音楽ナタリー Power Push - BRAHMAN
映像、音、言葉で感じる20周年の本質
動き続けてるから運がいいんだと思ってる
──いろんなものが絡み合って、今に至っているんですね。
運がいいとしか言えないよね、ずーっと運がいい。けつまずいては救われる何かが、ちゃーんとあるから。生きて、ここにいて、バンドもやれてて。
──運がいいと思います?
すげー運がいいと思う。むしろ運しかないんだと思う。
──運をつかむのも才能って言うじゃないですか。
運ってつかむものじゃないんじゃない? つかもうと思うから逃げちゃうんだよ。欲張りに運は寄ってこないと思う。そういう話は、日本昔話に全部書いてあると思うよ。おっきい箱を開けたら、だいたいお化け出てくるでしょ?(笑) だから、つかんじゃダメなんだよ。降ってくる雪に触れるようなもので。でも、触れたら溶けちゃうでしょ? つかもうと思っても取れないじゃん。そおっと、こう(と手で優しく包み込むような仕草)……これを文字にしてください。女の子がキュンとくるように(笑)。
──(笑)。
動き続けてるから運がいいんだと思ってるよ。つかんで止めたら、溶けちゃうんだよ。
──じゃあ、節目という感覚もないですか?
でも節目だからやったんだよね(笑)。だってさ、20年目だからやんない?って言われたら、そっか!ってなるでしょ。節目って大事でしょ?
2、3年でぶっ壊れるものを書いていない
──ベスト盤も、そういう意図によるものですか?
ベスト盤も映画と一緒だもん。俺たち、出したいなんて言っていないし。ベスト盤っていう名前が嫌なんだよ。俺ら、全曲ベストだと思って作っているから。でも、節目じゃん(笑)。「どれから聴いたらいいの?」「これ聴けばいいんじゃん?」っていうアルバムがあってもいいんじゃない。
──イベントもありますし、単純に、これをキッカケに活発化するのは楽しみですよ。
なんの実感もないけどね。でも俺は運がいいから大丈夫。だって、いっつもそうなんだもん。やったことの5年後くらいに意味がわかったり。例えばさ、いろんなことで迷うとするじゃん。そうするとだいたい、1つ前に作ったアルバムの歌詞に書いてあるんだよね、自分が何をするべきか。「あれ? 俺、書いてる」って。
──自分に教えられるんですね。
そう。行けって書いてあるわ、やれって書いてあるわって。そのときに初めて自分もライブでほんとに歌える気になるっていう。時間かかるよね。
──改めて聴き返したくなりますね。
うん、それに耐えうる曲も歌詞も書いてきてよかったなって思う。苦しいけど、2、3年でぶっ壊れるものを書いていないから。それが最初、RONZI(Dr)とこのバンドを組んだときに言ったことだったから。その瞬間に流されて楽しい曲はやめよう。10年後でもやれる曲を作ろうって。
──20年間やってきて、それが実感できるって、うれしいんじゃないんですか?
運がいいね(笑)。俺も含めてみんな才能ないけど、やめなかった才能はあるからね。
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- 映画「ブラフマン」2015年7月4日全国一斉公開
- タワーレコード「NO MUSIC, NO LIFE.」、リクルート「ゼクシィ」、東京メトロ「TOKYO HEART」など、彼の作品を見たことがない人はいない、と言っても過言ではないだろう。あらゆるモノの核を切り取り、そのモノの魅力を最大限に表現する。稀代のクリエイティブディレクター箭内道彦。これまで、映画監督としてのオファーを固辞し続けて来た箭内が、「僕が知っている、ブラフマンの、愛すべきあの4人を、ただスクリーンに映すことであればできる。」と、イレギュラーなものとして受託した、最初で最後の監督作。4人との交友の深い箭内が見るBRAHMANの「人間」としての素顔。バンドの今、過去、未来。初代メンバーへの思い、家族や、古い友人の言葉も織り交ぜ、「人と人が、生きていくこと」を問いかける。箭内がたった1台のカメラに収めたブラフマンとは? ──ノン・フィクションの「ブラフマン」が解禁される。
- 監督・撮影:箭内道彦
- 主題歌:「其限 ~sorekiri~」BRAHMAN(TOY'S FACTORY)
- 出演:BRAHMAN(TOSHI-LOW、KOHKI、MAKOTO、RONZI)
- 語り:Ken Yokoyama、りょう、井浦新 ほか
- 配給・宣伝:プレシディオ (c)2015 映画「ブラフマン」製作委員会
- ニューシングル「其限 ~sorekiri~」 / 2014年7月1日発売 / TOY'S FACTORY
- 「其限 ~sorekiri~」
- 初回限定盤[CD+DVD]1800円 / TFCC-89549
- 通常盤[CD]1200円 / TFCC-89550
BRAHMAN(ブラフマン)
1995年に東京で結成された4人組ロック / パンクバンド。ハードコアと民族音楽をベースにしたサウンドを特徴とする。1996年に初めての作品として「grope our way」をリリース。1998年に発表した1stアルバム「A MAN OF THE WORLD」はトータル60万枚以上のセールスを誇り、90年代後半にひとつの社会現象になったパンクムーブメントにて絶大なる人気を集める。ライブを中心とした活動を行っており、日本以外にもヨーロッパやアジアでもツアーを行うなどワールドワイドな活躍を見せている。2011年3月11日の東日本大震災以降よりライブ中にMCを行うようになり、震災の復興支援を目的とした活動を積極的に展開。2013年2月にはフルアルバム「超克」をリリースした。2015年7月1日に2年10カ月ぶりのシングル「尽未来際」を発表。7月4日からは彼らの姿を追った箭内道彦監督のドキュメンタリー映画「ブラフマン」が公開される。