「SISU/シス 不死身の男」山口貴由・山本英夫がイラスト描き下ろし、「ガールズ&パンツァー」継続高校とのコラボイラストも

フィンランド映画「SISU/シス 不死身の男」が、10月27日より全国で封切られる。本作は不死身とうわさされる老兵アアタミ・コルピとナチスの戦いを描いたバイオレンスアクション。アアタミはツルハシ1本と、フィンランド人特有の折れない心“SISUシス”を武器に、強大な敵に立ち向かう。多くの人にとってサンタクロースやムーミンのイメージが強い、“世界一幸せな国”フィンランドが贈る“爆風マッドエンタテインメント”だ。

映画ナタリーでは本作の見どころを紹介するとともに、すでに映画を鑑賞した著名人のコメントを掲載。バイオレンス描写に定評のあるマンガ家・山口貴由(「シグルイ」「劇光仮面」)と山本英夫(「殺し屋1」「ホムンクルス」)による描き下ろしイラストも公開する。さらにアニメ「ガールズ&パンツァー」ともコラボ。フィンランド軍をモチーフとした継続高校と不死身の老兵の、奇跡の融合をご覧あれ。

文 / 松本真一

映画「SISU/シス 不死身の男」予告編公開中

ストーリー

ソ連に侵攻され、ナチス・ドイツに祖国を焼かれたフィンランド。
ツルハシ1本で敵を討つ、“絶対に死なない”伝説の老兵のバトルがはじまる。

時は第2次世界大戦末期。ナチスの侵攻により焦土と化したフィンランドを旅する老兵アアタミ・コルピと愛犬ウッコは、掘り当てた金塊を運ぶ途中でナチスの戦車隊に目を付けられ、“おたずね者”として追われる。多勢の敵を相手にアアタミはいかにして戦い、そして生き抜くのか──。
地上戦から水中戦、空中戦まで、不屈の魂<SISU>を胸に相手を容赦なく始末していくアアタミの姿は、観る者の身体中の血液が沸騰するほどの興奮を巻き起こす!

血みどろ描写が得意なマンガ家たちも、
「ガルパン」の美少女も!
両極端な応援ビジュアル到着!

山口貴由(マンガ家)

何度も何度も祈った。祈りながら見守った。何か神聖なものに触れているような気がした。

山口貴由の描き下ろしイラスト。

プロフィール

山口貴由(ヤマグチタカユキ)

代表作の1つ「シグルイ」のタイトルは「葉隠」の一節、「武士道は死狂ひなり。一人の殺害を数十人して仕かぬるもの(武士道は死に狂いである。1人を殺すのに数十人がかりで敵わないこともある)」に由来。「SISU/シス 不死身の男」の主人公アアタミ・コルピを連想させるフレーズである。現在ビッグコミックスペリオール(小学館)で連載中の「劇光仮面」は「このマンガがすごい!2023」オトコ編5位、 「マンガ大賞2023」9位にランクイン。

山本英夫(マンガ家)

“不死身”とは、なんぞや? その答えは、この映画にはありません…
“不死身”とは、面白い!が、あり。 余計な回想シーン無し、想いにふける暇なし、
ただただ不死身っぷりを目撃せよ!

©山本英夫

©山本英夫

プロフィール

山本英夫(ヤマモトヒデオ)

元いじめられっ子でありながら超人的な格闘能力を持ち、たった1人で武闘派暴力団に立ち向かう殺し屋・イチを主人公とする人気マンガ「殺し屋1」の作者。同作の実写映画版でのR18+指定となった過激なバイオレンス描写、真剣なシーンなのに思わず笑ってしまう演出は、「SISU/シス 不死身の男」に勝るとも劣らない。そのほかの代表作に「のぞき屋」「ホムンクルス」「HIKARI-MAN」など。

アニメ「ガールズ&パンツァー 最終章」

© GIRLS und PANZER Finale Projekt

© GIRLS und PANZER Finale Projekt

「ガールズ&パンツァー」は、戦車同士を使った武道が“戦車道”と呼ばれ、茶道や華道と並ぶ乙女の嗜みとされている世界を舞台に、全国大会での優勝を目指す女子高生たちの奮闘を描くアニメ。その中に登場するチームの1つ・継続高校の名の由来は、ソビエトによる脅威に対抗し、フィンランドが領土を奪還するために起こした継続戦争だ。同戦争では物資量に劣るフィンランド軍がソビエト軍の戦車や物資を利用して戦い抜いたというエピソードを反映するかのように、彼女たちが駆る機体はソビエト軍のBT-7をベースにフィンランド軍が改造した戦車であるBT-42だ。貧しい高校でありながら、個々の能力の高さで戦果を上げる。今回のコラボでは、アアタミが継続高校の“ナメてはいけない転校生”として大洗女子学園の西住みほと対峙するビジュアルが用意された。「ガールズ&パンツァー 最終章 第4話」は全国で公開中。

海外ではファンアートも大盛り上がり!その一部を紹介!

©︎kirk manley

©︎kirk manley

伝説を語り継げ! 各界著名人からのコメント公開!
「SISU/シス 不死身の男」場面写真

「SISU/シス 不死身の男」場面写真

石野卓球(ミュージシャン / 電気グルーヴ)

タイトルに偽りなし! 不死身すぎると笑えるんですね。

くっきー!(芸人 / 野性爆弾)

マッハの如くスピーディに駆け抜ける極上の時間。痛快に次ぐ痛痛快快の繰り返し。
脳内には最高級御ムービーの残像が鮮明に蠢き、洗われた華奢なワタクシの身体を泥で汚したくなるのです。
究極のオスたる姿を前頭葉に貼り付けられ次第。
MAXの生命力を是非是非! 御LOOKご堪能!
マナコから入力し脳内に蓄積されよ。マジおもろっ❤︎

小島秀夫(ゲームクリエイター)

乾いた大地、渇いた男たち。焦土と化した街、燃え尽きた男たち。もはやこれは戦争映画ではない。
恐ろしくクールな男たちの闘いのMADな挽歌。不死身のジジイのランボーを凌ぐ闘いのアイデアの数々!
このシスをプレイヤーにしてゲームを創りたいくらい!
これは超お薦め! 君もシスれ!

「SISU/シス 不死身の男」場面写真

「SISU/シス 不死身の男」場面写真

棚橋弘至(プロレスラー / 新日本プロレス)

このおじいさんが「SISU」か、と観始めました。
ナチスドイツが、ヨーロッパを侵略していく中で、自然と正義はこちらにあって、いつのまにか応援していました。
世知辛く、生きづらい現代に、生き抜く強さを教えてくれる作品。これから、歳を重ねて「SISU」になります。

こがけん(芸人)

災難に遭遇したといえるのは、どっちなのか⁉︎
数と武力に勝るナチス軍の慢心と油断が、北欧の偉大なる“SISU(不屈の精神)”を目覚めさせてしまった!
彼こそがツルハシ一本で地獄の底から這い上がる戦場の死神。狙われたが最後、墓標のごとく死亡フラグが立ちまくる…(泣)
ナチス軍の視点で観るならば、本作は紛れもなくホラー映画だ!

ホラー映画取締役

おじいさんがツルハシと地雷で繰り広げる 大活劇に全身の血が沸騰した!! 不死身にも程があるだろ!!ってツッコミながらも なんて爽快なんだ。SISUは明日への翼を授かる 最高のエナジームービー!!

海外メディアも軒並み絶賛!

「『ランボー』『マッドマックス』『ダイ・ハード』をミックスした、アドレナリン全開の面白さ!」(Dexerto)
「『SISU』は『RRR』に対するフィンランドの答え」(Collider)

世界一幸せな国・フィンランドから届いた
“爆風マッドエンタテインメント”、3つのポイント!
「SISU/シス 不死身の男」場面写真

「SISU/シス 不死身の男」場面写真

主人公の武器はツルハシ1本、そして折れない心・SISU

本作の主人公は、かつてフィンランドとソビエトの冬戦争に暗殺部隊として参加し、1人で300人のソビエト兵を殺した伝説の兵士アアタミ・コルピ。彼の武器は金塊を掘るためのツルハシ1本だが、知恵と戦闘スキルをフル活用してナチスに立ち向かう。他作品であまり武器として活用されることのないツルハシを振り回し、突き刺し、時には飛行機にぶら下がるという新鮮なアクションシーンに注目だ。

アアタミのもう1つの特徴はその不屈の精神力。彼の魂の中心にあるものを表す言葉こそが、タイトルにもなっている“SISU”だ。これは日本語に直訳できないがフィンランド人独特の意志の強さ、安易な道に逃げない強い心のこと。フィンランドはもともと自然環境が厳しく、大国ロシアと接していることから歴史的にも多くの危機に直面してきた。そんな逆境から立ち直るフィンランド国民独自のたくましさ・SISUは日本人の好みにも合う精神性ではないだろうか。昨今のコロナ禍にも、困難に立ち向かうフィンランドの国民性、そしてSISUの精神は注目されている。強大なナチスと戦うアアタミの勇姿を見た人にもSISU魂は植え付けられるはずだ。

「SISU/シス 不死身の男」場面写真

「SISU/シス 不死身の男」場面写真

撃たれてもつるされても……このジジイ、不死身にもほどがある!

この映画の一番のセールスポイントは、「不死身」とうわさされるアアタミが、とにかく死なないこと。「絶対に死なない」というのはネタバレでは?と懸念する人もいるかもしれないが、本作はとにかく不死身エピソードのバリエーションが豊富。地雷原に追い込まれたら、手元の地雷を投げ込んで爆破することで乗り切る。獰猛な狂犬に追われたら、自らが火だるまになって回避。ほかにも水中で酸素が足りなくなったり、縛り首にされたり、乗っている飛行機が墜落したりと、とにかく大変な目に遭うので、どうやって生き残るのかをお楽しみに。

その不死身ぶりに、試写会のあるシーンでは笑いが起きたほど。人はあまりにすごいと笑ってしまうのだ。この特集でイラストを描き下ろしてもらった山口貴由や山本英夫のマンガでも、「ギャグシーンではないのに、あまりのすごさに思わず笑ってしまう」ということがあるが、本作でもそれに似た体験をすることができる。

余談だがアアタミの愛犬ウッコも映画のラストまで生き残るので、犬好きも安心だ。

「SISU/シス 不死身の男」場面写真

「SISU/シス 不死身の男」場面写真

ネクスト「RRR」? 誰かに言いたくなる「掘り出し物」感

多くの映画ファンは「フィンランド映画なんて観たことがない」「この主演のヨルマ・トンミラって人も知らないよ」と思うかもしれない。しかし本作は本国フィンランドでは19週連続でトップ10入りの大ヒット、アメリカの映画批評サイト・Rotten Tomatoesでは98%のFresh(高評価)を獲得している。「まだまだ無名だが観た人は満足している」という現状は、これから「RRR」のように口コミでヒットする可能性も秘めているということだ。

スタッフやキャストになじみのある名前は少ない本作だが、逆に言えば「事前にあの映画を観ておきたい」というような準備も必要がない。本編が91分とやや短めなこともあり、軽い気持ちで映画館に行って「とにかく強いジジイが敵を皆殺しにする」というシンプルなストーリーを楽しんでほしい。映画を鑑賞したあとには「まさかあれで死なないとは……」「あのツルハシの使い方!」と誰かに言いたくなることは間違いない。あなたもアアタミの不死身伝説の語り部となるのだ