ナタリー PowerPush - 電気グルーヴ

アルバム誕生エピソードから不味い蕎麦屋の話まで! 本音トーク満載のロングインタビュー

金払ってチンポ出すやつもいるのに

——初回盤のDVDには4月のワンマンライブの模様が収録されていますが、ひさびさにワンマンをやった感想はどうでした?

卓球:もうけっこう昔の話だし、その後にフェスにも出てるんであんま記憶は定かじゃないんですけど、すごく楽しかったのは覚えてます。

——DVDに入れる6曲はどういう理由で選んだんですか?

卓球:これはスタッフが選んだんですよ。僕ら終わったライブのDVDとかあんまり観たくないんで(笑)。

瀧:なんでこの曲にしたのかという質問の、その心は?

——いや、ライブの前半にやった曲が多いなと思って。

スタッフ:「J-POP」の曲を入れようという話がもともとあったんです。

卓球:古い曲は古い曲で、そういうお客さんのために次のツアーで演って、それを売りますよ。だってウチら商売でやってるんですよ!? 皆さんお気付きでないかもしれないけど!プライドのためにやってるわけじゃないですからホント(笑)。

瀧:金を差し置いてでもカッコよく見えるほうを取る!みたいにな。

卓球:このツラさげてそれはないですよホント。金のためならチンポも出しますよ!でも金もらわないんなら出さない!

瀧:金払ってチンポ出すやつもいるのにな(笑)。

——このライブにはどういう経緯でまりんさんが参加することになったんですか?

卓球:連絡はしょっちゅう取ってるんですけどね。機材借りたりとかもしてたんで。それで「今度ライブやるよ」みたいな話をしてたら、「じゃライブ観に行くよ」って言われて、「だったら出れば?」みたいな感じだったと思うんですけど。なんせ半年以上前の話だから覚えてないな。確かそうだよね?

瀧:観に来るんだったら1曲だけやればいいじゃん、みたいな感じ。

——じゃあライブの直前に出演が決まったんですか。

瀧:そうですよ。

卓球:4月1日でエイプリルフールだし、まあいいんじゃない?っていう。あと、あいつのリハビリにもなるでしょ?人に慣れるっていう(笑)。

それは愚かなこと

——そのあと「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2008 in EZO」にも一緒に出てますよね。

卓球:そんときもちょうど里帰りで北海道にいて。

瀧:あいつ実家にいたんだよ。

卓球:RSRだったら実家近いし。でも全会場をそれでまわるとかってカッコ悪いでしょ。モノマネの「なんと御本人が登場!」っつうのを毎回やるみたいで。寒過ぎるって。まりんの病気も余計悪くなるって(笑)。

瀧:毎回まりんが裏で「待ち時間なげえなあ~」って(笑)。

——ということは、これが布石になって今後本格的に参加していくとか、そういう話はないんですね。

卓球:そういうのをしないから辞めたんじゃないですか!ないですよ。やるときゃやるしそれは。

瀧:みんなその時分の電気グルーヴ好きだねえ(笑)。

卓球:おそらく、いちばん多感なときにそういう電気グルーヴを観てた人が、その時期の電気グルーヴこそ正しいものだと思ってるんだろうね。たぶんそういう人に「自分の持っていた過去のパッションを肯定してほしい!」みたいに思われてるんじゃないかな。やっぱウチらがそういうお客さんに支えられてる部分はでかいんだけど、かと言って、まりんがいたのって電気グルーヴにとってある一部分の期間でしかないし。CMJKがいた時代もあるし、さらにその前の時代もあるわけだから。ましてや、まりんがいなくなってからもう随分経ってるわけじゃないですか。

瀧:「仮面ライダーV3が好きなのに、なんでいつまで経ってもV3をもう一回やってくれないんだ!」なんて言われてもなぁ。

卓球:仮にまりんが戻ってきたとしても、昔のものにはならないし。

瀧:なんないよね。

卓球:そこは関わり方の問題。今のこれくらいの関わり方が一番いいんだろうっていうっていうのは、本人たちが一番わかってる。

インタビュー写真

——フェスなどへの出演とワンマンだと、ライブをやる上での気持ちの違いはありますか?

卓球:フェスだと時間も限られてるし、自分たちのお客さんじゃない不特定多数を相手にしないといけないので、やっぱりセットは変わってきますよね。だってそこで「半分人間だもの」とかさ、でかいステージでやっても(笑)。

——そういうこともやっぱり意識しているんですね。

卓球:何も考えないでやってると思ってたんですか!?(笑)

瀧:フフフ、そりゃそうでしょう(笑)。

——でも、フェスのステージであえてヒット曲をやらない人もいますよね?

卓球:いや、それはないです。そんなんカッコ悪いじゃないですか逆に。その人はそれがカッコいいと思ってるかもしれないですけど。知ってる曲やらないかなーって気持ちが顔に出てる、きょとーんとした人たちを見ながらライブやるのは嫌ですよ(笑)。昔からのお客さんは「電気グルーヴはそういう場面で裏切るもんだろう」とか思ってるみたいなんだけど、それは愚かなことであって(笑)。っていうかね、あなたは責任を取らないからウチらが何をやっても笑えるかもしれないけど、あなたが笑ってても他の人は誰も笑ってないんだよということをね、この場を通じて言わせていただきたいです!!!

次回「例えばテレクラの歌とか / 例えばPerfumeだったり」に続く

ニューアルバム『YELLOW』2008年10月15日発売 / Ki/oon Records

初回限定盤[CD+DVD]:3360円(税込) / KSCL-1294~5 通常盤[CD]:3059円(税込)KSCL-1296

CD収録曲
  1. Mojo(CM mix)
  2. No.3
  3. さんぷんまるのうた / Sanpunmaru No Uta(Album mix)
  4. Mole~モグラ獣人の告白 / Mole~Confession of Mole Man
  5. どんだけtheジャイアント
  6. Acid House All Night Long
  7. ア.キ.メ.フ.ラ.イ. / A. Ki. Me. Fu. Ra. I.
  8. The Words
  9. 湘南アシッド / Shounan Acid(Album Edit)
  10. Area Arena
  11. Fake It!
初回限定盤DVD収録内容
  1. Mr.Empty
  2. ズーディザイア
  3. 半分人間だもの
  4. モノノケダンス
  5. 少年ヤング
  6. Cafe de 鬼(顔と科学)
プロフィール

電気グルーヴ(でんきぐるーぶ)

80年代後半にインディーズで活動していたバンド・人生の解散後、石野卓球とピエール瀧が中心となり結成。テクノ、エレクトロを独特の感性で構成したトラックと、破天荒なパフォーマンスで話題になる。1991年にアルバム「FLASHPAPA」でメジャーデビューを果たし、同年に砂原良徳が加入(1998年に脱退)。1995年にベルリンのレーベルからシングル「虹」がリリースされたのをきっかけに、海外での活動もスタートさせる。1997年にリリースしたシングル「Shangri-La」が爆発的なヒットを記録。2001年、「WIRE01」のステージを最後に活動休止に突入する。その後はそれぞれソロ活動に専念するが、2005年に再始動。2008年には8年ぶりのアルバム「J-POP」をリリースしている。