DIR EN GREY|京と薫が語る未来への思惑

DIR EN GREYが1年9カ月ぶりとなるシングル「人間を被る」を完成させた。

昨年結成20周年を迎え、1月にベストアルバム「VESTIGE OF SCRATCHES」をリリースした彼ら。節目を経て発表される新曲「人間を被る」は、京(Vo)のグロウルと伸びやかな歌声がヘビーなサウンドに絡む攻撃的なナンバーに仕上がっており、アグレッシブさを失わないバンドの“今”を伝えてくる。

音楽ナタリーでは京(Vo)と薫(G)にインタビューを行い、「人間を被る」にまつわるエピソードを軸に、音楽制作におけるモチベーションやスタンスなどを語ってもらった。

取材・文 / 小野島大

未来のDIR EN GREYを考えたときに必要な曲

──今回の「人間を被る」の制作はいつ頃から開始したんでしょうか。

京(Vo)

(Vo) この曲に限らずシングルを出そうと決めてから制作に入ったのはもう……1年近く前ですね。

──次のアルバムのための曲作りの過程で生まれてきたということですか?

 その中から出てきた曲ではあります。発端は。

──その中でこの曲がシングルに選ばれた理由は?

 それまでに何曲か作ってて。「これがシングルちゃうかな」みたいな曲もあったけど、なんか……「もうちょっと作ってみるわ」みたいな話になり。で、最後にこの曲が出てきて、これが一番シングルっぽい曲かな、という流れだった気がします。

──「シングルっぽい」というのは、具体的に言うと?

 1曲で今の自分らを表現しやすい曲と言うか。曲によっては偏ってたり、ちょっとわかりにくかったりするので、この曲はバランスが取れてるのかなと。

(G) この曲の数カ月あとに違うシングルを出すとなると、また見え方が違うかもしれないですけど、次のアルバムを踏まえたときに最初に出てくる曲って考えたら、自分たちらしさを生かしつつ、新しいものが入ったこういう曲が、聴いている側も入っていきやすいと思うし。

──DIR EN GREYの作品との連続性、整合性も考えながら、自分たちの今の姿を打ち出す。

 そうそう。あとは未来のDIR EN GREYを考えたときに、必要なのはこの曲って感じでしたね。

──未来のDIR EN GREYはどういうものになりそうですか?

 わかんないですけど(笑)。アルバムもまだまだ制作途上だし。でも今ある曲の中ではこの曲が一番“未来”かな……曲の力強さと言うか、そういうものに未来を感じるんです。なんて言うのかな……小賢しくない感じ。シングルとしてそれを1曲で表現する。アルバムが楽しみになるものって考えたときに、この曲が一番かなと思ったんです。

シングルなら表題曲1曲で勝負

──シングルのリリースとしては前作「詩踏み」から時間は経ってるんですが、去年は結成20周年を迎えて、今年の初頭にはベスト盤「VESTIGE OF SCRATCHES」を出されて、そういう節目の時期と言うか、今回は自分たちにとって心機一転、という意識はあるんですか?

 僕はあまりないけど……ここ2年ぐらい過去のアルバムを再現するツアーをずっと回ってたんです。過去を踏まえて新しいアルバムに向けて……という意味では、今は違う方向に向いてる、ということは出していきたかったんですよね。それがこのジャケットのイメージだったり、ツアーのタイトルだったり(「TOUR18 真世界」)なんですけど。

──ベスト盤の制作とか、過去のアルバムを再現するツアーなどで、過去の作品を聴き返す機会も多かったと思うんですが、そこで改めて気付いたことや得られたものなどは?

 うーん……先に進む、ってことを考えたら特にはない気がするんですけど、その時代時代の曲をやっていると、「こういうことを当時はしたかったけど、そのときは表現できなかったな」というのを思い出すんです。でもツアーをするうちに「結局は自分だよな」ってことを自分自身で理解していくって言うか。毎回毎回、前作を超えていかないとって一生懸命アルバムを作ってきて、あまり後ろを振り返ることがなかったんですが、そうやって振り返ってみると、「自分にはこういう面もあるんやな」というのを、なんとなく知る機会ではありましたね。

──今回もそうですが、シングルのカップリングでは過去の曲をリメイクすることが多いですね。それは過去の曲を今の自分たちで表現したいという思いですか?

 それも、あります。でも単純に新曲をカップリングにはあまり入れたくない、という。

──あ、そうなんですか。

 はい。カップリングって「カップリング」って感じがするじゃないですか。

──添え物って感じ?

 そう。それがあまり好きじゃない。シングルなら表題曲1曲で勝負!みたいな。1曲にいろいろ詰め込んで、それだけで勝負しようって考えるんだと思う。3曲で表現するんじゃなくて、1曲でね。

──単に「ポップだから」とか「覚えやすいから」という理由でシングルを作っているわけではない。

 うん、でもポップであるということは意識しますよ、やっぱり。覚えられる箇所があるとか、耳に引っかかる部分があるとか、熱くなれる部分があるとか、そういうところは意識します。

──DIR EN GREYにとっての「ポップの定義」をもう少し詳しくお願いできますか?

 口ずさめるとか。それは歌メロでもギターのリフでもリズムでも、なんでもいいんですけど、フレーズを口ずさんだら「あの曲!」ってすぐにわかるようなもの。それは意識します。

DIR EN GREY「人間を被る」
2018年4月25日発売 / FIREWALL DIV.
DIR EN GREY「人間を被る」完全生産限定盤 Blu-ray

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[CD+Blu-ray] 5940円
SFCD-0222~3

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[CD+DVD] 4860円
SFCD-0224~5

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[CD+DVD] 1944円
SFCD-0226~7

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DIR EN GREY「人間を被る」通常盤

通常盤
[CD] 1296円 / SFCD-0228

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CD収録曲(全仕様)
  1. 人間を被る
  2. Ash
  3. 詩踏み [LIVE]
完全生産限定盤 DISC 2(Blu-ray / DVD)収録内容
  1. Chain repulsion TOUR14 PSYCHONNECT -mode of "GAUZE"?- 2014.08.30 新木場STUDIO COAST(追加公演)
  2. 禍夜想 TOUR16-17 FROM DEPRESSION TO ________ [mode of VULGAR] 2016.07.01 新木場STUDIO COAST
  3. Phenomenon TOUR16-17 FROM DEPRESSION TO ________ [mode of DUM SPIRO SPERO] 2016.09.23 ホクト文化ホール
  4. Un deux TOUR16-17 FROM DEPRESSION TO ________ [mode of 鬼葬] 2016.11.08 CLUB CITTA’ [FEMALE LIMITED] -「a knot」 & ONLINE only-
  5. Revelation of mankind TOUR16-17 FROM DEPRESSION TO ________ [mode of UROBOROS] 2017.02.10 東京国際フォーラム・ホールA
  6. Midwife
    TOUR16-17 FROM DEPRESSION TO ________ [mode of THE MARROW OF A BONE] 2017.04.18 Zepp Nagoya
  7. TOUR16-17 FROM DEPRESSION TO ________ [mode of MACABRE] 2017.07.26 中野サンプラザ
  8. Sustain the untruth TOUR16-17 FROM DEPRESSION TO ________ [mode of Withering to death.] 2017.10.12 Zepp Tokyo -「a knot」 & ONLINE only-(追加公演)

IN-STUDIO FOOTAGE

  • 人間を被る(Scenes From Recording)
初回限定盤 DISC 2(DVD)収録内容
  1. Un deux TOUR16-17 FROM DEPRESSION TO ________ [mode of 鬼葬] 2016.11.08 CLUB CITTA’ [FEMALE LIMITED] -「a knot」 & ONLINE only-
  2. Revelation of mankind TOUR16-17 FROM DEPRESSION TO ________ [mode of UROBOROS] 2017.02.10 東京国際フォーラム・ホールA
  3. Sustain the untruth TOUR16-17 FROM DEPRESSION TO ________ [mode of Withering to death.] 2017.10.12 Zepp Tokyo -「a knot」 & ONLINE only-(追加公演)

IN-STUDIO FOOTAGE

  • 人間を被る(Scenes From Recording)
DIR EN GREY「TOUR18 真世界」(※終了分は割愛)
  • 2018年4月25日(水)
    大阪府 なんばHatch
  • 2018年4月26日(木)
    大阪府 なんばHatch
  • 2018年4月28日(土)
    宮城県 仙台銀行ホール イズミティ21
  • 2018年5月1日(火)
    愛知県 Zepp Nagoya
  • 2018年6月29日(金)
    東京都 新木場STUDIO COAST※追加公演。OFFICIAL FAN CLUB 「a knot」限定LIVE
  • 2018年6月30日(土)
    東京都 新木場STUDIO COAST※追加公演。29th SINGLE「人間を被る」発売記念LIVE
DIR EN GREY(ディルアングレイ)
京(Vo)、薫(G)、Die(G)、Toshiya(B)、Shinya(Dr)からなる5人組バンド。1997年に現メンバーがそろい「人間の弱さ、あさはかさ、エゴが原因で引き起こす現象により、人々が受けるさまざまな心の痛みを世に広める」という意志のもとに結成。ミクスチャー、ヘヴィロック的な要素をゴシック的な様式美の中で表現する世界観が評価され日本のみならず海外でもブレイク。2002年にアジアツアーを成功させたのを機に、アメリカ、ヨーロッパ各国にも進出し、熱狂的なファンを多数獲得する。2011年には約3年ぶりのアルバム「DUM SPIRO SPERO」をリリース。発売直後からヨーロッパや北米、中南米などで海外ツアーも行った。2014年3月には4年ぶりとなる日本武道館公演「DUM SPIRO SPERO」を行い、同年夏より過去のアルバムを再現するツアーシリーズを実施している。2014年12月には9枚目となるアルバムを発表し国内外を回るツアーを実施。結成20周年を迎えたことを記念して、2018年1月にはベストアルバム「VESTIGE OF SCRATCHES」を発表した。同年4月に1年9カ月ぶりとなるシングル「人間を被る」をリリースする。