音楽ナタリー PowerPush - EGO-WRAPPIN'

中納良恵 音楽の神様に見てもらえている

むっちゃ生意気だった

──20年やり続けることができた大きなきっかけは?って聞こうと思ってたんですけど、もう出ちゃいましたね。

ええ、なんでしたか?

──「『色彩』が売れたから」って。

ああ、あははは(笑)。それで言うと「a love song」とかもかな。「SWING FOR JOY」を出したときに、DETERMINATIONSとかにお世話になって。そういう意味では、なんか誰かが支えてくれていたような気がしますね。

──GOSSIP OF JAXXもあったりして、エゴはいつも2人じゃないですよね。

そう。なんか誰かがいてね。インディーズのときもハコの人がすごいごひいきにしてくれはったんです。めっちゃいいイベントに誘ってくれたりとかして。恵まれていましたね。

──それもお二人の音楽ありきのことなんだと思います。

中納良恵(Vo)

そうですかねえ。生意気でしたけどね、私とか。

──そうですか。

うん。むっちゃ生意気だったと思う。

──「歌えんわ」みたいな?

いや、ワガママじゃなくて。イキッてました。根拠のない自信に満ちあふれてたっていうか。

──早いうちから結果が出ているので、「根拠がない」ってタイミング、なくないですか?

うーん。インディーズの頃から絶対いけると思ってたな。なんでか知らんけど。若さなのかもしれないけど。

──インディーズの頃ってどんなバンドを目指してました?

どういう感じかな。あんまり5年後、10年後みたいなことは考えてなかったです。ただ、「世の中に迎合しない!」とは思ってたかも。

──さっきのBOØWYの話みたく「トップ獲って」みたいな感じでもなくて。

全然ないです。先のことなんて考えてなかったです。そのときそのときのことだけ。ライブやって、レコーディングしてって。「カッコいいのがいいな」みたいな……漠然としてるけどそんなことだけ考えてました。

──なるほど。

もちろん、続けるためにやっているわけでもないんですよ。改めて思うけど、ほんまにいい音楽を聴いたり、自分が作ってるもんの形が見えてくる瞬間って、至福なんですよ。解放される感じ。あと、いいライブをやっている瞬間も。そういうのを感じられるのって自分らにとって才能だと思います。だから音楽活動もイヤイヤやっているわけじゃないし。もう、常に音楽に救われているというか……まあ、音楽に対して嘘なくやれてきたと思います。

──20年間そういう感じ。

うん、20年間。

よっちゃんの声を聞きながら子供を産んだ

──たしかにそういうのを感じられるのも、資質の1つかもしれません。

音楽の神様に見てもらえている感じはあるかな。音楽ってモノじゃないから。そらCDにするってなったらモノになるけど、音を奏でている瞬間とか音を出す瞬間とかは見えないし、それってエネルギーだけみたいな。その瞬間がめちゃくちゃ気持ちいい。そういうエネルギーって無垢というか、汚れてないものだと思うんです。だから自分の声で自分が癒やされていたこともあったりして……自分はめっちゃ汚れているから。

──そうなんですか。

そうなんですよ(笑)。で、そういうのって、すごいレベルの話やなあって思うんですよね。私は女子やからか、エネルギーとかスピリチュアルなこととかも意識したりするんです。「チャクラが」とかそういうことではないですけど(笑)。

──そうやって中納さんがエネルギーを感じながら作った音楽が、多くの人に共感されて。

中納良恵(Vo)

そうそう。例えばね、ライブとかでお客さんたちが見えるじゃないですか。あの人らに私らの音楽が響いて、引っかかって、今ここにおんねんなって思ったらめっちゃ感動する。その状況だけでもう美しいというか。だから音楽に関しては誠実でありたいし、まっすぐでありたいですよね。嘘をつきたくない。「よっちゃんの声に救われた」とか「よっちゃんの声を聞きながら子供を産んだ」とかって話を聞いたりするんですけど、すごいなって。

──すごい話ですね。

ねえ。その子が最初に聴いたのが私の歌なわけですから。あと須永(辰緒)さんが言ってはったんですけど、須永さんがDJやってて、お客さんに「今僕、彼女にプロポーズしたいんだけど、なんか勇気が出るBGMをかけてください」って頼まれたらしいんです。それで須永さんは「a love song」をかけてくれたらしいんですけど、今その子らには子供がおるとか。

──へえ。

そういうのもエネルギーの話だと思うんですよ。「その曲がなんでいいか」って話をすると、そりゃあうんちくはなんぼでも垂れられますけど、結局言葉じゃないっていうか。それをうまいこと説明するのも私の仕事なんですけど。

ベストアルバム「ROUTE 20 HIT THE ROAD」2015年4月20日発売 / TOY'S FACTORY / NOFRAMES
「ROUTE 20 HIT THE ROAD」
初回限定盤 [CD3枚組+グッズ] 10800円
通常盤 [CD3枚組] 3996円 / TFCC-86547
太陽盤
  1. love scene
  2. くちばしにチェリー
  3. GO ACTION
  4. a love song
  5. 天国と白いピエロ
  6. 満ち汐のロマンス
  7. Dear mama
  8. human beat(新曲)
  9. 10万年後の君へ
  10. サイコアナルシス
  11. BRAND NEW DAY
  12. サニーサイドメロディー
月盤
  1. 水中の光
  2. かつて..。
  3. 色彩のブルース
  4. Neon Sign Stomp
  5. NERVOUS BREAKDOWN
  6. アマイ カゲ
  7. 下弦の月
  8. admire(新曲)
  9. Fall
  10. 雨のdubism
  11. BYRD
  12. inner bell
星盤(曲名 / 原曲アーティスト)
  1. 異邦人 / 久保田早紀
  2. Move on up / カーティス・メイフィールド
  3. Inbetweenies / Ian Dury & The Blockheads
  4. 曇り空 / 荒井由実
  5. Fever / リトル・ウィリー・ジョン
  6. 謎の女B / 平岡精二
  7. What's Wrong With Groovin' / レッタ・ムブル
  8. Ziggy Stardust / デヴィッド・ボウイ
  9. By This River / ブライアン・イーノ
  10. さよなら人類 / たま
ライブ情報
EGO-WRAPPIN' AND THE GOSSIP OF JAXX
「Dance, Dance, Dance」(※東京公演は終了)
  • 2016年8月7日(日)大阪府 大阪城音楽堂
EGO-WRAPPIN' memorial live
  • 2016年11月27日(日)東京都 日本武道館
EGO-WRAPPIN'(エゴラッピン)

1996年、中納良恵(Vo)と森雅樹(G)によって大阪で結成。1999年の2ndミニアルバム「SWING FOR JOY」や2000年の3rdミニアルバム「色彩のブルース」、2001年の2ndアルバム「満ち汐のロマンス」などで多様なジャンルを消化した独自の音楽性を示し、人気を集める。2009年には真船勝博(B)、川崎太一朗 (Tp, Flugelhorn)、武嶋聡(T.Sax, Flute, Clarinet)、ハタヤテツヤ(Piano, Key)、末房央(Dr, Perc)と共にEGO-WRAPPIN' AND THE GOSSIP OF JAXXを結成。同名義で6thアルバム「EGO-WRAPPIN' AND THE GOSSIP OF JAXX」をリリースした。ライブパフォーマンスにも定評があり、2001年に東京・東京キネマ倶楽部でスタートさせた「Midnight Déjàvu」、2012年に東京・日比谷野外大音楽堂で初開催した「Dance, Dance, Dance」はいずれも恒例イベントとしてファンに定着。現在ではどちらも東京、大阪の2都市で行われている。結成20周年イヤーである2016年、4月にベスト&カバーアルバム「ROUTE 20 HIT THE ROAD」を発表。5月から7月にかけて計16公演を回る全国ツアー「EGO-WRAPPIN' AND THE GOSSIP OF JAXX live tour」を行い、11月には初の東京・日本武道館公演「EGO-WRAPPIN' memorial live」を実施する。


2016年8月1日更新