音楽ナタリー PowerPush - BLUE ENCOUNT
もっと光を届けるために
昨年9月に「TIMELESS ROOKIE」でメジャーデビューを果たし、年末に行われたワンマンツアー「TOUR2014 ROOKIE'S HIGH」が全公演ソールドアウトを記録するなど、確実に知名度を上げているBLUE ENCOUNTからシングル「もっと光を」が届けられた。
年末のツアーでも演奏され、ファンの間で大きな話題を集めていた「もっと光を」は、ストレートなバンドサウンドに“あなたに光を届けたい”というメッセージが乗せられたロックチューン。高村佳秀(Dr)が「今の僕らの伝えたいこと、やれることをすべて詰め込んでいます」というこの曲は、今後のブルエンにとっても大きな意味を持つことになりそうだ。
前回に続きナタリーではメンバー全員にインタビュー。新曲に込めた思いと田邊駿一(Vo, G)曰く「今までで一番つらかった」という年末のツアー、そして2015年の展望について語ってもらった。
取材・文 / 森朋之 ライブ写真撮影 / 石井亜希
曲の力を信じてやろう
──2015年最初のリリースとなるシングル「もっと光を」は、BLUE ENCOUNTの新たな代表曲になると思います。メジャーデビュー2年目という勝負の年にふさわしい楽曲ですよね。
辻村勇太(B) そうですね、確かに。
田邊駿一(Vo, G) 僕らは常日頃から勝負し続けているバンドではあるんですけどね。去年もすごくいい緊張感というか、ヒリヒリした状態の中で活動できて。その中でできたのが「もっと光を」という曲だったんです。もともとはメジャーデビュー作「TIMELESS ROOKIE」の候補曲で、仮レコーディングまで終わってたんですよ。でもスタッフの方から「ライブの中で育てて、しっかり血を通わせた状態でリリースしたい」と言ってもらって。年末のワンマンツアーでも本編のラストでやってたんですよ。
──いきなり大事なポジジョンに持ってきた、と。
田邊 もともと僕らは新曲に対してすごく構えてしまうところがあって。歌い慣れていないし、ライブで初めて曲を聴くお客さんが多い中、「受け入れてもらえるだろうか」と考えてしまうというか。でも「もっと光を」に関しては……。
高村佳秀(Dr) どうしても最後に持っていきたかった。
田邊 そう、その場所しかないなって。みんなにキョトンとされたとしても、この曲の力を信じてやろうと思ったんですよね。
高村 ブルエン初の試みですね。
──それくらい「もっと光を」にポテンシャルを感じてた?
高村 はい。
田邊 曲ができたときから「これはヤバい。絶対いい化け方をしていくだろうな」って思いましたからね。ド直球のパワーポップなんですけど、こういうタイプの曲って、これまでのブルエンにはあるようでなかったんです。ただライブでやるときはすごく模索しました。最初は「余裕でやれるだろう」と思ってたんだけど、エモさで押すだけではなかなか伝わらないというか。僕自身、どんなカラーで歌えばいいのかすごく考えたし。自分たちを奮い立たせてくれる曲でもあり、苦しめられる曲でもあり。
高村 この曲を演奏すると、どうしても感情が出すぎるんですよね。自分でも困るくらいに剥き出しになっちゃうというか。でもリスナーにしっかり届けるためには、それだけじゃダメなんですよ。
辻村 歌詞やメロディがストレートだから、俺らが余計なことをする必要もなくて。ただ、メンタル的に負けちゃうとバンドが曲に食われるんですよね。そういう危機感を持ったのは、今作が初めてだったかかも。
田邊 怖いですよね。ライブの中でどんなにいい流れを作っていたとしても、最後の「もっと光を」が“曲に演奏させられてる”みたいな雰囲気になったら……。
辻村 それだけでライブがダメになっちゃうからね。
田邊 そうそう。でも、その逆もあったんです。「今日はうまく流れを作れなかった」とか「お客さんに助けてもらったな」というときでも、「もっと光を」を届けることでライブの流れを取り戻すことができたので。
江口雄也(G) 一番感じたのは、お客さんが歌い始めるまでのスピードの早さですね。
高村 うん、間違いない。
江口 ツアーの初日からやってたんですけど、どの会場でもすぐにお客さんが歌ってくれて。「こんなにも強く届くんだな」って実感しましたね。
──「もっと光が君に届くように」という歌詞もそうですけど、ダイレクトにリスナーに向けられた歌ですからね。
田邊 そうですね。この歌詞、20~30分で書けたんですよ。ライブのMCでもずっと言ってきたことを、初めて曲に記すことができたというか。今まで何度も挑戦してきたんですけど、言いたいことが渋滞したり、メロディにうまくハマらなかったりしたんです。でも、「もっと光」はビックリするほどすべてがハマったんですよ。4人がやりたいことがストレートに押し出せたので。
──バンドの本質を素直に表現した曲と言えるのかも。
田邊 この曲ができたとき、「バンドを組んで初めて曲を作った頃の感覚に似てるな」って思ったんですよ。俺も江口もギターを始めたばかりで、テクニカルなことも一切やらず……。
江口 できなかったんだけどね、テクニカルなことは(笑)。
田邊 そうか(笑)。僕はアコースティックギターの弾き語りから始めたんですよ、最初。曲もギターのリフとかではなくて、歌のサビから作り始めることが多くて。「もっと光を」はまさにそういう感じだったんですよね。だからこそ、スッと届く曲になったのかなって。最初は怖かったんですけどね、反応が。
江口 そうだろうね。前作の「MEMENTO」(「TIMELESS ROOKIE」のリード曲)はかなり複雑なアレンジだったから、それとのギャップがあるんですよね。
辻村 そこが心配だったんですよ。「やっぱりメジャーに行って変わっちまったな」って思われるんじゃないかって。
江口 結果的には大丈夫だったんですけどね。
田邊 逆に「これがブルエンだ」って言ってくれる人が多くて。こういう曲を待っててくれたっていうのも、すごくうれしかったですね。
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- 1stシングル「もっと光を」2015年1月28日発売 / Ki/oon Music
- 初回限定盤
- 初回限定盤 [CD+DVD] 1544円 / KSCL-2536~7
- 通常盤 [CD] 1258円 / KSCL-2538
CD収録曲
- もっと光を
- ワナビィ
- LIFE
初回限定盤DVD収録内容
「TOUR2014 ROOKIE’S HIGH」
- JUST AWAKE
- ロストジンクス
- MEMENTO
- YOU
- ドキュメンタリー映像
TOUR 2015 GRAB THE LIGHT
- 2015年5月23日(土)愛知県 DIAMOND HALL
- 2015年5月30日(土)福岡県 DRUM LOGOS
- 2015年6月6日(土)大阪府 BIGCAT
- 2015年6月12日(金)東京都 Zepp DiverCity TOKYO
BLUE ENCOUNT(ブルーエンカウント)
田邊駿一(Vo, G)、江口雄也(G)、辻村勇太(B)、高村佳秀(Dr)の4人からなるロックバンド。2007年、田邊、江口、高村が地元熊本でバンドを結成し、2009年に3人の進学先である都内の音楽専門学校で辻村と出会い現体制となる。2010年の1stミニアルバム「the beginning of the beginning」を、2012年には2ndアルバム「HALO EFFECT」をリリース。「HALO EFFECT」収録の「HALO」がYouTubeで150万回以上再生されるなど、この頃よりライブハウスシーンで頭角を現すように。2013年にはライブ会場限定CD「SIGNALS」やミニアルバム「NOISY SLUGGER」、MY FIRST STORY、SWANKY DANK、AIR SWELLとのスプリットアルバム「BONEDS」を発表。年末には初のワンマンツアー「NEXT DESTINATION」を開催し、全公演ともソールドアウトさせている。2014年2月に初のフルアルバム「BAND OF DESTINATION」をリリースした。同年9月にキューンミュージックより4曲入りCD「TIMELESS ROOKIE」でメジャーデビュー。2015年1月にシングル「もっと光を」を発表した。