Devil ANTHEM.「Reflect Winter」インタビュー|2回目のコースト公演を成功させ、次に挑むは新境地の冬曲

Devil ANTHEM.のニューシングル「Reflect Winter」が2月15日にリリースされる。

2021年4月に新メンバーの藤澤ひよりが加入してから約1年にわたり6人体制で活動してきたデビアン。その間、ライブの動員数を順調に増やし続け、昨年12月に2回目の東京・USEN STUDIO COAST公演を成功させた彼女たちは、今回のシングルでこれまでの音楽性から一歩踏み出した、新境地とも言える楽曲に挑戦した。本作にはメンバーの大人の一面が垣間見える初のウインターソング「Reflect Winter」、エモーショナルな「by your side」、ローファイヒップホップナンバー「Bluesy Bless」、デビアンらしい攻撃的なEDMソング「CLUB CITY」が収録されている。

音楽ナタリーではメンバー6人にインタビュー。コーストワンマンの手応え、新曲の感想や制作にまつわるエピソード、3月にスタートする春ツアーへの意気込みなどを聞いた。

取材 / 近藤隼人文 / 鈴木身和撮影 / Masayo

やり切った2回目のコースト公演

──Devil ANTHEM.にとって 2回目のコーストワンマンが昨年12月に行われました(参照:Devil ANTHEM.2回目のコースト公演「デビタゴン祭2021」、大勢の観客を楽しませた7周年の実力)。そのちょうど1年前に開催された1回目とは動員数など大きな変化がありましたが、まずは皆さんの感想を聞かせてください。

竹本あいり 少し前の出来事なのに記憶がヤバいよね(笑)。そのあと新曲のレコーディングやミュージックビデオの撮影があってバタバタだったから、掘り起こさないと。

竹越くるみ ね(笑)。1回目のコーストワンマンは終わったあとにもう1回やりたいと思ったんですけど、2回目は個人的にやり切ったという思いが強くて、もう二度とやりたくないみたいな(笑)。

──やりたくない?(笑)

くるみ 楽しかったんですけど、2回目はこれが最高潮だったんじゃないかと思えるくらいやり切れたんです。ワンマンを終えると毎回「次もやりたい」と思うんですけど、今回は自分の中で悔いのないライブができて満足したというか、初めてもう二度とやりたくないと思いました。いい意味で。フロア中央のウーファーの後ろや、階段の上までお客さんがいたのもうれしかったです。

水野瞳 今まで「最高を更新する」と何度も言ってきたんですけど、今回アンコールの最後に披露した「Fever」は「これを超える『Fever』はもうないんじゃないか」と思うくらいで。最後の最後まで楽しかったし、ファンの人たちも私たちと同じ気持ちで「楽しかったね」と言ってくれました。やり残したっていう負の感情や、悔しい気持ちを抱くことなく終われたので、今までで一番楽しくてうれしくて大好きなワンマンでした。

安藤楓 ファンの方と私たち、どっちも「すごく楽しい」という同じ気持ちでライブができた気がして、会場全体に一体感があったなって。初めてのコーストのときはかなり緊張していたんですけど、今回は冷静な気持ちを保てて、成長を見せられたライブだったと思います。

Devil ANTHEM.

Devil ANTHEM.

──確かにライブが始まった瞬間からオーディエンスとの一体感が伝わってきて、「これはいいライブになる!」と確信しました。

 うれしい!

橋本侑芽 私も楽しかったし、精一杯やったんですけど、自分の努力が足りなくて、いいパフォーマンスを届けることができなかったと少し後悔したワンマンライブでもありました。でも、あとでライブ映像を観たときに、オクタゴンスピーカー(“モンスター”と称される34基のフルレンジアンプスピーカー)とレーザーが合わさったステージに感動して……。これからは音響やスピーカーに負けないくらい、もっといいパフォーマンスをしていきたいと思いました。

あいり 私は本番が終わったあと、すごくすっきりとしたクリーンな気持ちになりました。去年の春ツアーの途中から6人体制に変わったので、しばらく不安定な状態が続いていて(参照:Devil ANTHEM.新メンバー藤澤ひより加入で新展開、6人が葛藤と決意を語る)。ワンマンの前に対バンイベントでコーストのステージに立ったときは満足のいくものを見せられなかったんですけど、そういう時期があったからこそワンマンに向けて試行錯誤しながら調整して、万全な状態で本番に臨むことができました。この6人で次のステップに進む準備ができた、ということを表明できたライブでした。

藤澤ひよりが感じる確かな成長

──ひよりさんにとっては初のコーストワンマンだったわけですが、ステージに立ってみてどうでしたか?

藤澤ひより 加入したときからコーストワンマンをずっと意識していて、本番まで自分の中でずっとカウントダウンしていたんです。このステージで自分を変えたいという思いがあって、コンディションもよかったんですけど、序盤で両足がつっちゃって……。足がつったことで今までやってきたことが全部台なしになるのは嫌だったので、なんとかやり切ったんですが、正直、力を出し切れなかった感じです。でも、今までだったらパニックになったり、ステージからハケちゃったりしていたかもしれないけど、あの日は冷静になれたと思います。

藤澤ひより

藤澤ひより

──自分の対処に成長を感じたんですね。

ひより そうですね。表に立っているときのパフォーマンスはもちろん、裏でのメンテナンスも大事なんだなと痛感しました。

──ライブ中に足がつるのは珍しいことなんですか?

あいり いや、私も前にありました。でも佐藤(海人。マネージャー兼プロデューサー)さんから「(足がつっても)意地でもライブをやれ」と指導されてきたので、ステージ上でつらそうなところを見せたらダメなんですよ。スパルタ教育が染み付いているグループだから、ひよりもそれに馴染んできたんだと思います(笑)。ステージ上のメンバーは強いよね。

くるみ 自分が抜けてもほかのメンバーが臨機応変に対応してくれるだろうという安心感がありつつ、みんなちゃんと責任感を持ってる。

 メンタルでは、ほかのアイドルさんにちょっとやそっとじゃ負けないです!

──そういった精神面も含め、新体制の完成度がどんどん増している感じがありますね。

あいり ちょっとずつですね。

くるみ やっぱり、ひよりちゃんがステージ慣れしてきたのが大きいですね。デビアンはみんな加入したタイミングがバラバラだから1つにまとまるのが難しいんですけど、お互いに合わせられるようになったというか。6人の形が見えてきたかなと思います。

あいり ひよりちゃん、最近余裕ができてきているよね? 言われたことをちゃんと順番に理解して。

ひより 消化できるようになりました。ライブが終わったあとにスタッフさんからステージを撮影した映像が送られてくるんですけど、最初は直すところが多すぎて何から手をつければいいかわからなかったんです。そもそも人に言われないと自分のダメなところに気付けなくて。でも最近は「ここがズレてるな」と自分で気付いて直せるようになってきて、そこも成長できたかなと思います。あと、初めてライブを観た人にパフォーマンスを褒めてもらえるようになったことがうれしいです。

──コーストワンマンを含め、2021年を通してライブの集客数が大きく飛躍したのも確かです。この1年間の活動を振り返っての手応えはどうですか?

くるみ 定期公演の会場が大きくなっているわけじゃないし、チケットも毎回完売しているかというとそうでもない。日々の活動の中では、何も変われていないんじゃないかと思ってました。でも、1年が終わってから振り返ってみて「LIQUIDROOMでのツアーの追加公演が完売したな」とか「リリイベをやったときに入場できない人が出てきたな」とか、私たちの動員が増えたんだということが実感できたんです。以前は「人気出てきてるね」と言われても、「周りには私たちよりもっとすごい人がいっぱいいるし、デビアンなんて全然です」という気持ちだったんですけど、目の前のことをコツコツがんばってきて、今やっと「ファンが増えました」と自信を持って口に出せるというか。

あいり 確かに1年を思い返すとリリイベとかリキッドとかいろいろあったけど、スタッフさんから言われないんですよね……。

くるみ 「偉いね」って(笑)。

竹越くるみ

竹越くるみ

──皆さん、ステージに立っているときのオーラというか、貫禄みたいなものも出てきた気がします。特にコースト公演では、アンコールの「Archangel」でオクタゴンスピーカーがゆっくり降りてきたときの6人の佇まいや、ステージ上の雰囲気がすごくカッコよくて。

一同 えー! やったー!

くるみ 今までやってきたことは伊達じゃないですね(笑)。