ナタリー PowerPush - クリープハイプ

2人はライバル!? 尾崎世界観×松居大悟対談

決めつけが表現者には一番の敵

松居 実際に出来上がった曲と、作ってるときの精神状態って関係あるんですか?

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尾崎 「クソが……」とか(笑)、そういう言葉が出てくるのは、そういうことをいち早く、誰かに相談するみたいな感覚で。自分の今の感情を曲にしてしまうっていうか。音楽に自分の思いを聞いてほしいっていうか。「あいつムカついて」「こういうことがあったんだよね」って、友達に言うような感じで書いてますね。

松居 自分の感情を曲にすると消化できる?

尾崎 そうですね。「クソー」と思ったこともムダじゃなくなるし、浮かばれるというか。

──先程松居さんもおっしゃってましたが、「身も蓋もない水槽」から「ABCDC」の流れは攻めてますね。今のバンドシーンのシステムや、「これって何々系だよね?」ってカテゴライズされることに対する怒りがあらわで。

尾崎 まさにそういう歌詞ですね。ホントに腹が立ってしょうがないので。そういう決めつけって、表現者には一番邪魔な敵というか。

──舞台や映画でも同じようなところはありますか?

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松居 ありますね。まあ、僕の場合はほかの演劇の人とあんまり仲良くさせてもらえなくて。浮いた存在なんで(笑)。僕が映画を撮らせてもらったり、尾崎くんから音楽業界の話を聞いたりしたときに感じたのは、ほかの創作物をもっとリスペクトしてもいいんじゃないかってことで。演劇人たちは演劇が一番だと思ってて、映画界の人も映画が一番だと思ってる気がして。「アフロ田中」も「原作を超えてない」って言われて、ものすごく腹立ったんです。「超える」って発想がそもそもおかしいだろって。マンガをリスペクトしてないだろ、その考え方がダメだろって。

尾崎 あー、確かに。

松居 そう思ってTwitterに呟いたんですけど、それは10分後に消して……。

尾崎 消したんだ?

松居 嫌われたくないから(笑)。でも、みんなほかのジャンルにも触れてみたら、エンタメ業界が画期的に変わると思うんです。

尾崎 僕は音楽シーンをひっくり返したい思いがあるかな。特に上の世代に対してそう感じる部分があって。同世代だったり、ほかのジャンルの人たちのことは、尊敬してるし、なんの悔しさもなく認められるんです。ま、知り合いとか友達だったら悔しいけど、映画観たり、小説読んだり、写真とか見たりして100%感動できるんで。

──ふたりは出会いからして必然だったってことですね。

松居 うん、そうですね。ずっと好きだったんで……って告白みたいになってきた(笑)。

尾崎 それ見出しになっちゃうよ?

松居 やばいやばい。

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クリープハイプ/「オレンジ」ビデオクリップ

クリープハイプ/短編映画「イノチミジカシコイセヨオトメ」トレーラー

ニューアルバム「死ぬまで一生愛されてると思ってたよ」2012年4月18日発売 Victor Entertainment

  • 死ぬまで一生愛されてると思ってたよ(初回限定盤)/ Amazon.co.jpへ
  • 初回限定盤[CD+DVD] 3300円(税込)/ VIZL-470 / Amazon.co.jpへ / Amazon.co.jpへ
  • 通常盤[CD] 2800円(税込)/ VICL-63865 / Amazon.co.jpへ
CD収録曲
  1. 愛の標識
  2. イノチミジカシコイセヨオトメ
  3. 手と手
  4. オレンジ
  5. バイト バイト バイト
  6. ミルクリスピー
  7. 身も蓋もない水槽
  8. ABCDC
  9. 火まつり
  10. 蜂蜜と風呂場
  11. チロルとポルノ
  12. exダーリン (初回ボーナストラック)
初回限定盤DVD収録内容
  • ショートフィルム『イノチミジカシコイセヨオトメ』
  • ミュージックビデオ『オレンジ』
クリープハイプ(くりーぷはいぷ)

尾崎世界観(Vo, G)、小川幸慈(G)、長谷川カオナシ(B)、小泉拓(Dr)の4人からなるロックバンド。2001年に結成され、2009年11月に小川、長谷川、小泉が正式メンバーとなり、精力的に活動を展開。2010年に発売した1stフルアルバム「踊り場から愛を込めて」がCDショップを中心に話題となり、一気に名前を全国区に広めた。2011年7月にミニアルバム「待ちくたびれて朝がくる」を発表し、同年10月の渋谷CLUB QUATTROでのワンマンライブはソールドアウトとなった。2012年4月にビクターエンタテインメント第1弾作品としてアルバム「死ぬまで一生愛されてると思ってたよ」をリリース。

松居大悟(まつい だいご)

1985年生まれ。慶應義塾大学入学とともに演劇サークル「創像工房 in front of.」に入団し、俳優として活動したのちに2006年に演劇ユニット「ゴジゲン」を旗揚げする。2009年にNHKドラマ「ふたつのスピカ」で脚本家デビューを飾り、その後、活動の幅を広げ、テレビドラマ、ラジオドラマ、短編映画などで脚本や監督を担当。2012年2月には映画「アフロ田中」で初めて長編映画の監督を務め、大きな注目を集めた。