自分の決定が人生を大きく左右することになる

──リョウガさんとしては、今メンバーになっているシューヤさん、マサヒロさん、アロハさん、ハルさんの印象はいかがでしたか？

リョウガ　印象かあ。シューヤは特徴的な声をしているから、タカシと2人で歌うとなったら、すごく合うか合わないかなんだろうなという感じはしていて。そう。それこそ、審査の中で「タカシと一緒に歌ってもらわない？」という話になったとき、候補が2人くらい挙がったんです。でも、僕としてはシューヤをはじめ、その2人以外の方との相性も見たほうがいいと思ったので、「全員やってもらったほうがいいんじゃない？」みたいな話をしましたね。そんなことがあって……実際タカシとシューヤが一緒に歌ったのを聴いたときに「あ、すげえいいな」と感じたのは覚えてます。あと、マサヒロはチャックが開いてた記憶が……。

シューヤ　そうだ、それだ（笑）。

リョウガ　バッキバキに決めてたんですけど、ズボンのチャックが開いてて。「あ、コイツ入れなきゃな」って（笑）。

マサヒロ　それみんな、タクヤくんとかも言うんですけど、全然覚えてなくて。

リョウガ　開いてなかったら入ってなかったかもしれない。

マサヒロ　でも、それで扉を開けたんですもんね、超特急の。

リョウガ　「新しいドアをノックして」……。

シューヤ　ちょっと！ ここで「Yell」の歌詞使うのやめて!?

リョウガ　で、アロハはザ・陽キャじゃないですか。俺、絶対無理だなと思ってた。

シューヤ・マサヒロ　あはははは！

リョウガ　もう、陽キャすぎてヤバい！っていう印象でした。でも、オーディション参加者を募集するときのコメントに「陽キャも陰キャも大歓迎！」って書いちゃったから。言質取れちゃってるから、陽キャを理由に入れないというわけにはいかず、新メンバーに決まりました……（笑）。で、ハルはなんでしょう。言い方が難しいんですけど、無属性というか。まだ何色にも染まっていなくて、それこそダンスもあまりクセがなくて、若いけど雰囲気はなんだか大人っぽくて。“何にでも化ける”という超特急のイメージに合ってるのかなって。ごめんなさい、ハルだけちゃんとした理由になっちゃって、逆にハルだけ浮いてますけど（笑）。そんな印象でしたね。

──初めてオーディションの“審査側”に立ってみての実感というのは、いかがでしたでしょうか。

リョウガ　そうですね。最初の審査は応募者の皆さんから送られてきた資料と映像をすべて見ないといけないんで。その行動がいかに“作業”にならないようにするかってことだったり……本当に、自分の決定が人生を大きく左右することになるのでね。自分たちが決めたことだから大変がるのは筋違いなんですけど、難しいなと思うことはありました。また、自分たちの活動と平行線で、それこそフェス出演終わりとかに資料を並べて話し合っていたりしたので。特にタカシなんかはだいぶ、一番精神を消耗していたんじゃないかなと思います。

世界が一気に広がった

──ここからは、オーディションに合格して超特急に加入したことで起こったご自身の変化について聞かせてもらえたら。

マサヒロ　変わったことはめちゃめちゃありますね。中でも一番大きいのは、応援してくれるファンができたことです。ダンサー時代にも応援してくれる方はいたけれど、とはいえそれは好きなアーティストに付いているダンサーだから、という理由だと思うので。僕自身のことを応援してくれるファンができた、その感情を味わえたのは超特急に入ったから。入った人にしか感じられないものだからこそ、うれしいですよね。あと1つ簡単なことで言うと……おいしいメシが食えるようになりました。

シューヤ　あはははは！

リョウガ　さすが“ごはん担当”やなあ。徹底してるわ。

マサヒロ　ちなみに今、オチのほうが先に浮かんでました（笑）。

──シューヤさんはいかがですか？

シューヤ　僕は……モテるようになりましたねえ！

リョウガ　お、初っ端にオチ持ってきた（笑）。

シューヤ　やっぱり“チャラチャラ担当”しておかないと！……って、めちゃくちゃ冗談です、すみません（笑）。でも、世界が変わったんじゃないですかね。僕はもともと歌ってたし踊ってたし、やっていることは正直変わっていなくて。どれだけ応援してくれる方が増えたとしても、自分たちのファンのことを一番に考えることを変えたくないという思いもあるから、そこに対するベクトルは一切変わっていないんですよ。前はファンの方との距離がより近かったから、ファンのみんなの気持ちを考えて行動することに慣れていると思うし、だからこそ使命感を持って、その経験を今の場所でも生かしているつもりです。

リョウガ　そうだな。

シューヤ　でもやっぱこう……超特急になってテレビに出たり、アリーナ規模のライブをして、みんなでドームを目指している中で……見える景色もそうだし、応援してくれる人、関わってくれる人、世界が一気に広がったので。そういう変化によって、ステージに立つ人間としての自覚なんかも一気に変わったような気がしますね。

──4人が超特急に加わったことでグループに起きた変化を、リーダーのリョウガさんはどう捉えていますでしょうか。

リョウガ　新体制になってから今までの2年間、この4人を入れた、新体制になったことに対しての後悔というものがまったくないので。それは改めて「この4人でよかったな」と思うことだし、そう思えるのはきっと、超特急が9人になったことですべてがプラスに転じていることの表れなんじゃないかなとも思います。もう、わかりやすく“ザ・青春”みたいな。決して5人時代がそうじゃなかったということではないんですけど、すごく笑顔が増えて……って、なんだか学校の先生みたいな感じになっちゃったけど……。

シューヤ・マサヒロ　あはははは！

リョウガ　だんだん通信簿みたいになってきましたけど（笑）。

シューヤ　そういうこと言わなきゃいいのよ！（笑）

リョウガ　より一層という意味でね、何気ない瞬間、楽屋にいるときなんかの笑顔がすごく増えたし。っていうのは、自分自身もそうですけど実感としてありますね。

──ちなみに、リョウガさん自身が「変わったな」と思うことはありますか？

リョウガ　なんだろうなあ。周りから見たらあるかもしれないんですけど、僕としては正直、何かが変わった自覚がないんですよ。僕は昔から同じスタンスだし、新メンバーだからといって特別扱いはしないし、したくないので。だからそこまで言うほどの何かは……ごめんなさい、ないです。

シューヤ　えーあるじゃん！ ごはんに誘われたら、多少は行くようになったよって。

リョウガ　出た。これね、シューヤはそう言うんすよ。「俺がリョウガっち変えました！」みたいな。

シューヤ　そんなふうに言ってないよ！（笑）

リョウガ　これはそもそも、「らしくないことをする」というのを1年の目標として立てたから、そうしただけであって。シューヤはね、「自分の手柄だ」みたいに言ってますけど、そういうことじゃないんですよ。そこはね、気まずいっす。「そうだね、お前のおかげで家の外に出てるわ」ってその場しのぎで言ってますけど、そうじゃないよって。

一同　あはははは！

自分のコアとなるものは、しっかり持って臨まないと

──では最後に、「オーディション」が自分の人生においてどんなものになったか。これから受ける方へのアドバイスも含めて教えてもらえたらと思います。

シューヤ　僕にとっては、第2の人生をくれたものですね。アドバイスは……「超アーティストオーディション」はグループのオーディションじゃないから難しいけど、もし自分が審査員の立場だったら、「たくさんの人を感動させたいから、このオーディションに命懸けてます」みたいなアピールって、正直どうでもいいというか。なんでそう思うのか、そこに至るまでの経緯があるわけじゃないですか。その“経緯”と、自分がどれだけオーディションに向き合っているのかと、なんでここじゃなきゃダメなのか。それが大事だと思うので。そういうことを考えて臨むのがいいんじゃないかなと思います。自分のコアとなるものは、しっかり持って臨まないと。さっきリョウガっちも言ってたけど、見る側はその人の真意を問いますから。一度自分のことを見つめ、しっかりと考えたうえでオーディションに参加したほうがいいんじゃないかなと思います。

マサヒロ　僕もシューヤとほぼ同じ思いなんですけど、オーディションは自分の人生に新しく線路を敷いてくれたものというか……。

リョウガ・シューヤ　……。

マサヒロ　笑うところです。

シューヤ　今、迷ったんだよなあ！ ごめん！（笑）

リョウガ　俺は耐えた。「コイツ、またふざけ始めたな」と思ったよ（笑）。

マサヒロ　失礼しました。アドバイスですよね。野球に例えるんですけど、オーディションがバッターボックスだとしたら、バッターボックスに立つためにめちゃくちゃ練習するじゃないですか。でも、バットを振るのは一瞬。オーディションは一瞬なので、それまでの期間ってめちゃくちゃ長く感じると思うんですよ。で、空振りに終わってしまったら落ち込む。僕自身、専門学校時代はダンスがめちゃくちゃヘタだったし、オーディションに合格している上手な子を見て「自分は才能ないのかな」と考たこともありました。でもそこで割り切って、僕は在学中と卒業してからの少しの時間を、次にチャンスが来るときのための準備期間だと考えたんです。そうして、いざチャンスが巡ってきたときに僕は受かることができた。だから、その“準備期間”を一番大事にしてほしいなと思います。「オーディションのときだけがんばろう」はたぶん無理なんで。うまくいかないときがあっても、準備期間だと割り切って練習をがんばってほしいなと思います。

リョウガ　僕としては、元も子もないかもしれないんですけど……「落ちてしまったらおしまい」というわけではないというか。気持ちとしてはそれくらい強い気持ちでいったほうがいいだろうし、実力も大事だとは思うけど、オーディションには運とか縁、みたいなものもあると思っているので。そこって自分の力ではどうしようもないじゃないですか。あと、人によっては気楽にいったほうが実力を発揮できるかもしれない。人間性やキャラクターが出るかもしれない。どういう状態だったら自分の100％が出せるのかということを考え、その環境を作って臨むことが、受ける側としては意外と大事なのかもなと思います。それこそね、僕は運がいいだけで、親が勝手に応募した事務所の面接に何かの手違いで受かったのが始まりなので。

シューヤ　手違いじゃないだろ。

リョウガ　あ、あと1つ思ったことを言い忘れてました。オーディションって、受ける側の気持ちはもちろん大事だけど、“受け入れる側”の気持ちも大事だと思っていて。僕らの場合は、8号車（超特急ファンの呼称）が新体制に対して寛容に……「そうなることで前に進めるなら、形が変わってもいい」と理解を示してくれる方がすごく多かったなと、当時すごく思っていたんです。この記事は受ける側へのメッセージですけど、受け入れる側もしっかりと気持ちを持つことが大事なんだっていうことを、自分は「超特急募」で思いましたということは、言っておきたいです。

──ありがとうございます。

リョウガ　ちなみにこのオーディション、名前に「超」が付いているじゃないですか。「超特急関係のオーディションなんじゃね？」と思う人いそうじゃない？ ざわついてたりしないですか？

シューヤ　書いておいてください。「まったく関係ありません！」って。

リョウガ　いや、わかんないよ。俺たちが知らないだけかも（笑）。

シューヤ　裏で動いてる？ 嘘だろ？

リョウガ　弟分の「準特急」ができるかも（笑）。

シューヤ　マジで？ やだよ！

リョウガ　陶芸の達人を集めた「超陶芸」ができるかもしれない。まあ、それは冗談ですけどね（笑）。

※記事初出時、本文の一部に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。