10年前なら入れてなかったかも
──森さんから見て、ベスト盤収録曲のラインナップはどうですか?
うーん、作り手の気持ちと、歌い手の気持ちと、もう少し俯瞰で見てるスタッフの視点。そういうのが折衷されているというか。ベスト盤ってそういうもんじゃないかなって思ってて。そういう意味では納得ですね。
──今回のベストは、前のベストと被っている曲もそれほどなくて。
現在進行形のバンドですから。聞いてほしいのが前のやつばっかりだったらねえ(笑)。逆に被ってる曲は、もう絶対外されへんド定番ってものだし。
──カバーのセレクトはどうやって?
知名度の高い曲や、ライブでやっているもの、あとはレゲエ、スカ、スウィングっぽいものとかで固めていこうとも思ったんですけど、権利のこととかもあって、アルバム的なバランスを考えるほうに切り替えたんです。
──なるほど。
だから新たに聴いてええなって思うようになった曲とか、そういうのもちょいちょい入れていますね。カーティスの「Move On Up」とかはド定番ですけど、僕がカバー盤を聴くならやっぱりド定番も聴きたいと思うから。でもこういうド定番の曲、10年前だったら入れてなかったかもしれない。昔はもっと「みんな知らん曲を」ってなってた(笑)。
よっちゃんとやからいろんな音楽ができる
──それぞれ、アレンジのアプローチが興味深かったです。
例えば「Move On Up」だったらホーンとベースのグルーヴ感を生かしたし、「Inbetweenies」に関してはイアン・デューリーのメロディってセクシーだと思っていて、これを女性が歌ったらどうなるんだろうと。彼はパンクにカテゴライズされていると思うんですけど、曲的には都会的でスタイリッシュなんですよね。そういうアレンジと女性ボーカルの組み合わせ。気に入っていますね。あとは「さよなら人類」のカバ-、楽しかったですね。
──中納さんは、「今回たまを再発見した」って言っていました。
たまの「電車かもしれない」のMVを観て、ええなあって。MVは近藤聡乃さんのイラストが使われていてめっちゃかわいいんです。それまでは「さよなら人類」しか知らなかったんですけどね。それがきっかけで「さよなら人類」のカバーをしたいって思って。リズムボックスを使って、南国な感じで。「エキゾチックなたま」みたいなイメージでカバーしました。
──カバー盤はいつから作り始めていたんですか?
2月ですね。スタジオで作りながら録っていきました。
──バラバラのタイプの曲が集まりましたけど、全部エゴらしさがあって。選曲やアレンジのサウンドアプローチから、エゴの音楽性の広さも表現されていたと思います。あと、ベスト盤に収録された新曲2曲だけ聴いても極端で。
同じ人の曲じゃないみたいですよね(笑)。
──音楽性の幅広さもエゴの魅力ですからね。
まあ僕の趣味は偏っていますけど、よっちゃんとやっているからいろんな音楽をやりたいって思えるというか。いろんな音楽に挑戦できるし、可能性が広がる。男同士でやっていたら、たぶん「スカバンドやろう、ガレージやろう」みたいなことを言っていたかもしれないです。
──加えて、お二人の音楽が纏っている雰囲気も大きな魅力だと思います。
僕自身ムードで音楽を聴くほうなんで。やっぱ1950年代とか60年代のレコードのムード、いいですやん。ほんま好きなんですよ。もうタイムスリップしたいくらいのときがある。音楽って酒とのマッチングが大事でしょ? 僕はやっぱり、1杯やりながら聴くのが好きやから。そういう意味でもムードは重要です。それについては20年間考えてきたかもしれませんね。
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- ベストアルバム「ROUTE 20 HIT THE ROAD」2015年4月20日発売 / TOY'S FACTORY / NOFRAMES
- 「ROUTE 20 HIT THE ROAD」
- 初回限定盤 [CD3枚組+グッズ] 10800円
- 通常盤 [CD3枚組] 3996円 / TFCC-86547
太陽盤
- love scene
- くちばしにチェリー
- GO ACTION
- a love song
- 天国と白いピエロ
- 満ち汐のロマンス
- Dear mama
- human beat(新曲)
- 10万年後の君へ
- サイコアナルシス
- BRAND NEW DAY
- サニーサイドメロディー
月盤
- 水中の光
- かつて..。
- 色彩のブルース
- Neon Sign Stomp
- NERVOUS BREAKDOWN
- アマイ カゲ
- 下弦の月
- admire(新曲)
- Fall
- 雨のdubism
- BYRD
- inner bell
星盤(曲名 / 原曲アーティスト)
- 異邦人 / 久保田早紀
- Move on up / カーティス・メイフィールド
- Inbetweenies / Ian Dury & The Blockheads
- 曇り空 / 荒井由実
- Fever / リトル・ウィリー・ジョン
- 謎の女B / 平岡精二
- What's Wrong With Groovin' / レッタ・ムブル
- Ziggy Stardust / デヴィッド・ボウイ
- By This River / ブライアン・イーノ
- さよなら人類 / たま
ライブ情報
EGO-WRAPPIN' AND THE GOSSIP OF JAXX
「Dance, Dance, Dance」(※東京公演は終了)
- 2016年8月7日(日)大阪府 大阪城音楽堂
EGO-WRAPPIN' memorial live
- 2016年11月27日(日)東京都 日本武道館
EGO-WRAPPIN'(エゴラッピン)
1996年、中納良恵(Vo)と森雅樹(G)によって大阪で結成。1999年の2ndミニアルバム「SWING FOR JOY」や2000年の3rdミニアルバム「色彩のブルース」、2001年の2ndアルバム「満ち汐のロマンス」などで多様なジャンルを消化した独自の音楽性を示し、人気を集める。2009年には真船勝博(B)、川崎太一朗 (Tp, Flugelhorn)、武嶋聡(T.Sax, Flute, Clarinet)、ハタヤテツヤ(Piano, Key)、末房央(Dr, Perc)と共にEGO-WRAPPIN' AND THE GOSSIP OF JAXXを結成。同名義で6thアルバム「EGO-WRAPPIN' AND THE GOSSIP OF JAXX」をリリースした。ライブパフォーマンスにも定評があり、2001年に東京・東京キネマ倶楽部でスタートさせた「Midnight Déjàvu」、2012年に東京・日比谷野外大音楽堂で初開催した「Dance, Dance, Dance」はいずれも恒例イベントとしてファンに定着。現在ではどちらも東京、大阪の2都市で行われている。結成20周年イヤーである2016年、4月にベスト&カバーアルバム「ROUTE 20 HIT THE ROAD」を発表。5月から7月にかけて計16公演を回る全国ツアー「EGO-WRAPPIN' AND THE GOSSIP OF JAXX live tour」を行い、11月には初の東京・日本武道館公演「EGO-WRAPPIN' memorial live」を実施する。
2016年8月1日更新