ちゃんみな|自分と向き合い受け入れた二面性

“Princess”の次は“Queen”を通り越して

──続く「KING」は全然スタンスが違って、アグレッシブな姿勢を歌っています。この曲には“席替え”というワードが出てきますね。

「未成年」(2018年3月発売)で「そろそろ始まるからね席替え」と歌っていたんですけど、その席替えは終わったなと思ったので書きました。

ちゃんみな

──先輩や大人たちにナメられていた時代はもう終わって、「未成年」で歌っていた“席替え”が済んだ今となっては私が王様だと。

私に勝てるやつなんていなくね?という思いです。そういう部分も確実に私の人格にはあるんですよ。そこは否定しないで出していこうと。ただ“Queen”を通り越して“KING”になっちゃった(笑)。「Princess」という曲があるから、次は「Queen」にしようかなと思っていたんですけどね。むしろ男女の垣根を超えて“KING”になってやろうという気持ちになったんです。

──そんな“KING”が「u.」の最後で「Baby」という曲を歌ってる。

これは私のパブリックイメージ的な強くてキングな感じと、ちょっとかわいこぶってる感じを出したいと思って作った曲です。歌詞に出てくる「groovy groovy」というのは子供たちが「わーい、わーい」みたいな意味で使う言葉で、「わーい、わーい」ってはしゃいでるけど上から目線で「ほら、こんな私を喜べよ」と言ってるみたいなのが面白いかなって。あとこういうサウンドをやりたかったんですよね。ちょっと2000年代っぽい感じのガチャガチャ感。それが欲しかったんです。

──2000年代初頭のK-POP感もあるし、80年代ポップスのエッセンスも強く感じました。この音はちゃんみなの新境地ですね。

ちょっとタイムスリップした感じで作りました。

──サウンドの話になりましたが、今回の2作は今現在のUSの潮流を見事にパックしていますね。トラップがあってオルタナティブR&Bがあって、ダークでチルなポップも入ってる。ちゃんみなの作品の中で過去最高のクオリティだと思いました。

ありがとうございます! 私も今回の音はすごく満足してます。全体的にバランスよく仕上がりました。「In The Flames」はピアノ主体でボーカルも1本で録った初めての感じだし。

──「KING」のフックのフロウも新しかった。どこか和風なのにトラップビートにバッチリはまっていて、中毒性の高いフロウだと思いましたし、ヨーデルみたいな裏声の使い方も新鮮でした。

あれはちょっと民謡っぽい感じが出たんだと思います。このフックのフロウは一発で出てきたんです。ロサンゼルスでBhad Bhabieとかを手がけているPliznayaというプロデューサーとセッションすることになって、スタジオにはトップラインを書く作家もいたんです。そのトップライナーが先に入れてたメロがめっちゃよかったんですよ。でもその人たちが「こんな感じっしょ? 全然イケてるっしょ?」みたいな態度だったから、「待てよ。ナメんな。私もブースに入れさせて!」って録ったのがこれだったんです。そしたら向こうも「おー!」と喜んでくれた。私の意地でできたフロウなんです(笑)。

ちゃんみな

ちゃんみなの2020年は“◯◯祭”

──改めて「Me.」にいるちゃんみなと、「u.」にいるちゃんみなを自分で説明するならどんな人物像になりますか?

「Me.」のほうにいる私はたぶんいい人。善人的で絶対にポイ捨てはしないし、人を助ける。報われてると思って善人的になってる感じ。「u.」のほうは守るものなんて何もないって感じかな。わかりやすく「Me.」と「u.」を解説するなら希望的な自分と絶望的な自分。

──でも「u.」のほうには絶望からくる強さがありますよね。あきらめからくるたくましさとか。

そうなんです。「u.」は振り切ったことによってもうなんでもよくなってる。「Me.」は全部何かを期待してるんです。

──期待するからこそ不安にもなる。臆病にもなるし、強がったりもする。そいう不器用な女の子が描かれてる印象です。

強がってますね。でも、そんな自分も受け入れてるっていう感じかもしれない。

──冒頭で2019年の漢字は“勝”だったと話していましたが、2020年の展望を表す漢字はなんですか?

“獲”です。ちゃんみなの歴史の中で、絶対に何か変なことが起こるぞという確信があって。

──変なこと?

私、タトゥーで指にデビュー年の「2017」を彫ってるんですけど、たぶん次は中指に「2020」と彫ることになると思っていて。いいこともあるし、悪いことも起きると思う。とにかく大きい何かが起こると思う。

──将来振り返ったときにターニングポイントになるような1年になると。

そう。デビューに次ぐ、でっかい何かが起こると思う。

──そこで“獲”という文字にしたのは?

「いいことも悪いことも全部獲ってやる」という思いからです。例え負のことでも自分のモノにしてやるという気概もあるし、2019年に撒いた種から育ったものを全部獲っていきたいから。

──じゃあ、ちゃんみなさんにとって2020年は……?

収穫祭ですね(笑)。

公演情報

ちゃんみな「『Me』 + 『u』 TOUR」
  • 2020年3月26日(木) 東京都 Zepp Tokyo <出演者> ちゃんみな / SKY-HI
  • 2020年3月29日(日) 大阪府 Zepp Namba <出演者> ちゃんみな / ACE COLLECTION
  • 2020年4月2日(木) 愛知県 Zepp Nagoya <出演者> ちゃんみな / アバンティーズ
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