ベストは入門編
──ベスト盤についても聞かせてください。今回は「太陽盤」「月盤」「星盤」という3枚組です。「星盤」はカバー集で。
「太陽、月、星」ってネーミングは森くん。「『太陽盤』には外でばーっと聞くのを集めて……」みたいなコンセプトは、スタッフサイドが決めました。1枚カバーアルバムを付けませんかっていうのもスタッフからの提案です。でも私らがカバーアルバムを出すって、らしくもないんかなって。そんなことないですか?
──ライブでもカバーをやってますし、違和感はないです。特にライブでも好評だった「異邦人」のカバーはファンからしたら「待ってました」の音源化だと思います。
そうなんかな。「異邦人」は私は子供ながらに聴いていたんですけど、めっちゃいい曲。私の十八番なんです。普段カラオケとか行かへんけど、「KOYABU SONIC」の打ち上げでカラオケで歌ったら喜んでもらえた(笑)。カバーはゴージャスな感じで。
──ほかの曲はどうセレクトしていったんですか?
いろいろアイデアを出してはいったんですけど、権利の問題とかで入れられない曲もあったんです。「録ったけど無理やった」みたいなのもあって。だから、私らのルーツを感じさせるっていうくらいで、むっちゃルーツって感じでもないような……気もせんでもない(笑)。イアン・デューリーとかはドンズバにルーツですけど。まあ自分らなりに名曲をピックアップさしてもらった。英語と日本語のバランスは意識して。
──イアン・デューリーやカーティス・メイフィールドのカバーはド直球のアレンジでしたね。カーティスのほうは渋谷系を想起させるようなスタイリッシュな雰囲気になっていました。
どっちも男性の歌を女性が歌うっていうのが面白いなって思って。カーティスのアレンジはいろいろ考えたんだけど、結局直球がいいということで。
──日本のアーティストだと、たまの「さよなら人類」や荒井由実さんの「曇り空」をカバーされていて。
たまは森くんが選んだんですけど、たまの魅力を最近2人で再確認したんです。「たまはすごい」って。「曇り空」は訥々と歌う感じがなかなか難しかったです。ヘタしたらカラオケみたいになる。だからその頃合いというか、そういうところに気を付けていきましたね。
──太陽盤と月盤のラインナップにはどういった感想を持たれていますか。
うーん、まあ、私らどのアルバムもベストのつもりで作っていますから。言うなら入門編って感じですね。
──あと今回は、それぞれに1曲ずつ新曲が入っていますね。太陽盤に入っている「Human Beat」はシンセベースが印象的な楽曲です。
あのベースのリフから作った曲ですね。森くんと2人で、ベースをループさせて。
──月盤のほうの「admire」はボーカルをダブルにして奥行きを生み出しています。
あれはコードがきれいな曲で。あのロマンチックなコード、森節ですよねえ。
──これらの新曲は、ベスト盤に入れるために作ったのですか?
いやいや、アルバム用に去年の夏くらいから新曲を作っていて。そのうちの2曲なんです。
「ありがとう」が伝わるといい
──11月には武道館公演も控えていますけど。
うれしいですね。人、来てくれるかなあ。
──プランはあったりするのですか?
全然考えてないです。実はね、最初はサーカス小屋でやりたかったんですよ。それで「木下大サーカス」に問い合わせしたりして。そうしたらトイレ事情とかいろいろあって、難しいみたいで。ウェルカム感が出るかなと思ったんですけど(笑)。
──異空間な感じでよさそうです。
うん。でもできないって。武道館はどうなるかな。例えば私だったら、私服で弾き語りとかしたらグッとくるなあ。だからそういうことになるかもわからんし。武道館って、最近わりと新人のアーティストがバンバンやってるじゃないですか? それでライブやるための敷居低くなったって感じている人もいるかもしれないけど、私らからしたらやっぱりすごいホールやから。絶対にいいものにしたいです。
──けっこう気合い入ってますね。
うん、まあそうですね。え、なんで?
──いや、お二人はベタなことを避けるところがあるから。
ああ、それありました、すいません(笑)。特に森くんは多少「ああ……」って感じがあったみたいですね。でも武道館ってなんでもできるらしいから、サーカスっぽいセットを作ることもできるかもしれんしなって。実際に作るかどうかもまだ考えてないですけどね。まあやるって決めたから、気合いを入れてやる。あと、怒髪天とか、フラワーカンパニーズとか……。
──長い時間をかけて、武道館にたどり着いた方々。
そうそう(笑)。ああいう人らの武道館公演っていいよねって人から言われて、そうなんかなって思って。
──なるほど。今年は武道館や全国ツアーもある中で、恒例の「Dance, Dance, Dance」も「Midnight Déjàvu」もあります。忙しくなっていきますね。
うん。まあでも、20周年と言っても通過点やから。ライブ来てくれた人には、今の自分たちをお届けできたらいいな。あとは感謝とね。武道館公演とかは、地方から来てくれはる人もいると思うし。そういう人たちに「ありがとうございました」って伝わるといいですね。
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- ベストアルバム「ROUTE 20 HIT THE ROAD」2015年4月20日発売 / TOY'S FACTORY / NOFRAMES
- 「ROUTE 20 HIT THE ROAD」
- 初回限定盤 [CD3枚組+グッズ] 10800円
- 通常盤 [CD3枚組] 3996円 / TFCC-86547
太陽盤
- love scene
- くちばしにチェリー
- GO ACTION
- a love song
- 天国と白いピエロ
- 満ち汐のロマンス
- Dear mama
- human beat(新曲)
- 10万年後の君へ
- サイコアナルシス
- BRAND NEW DAY
- サニーサイドメロディー
月盤
- 水中の光
- かつて..。
- 色彩のブルース
- Neon Sign Stomp
- NERVOUS BREAKDOWN
- アマイ カゲ
- 下弦の月
- admire(新曲)
- Fall
- 雨のdubism
- BYRD
- inner bell
星盤(曲名 / 原曲アーティスト)
- 異邦人 / 久保田早紀
- Move on up / カーティス・メイフィールド
- Inbetweenies / Ian Dury & The Blockheads
- 曇り空 / 荒井由実
- Fever / リトル・ウィリー・ジョン
- 謎の女B / 平岡精二
- What's Wrong With Groovin' / レッタ・ムブル
- Ziggy Stardust / デヴィッド・ボウイ
- By This River / ブライアン・イーノ
- さよなら人類 / たま
ライブ情報
EGO-WRAPPIN' AND THE GOSSIP OF JAXX
「Dance, Dance, Dance」(※東京公演は終了)
- 2016年8月7日(日)大阪府 大阪城音楽堂
EGO-WRAPPIN' memorial live
- 2016年11月27日(日)東京都 日本武道館
EGO-WRAPPIN'(エゴラッピン)
1996年、中納良恵(Vo)と森雅樹(G)によって大阪で結成。1999年の2ndミニアルバム「SWING FOR JOY」や2000年の3rdミニアルバム「色彩のブルース」、2001年の2ndアルバム「満ち汐のロマンス」などで多様なジャンルを消化した独自の音楽性を示し、人気を集める。2009年には真船勝博(B)、川崎太一朗 (Tp, Flugelhorn)、武嶋聡(T.Sax, Flute, Clarinet)、ハタヤテツヤ(Piano, Key)、末房央(Dr, Perc)と共にEGO-WRAPPIN' AND THE GOSSIP OF JAXXを結成。同名義で6thアルバム「EGO-WRAPPIN' AND THE GOSSIP OF JAXX」をリリースした。ライブパフォーマンスにも定評があり、2001年に東京・東京キネマ倶楽部でスタートさせた「Midnight Déjàvu」、2012年に東京・日比谷野外大音楽堂で初開催した「Dance, Dance, Dance」はいずれも恒例イベントとしてファンに定着。現在ではどちらも東京、大阪の2都市で行われている。結成20周年イヤーである2016年、4月にベスト&カバーアルバム「ROUTE 20 HIT THE ROAD」を発表。5月から7月にかけて計16公演を回る全国ツアー「EGO-WRAPPIN' AND THE GOSSIP OF JAXX live tour」を行い、11月には初の東京・日本武道館公演「EGO-WRAPPIN' memorial live」を実施する。
2016年8月1日更新