「超アーティストオーディション」特集| ヒャダインが語る「やってみる人生」を選ぶべき理由

超特急やDISH//、Vaundyといったアーティストを輩出してきたスターダストプロモーションの音楽レーベル・SDRによるオーディション「超アーティストオーディション」が、9月30日まで応募を受け付けている。

「超ボーカリストオーディション」「超ボーカルオーディション」として過去2度にわたって実施されてきたSDRのオーディション。今回はボーカル部門だけでなく、ジャンルを絞らない応募枠「超なんでもオーディション」が新設された。各部門でのグランプリ獲得者には、賞金および活動費として100万円が進呈される。

オーディション開催に際し、音楽ナタリーでは全2回にわたって特集を展開する。第1弾の超特急リョウガ、シューヤ、マサヒロ(参照:超特急リョウガ×シューヤ×マサヒロ それぞれにとっての“オーディション)に続き、第2弾にはSDR所属の音楽クリエイター・ヒャダインが登場。音楽活動のみならず、MC、タレントなどマルチに活躍の場を持ち、オーディション審査員としての経験も豊富な彼に、「超アーティストオーディション」の印象、さらにはこのオーディションに“参加すべき理由”を語ってもらった。

取材・文 / ナカニシキュウ撮影 / 曽我美芽

SDR Presents 超アーティストオーディション

スターダストプロモーションの音楽レーベル・SDRによるオーディション。第3弾となる今回はボーカル部門だけでなく、これだけは“超得意”という方へ向け、ジャンルを絞らない応募枠「超なんでもオーディション」が新設された。

「超なんでもオーディション」の応募資格は、音楽にまつわる作詞作曲などはもちろん、マンガ、イラスト、動画制作、インフルエンサー、AI、造形師、書道家、陶芸家など、音楽以外でも公序良俗に反さないジャンルならばなんでもOK。

各部門でのグランプリ獲得者には賞金および今後の活躍を期待しての活動費として、100万円が贈呈される。さらにボーカリスト、クリエイターとしての活躍をSDRが全面バックアップする。

部門

1. 超ボーカルオーディション
2. 超なんでもオーディション ※新設

募集期間

2024年7月25日(木)0:00~9月30日(月)23:59

審査

一次審査:10月初旬(書類審査)※選考通過者には10月初旬までに二次審査を案内予定
二次審査:10月中旬(オンライン)
最終審査:10月下旬(東京都にて開催予定)

詳細・応募はこちら

SDRは特殊な才能の生かし方に長けている

──現在行われている「超アーティストオーディション」について、ヒャダインさんは率直にどんな印象をお持ちですか?

弊社もデカくなったもんだなって(笑)。EBiDANというものが始まったばかりの頃は、DISH//と超特急で“非アイドル”として細々とやっていたのが、あれよあれよと。超特急なんて、この間「24時間テレビ」(日本テレビ系)にも出ていましたもんね。皆さまのご愛顧に感謝だなと思います。

ヒャダイン

──実際、応募者の中には超特急などに憧れてこの道を志した人も少なくないでしょうね。

多いと思いますね。スターダストプロモーションという母体があるんで、それこそ超特急の子たちが役者としても活躍していたりするように、そっち方面にも強いですし。歌やダンスだけでなく、お芝居やバラエティなどへの志向が強い人にも対応できる。SDRのオーディションが芸能を志す人たちの大きな選択肢の1つになり得ているというのはうれしい限りです。

──おっしゃる通り、ほかの一般的なアーティストオーディションよりも幅広く活動できそうなイメージを持っている方が多いと思います。

SDRの所属アーティスト自体、ジャンルがかなり幅広くなっていますしね。それこそVaundyくんみたいな人もいますし、ありがたい話ですよ。

──「ありがたい」(笑)。

ホンットにありがたい。超特急などのボーイズグループにしてもただカッコいいだけじゃなかったり、ほかのグループさんとは違う色を出せるのが強みになっていますよね。そんなふうに自分の個性を磨いて打ち出したいタイプの人にも合っているオーディションなのかなと思います。

──今回新設された「超なんでもオーディション」枠は、まさにそんなSDRの特質が表れていますよね。ジャンルレスに自分の得意なもので勝負できるオーディションで、作詞作曲などはもちろん、イラストや動画制作、書道、陶芸などなど、公序良俗に反しないジャンルならばなんでもOKという、極端に間口の広い募集要項になっていて。

節操ないですよね、ホントに(笑)。

──そこが実にスタダっぽいなと感じます。

普通のオーディションだと、対象が「何歳から何歳までの男性 / 女性」とかって決まっていて、歌やダンスの能力を見るという限定的なものが多いですけど、これは大学の一芸入試みたいなものというか。やっぱり今の時代、何か1つのことに秀でた人というのはフックアップされるべきですし、スポットライトが当たってしかるべきだと思います。そういう時代において、こうした試みを一番乗りでやろうとする姿勢がいいなと思いました。

──SNSなどでも、ニッチな特殊技能がバズるケースが増えましたもんね。SDRにはもともとそういう“変な魅力”を尊重する文化が根付いている印象が強いですけど、それが時代のムードにも合致してきたというか。

ですね。うちの事務所は、そういう特殊な才能の生かし方には長けているんじゃないかなと思います。

不合格=才能の否定ではない

──何か特殊な才能を持っていたとしても、「自分のこんな特技で通用するんだろうか?」と二の足を踏んでいる人もいるんじゃないかと思います。

確かに。でも、現時点で自己評価が低かったとしても、実際に実力がまだ足りていなかったとしても、「それがいい」と思ってくれた大人によって選ばれることはありますから。中に入ってから成長することも全然できますんで。例えば超特急のタカシボーイ(バックボーカルの7号車タカシ)なんて、あんなに表現力豊かに歌えるまでに成長するとは僕は思っていませんでしたから。彼もグループに入ってからいい仲間やいい舞台と出会い、その結果としてあれだけの成長を遂げることができたわけで。なので「やりたい」という気持ちがあるなら、あれこれ考える前にエントリーしたほうがいいんじゃないかと思いますね。応募するだけならタダですし。

──仮にそこで引っかからなかったとしても、何か失うものがあるわけじゃないですしね。

たまたまそのオーディションが求めているものと方向性が合致しなかっただけかもしれないし、不合格=才能の否定ということではないですから。

──ヒャダインさんご自身にも、自分では思ってもみなかったけど業界に入ってから気付いた能力や特性はありますか?

ありますね。一番大きなものは、お話する能力です。2012年にいきなり「musicる TV」(テレビ朝日系)という音楽番組のMCを任されることになって。これは今も続いているんですけど、始まった当初はまさか自分が番組MCをできる人間だとは思っていなかったですから。

──そうだったんですね。今となっては、一般の認識としては「え、ヒャダインってミュージシャンだったの?」という人も少なくないのではないかと思います。それくらいMC業、タレント業に違和感がないと言いますか。

サウナの人だと思ってる方もいるでしょうしね(笑)。前に誰かから「芸人だと思ってたら、あの曲もこの曲も作ってる人だと知ってびっくりした」と言っていただいたこともありました。それくらい、多面性を許容してくれる事務所だということですよね。「この肩書きの人はこういう活動をしなければいけない」に囚われず、「能力があるならやればいいじゃん」というふうにのびのびやらせてもらえるところなんじゃないかと思います。

ヒャダイン

──世の中的にも多様性、多様性と言われてはいますけど、そのわりに個人の多様化を全然認めてくれない組織がまだまだ多い中で、スタダはちゃんと柔軟に考えてくれる?

実感としてそうですね。もちろん、行きすぎたらダメだと思いますけど。

──例えばですけど、「『超なんでもオーディション』にこんな人が来たら面白いんじゃないか」と思いつくものは何かありますか?

そうですねえ……「国際スパイやってました」みたいな人がいたら、僕が審査員なら一発で合格の札を上げますけどね。

──国際スパイ! 言っちゃいけない経歴のような気もしますが(笑)。

あははは。そんな人が来たら「今すぐ『さんま御殿』行ってこい!」って言われますよ。それだけじゃなくて、例えば歌やダンスができるとかだったらグループに所属してもらって、海外で活動する際に通訳としても活躍できるでしょうし。各地でイベントをするときの根回しとかも、うまくやってくれそうじゃないですか。で、自己紹介のときは「はい! 諜報担当、◯◯です!」みたいな(笑)。めちゃくちゃインパクトありますよ。

オーディション経験者は強くなる

──スタダに限らず、世の中にはオーディションをきっかけに活躍されている方がたくさんいらっしゃいますよね。ヒャダインさんから見て、「オーディションから出てきた人ならではだな」という魅力を感じる方はいますか?

僕は昔からハロー!プロジェクトが好きなので、ハロー!プロジェクトのメンバー全員にそれを感じますね。みんな「我が我が」とガツガツしてるんですよ。「私はいいです……」みたいな子が1人もいない。やっぱりスカウトで入って、蝶よ花よと大事にされてきた人とは違って、「自分の力で生き残らないと!」というハングリー精神があると思います。もちろん、スカウト組が悪いという意味ではないですよ? どちらにもよさがあるのは間違いないけど、オーディション組の魅力はそういう「やられて強くなる」みたいなところなのかなと。

ヒャダイン

──なるほど、雑草魂みたいな。

しかもオーディションに受かることがゴールではなくて、受かったあとのほうが大変なんですよ。特に既存のグループに途中から加入する人たちは……超特急の4人(2022年8月に加入したシューヤ、マサヒロ、アロハ、ハル)もそうですよね。彼らは初期メンバーをずっと応援してきたファンの注目を一身に浴びるし、その一方で先輩たちのレベルに短期間で追いつかなければいけない。その困難を乗り越えることで得られる強さやきらめきは、まさにオーディション組ならでは、途中加入組ならではのものだなと感じます。