BUMP OF CHICKEN「BUMP OF CHICKEN TOUR 2017-2018 PATHFINDER SAITAMA SUPER ARENA」 PR

BUMP OF CHICKEN|「何も引っ提げないツアー」で示した、バンドの新たな姿

BUMP OF CHICKENのライブDVD / Blu-ray「BUMP OF CHICKEN TOUR 2017-2018 PATHFINDER SAITAMA SUPER ARENA」が、8月8日にリリースされる。この作品はBUMP OF CHICKENが昨年9月から今年3月にかけて行った全29公演のツアーから、2月11日のバンド結成記念日に埼玉・さいたまスーパーアリーナで開催されたファイナル公演の模様を収録したもの(参照:BUMP OF CHICKEN結成22周年ライブ、藤原基央が未発表曲弾き語りのサプライズ)。新作のリリースを伴わない「何も引っ提げないツアー」として自身のディスコグラフィからさまざまな時代の楽曲を披露し、新基軸の演出などともあいまってバンドの新たな魅力をアピールするツアーとなった。

音楽ナタリーではこの作品の魅力を、音楽ライターの柴那典と兵庫慎司によるレビューを通じて解剖する。多数のライブ写真によるフォトギャラリーも楽しんでもらいたい。

文 / 柴那典、兵庫慎司
ライブ写真撮影 / 富永よしえ、古溪一道、太田好治

バンドが進む先を切り開いた、スペシャルな空間柴那典

約7分。

場内が暗転し、静寂の中鳴り始めたオープニングナンバー「pathfinder」が徐々に会場の興奮を高め、ツアータイトル「PATHFINDER」が大きくLEDビジョンに映し出され、色とりどりのコンフェッティ(紙吹雪)が吹き上がり、高揚感のピークに達するまでの時間。

それがこの映像作品「BUMP OF CHICKEN TOUR 2017-2018 PATHFINDER SAITAMA SUPER ARENA」の最初の見せ場だ。

BUMP OF CHICKEN

「pathfinder」はこのツアーのために藤原基央(Vo, G)が書き下ろしたインストゥルメンタルの曲なので、歌はない。最初の数分はステージにメンバーもいない。それでも、この7分間には、BUMP OF CHICKENのライブが始まるときの、あの独特のワクワクする気持ちがぎゅっと凝縮されている。

シンセの音色にオーディエンスの手拍子が重なり、幾何学模様や点描画のようなイメージ映像がLEDビジョンに映し出されたオープニングの「pathfinder」。この映像作品では、その模様にさいたまスーパーアリーナ周辺の風景や、会場に向かうお客さんたちの様子が挟み込まれる。

シンプルなフレーズから始まった楽曲は広がりを増し、大歓声の中、升秀夫(Dr)、増川弘明(G)、直井由文(B)、そして藤原基央がステージに姿を現す。エレクトロニックな音色に、ドラム、ギター、ベースが徐々に加わり、藤原がギターを高く掲げる。

そしてステージで4人が向かい合って音を鳴らし、そのまま「GO」へ。レーザーが舞い、2万人のオーディエンスの腕で光るPIXMOBのLEDライトがカラフルに会場を染め上げる。まるで光の洪水に包まれるような感覚だ。そこから「天体観測」「ray」とクライマックスが続く序盤の展開にも息を呑む。

筆者はこの当日、会場後方からライブを観ていた。その体験には、単にステージを観る、歌と演奏を聴くというのとは違う実感があった。彼らの音楽が描き出すファンタジックでキラキラした空間を共に作り上げているような感覚だ。

BUMP OF CHICKEN

映像作品でもその感覚が追体験できる。特に「ray」や続く「宇宙飛行士への手紙」では、それが顕著だ。2万人が振り上げる手首のPIXMOBが、まるで宇宙の星のように光を放つ。いわばオーディエンス全員がイルミネーションのような照明装置になっているのだが、その1つひとつの光の動きから、1人ひとりの興奮と感動の心の動きが伝わってくる。

カメラワークからも、それが伝わる。ステージ上の様子やメンバーのアップだけでなく、会場全体を捉えたショットや、オーディエンスの目線からのショット、メンバーの背後のカメラからフロアを見渡すショットが多くフィーチャーされている。

そういう、空間全体を満たすような祝祭感が、BUMP OF CHICKENのライブの大きな魅力だ。

もちろん、ライブ全体を通じての見せ場もたくさんあった。

今回の「TOUR 2017-2018 PATHFINDER」は、バンドにとって史上最長のツアーだった。初日は2017年9月16日の幕張メッセ公演。そこから約半年にわたり全国を回ってきた。アルバムを引っさげてのツアーではない。「開拓者」や「先駆者」を意味するツアータイトルの通り、むしろバンドが進む先を切り拓くようなツアーだった。

そして、実際は藤原のインフルエンザ発症によって福岡公演の2日間が3月17日、18日に延期されたが、この映像作品に収録された2月11日のさいたまスーパーアリーナは本来のツアーファイナルとして予定されていた公演だった。さらに、藤原が冒頭のMCで「22歳になったぜ!」と告げていたように、2月11日は22周年を迎えたバンドの結成記念日でもある。

「BUMP OF CHICKEN TOUR 2017-2018 PATHFINDER」埼玉・さいたまスーパーアリーナ公演の様子。

つまり、この日はバンドにとって特別な日だった。もちろん彼らのライブはどこも一期一会だ。それでも、この映像作品に収められた日にはスペシャルな瞬間がたくさんあった。

ステージを観ていてまず印象的だったのは4人の演奏と藤原の歌が感じさせる「距離の近さ」だった。「Ever lasting lie」では、メンバーが向き合って骨太でブルージーなセッションを響かせる。「pinkie」ではハンドマイクを握った藤原が増川と向き合って歌う。

アリーナ中央の長い花道の先には小さなセンターステージがあり、中盤の2曲はそこに4人が移動して演奏した。「涙のふるさと」は、升のドラムセットの前で直井と増川が身体を揺らし目を合わせながら楽器を弾く。「You were here」ではセンターステージ端の階段に腰掛けて直井がハイフレットのベースフレーズを鳴らす。大会場とは思えないメンバー同士の距離感が、そのままオーディエンスとの親密さとなって伝わっていく。

終盤のドラマティックな展開も壮麗だった。特にLEDビジョンに沢山の光の粒が映し出された「宝石になった日」から「虹を待つ人」への流れ。藤原は「デカい声を聴かせてくれ!」と呼びかけ、2万人の大合唱を巻き起こす。銀テープが舞う。大きな会場でスケールを持って響くアンセムとしての強度を感じさせる。

「fire sign」の一体感も強く記憶に残った。オーディエンス全員が「♪ラーラ、ラララララー」というコーラスを繰り返し歌い、メンバーそれぞれがソロを回す自由闊達なセッションを展開する。さらには増川の指導でオーディエンスを男女に分けたハーモニーを実現し、会場を1つにした。

そして何よりモニュメンタルな瞬間は、アンコールのときに訪れた。

「ガラスのブルース」でこの日何度目かのクライマックスをもたらし、ラストには「流星群」を披露した彼ら。こみ上げるような余韻を残す演奏を終え、最後に1人ステージに残った藤原が、「これから音楽をやっていく、かけがえのないエネルギーをみんなにいただきました」と、オーディエンスへの感謝の思いを告げる。

そして「1個だけ伝えさせてほしい。僕は、僕たちは、バンド組んでよかった」と告げ、深々と頭を下げる。さらに藤原は「みんなまだ時間大丈夫?」とギターを抱え「もう1曲歌っていいですか?」と、ツアー中に書いたという曲を最後の最後に弾き語りで披露した。「まだメンバーにも聴いてもらっていない曲をやります。果たしてうまく歌えるかどうか……」と言うと、予想していなかったサプライズに客席からどよめきが起こる。

ギター1本を抱えてその曲(「Spica」)を歌い上げると、藤原は「これからもよろしくね」と伝えステージを降りた。

左から増川弘明(G)、直井由文(B)。

これまで筆者が当サイトで行ったインタビューでも、まずは弾き語りの形で藤原が歌詞とメロディーを作り、それをメンバーに聴かせてからバンドでのアレンジが進められるBUMP OF CHICKENの楽曲制作の手法が語られていた。しかし、まだ完成していないデモ段階の曲をツアーで披露し、メンバーとオーディエンスが同じタイミングでそれを初めて耳にするというのは異例のことだろう。

「PATHFINDER」という長いツアーの終着点は、23年目を迎えたバンドにとっての「新たな始まりの一夜」でもあった。

そういう意味でも、とても強い物語性を持った一夜だったし、それを克明に記録した映像作品になっていると思う。

BUMP OF CHICKEN「BUMP OF CHICKEN TOUR 2017-2018 PATHFINDER SAITAMA SUPER ARENA」
2018年8月8日発売 / TOY'S FACTORY
BUMP OF CHICKEN「BUMP OF CHICKEN TOUR 2017-2018 PATHFINDER SAITAMA SUPER ARENA」初回限定盤

初回限定盤 [Blu-ray+CD]
8640円 / TFXQ-78165

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6480円 / TFXQ-78166

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通常盤 [DVD]
5400円 / TFBQ-18209

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Blu-ray / DVD
  1. pathfinder
  2. GO
  3. 天体観測
  4. ray
  5. 宇宙飛行士への手紙
  6. Ever lasting lie
  7. 記念撮影
  8. pinkie
  9. 花の名
  10. 涙のふるさと
  11. You were here
  12. アンサー
  13. 分別奮闘記
  14. 宝石になった日
  15. 虹を待つ人
  16. fire sign
  17. リボン

アンコール

  1. ガラスのブルース
  2. 流星群
初回限定盤ボーナス映像
  • メロディーフラッグ
  • スノースマイル
  • 三ツ星カルテット
  • アリア
  • Butterfly
  • pathfinder Opening Movie
初回限定盤付属LIVE CD
  1. pathfinder
  2. GO
  3. 天体観測
  4. ray
  5. Ever lasting lie
  6. 記念撮影
  7. pinkie
  8. 花の名
  9. アンサー
  10. 分別奮闘記
  11. 虹を待つ人
  12. リボン
BUMP OF CHICKEN「望遠のマーチ」
配信中 / TOY'S FACTORY
BUMP OF CHICKEN「望遠のマーチ」
BUMP OF CHICKEN(バンプオブチキン)
藤原基央(Vo, G)、増川弘明(G)、直井由文(B)、升秀夫(Dr)の幼なじみ4人によって結成。地元・千葉や下北沢を中心に精力的なライブ活動を展開し、1999年に1stアルバム「FLAME VEIN」、2000年に2ndアルバム「THE LIVING DEAD」をリリースする。これが大きな話題を呼び、同年9月にシングル「ダイヤモンド」でメジャーデビュー。2001年にはシングル「天体観測」が大ヒットを記録した。2014年には7枚目のオリジナルアルバム「RAY」の発表をはじめ、初音ミクとのコラボレーション、初の東京ドーム公演などでも話題を集めた。2015年4月にはテレビアニメ「血界戦線」の主題歌「Hello,world!」と映画「寄生獣 完結編」の主題歌「コロニー」を収録した両A面シングルをリリース。同年末には初めて「NHK紅白歌合戦」に出場した。結成20周年となる2016年2月、約2年ぶりのフルアルバム「Butterflies」を発表し、地元・千葉県の幕張メッセにて「BUMP OF CHICKEN結成20周年記念Special Live『20』」を行った。2017年には「リボン」「記念撮影」と2作の配信シングルをリリースし、9月より全国ツアー「BUMP OF CHICKEN TOUR 2017-2018 PATHFINDER」を開催。このツアーのファイナル公演の模様を収めたライブDVD / Blu-ray「BUMP OF CHICKEN TOUR 2017-2018 PATHFINDER SAITAMA SUPER ARENA」を8月8日にリリースする。また、スマートフォン向けゲーム「妖怪ウォッチ ワールド」CMソングの「望遠のマーチ」が最新曲として配信中。