なとりとは何者なのか?著名人11名のコメントと本人インタビューで徹底特集

なとりが1stアルバム「劇場」を12月20日にリリースした。

なとりは2021年5月に音楽活動を開始。2022年5月に投稿された楽曲「Overdose」はTikTok上の関連動画の数が60万本を超えており、その総再生回数は20億回を突破している。素顔を明かしておらず、20歳という年齢は公表しているが、その正体は謎に包まれたまま。満を持して発表された1stアルバムには、「Overdose」「フライデー・ナイト」「猿芝居」など、現在まで配信リリースされた6曲に新曲を加えた全13曲が収められている。

1stアルバム発売を記念して、音楽ナタリーではなとりと縁のあるAdo、imase、おつまみのなとり、景井ひな、こぼ・かなえる、キタニタツヤ、しらスタ、ツミキ、とた、めいちゃん、ローレン・イロアスの計11名のコメントを掲載。さらに、なとりの思考を暴くべく、本人へのインタビューも行った。なとりがメディアのインタビューを受けるのはこれが初めてとのことだが、そうとは思えないほど、自身の胸の内にある思いをするすると言語化してくれた。それは日頃から、なとりの中に音楽活動における核の部分がしっかりとあるからだろう。「Overdose」でポップミュージックシーンの前線へと乗り出した、なとりとは何者なのか? 孤独と苛立ちを音楽へと昇華する、彼の思考に触れてほしい。

取材・文 / 天野史彬

著名人11名のなとりへのコメント

Ado

Ado

①1stアルバム「劇場」を聴いた感想

楽曲を聴く私たちリスナーを「観客」とするならば、なとりさん自身となとりさんの楽曲は「役者」でした。それもナレーターや脇役としてというより、まさしく主人公でしょう……
観客の私たちに優しく語りかける時もあれば、骨ならぬ心の髄を掴んでくる時もありますし、なとりさん自身が歩んできた人生観がはっきりと見えてくるものもありました。「劇場」の主人公として、楽曲という「舞台」を通して様々な色をしっかりと見せてくださる、そんなアルバムだと自分は思います。

②なとりへのメッセージ

はじめは私が一方的に「Overdose」の歌ってみたを投稿させていただいていただけだったのですが、その後共通の知人を介してお話させていただく機会がありまして。その際に「うぉぉ、本物、え~……! あっ、はじめまして……」と挨拶をしてくださったのですが、あまりに楽曲や歌声から来る印象とは違う、のんびりと……ゆるやかな印象の喋りをされていましたので、本当に申し訳ないのですがその時心の中で(本当に同じひと…?)と思ってしまいました。それほどギャップがあって面白い方だと感じました。
また、なとりさんご自身のルーツがホラーゲームだと仰っていたため、ホラーゲームのお話などをしてみたいです。

プロフィール

Ado(アド)

2002年生まれのシンガー。2020年10月にリリースしたメジャーデビュー曲「うっせぇわ」が大ヒットを記録し、一躍人気アーティストとなる。2022年8月公開の映画「ONE PIECE FILM RED」ではキャラクター・ウタの歌唱パートを担当した。2024年2月よりアジアツアーを行い、11カ国14都市を回る。4月には女性ソロアーティストとして初の東京・国立競技場でのワンマンライブを控えている。

imase

Imase

①1stアルバム「劇場」を聴いた感想

まずは冒頭の「劇場」から不可抗力なものへのもどかしさや、そんな逃れられない悲劇に対してなとり節の効いた皮肉さをjazzyでPOPなビートで仕上げていて、ここから始まるなとり劇場の幕開けに相応しい一曲になっていると思いました!

そこから、配信シングルでもリリースされていた「食卓」「猿芝居」「Overdose」「フライデー・ナイト」をアルバムを通して聴いて、自然と体を揺らしてくれるリズムとメロディー、そこにハマる歌詞、そして楽曲の幅広さに改めて驚きました!

新曲「Sleepwalk」はLo-Fiなサウンドで何度も繰り返したくなるような中毒性のあるメロディー。「夜の歯車」はなとり初のバラードで、ギターとドラムというシンプルな構成だからこそなとりの歌声と美しいメロディーをたっぷりと味わえる曲だと感じました。

全てがリード曲のようなパワーを持っていて、脇役などいない。スポットライトが当たり続けている素晴らしい劇場でした。この名演を聴いた観客は歓声をあげていること間違いなしです!

②なとりへのメッセージ

活動時期も一緒で昔からずっと切磋琢磨してるライバルでもあり良き仲間だと思っています。

今度一緒に曲も作ろうね!
名曲産もう!

p.s.お寿司奢ってください

プロフィール

imase(イマセ)

2000年生まれのアーティスト。2021年12月に配信シングル「Have a nice day」でメジャーデビュー。2022年8月に配信リリースした「NIGHT DANCER」は、韓国配信サイトMelonでJ-POP初のトップ20入りを果たし、Spotiifyバイラルチャートのトップ50に31カ国でランクインした。2024年3月から4月にかけて初の全国ツアーを開催する。

おつまみのなとり

おつまみのなとり

1st Album「劇場」リリースおめでとうございます。
なとりさんとおつまみのなとり、同じ名前というご縁で応援しています。
なとりさんの心地よい音楽が贅沢に味わえる「劇場」。どの楽曲も聴けば聴くほど魅力的で、やみつきになります。こんなおつまみが作れたら…!と思わずにはいられません。
なとりさんには普段から「チーズ鱈」をはじめなとりのおつまみをご愛用いただいていると伺い、大変嬉しく思うとともに、もしかしたら、なとりのおつまみを食べながら制作された楽曲もあるのでは!?と勝手に想像を巡らせております。
「劇場」の輝かしい幕開けをお祝いするとともに、素敵な楽曲が一人でも多くのリスナーに届くことを願っています。

プロフィール

おつまみのなとり

おつまみを中心に食品の製造、販売を行っている食品メーカー。「一度は食べていただきたい」シリーズや「なめらかチータラ」シリーズなどヒット商品を生み出している。2023年12月になとりの1stアルバム「劇場」発売を記念して、サイン入りポスターとおつまみが当たるコラボキャンペーンを実施した。

景井ひな

景井ひな

①1stアルバム「劇場」を聴いた感想

全楽曲、1度聴いたら頭から離れなく癖になりました。
その中でも特に私のお気に入りは「Cult.」。
そっと寄り添って背中を押してくれる感じがして、聴き終わったら不思議と、よし!頑張るかー!と元気を貰える曲だと思いました。

②なとりへのメッセージ

なとりさん、初めまして。景井ひなです! この度は1stアルバムのリリースおめでとうございます。なとりさんの楽曲でTikTokを投稿させていただいてから、いろんな楽曲を聴いていまして、今回アルバムをリリースされるとのことでとても楽しみにしていました。どれも素敵な曲ばかりで、なとりさんの世界観にこれからも浸りたいと思います。たくさん聴かせていただきます!

プロフィール

景井ひな(カゲイヒナ)

TikTokクリエイター、タレント。2019年よりTikTokの投稿を開始し、フォロワー数は1000万人を超える。現在はバラエティ番組をはじめ、ドラマや映画など活躍の幅を広げている。2022年9月に投稿した、なとり「Overdose」を使用した動画には250万以上の“いいね”が付いている。

こぼ・かなえる

こぼかなえる

なとりさん、ファーストアルバムリリースCongratz!!
ベースとギターなとりさんらしい!
こぼのしごととリラックス時間にはPerfect!
「Overdose」はもちろん毎日リピート
「夜の歯車」も、ねるときにちょうどいい
なとりさんミュージックの中には一番おちつく
「劇場」もいつもどおりVibeちがうのでスキ
トランペットとセキ(?)みたいな音wkwkはとくにだいすきだよ
Very Freshだよ
このアルバムだいすきなひとたちがおおいとおもう
one Album copy for Kobo please!! :p check~

プロフィール

こぼ・かなえる

ホロライブプロダクション傘下のインドネシア語圏、英語圏向け部署・HololiveID(ホロライブインドネシア)所属のVtuber。2022年3月に活動を開始し、2023年4月にはYouTubeの登録者数が200万人を達成した。

キタニタツヤ

キタニタツヤ

①1stアルバム「劇場」を聴いた感想

彼の振る舞い、メロディと言葉、アルバム「劇場」の手触り全てが、現代の音楽シーンを象徴するかたちになりつつあるなぁと、なとりの活躍を眺めていて思う。インターネットの片隅の、「J-POP」の日陰に転がっていた音の土くれたちを、彼がティーンカルチャーの陽だまりのど真ん中に引っ張り出してくれた。土くれのひとつとして感謝を述べたい。

②なとりへのメッセージ

多分これからも酔っ払ってダル絡みすると思うけど、「そういう年上」のさばき方を練習するためのサンドバッグだと思っておいてくれると助かる。

プロフィール

キタニタツヤ

2014年頃にネット上に楽曲を公開し始め、ボカロP・こんにちは谷田さんとして活動を開始。高い楽曲センスが買われ、作家として楽曲提供をしながら2017年よりソロ活動も行う。2023年7月に発表されたテレビアニメ「呪術廻戦」第2期「懐玉・玉折」のオープニングテーマ「青のすみか」がヒット。大晦日に「NHK紅白歌合戦」に初出場する。

しらスタ

しらスタ

①1stアルバム「劇場」を聴いた感想

ハイトーン群雄割拠。POPSチャートの男性ボーカリストのほとんどが伸びやかな高音域での歌唱を得意とする中で、一際輝く低音域で日本を魅了するなとりさん。その低音域とは対照的なウィスパーなファルセットのギャップで心を鷲掴みにされます。
そして、もう一つ注目したいのはリズムセンス。「Overdose」のようなアップテンポから「フライデー・ナイト」のようなスローナンバーまで、幅広い楽曲を生み出し、歌いこなす。
恐ろしいくらいの才能が詰まっているアルバムです!

②なとりへのメッセージ

実はなとりさんのボイストレーニングを担当させていただいたのですが、音やリズムへの耳の感度がずば抜けていて、毎回のレッスンで度肝を抜かれ続けていました笑。
その素晴らしい歌声と耳を大切に今後とも頑張ってください!

プロフィール

しらスタ

歌手の歌い方の分析や、歌がうまくなる方法についてYouTubeを中心に発信している“カリスマボイストレーナー”。チャンネル登録者数は190万人超。2022年9月に、なとり「Overdose」の歌唱分析動画を投稿した。

ツミキ

ツミキ

赤いドレープカーテンの掛かった、古めかしい小さな劇場にて、脚本家お手製の人形が踊る。それは洒落な世界観で客を魅了する、至って清潔でシンプルな喜劇だった。しかしそこには何処か僕達が操られているような、騙されているような違和感が残る。
そして最後のカーテンコールで、ようやく僕達はこの劇の全貌を知るのだった。
僕が感じた違和感は、フレームに見切れた、舞台袖の悍ましい血みどろの惨劇。それらを映さないようにぎこちなくトリミングされた楽曲達は、どんなポップソングよりも立体的でドラマを感じた。煌びやか且つどんよりとした、二律背反の感覚がアルバム全体を包括する。ある種、答を知りたくないような、狂気のアルバム。綺麗で清潔だけがポップスではないと突きつけられたような感覚があった。

プロフィール

ツミキ

ボカロP、シンガーソングライター。2017年12月にニコニコ動画に楽曲「トウキョウダイバアフェイクショウ」を投稿し、ボカロPとしての活動を開始。2021年2月に1stフルアルバム「SAKKAC CRAFT」をリリースした。同年8月にみきまりあ(Vo)とユニットNOMELON NOLEMONを結成。NOMELON NOLEMONは10月に東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で過去最大キャパシティのワンマンライブ「RULE」を開催した。

とた

とた

1st full Album「劇場」、リリースおめでとうございます!
なとりさんの楽曲の輪郭には、冷めているようで、どこか逃げられない焦りと寂しさも感じる歌声があると思います。そして言葉選びに対する鋭い感覚、癖になるメロディもそうですが、私はいつも曲中の展開に驚かされています。その運びは型にはまることが無く予想を超えてくるので、新曲が出る度にどきどきしています。

このアルバムは「劇場」というテーマとなる曲から始まり、同じ彩度で13曲歌い綴られているように感じました。だからこそ作品として纏まりつつ、曲ごと変わる色に楽しまされ、私はなとりさんの劇場の手の内に収められているのだ、、と魅せられ聴き終わる頃には溜息をついてしまいました。
曇りの日のひりつくような冷たい風すら心地よく思える、そんなアルバムだと思います。
普段から私のリリースしてない曲までチェックしてくれて、感想もくれるのめちゃくちゃ励みになってます!
これからも一ファンとして更なるご活躍応援してます!

プロフィール

とた

2000年代生まれの女性シンガーソングライター。2021年2月にインターネット上で自身のオリジナル楽曲やカバー動画の投稿を始める。同年6月に投稿した「紡ぐ Short Ver.」がTikTokやInstagramのリールで多くのユーザーから使用されて注目を浴びた。2023年4月には10代の女性ソロシンガーソングライターとして初めてYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」に出演。2023年12月に新曲「右手のネイル」を配信リリースした。

めいちゃん

めいちゃん

①1stアルバム「劇場」を聴いた感想

突如現れた超新星。
僕の中で高音だけが正義だった一つの時代にとどめを刺した男だと思っています。
自分のスイートスポットを濃縮したジュースみたいなアルバムでした。
劇場の中、何かを睨みつけながら冷静に歌っている彼が見えます。

②なとりへのメッセージ

度肝を抜かれました。アルバム発売本当におめでとうございます。(先輩風吹かすためにまたごはんいこうね)

プロフィール

めいちゃん

2011年にニコニコ動画に歌ってみたを初投稿。天真爛漫なキャラクターと高い歌唱力で人気を博し、2022年8月に東京・日本武道館でワンマンライブ「幕明け」を行った。2023年11月よりワンマンツアー「僕等の色彩」を開催中。また、2019年4月からYouTuberユニット・肉チョモランマとしても活動している。肉チョモランマは2024年4月7日に1stアルバム「怪獣」をリリースする。

ローレン・イロアス

ローレン・イロアス

①1stアルバム「劇場」を聴いた感想

1stアルバム「劇場」リリースおめでとうございます!
自分は普段からなとりさんの楽曲を聴かせていただいたり、Coverもさせていただいた事もあるので1stアルバムがリリースされると聞いて大喜びでした!
今回のアルバムはどれもなとりさんらしく中毒性が高くて思わずループしてしまう楽曲ばかりなのですが、自分は個人的に「エウレカ」が一番好きです。
一度聴けば誰でも気に入るようなテンポ感とサビの裏声が滅茶苦茶格好良くてまさにキラーチューンだと思います!

②なとりへのメッセージ

この度はアルバムリリース本当におめでとうございます!!
これからも1ファンとして素敵な楽曲を楽しみにしています!

プロフィール

ローレン・イロアス

にじさんじ所属のVTuber。2021年にデビューした「エデン組」のメンバー。2022年11月に投稿した、なとり「Overdose」の“歌ってみた”動画は1100万回再生を超えている。

2023年12月20日更新