Devil ANTHEM.のニューシングル「VS」が、ポップカルチャーイベント「@JAM」とタワーレコードよるコラボレーションレーベル・MUSIC@NOTEより9月9日にリリースされる。
“沸ける正統派アイドル”をキャッチコピーに掲げるデビアンはアッパーな楽曲群やノンストップでのパフォーマンス、それをリフトや“推しジャン”をしながら自由に楽しめるライブなどが好評を博し、昨年よりファン層の拡大に成功。しかし、今年に入ると新型コロナウイルス感染拡大の影響によりフロアでのさまざまな行為を制限せざるを得なくなり、そのキャッチコピーを体現できなくなってしまった。音楽ナタリーではメンバー5人にインタビューを行い、新曲の話に加え、これまでに行われた無観客配信ライブや現在開催中のライブツアーの感想を聞いた。また特集後半にはマネージャー兼プロデューサーの佐藤海人氏へのインタビューも掲載。ライブに対する考え方やグループが目指すところを語ってもらった。
取材・文 / 近藤隼人 撮影 / 宇佐美亮
メンバーインタビュー
配信ライブも強いグループになった
──デビアンは今、ライブツアー「Devil ANTHEM. Hang Out With Sound TOUR」の真っ最中ですが、モッシュやリフト、声出しなどが制限されたライブに物足りなさは感じてませんか?
竹越くるみ ツアーが始まるまで無観客生配信ライブをたくさんやっていて、私たちにとってはむしろそっちのほうがどうしようという感じでした。これまではフロアから声が返ってくる環境の中でお客さんと一緒にライブを作り上げてきたけど、配信ライブだとフロアにカメラマンさんしかいないから、ずっとリハーサルしているような感じでスイッチが入りづらいし、カメラの向こうの空気も読めないから煽りとかも難しくて。今までのライブとはまったく違うことをやってる感覚で、最初は不安しかありませんでした。でもだんだんと克服していって、配信ライブもフロアにお客さんを入れたライブも強いグループになったという自信が出てきたので、ツアーが始まったときは楽しかったです。フロアにお客さんがいるありがたみや、規制がある中で楽しむ新鮮さを感じました。
──ほかのメンバーも配信ライブをやり始めたときに同じような戸惑いを感じました?
橋本侑芽 私はリハーサルというより、テレビ番組を収録しているような感覚でした。カメラに向けてライブをするのが初めてだったので、最初は観ている方に向けてうまく自分をアピールできなくて。それじゃダメだなと思って、ほかのメンバーの動きや、ほかのアイドルさんのライブ映像を参考にして、だんだんとライブの回数を積み重ねていくうちに自分を出せるようになりました。
安藤楓 私も最初はカメラに慣れなかったですね。今でこそカメラの向こうにファンの方がいることを意識するようになりましたが、当時は気持ちがちゃんと伝わってないなと自分でも感じていました。
竹本あいり 客観的に映像を観て、配信ライブは顔の表情や振りをじっくり見せるものなんだなと実感しました。通常のライブではお客さんの盛り上がりに感化されてパフォーマンスがより激しくなるけど、配信ライブではどう魅せたらいいのかを考えなくちゃいけないなんだなと。ツアーが始まったときにお客さんから表情や魅せ方を褒めていただくことが多くて、すごく身になってたんだなと感じました。配信ライブに関してはほかのアイドルさんに負けないクオリティになってるんじゃないかな。
水野瞳 これまでも生中継があるライブに出たことはあったんですけど、そのときはフロアにお客さんがいたので、基本的にそっちに集中していたんですよね。今では自分が画面にどう映っているかを想像しながらライブができるようになって、慣れってすごいなと思いました。一方で、その慣れが怖くて、普段のライブ以上にごまかしが効かないという緊張感もあります。
お客さんの目がギンギン
──配信ライブを積み重ねた分、ツアーが始まったときはフロアにさまざまな規制があることに対して困惑することはなかったんですね。
瞳 会場ごとにルールが違うのでそれに慣れるのが大変でしたが、ひさびさにお客さんの前でライブをやったときに「これだ!」という感覚があって。くるみちゃんが言っていたように、お客さんがいる安心感やありがたみを改めて感じました。
侑芽 ツアーが始まるまでは正直怖かったんですけど、実際にツアーが始まったら楽しいという気持ちが勝ちました。もちろんフロアいっぱいにお客さんがいたらもっと盛り上がるんだろうな、という思いもありましたが。
──歓声がなくても、お客さんの反応は伝わってくるものなんですか?
くるみ 熱気は伝わってくるんですけど、お客さんはマスクをして集中してステージを見ているので、目がなんというかギンギンなんですよ(笑)。だから「楽しんでるのかな? もしかして怒ってる?」と思うときもあって。
あいり でも「今日、お客さん怖かったね」という感想が出たときほど、ライブの評価が高いんですよ。
くるみ みんなめっちゃ集中してるんだろうね(笑)。特典会やTwitterで「楽しかったよ!」という言葉をもらったときに初めて「あっ、あれは楽しい顔だったんだ」と気付きます。
あいり “沸ける正統派アイドル”をキャッチコピーに掲げていることもあり、今まではフロアで沸くために集まってくるお客さんが多かったと思うんですよ。なのでその看板が奪われてしまい、「みんな今まで通り楽しんでくれるのかな」と不安だったんですけど、思いのほか反応がよくて。いつも以上にメンバーの表情とかをじっくり見てくれて、「冷静に観てもデビアンのステージって楽しいんだね」と言われたときはすごく自信につながりました。
──ファンの方も今までのライブと違う楽しみ方を見つけたと。
あいり 「歌を聴いてジーンとした」「歌詞が染み込んできた」という感想ももらって。そんなこと今まで全然言われたことなかったんですよ!(笑)
──(笑)。お客さんにじっくり見られるぶん、配信ライブと同じように緊張感も増すんじゃないですか?
楓 私は配信ライブを重ねたことでカメラがある状況に慣れちゃっていたので、ツアーの初日公演ではファンの方の視線を感じて緊張しちゃいました。いつも間違えないところをミスしてしまって。でも2公演目の名古屋では緊張よりも楽しさが勝って、いいコンディションでファンの方の顔をしっかり見ることができました。
──続く3公演目は広島で行われ、あいりさんの凱旋公演となりました。
あいり 地元の友達にもフロアが沸いている様子を見せたかったので、それが叶わないということで最初はめちゃくちゃ不安だったんです。でもいざ当日を迎えたらファンの方が私の凱旋を祝う横断幕やタオルを用意してくださっていて、その光景にすごく驚きました。私推しじゃなくても感動して泣いていた方がいて、最初に想定していたライブとは違うものにはなりましたが、とても心に残る特別な公演になりました。
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戦いの前に聴いてほしい「VS」