでいただきました。選曲理由はなんでしょう?

「貴方でいる理由なんて最後でいい」という歌詞があるんです。生きていると、いろいろ理由付けして生きている理由を探さなきゃ、何かをがんばらなきゃという使命感を持つこともあると思います。でも、そういうのは一旦置いておいて、まずは自分が楽しく生きていれば理由は最後でもいい、という意味を込めて制作したので、今回の企画にぴったりだなと思いました。

──imaseさんの中で「まずは自分が楽しく」など“自分”を軸にした価値観はブレないものなんですね。

そこは大事にしたいですね。なかなかそればかりも言ってられないですが、どこかで思い続ける必要があるなと思っています。

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10年後は静岡あたりに住んで……

──今年は新曲も発表され、3月からの初の全国ツアーはソールドアウト。6月からはアジアツアーも予定されています。新しい試みもどんどん増えていくと思うんですが、自分の軸となるのはどの部分でしょう?

やっぱり楽曲制作だと思います。ライブ映えする曲を持つという意味でも、作曲が大事ですし。結局アーティストとしては、いい曲を作っていろんな人に聴いてもらうことが永遠の課題というか。いいものをずっと発信し続けないといけないし、そこは変わらずに大切にしていきたいですね。

──海外にも活動を広げていきたいですか?

そうですね。なかなか意図的にできるものではないですが、常に意識し続けたいなと思っています。

──海外で受け入れられるために変えなくちゃいけないこともあるんでしょうか。

海外向けに何かを変えるのもいいと思います。ただ僕の場合は、歌詞を全部英語にするみたいなことじゃないと思うんですよね。それだと海外にいる“本物”には勝てない気がして。僕の楽曲は日本語だから海外の人にも聴いてもらえているところもあると思うので、日本語の面白さとかうまみをより追求できたらと考えています。

──最後になりますが、10年後、imaseさんが33歳になったときにはご自身はどうなっていると思いますか?

うーん、なんでしょうね。音楽でいうと、日本でももっといろんなところでライブしたいし、海外にも行きたい。たくさんの人に聴いてもらえる曲も作りたいです。音楽とは別軸のこともやりたいですね。最近、田舎で農業をしたい欲があるんです。だから静岡あたりに住んで農業をやりながら、ライブとかレコーディングのときは車で1時間半かけて東京に来るみたいな、そんな生活ができていたらいいなと思います。

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FRISK「#あの頃のジブンに届けたいコトバ」

新たな一歩やチャレンジを前向きに踏み出すことを応援するFRISK「#あの頃のジブンに届けたいコトバ」では、11組のアーティストやタレント、クリエイターが「あの頃」の自分に宛てた手紙を執筆。手紙の内容について、CINRA、J-WAVE、me and you、ナタリー、NiEW、QJWebでインタビューやトークをお届け。直筆の手紙全文は4月11日(木)から下北沢BONUS TRACKで開催されるFRISK「#あの頃のジブンに届けたいコトバ展」で展示される。

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公演情報

imase Tour 2024 "Shiki"

  • 2024年3月8日(金)愛知県 DIAMOND HALL
  • 2024年3月13日(水)宮城県 Rensa
  • 2024年3月19日(火)北海道 cube garden
  • 2024年3月23日(土)広島県 広島CLUB QUATTRO
  • 2024年3月30日(土)福岡県 DRUM LOGOS
  • 2024年3月31日(日)大阪府 なんばHatch
  • 2024年4月6日(土)東京都 Zepp DiverCity(TOKYO)
  • 2024年4月21日(日)岐阜県 岐阜club-G

imase 1st Asia Tour "Shiki"

  • 2024年6月8日(土)タイ バンコク KBank Siam Pic-Ganesha
  • 2024年6月12日(水)香港 Hall 10, AsiaWorld-Expo
  • 2024年6月20日(木)マレーシア クアラルンプール Zepp Kuala Lumpur
  • 2024年7月16日(火)韓国 ソウル YES24 LIVE HALL
  • 2024年7月17日(水)台湾 台北 Zepp New Taipei

imase Hall Tour 2024 "Shiki-Sai"

  • 2024年11月13日(水)東京都 LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
  • 2024年11月14日(木)東京都 LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
  • 2024年11月18日(月)大阪府 NHK大阪ホール
  • 2024年11月19日(火)大阪府 NHK大阪ホール
  • 2024年11月25日(月)愛知県 岡谷鋼機名古屋公会堂 大ホール

プロフィール

imase(イマセ)

岐阜出身、23歳の新世代男性アーティスト。音楽活動開始わずか1年でTikTokで楽曲をバイラルさせ2021年12月にメジャーデビュー。「NIGHT DANCER」は韓国の音楽配信サイトMelonでJ-POP初のTOP20入りを果たし、SpotifyバイラルチャートTOP50に31カ国でランクインするなど世界各国でヒット中。「第65回 輝く!日本レコード大賞」にて優秀作品賞を受賞し、韓国で開催されたアワード「MMA 2023」「CCMA 2023」に日本人アーティストとして初出演、初受賞を果たすなど国内外で活躍の場を広げ続けている。2024年3月からは初の全国ツアー「imase Tour 2024 "Shiki"」の開催が決定し、チケットは即完売。5月15日に1stアルバム「凡才」をリリースし、6月からは初のアジアツアー「imase 1st Asia Tour "Shiki"」を開催する。