私立恵比寿中学|9人になったエビ中はどう変わる?真山りか+安本彩花+新メンバー“ココユノノカ”インタビュー / ニューアルバム「FAMIEN'21 L.P.」を星名美怜、柏木ひなた、小林歌穂、中山莉子が解説

ココユノノカ、初めてのレコーディング

──9人での記念すべき初作品が、歴代の「ファミえん」楽曲をまとめたアルバム「FAMIEN'21 L.P.」となりました。夏の野外で歌う「ファミえん」楽曲がまとまっているからか、すごく明るくポップなアルバムという印象で。楽曲の雰囲気はバラバラながら「ファミえん」に通底する共通点もあるのかなと。

真山 普段のアルバムでは、もともと持っていたエビ中の明るくわちゃわちゃしたイメージを覆すような、幅広い魅力を持っているグループだということを示すような作り方をしているから、このアルバムは確かに雰囲気が違いますよね。やっぱり夏に歌うことを意識した曲だから、自然と明るい曲が多くなるのかもしれない。

──新メンバーの3人にとってはレコーディング初体験ですよね。YouTubeにアップされたドキュメンタリーでは、うまくいかず悔しくて涙を流すシーンもありましたけど。

桜木 はい(笑)。

小久保 何時間も続けて歌うのが初めての経験だったので、思っていた以上に疲れて大変でした。でもレコーディングは楽しかったです。

桜木心菜

桜木 本当に「ファミえん」は明るい曲が多いんですけど、私の声質だと明るい曲がうまく表現できなくて……悔しくて泣いてしまいました。ボイトレの先生にアドバイスをいただきながら、なんとか自分のパートを歌い切って。新曲の「イヤフォン・ライオット」だけはパートが決められていなくて、全員通してレコーディングしたんですよ。

──通常エビ中のレコーディングは、先にパートを決めず、全員が通して歌った中から担当パートが決まるんですよね。過去曲のリメイクはパート指定で、新曲については通常通りだったと。

桜木 そうなんです。自分の歌声が好きじゃなかったから、初めてレコーディングした声を聴いたときはすごく嫌というか(笑)、違和感があったんですけど、だんだん慣れてきました。

風見 私は心菜と逆で、明るい歌は得意だけど、大人の女性っぽい声がまだ出せないので、いろんな曲に対応するのは難しいなと思いました。

──6人の力強いユニゾンが確立されたあとだからこそ、まだ不慣れな3人の声が合わさっている感じはすごく新鮮ですよね。同時にかつてのエビ中っぽさも感じる、凸凹な声が混ざり合う面白さもあって。

真山 ユニゾンは圧倒的に若くなりましたね(笑)。特に和香と柚乃の声は明るくて若さのある歌声だから、おっしゃる通り確かに昔のエビ中を思い出すような懐かしい感覚があって。

安本 6人の雰囲気は消えずに、うまいこと混ざってる感じがします。変に若くなりすぎるわけじゃなく、スパイス的な要素でうまくなじんでる。

──新メンバー3人のお気に入りの「ファミえん」楽曲は?

風見和香

小久保 私は「朝顔」がめちゃくちゃ好きです。夏っぽい雰囲気も好きだし、メンバーみんなの歌い方が好き。

桜木 私はレコーディングで泣くほど苦戦したけど、最終的に明るく歌えた「ラブリースマイリーベイビー」です。

──苦手意識があったけど、何度も向き合うことで克服して、大好きな曲になったんですね。

桜木 はい(笑)。みんなに聴いてほしいです!

風見 私は「summer dejavu」です。いい意味でエビ中っぽくないというか……。

安本 おおー。わかってるね(笑)。

風見 全部ユニゾンで歌ってるのも珍しいし、曲調が好きなのでレコーディングも楽しかったです。

9人体制初の楽曲「イヤフォン・ライオット」

──新曲の「イヤフォン・ライオット」が9人での初めてのオリジナル楽曲となりますが、さわやかでポップな、新しい一歩としてすごくよい1曲になりましたね。

真山 「イヤフォン・ライオット」は私たちのメジャーデビュー曲である「仮契約のシンデレラ」を作ってくださった杉山勝彦さんの作曲で。作詞はハロプロ楽曲でおなじみな、私たちの曲だと「オメカシ・フィーバー」(「playlist」収録曲)と「23回目のサマーナイト」(2020年の「ファミえん」テーマソング)を書いてくださった児玉雨子さんにお願いしたんです。6人で培ってきたものを残しつつ、9人体制のフレッシュな感じを打ち出したいという私たちの思いを、想像を超えるほど楽曲でうまく表してくださっていて。心菜のカッコいいラップ、彩ちゃんの落ちサビ、歌詞だけではなくフェイクで表現する面白さ……わちゃわちゃしたエビ中らしさとカッコいいエビ中らしさ、そのどちらもきちんと楽曲に落とし込めたなと思っていて、これまでエビ中を応援してくれていた方にも、私たちのことを知らない人にもぜひ聴いてほしい自信作です。

安本 パッと聴いた感じは明るくてさわやかな、アイドルらしい雰囲気を感じてもらえると思うんですけど、歌詞にはすごく強いキラーワードがたくさん入っているんですよ。いろいろと思い通りにいかないこのご時世に、複雑なマイナスの気持ちも共有しつつ、前に進んでいこうねという強いメッセージが込められていて。

──音楽の力強さそのものを歌う、音楽賛歌のようにも聞こえますね。

安本 うんうん、そうですね。6人で培ってきたメッセージを力強く届ける部分に、新しいさわやかなアイドルらしさがうまいことマッチしていて、今の私たちがやりたいことがしっかり形になったなと思います。

──レコーディングがうまくいかなくて泣いていた桜木さんが堂々とラップパートを担っていたことに驚きました。

桜木 ラップパートは絶対に歌いたい!と思ってすごく練習したので、選ばれたときは本当にうれしかったです。

小久保柚乃

小久保 サビの「うちらにとっちゃ 10億年」のところはめちゃくちゃ速いから難しくて、何度も練習してからレコーディングしたので、そのパートが採用されたのはうれしかったです。

風見 早口な部分が多い曲だから、滑舌が悪い私にはすごく難しいです(笑)。

──ライブで歌うとなると、レコーディングとはまた違った難しさもあるでしょうしね。

桜木小久保風見 (苦い表情でうなずく)

小久保 「イヤフォン・ライオット」はMV撮影もあったから練習する機会も多くて。だいぶ慣れてきたからライブで歌うのが楽しみです。

風見 ダンスには跳ねる部分が多いから、同時に歌うことを考えると、本番でうまく歌えるか心配です。

桜木 9人で初めての曲だから「もっと観たい!」「もっと聴きたい!」と思ってもらえるように、たくさん練習してライブに備えたいです。

「ファミえん」の心得

──今年は中止になってしまいましたが、今後「ファミえん」に挑むうえで、先輩から新メンバーに何か注意事項はありますか?

真山 「ファミえん」はケータリングにかき氷があるんですよ。あと水鉄砲があったり……リハーサルが終わったあと時間があるから、そこで遊びすぎちゃうと本番で体力がなくなるという(笑)。

──「ファミえん」あるあるですね(笑)。

真山 あるあるです(笑)。「ファミえん」は野外で走り回ることが多いし、水を使った演出があるので、体が濡れて体力が奪われるんですよ。あれがどれだけ大変か。そのつらさは年々大きくなってくるよね(笑)。10代の頃はテンションで乗り切れたんですけど。

安本 海帰りの感じだよね(笑)。

真山 そうそう、ドッと疲れる。本番前にはしゃぎすぎると泣きを見るので、そこは本当に気をつけないと……と今自分にも言い聞かせてます(笑)。

安本 野外だと異常にテンションが上がって、お姉さんたちはちょっとオラついた感じになると思うんですけど(笑)、別に怒ってるわけじゃないから怖がらないでほしい。

真山 それもあるあるだ(笑)。「おめえらもっと行けんだろ!!」みたいな。

安本 ちょっと口が悪くなるところはある。特に中山さんは鬼の形相になるけど(笑)、怒ってないから大丈夫だよってのは伝えておきたい。もしかしたら3人も覚醒しちゃうかもしれないね。

風見 体力はすごく心配です……。

小久保 体力も歌もダンスも心配(笑)。

「この9人が最高だ」と言われるようにがんばるだけ

──エビ中には「神宮球場ワンマン」という新しい目標ができたそうですね。

真山 はい。今のエビ中では届きそうで届かない、いい塩梅の場所が浮かんだなと自分たちでも思ってるんですけど(笑)、これくらい高い目標を持っていないといけないかなと思っていて。

安本 ライブがなかなかできないご時世だからこそ、具体的なライブ会場を目標に掲げるのは未来に向かってポジティブな気持ちになれるのですごくいいなと思います。

──新メンバーの3人はどんな目標を持っていますか?

桜木 「9人になったエビ中も応援したいな」と思ってもらえるようなパフォーマンスができるようがんばりたいです。やっぱり「6人がよかった」という声もあると思うんです。

小久保 うん。やっぱり「6人がよかった」という意見を覆せるようにがんばるというのが一番の目標で。

──6人の「THE FIRST TAKE」がすごく好評なだけに、3人には大きなプレッシャーがあるでしょうね。

桜木 はい。でも9人での活動で「いいね」と思ってもらえるように、しっかりがんばっていきます。

風見 歌やパフォーマンスを一生懸命やるのはもちろんですけど……これからテレビやラジオの収録、取材とか撮影とか、いろんなことに慣れていくと思うんです。でも常に真剣に取り組めるようにがんばりたいなと思います。

安本 うんうん。3人の目標を聞いて、この9人で早くテレビの音楽番組で歌いたいなと思いました。

真山 そうだね。「6人がいい」って言ってくださるのはこれまでの私たちへの最上級の褒め言葉で。でも私たちはこれまでも転入と転校を繰り返してきて、その都度「今のメンバーが一番いいね」といううれしい言葉をもらってきたんです。6人になったときもやっぱり「前のほうがよかった」と言われていたけど、この3年間で6人なりの正解を導き出せたということなんじゃないかなって。だからこれからは「この9人が最高だ」と言われるようにがんばるだけです。

私立恵比寿中学