FRIENDSHIP. DAOで起こるクリエイターの交流
──具体的には、ユーザーはどのようにFRIENDSHIP. DAOを活用するイメージなんでしょうか?
武田 まずはFRIENDSHIP. DAOの入口となるWebページが新しくできます。DAOの中には会員証としてのNFTを事前に受け取っていないと入れないんですけど、ログインするとトークングラフと言って、作品やクリエイターのクレジットが可視化されたグラフを見ることができるんです。そこでメッセージのやり取りもできるようになります。
──例えば「LITEのこのMVがカッコいいな」と思ったら、そのトークングラフから監督を探せるうえに、その人に直接連絡を取れるというイメージでしょうか?
武田 そうです。
──先ほどおっしゃったポイントはどういうときに発生して、どう使用するんでしょう。
武田 ポイントは循環するものだと思っていて。DAOは「みんなで盛り上げていこう」という概念なので、盛り上げたり何か行動した人に対してポイントが付与されるイメージです。例えば、FRIENDSHIP.に所属しているアーティストが作品を出したらポイントが付与されて、それをMV監督に受け渡すとか、そういうことが可能になる予定です。
──基本的にポイントはクリエイティブに使うためのものである?
武田 円とかドルとは違う概念のポイントという感じになると思います。ゆくゆく法改正されたら仮想通貨として使えるようにする予定です。
──ログインにあたりNFTの会員証が発行されるとおっしゃいましたが、入れる人の基準はあるのでしょうか?
武田 広く募集はするし、誰でも自由に入れる想定ではあるんですけど、最初は審査制を敷いていくと思います。だんだん広がってきたら、自由に入れる仕組みにするかもしれないですけど、そこはまだ様子を見てという感じですね。
FRIENDSHIP.とFRIENDSHIP. DAOの相互作用
──これまでのFRIENDSHIP.のキュレーターの皆さんは、FRIENDSHIP. DAOとどのように連携していくんでしょう。
武田 FRIENDSHIP.は変わらず活動を続けていくので、並行してFRIENDSHIP. DAOができるイメージです。もちろんミズキちゃんをはじめ、アーティストやライターとして活動してる人たちもDAO側に入ってもらって皆とつながる世界になると思うんですけど、FRIENDSHIP.としてデモテープからバンドを発掘するのは続けつつ、行き来するイメージです。
マスダ たまに「FRIENDSHIP.とはどういうものなんだろう?」ということを考えるんですけど、やれることをどんどん増やしていくのがFRIENDSHIP.だと思うんです。出てきたアイデアを放置せずに「これ面白そうだね」ってどんどん取り入れていけるような風通しのいいプロジェクトだと思うから、そこにDAOが加わることでより可能性が広がったらいいですよね。今、本当に幅広い音源が届くようになっていて、キュレーターの中で「これはどう扱うべきか?」という話になることもあって。それがDAOだったらよりよく扱えることもあると思うんです。私たちの会議では楽曲リリースを目指してるので、音源以上にクリエイティブな才能を持ってる人はDAOでフックアップできたらいいなと思います。そういう意味では、カラーの異なるコミュニティが2つあるのは健全ですよね。
武田 音楽単体のリリースには向いていないアーティストでも、映像とコラボレーションしたときに相互作用が生まれるかもしれないよね。もくしはインフルエンサーの人がすごく気に入って拾ってくれるきっかけになるかもしれないから、いろんな方向のつながりに期待できる。
マスダ あと、ギターがすごくうまい方と、いい歌い手さんが一緒になったらよさそうだな、とかのアイデアもあったりするので、そういう意味では、いろいろな個性を持っている人たちの秘めた才能が開花する場になるんじゃないかなと思いますね。
──最後に、この記事を読んでいるFRIENDSHIP.に興味がある方に、それぞれメッセージをいただけますか。
マスダ 私はキュレーターとして毎月作品を聴かせていただいてるんですけど、コロナ禍の影響なのか、トラック作りから歌も歌ってミックスマスタリングまでできるような人が増えていて。自分自身も毎回刺激になってるんです。ただ、すべてが完璧にできる人はなかなかいないと思うので、そういう意味では新しいアイデアや新しい風を吹かせてくれる人とタッグを組むハードルが軽やかになるシステムに期待をしていてほしいし、私も中の人としてどんどん意見を言っていけたらと思っています。まずはFRIENDSHIP.がこの3年半でやってきたことを、この記事でぜひ知ってもらえたらうれしいですね。
武田 FRIENDSHIP.のすごくいいところは、インディペンデントなアーティストをピックアップするところで。今ミズキちゃんが言ったように、ツールが増えてきたことで、1人でいろいろできるようになりましたよね。でもSpotifyの統計を見ると、アーティストの数は増えているけど、経済的にしっかり活動できる人って本当にひと握り。そんな中、例えばFRIENDSHIP.とか人のキュレーションの力を借りると、自分の力では届かないところに作品が届く可能性が高まるし、デジタルの世界ではすごく重要。FRIENDSHIP.はマンパワーでそれを広めていくのが強みで、FRIENDSHIP. DAOはブロックチェーンという可視化された世界で拡張させていく取り組みにしたいと思っています。1人での活動に難しさを感じている人には、こういったサービスを駆使してもらいたいですね。
イベント情報
「MUSIC NFT DAY 2022」オフィシャルイベント
TALK SESSION & LIVE
2022年11月5日(土)東京都 日本橋アナーキー文化センター
OPEN 13:00 / CLOSE 18:00
<出演者>
LIVE:Shimon Hoshino / Shum
TALK SESSION 1:音楽NFTの日の概要 音楽NFTとは?
鈴木貴歩(ParadeAll、MetaTokyo)
TALK SESSION 2:NFTを活用した次世代アーティスト発掘&育成プロジェクト「MAP」とは?
小向国靖(J-WAVE) / 赤澤直樹(Fracton Ventures)
TALK SESSION 3:音楽NFTによる新しいアーティストの表現
武田信幸(LITE、Fake Creators) / キツネDJ
MEET UP
2022年11月5日(土)東京都 Time Out Cafe & Diner
OPEN 19:00 / START 23:00
SSR (SHIBUYA SOUND RIVERSE) Presents FRIENDSHIP. DAO PARTY
2022年11月5日(土)東京都 LIQUIDROOM
OPEN / START 23:30
<出演者>
LIVE:Fake Creators(LITE、DÉ DÉ MOUSE) / The fin. / saccharin / bed
DJ:DÉ DÉ MOUSE / Wez Atlas / MONJOE
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プロフィール
LITE(ライト)
武田信幸(G)、楠本構造(G, Syn)、井澤惇(B)、山本晃紀(Dr)によって、2003年に結成されたインストゥルメンタルバンド。独自のプログレッシブで鋭角的なリフやリズムからなる、エモーショナルでスリリングな楽曲で注目を浴びアメリカのインディレーベル・Topshelf Recordsと契約。アメリカ、ヨーロッパ、アジアなどでもツアーを成功させるなど国内外で話題を集めている。2019年6月には通算6枚目のオリジナルアルバム「Multiple」を発表。2022年7月にはDÉ DÉ MOUSEとのプロジェクト・Fake Creatorsとして、1stシングル「When You Fake Sleep」を配信リリースした。
miida(ミーダ)
ギタリスト / 作曲家のマスダミズキによるプロジェクト。ミニマル、メロウ、ヒップホップなど型にはまらない音楽の可能性を追求している。2020年8月に初のミニアルバム「utopia」をリリースし、2022年8月には1stフルアルバム「miida」を発表した。プライベートスタジオ・Studio KiKiを拠点とした作品制作を行なっているほか、avengers in sci-fiの木幡太郎と稲見喜彦によるThe Departmentとのコラボユニット・miida and The Departmentとしても活動している。また自身のYouTubeチャンネル「from Studio KiKi」では、スタジオセッション動画をコンスタントに公開するなど映像ディレクターとしての顔も持つ。
マスダミズキ (@negotomizuki) | Twitter
※令和2年度第3次補正 事業再構築補助金により作成