音楽ナタリー Power Push - BLUE ENCOUNT

「あなたと俺は同じ」メジャー1stアルバムに託した思い

BLUE ENCOUNTのロックは何も隠さないこと

──MCの中で田邊さんは、過去のきつかった体験も赤裸々に話してたじゃないですか。「バンドがうまくいかず、一番しんどいときに辻村が辞めるって言い出して」とか。ああいうことをステージで言われるのって、メンバーとしてはどうなんですか?

田邊 ハハハハハ(笑)。え、どうなの?

辻村勇太(B)

辻村 (笑)。いや、ああいう話は傷が癒えてないと言えないじゃないですか。“今となっては笑い話”じゃないですけど、バンドを辞めたいと思ったときの自分の気持ちは浄化されてるので。

江口 今も辞めたいって思ってたら、あんな話できないよね(笑)。

辻村 そうそう。「えっと……」って目が泳いじゃうよ。

田邊 そうだよね(笑)。いい意味で1周して、夢だったZeppのステージに立てたからこそ言えた言葉も多かったと思うし。よくも悪くも、BLUE ENCOUNTらしい不器用な感じで伝えられたんじゃないかなって。

──でも、あそこまですべてさらけ出すステージって、すごいですよね。ロックバンドにはリアルな表現が求められると思いますが、「ここは見せないでいい」という部分もあるんじゃないかな、と。

田邊 そういう考え方も正しいと思います。でも、僕らがそれをやると、すべてが嘘になってしまうというか……。昔はそっちばっかりやってたんですよ。カッコいい人を演じてたし、「しゃべらないのがロック」みたいなことを考えてたり。今思うとロックという言葉に逃げてたんでしょうね。そうじゃなくて、BLUE ENCOUNTのロックは何も隠さないことだっていうのがわかったので。

「全然アルバムが見えてこない」という壁

──1stフルアルバム「≒」もめちゃくちゃ生々しいですよね。ライブ中にも「メンバーとケンカして、スタッフを罵倒しながら作りました」って言ってましたが。

田邊 “罵倒”とは言ってません(笑)。僕が一方的に愚痴を吐いてたので。

江口 そうだね(笑)。

高村 僕らも制作中に「このままでホントにいいと思う?」って投げかけられましたから。

田邊 自分の中で溜まっていたものを放出した日があったんですよ。アルバムの制作は前半と後半に分かれていて、半分ずつ作っていった感じなんですね。まず前半で3~4曲くらいプリプロしたんですけど、「もっと光を」「DAY×DAY」を含めて過去の曲が4曲くらいあったから、それをあわせるとアルバムの全体像が見えてくるはずじゃないですか。でも、そのときに「全然アルバムが見えてこない」っていう壁が立ちはだかったんです。それが3月くらいなんですけど、後半の制作に入る前に「やばい、このままではよいアルバムができない」って思って、リハーサルのスタジオのときにメンバーとマネージャーを呼び出して話をしたんですよ。「俺、このままじゃイヤです」って。

「BLUE ENCOUNT TOUR 2015 GRAB THE LIGHT」Zepp DiverCity TOKYO公演の模様。

──具体的な話というよりも、田邊さんが感じている不安を伝えたと。

田邊 何がイヤなのか自分でもわかってなかったんですけど、それも気持ち悪かったんですよね。で、メンバーに「お前らさ、もっと『こういうふうにしたい』とかないの?」って闇雲に聞きまくって。そこで滞りましたね。レコーディングの日も延ばしてもらって。

江口 ワンマンツアーのリハまでに全部レコーディングを終える予定だったんです。でも、ツアーが始まってもレコーディングが続いていて。

田邊 結果、いつも以上にカツカツのスケジュールになりました(笑)。

──でも、そのままレコーディングを続けるわけにはいかなかった。

田邊 そうですね。曲はいっぱいあるんだけど、それを羅列するのが得策だとも思えなかったし。

高村 俺はそんなに違和感がなかったんですよ、実は。でも、田邊に言われて(その時点でできていた曲を)聴き直したら、確かにパンチがもう1つ足りないなと思って。

江口 そのときに「このアルバムをどうしたいか」「これから作る曲をどうするか」ってアイデアをみんなで出しあって。その後にできたのが1曲目の「KICKASS」と2曲目の「LIVER」なんです。

田邊 その2曲がアルバムを変えてくれましたね。

ニューアルバム「≒」 / 2015年7月22日発売 / Ki/oon Music
初回限定盤 [CD+DVD] 3600円 / KSCL-2601~2 ※三方背スリーブケース仕様
通常盤 [CD] 2808円 / KSCL-2603
CD収録曲
  1. KICKASS
  2. LIVER
  3. DAY×DAY
  4. JUMP
  5. TAKEN
  6. EVE
  7. MEMENTO
  8. ロストジンクス
  9. HEEEY!
  10. SMILE
  11. もっと光を
初回限定盤DVD収録内容

全国ワンマンツアー「TOUR 2015 GRAB THE LIGHT」ファイナルとなったZepp DiverCity TOKYO公演から5曲のライブ映像とドキュメンタリー映像、結成から現在までのヒストリーを追った特別映像を収録。

  1. MEMENTO
  2. AI
  3. THANKS
  4. NEVER ENDING STORY
  5. DAY×DAY
  6. Making of 150612

ワンマンツアーチケット先行抽選受付シリアルナンバー封入

受付期間:2015年7月22日(水)12:00~28日(火)23:59

TOUR2015-2016「≒U」
  • 2015年11月13日(金)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2015年11月23日(月・祝)北海道 札幌KRAPS HALL
  • 2015年11月28日(土)香川県 高松オリーブホール
  • 2015年11月29日(日)広島県 広島CLUB QUATTRO
  • 2015年12月4日(金)宮城県 darwin
  • 2015年12月6日(日)新潟県 新潟LOTS
  • 2015年12月13日(日)福岡県 Zepp Fukuoka
  • 2015年12月18日(金)大阪府 なんばHatch
  • 2016年1月16日(土)東京都 Zepp Tokyo
  • 2016年1月17日(日)東京都 Zepp Tokyo
BLUE ENCOUNT(ブルーエンカウント)

田邊駿一(Vo, G)、江口雄也(G)、辻村勇太(B)、高村佳秀(Dr)の4人からなるロックバンド。2007年、田邊、江口、高村が地元熊本でバンドを結成し、2009年に3人の進学先である東京の音楽専門学校で辻村と出会い現体制となる。2010年に1stミニアルバム「the beginning of the beginning」を、2012年には2ndアルバム「HALO EFFECT」をリリースし、この頃よりライブハウスシーンで頭角を現すように。2013年にはライブ会場限定CD「SIGNALS」やミニアルバム「NOISY SLUGGER」を発表。年末には初のワンマンツアー「NEXT DESTINATION」を開催し、全公演でチケットをソールドアウトさせている。2014年2月に初のフルアルバム「BAND OF DESTINATION」を発売した。同年9月にキューンミュージックより4曲入りCD「TIMELESS ROOKIE」でメジャーデビュー。2015年5月にはテレビ東京系アニメ「銀魂°」オープニングテーマ「DAY×DAY」をシングルリリースした。7月22日、メジャー1stフルアルバム「≒」を発表。