大橋さんの音楽はすごくセンスがいい

──大橋さんが楽曲提供した2人のコラボ曲「2人は小さな恋人」は、海を越えてデータのやり取りをして完成させたと聞きました。というわけで、お2人が顔を合わせるのは今日が初めてだそうで。

大橋トリオ　そうなんです。だから僕はちょっと緊張しています。

クレモンティーヌ　私は大橋さんのこと、きっとセンスがいい方に違いないと思っていました。音楽がすごくセンスがいいなと感じていたので。

大橋　おお、ありがとうございます！

──そもそも今回のコラボはどんな経緯で実現したんでしょうか？

クレモンティーヌ　まず私がアルバム「CLEMENTINE SINGS Disney」でひさびさに日本人の方と仕事をしたいと思って、スタッフが勧める日本人アーティストの作品を何十枚か聴かせてもらったんです。その中で大橋さんの世界観にすごく興味が湧いて、ぜひこの方にお願いしようと。

──具体的には、どんな部分に興味を？

クレモンティーヌ　とにかく音楽的な引き出しのたくさんある方だなと思いました。私と一緒にやったらどんな引き出しを開けてくれるんだろう？と、ワクワクさせられましたね。

大橋　光栄です。僕はこのお話を聞いたとき、うれしかったと同時にすごくドキドキして。海外の方とのコラボレーションは初めてですし、僕の作るメロディで大丈夫なのかという不安もありました。

──制作の流れとしてはまず大橋さんがメロディを制作したそうですが、どのようなイメージで音を作っていったのでしょうか？

大橋　ディズニーがテーマのアルバムで、この曲に関しても「ミッキーとミニーのパリのデート」という明確なコンセプトを聞いていたので。あえて言葉で言うなら、奔放なミニーに一生懸命なミッキーが振り回され続けて……っていうイメージですかね。僕はパリに行ったことがないので、“パリらしさ”は想像なんですけど（笑）。

クレモンティーヌ　素晴らしかったです！ どちらかというとちょっと昔のパリというか、街が芸術であふれていた時代の雰囲気がすごく出ていると思います。

大橋　うれしいです。あとこの曲はアレンジも自分でやろうかと考えたんですが、たぶんホームグラウンドであるパリのミュージシャンに頼んだほうが絶対いいものができるだろうと感じて、クレモンティーヌさんにやってもらったんです。そのほうが現地の空気や匂いみたいなものも出ると思ったし。で、デモテープと楽譜だけお渡ししたらイメージ通りの素敵なアレンジになって返ってきました。

クレモンティーヌ　ジャズのスタンダードのような、これから長く愛されていく曲になるんじゃないかなと思いました。あと普段大橋さんの楽曲の作詞をされているMiccaさんに書いてもらった歌詞の世界観もしっかりしていて、フランス語に訳したときの音楽との融合性も素晴らしいなって。歌詞の情景がリアルに浮かびました。

日本語とフランス語のリズムの違い

──大橋さんは自分の作ったメロディにフランス語が乗るということで、その点での難しさはありましたか？

大橋　英語の歌はたまに作るんですが、フランス語は初めてだったので、僕のメロディにフランス語がちゃんとハマるのかっていうところは心配でしたね。だからクレモンティーヌさんの過去の作品やフランス人歌手の曲を動画サイトで聴いて、言葉のリズムをつかもうとしました。

──完成したものを聴いてみて、実際のハマり具合は？

大橋　僕が言うのもなんですけど、バッチリだと思いました。さすがクレモンティーヌさんだなって。

クレモンティーヌ　大橋さんの作ったメロディはフランス語の歌も乗せやすかったです。

大橋　ちょっと聞いてみたいんですけど、「2人は小さな恋人」には日本語の歌詞も混ざってますよね。日本語で歌うときのリズムの難しさってありますか？

クレモンティーヌ　フランス語は途中で切れないというか、すべてが続いているように聞こえると思うんです。でも日本語は逆で、非常にカクカクしてます。スウィングしやすい言語ではないので、そういった面で歌のよさが消えてしまわないように意識しました。

大橋　なるほど。日本語は僕でもリズムを付けて歌うってことが難しいですから。英語で歌うとすごく気持ちいいんですけどね。

クレモンティーヌ　スペイン語やポルトガル語でもぜひ歌ってみてください。英語やフランス語と同じくらいスウィングしやすい言葉ですよ。