音楽ナタリー Power Push - BLUE ENCOUNT

「あなたと俺は同じ」メジャー1stアルバムに託した思い

BLUE ENCOUNTが1stフルアルバム「≒」(ニアリーイコール)を完成させた。シングル曲「もっと光を」「DAY×DAY」を収録した本作は、メジャーデビュー以降快進撃を続ける彼らの勢いが生々しく反映された作品に仕上がっている。自らの感情をダイレクトにぶつけるブルエンのエモーショナルなロックのクオリティは、このアルバムによって最初のピークを迎えることになりそうだ。

今回もメンバー全員にインタビュー。春のワンマンツアーの手応え、メンバー同士で衝突を繰り返していたという「≒」の制作過程を含め、すべてを率直に語ってもらった。

取材・文 / 森朋之 ライブ写真撮影 / MASANORI FUJIKAWA

初のZeppにはワンマンならではの魔物がいた

──まずはこの春に行われたワンマンツアー「TOUR 2015 GRAB THE LIGHT」のことから聞かせてください。ファイナルは東京・Zepp DiverCity TOKYOでしたが(参照:BLUE ENCOUNT初Zepp DiverCityワンマン「最高の景色を見せてやる」 )、まさに全身全霊のライブでしたね。

田邊駿一(Vo, G)

田邊駿一(Vo, G) そうですね。結論から言うと、翌日は体中の痛さがすごかったです(笑)。ギターの江口(雄也)とか、肉離れみたいになって。

江口雄也(G) 今もふくらはぎがだいぶヤバいです(笑)。

辻村勇太(B) 自分もムチ打ちみたいになったんですよ、首を振り過ぎて。許容範囲を超えてたというか。

田邊 4人そろってランナーズハイみたいな状態になってたんでしょうね。2000人規模のワンマン自体が初めてだったし、自分たちの想像を超えていた部分もいろいろあったんですよ。ステージから見える景色もそうだし、ライブ中も「このままじゃ後ろまで僕らの気持ちが届かない」という気持ちがずっとあって。

高村佳秀(Dr) ちょっと焦ってましたね。ドラムからはフロアの後ろのほうがよく見えなかったし、「あそこまで届けるには、どうしたらいいんだろう?」って。

田邊 フェスのときはちゃんと後ろまで見えてるんですけどね。ワンマンならではの魔物がいたというか、もっと集中力を付けないとダメだなって思いましたね。

辻村 あのファイナルで、またデカい壁が見えたんですよ。300人くらいの会場は自信があるんですけど、2000人となるとまだ不安要素があるなって。そこはこれから成長して乗り越えていかなくちゃいけないんですけどね。

ライブの場にいる全員で手放しで喜びたい

──モッシュ、ダイブについてオーディエンスに直接訴えていましたよね。「自分たちはモッシュ、ダイブを禁止したくない。だけど、お前らがルールを守らないと今のままではやれなくなる」って。

田邊 そうですね。懸念もあるし、希望もあるし……。そういうことに一度に向き合った日だったんでしょうね、ファイナルは。今まで以上にお客さんが付いてきてくれる状況になってきて、いろんなことが見えてきたんですよ。一番感じたのは、お客さんが分割されてしまっているということ。後ろで観たい人もいれば、ホントはもっと前に行きたいんだけど、ステージの近くの盛り上がり方を見て「後ろでいいか」っていう感じの人も見て取れたりとか。そういうみんなでルールを作るしかないっていうことなんですよ。

江口 そうだね。

「BLUE ENCOUNT TOUR 2015 GRAB THE LIGHT」Zepp DiverCity TOKYO公演の模様。

田邊 僕らのライブの表面的なところだけを見て悪く言う人もいるかもしれないけど、その場にいる全員で手放しで喜びたいじゃないですか、最後は。そういう空間を作らなくちゃいけないと思ったからこそ、今まで以上に言葉を大事にしながら伝えようとしたんですよね。ツアーの最初のほうは「全員で盛り上がれないなら、それでもいいよ」という気持ちになりかけてる自分がいたんです、実は。でも、「もっと光を」のインタビュー(参照:BLUE ENCOUNT「もっと光を」インタビュー)でも言ったと思うんですが、BLUE ENCOUNTにとって何が大事かといえば「聴いている人のすぐ隣で歌っているような感覚」なんですよね。それがブルエンの原点だし、ライブにおいても、全員に楽しんでほしいなって。後ろのほうで観ている人も誇りを持って楽しんでほしいし、前にいる人たちも“全員で楽しむ”ということをわかっていてほしいんですよね。

──そういうバンドの意思が伝わっているという感覚もあった?

田邊 ありましたね。ライブの後半で「ONE」をやったとき、(モッシュ、ダイブをさせるために)肩車していたヤツらを降ろしたんですよ。そのときにフロアから「ごめんごめん!」という声が聞こえてきて。

高村 言ってたねー。

田邊 あれがお客さんとブルエンの関係性だし、自分たちもグッと来て。2000人規模のライブでも、バンドがしっかりしていれば、ちゃんとやりとりできるんですよね。

ニューアルバム「≒」 / 2015年7月22日発売 / Ki/oon Music
初回限定盤 [CD+DVD] 3600円 / KSCL-2601~2 ※三方背スリーブケース仕様
通常盤 [CD] 2808円 / KSCL-2603
CD収録曲
  1. KICKASS
  2. LIVER
  3. DAY×DAY
  4. JUMP
  5. TAKEN
  6. EVE
  7. MEMENTO
  8. ロストジンクス
  9. HEEEY!
  10. SMILE
  11. もっと光を
初回限定盤DVD収録内容

全国ワンマンツアー「TOUR 2015 GRAB THE LIGHT」ファイナルとなったZepp DiverCity TOKYO公演から5曲のライブ映像とドキュメンタリー映像、結成から現在までのヒストリーを追った特別映像を収録。

  1. MEMENTO
  2. AI
  3. THANKS
  4. NEVER ENDING STORY
  5. DAY×DAY
  6. Making of 150612

ワンマンツアーチケット先行抽選受付シリアルナンバー封入

受付期間:2015年7月22日(水)12:00~28日(火)23:59

TOUR2015-2016「≒U」
  • 2015年11月13日(金)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2015年11月23日(月・祝)北海道 札幌KRAPS HALL
  • 2015年11月28日(土)香川県 高松オリーブホール
  • 2015年11月29日(日)広島県 広島CLUB QUATTRO
  • 2015年12月4日(金)宮城県 darwin
  • 2015年12月6日(日)新潟県 新潟LOTS
  • 2015年12月13日(日)福岡県 Zepp Fukuoka
  • 2015年12月18日(金)大阪府 なんばHatch
  • 2016年1月16日(土)東京都 Zepp Tokyo
  • 2016年1月17日(日)東京都 Zepp Tokyo
BLUE ENCOUNT(ブルーエンカウント)

田邊駿一(Vo, G)、江口雄也(G)、辻村勇太(B)、高村佳秀(Dr)の4人からなるロックバンド。2007年、田邊、江口、高村が地元熊本でバンドを結成し、2009年に3人の進学先である東京の音楽専門学校で辻村と出会い現体制となる。2010年に1stミニアルバム「the beginning of the beginning」を、2012年には2ndアルバム「HALO EFFECT」をリリースし、この頃よりライブハウスシーンで頭角を現すように。2013年にはライブ会場限定CD「SIGNALS」やミニアルバム「NOISY SLUGGER」を発表。年末には初のワンマンツアー「NEXT DESTINATION」を開催し、全公演でチケットをソールドアウトさせている。2014年2月に初のフルアルバム「BAND OF DESTINATION」を発売した。同年9月にキューンミュージックより4曲入りCD「TIMELESS ROOKIE」でメジャーデビュー。2015年5月にはテレビ東京系アニメ「銀魂°」オープニングテーマ「DAY×DAY」をシングルリリースした。7月22日、メジャー1stフルアルバム「≒」を発表。