Shiggy Jr.インタビュー|今しかなかった“再集結”のタイミング、憧れのビルボードライブ公演実現へ (2/2)

5年のブランクを乗り越えられた理由

原田 最初は10周年を記念して曲のリリースだけしようという話だったんだよね。

池田 そうそう。4人でオンラインミーティングをして、1曲だけだと寂しいから何曲か作ろうかみたいな話になって。

諸石 そんな中で「お客さんに喜んでもらうためにライブもやりたいよね」という話も自然と出てきたんですけど、池田は人前に出てなかったから、ライブに対してネガティブ寄りで。

池田 今年6月のワンマンが2019年の解散ライブ以来だったので、5年のブランクを乗り越えて、人前に立つことができるのかな?という気持ちがあって。ファンのみんなはすごく楽しみにして来てくれるわけじゃないですか。それで「なんかガタガタになってる」と思わせたくないし、そんなライブになるくらいならやらないほうがいいかもって、最初はビビっていました。ライブをやることが決まった日は眠れなくて、次の日、徹夜で会社に行ったことを覚えてる。1年前から緊張してた(笑)。

──そんなにも不安やプレッシャーがのしかかる中で、なぜ「やろう」と決意できたんですか?

池田 Shiggy Jr.の再集結がまだ決まってなかったときに、YUKIちゃんのソロ活動20周年ライブを観に行ったんです。そのライブに本当に感動して、めちゃくちゃ泣いて。YUKIちゃん自身の人生はもちろん、聴く人の人生も歌に乗っていると感じて、自分がその曲を聴いていたときのこととかも思い出して、「音楽ってすごいな」「続けているとこういうことがあるんだな」「続けるって尊いな」という気持ちになったんですよね。そのときに「やっぱり歌ってすごいな」「また歌えたらいいな」とも思って。ちなみにそのライブも12月5日。結成記念日は大事なことが起きがち。その次のお正月に茂幸くんからLINEが来て、音源を作ることになり、ライブの話も出てきて、みんなが「やろうよ」「絶対に大丈夫だから」と背中を押してくれたから「やろう」って決めることができました。

Shiggy Jr.

Shiggy Jr.

──池田さんはライブに向けて、バンドリハだけでなく個人練習も相当されたそうですね。Shiggy Jr.が再集結するならやれることは全部やりたいし、5年ぶりのライブの準備も悔いなく万全にやりきりたいという思いだったのだろうなと。

諸石 会社も辞めてるもんね。

 びっくりしたよ。「会社を辞めました」って急に連絡が来て。ビビリのわりに、そういう思い切りはすごいんだよな(笑)。

池田 私には両立は無理だなと思って(笑)。(2023年)8月のレコーディングのときはまだ働いてましたね。でもいざライブの準備を始めるとき、「ライブに集中したい」という気持ちになってきたから、もう辞めようって……今思うと、ライブ1本のためにとんでもないことをしてるよね。

諸石 そのときはライブ1本しか決まってなかったからね(笑)。

池田 ね(笑)。でも職場の人も理解があって、音楽をやりたいから辞めたいと話したら「おめでとう」って送り出してくれて。この間のライブもチケットを取ってみんなで観に来てくれたんですよ。Tシャツまで着てくれて、本当にいいところで働かせてもらったなと思いました。

ビルボード公演の見どころは?

──2025年1月のビルボードツアー「Shiggy Jr. Billboard Live Sessions」は、いつ頃、どういった流れで決定したんですか?

池田 6月のライブに向けたリハで、解散ぶりに4人でスタジオに入ったとき、片付けながら「今までどのライブが楽しかった?」みたいな話をしていて、全員がビルボードライブ(2016年4月20日開催「LIVE FREELY SPECIAL vol.2」)を挙げたんだよね。衣装もアレンジもいつもとは違う感じでやって、それがすごく楽しかったから「またやりたいよね」という話もしていたんですよ。その3日後くらいに、ビルボードの方から「再集結おめでとうございます。よかったらビルボードライブでライブをしませんか?」というメールが来て。私たちとしては望んでいたチャンスがものすごいタイミングで来たという感じで、「やります!」と。4人で打ち合わせに行って、どういうふうにやっていくかも丁寧に話していただいて、1月に大阪と横浜でライブを組んでいただきました。

 僕は大学を休学していた2012、2013年頃、ビルボードライブ東京のフロントでバイトをしていたんです。そこでいろんな人と知り合ったり、いろんなアーティストのライブを盗み見させてもらったりしました。2016年のライブに出たときに当時の僕の制服と給与明細がまだあって、2ndステージは制服を着て出演して、ステージ上で当時の上司から給与明細を受け取ったりして(笑)。僕にとっては元バイト先でもあるし、そもそも憧れもあるから本当に特別な場所で、そこでまた縁あってライブをやれるのはめちゃくちゃうれしいですし、このタイミングで声をかけていただいたことに運命を感じました。

Shiggy Jr.

Shiggy Jr.

──前回は衣装やアレンジもいつもと違う感じでやったとのことですが、今回はどんなことを考えていますか?

 ライブタイトルが「Shiggy Jr. Billboard Live Sessions」なので、みんなで演奏を合わせる気持ちよさを前面に出す感じになるかなと思います。

原田 いつもは大編成を意識したようなライブになっているけど、今回はどちらというと、それぞれの楽器の音が聞こえるというか。“バンド感”みたいなのがもっと伝わる、いい感じにグルーヴするアレンジになるはずです。

諸石 音数少なめで、アコースティックな感じになってる曲もあるよね。いつもはほとんどの曲で同期を流してライブをやっているけど、今回は半分くらいの曲でそれがなくて、俺らの音がかなり前に出てくるから普段とはだいぶ違うものになると思います。

池田 あとカバーもやります! ヒントは……横浜公演をやる1月19日は私の誕生日なんですけど、この日って私以外にも歌手がいっぱい生まれてるんですよ。そんな経緯で決まった曲をカバーします。

今後の活動について

──再集結した当初はリリースだけの予定だったところから、ビルボードライブ公演、さらには5月にZepp Shinjukuでのワンマンライブも決まっている状況ですが、Shiggy Jr.をこの先どうしたいと思っているのか、それぞれの今の気持ちを聞かせていただけますか?

諸石 最初はShiggy Jr.自体を続けていくのかどうかもフワッとしていたところから、徐々に追加公演、ビルボードライブ公演と続いていく流れになったというのが正直なところで。俺は「やるんだったらやろう」というスタンスだから、日程さえ空いてればライブをやりたいし、活動を続けたいと思っています。「Shiggy Jr.をこういうふうに動かすぞ」みたいな重い気持ちとかはなくて、「ライブをやるならやろうよ」って、それだけをシンプルに考えてます。解散前は、計画やスケジュールをがっちり組んで活動していたから、正直だんだん窮屈になっていたところがみんなにあったと思っていて。今はそれぞれができる範囲で集まってやれたら最高だよねという感じ。全員が無理しない状況で、自分の気持ちをちゃんと担保したまま、楽しくできたらいいなと思っています。

 個人的にはやっぱりバンドをやっていたいという気持ちがある。あとShiggy Jr.を求めてくれている人が意外と多いんですよね。お客さんもそうですし、音楽業界にも「Shiggy Jr.が好きだった」と言ってくれる人が多いので、そういう声を聞くと、Shiggy Jr.をやってる意味も自分がバンドに所属してる意味も感じられています。続けるにしろ、「売れたい」というよりかは「好きなことをやっていこう」というスタンスなので、ストレスもないし、楽しいし、辞める理由もないという感じです。

原田 今はメジャーでもなければ事務所が付いてるわけでもないし、誰かが先頭に立って「これやるぞ」「ここで曲を出して、このタイミングでライブをやろう」みたいな感じではなくて。みんなが「誘われたからやろう」という感じだから続けられているのかなという感覚はあります。いろんな機会に乗っからせてもらえるんだったら、そこには出ていきたいなと。誘われると行きたくなるタイプなので(笑)。

Shiggy Jr.

Shiggy Jr.

池田 お知らせをするときに諸石くんのコメントから「再集結」という言葉が出てきたのがきっかけで、「再集結」と発表したんですけど、それにも意味があったなと思います。「再結成」というと、前みたいに大きな目標やプランに沿ってみんなでガチッとやっていく感じがあるけど、今はみんな各々やりたいことをやりつつ、ナチュラルな状態でできることをやっていこうというふうになっているから。20代の頃みたいに目標に向かって一丸となる強さや美しさももちろんあるけど、今私たちがやりたいことは、それを経て、それぞれの守りたいものを守りながら音楽をやること。きっとそういうスタンスに共感してくれるお客さんもたくさんいらっしゃると思うんですよね。そういう状態で続けていくことが、今のShiggy Jr.にとっては大事だなと思っています。

──今の話を聞いて、大前提として4人ともShiggy Jr.を続けたいという気持ちがあることがわかって、私はすごくうれしいです。

池田 昔は「こんなにたくさん関わってくれる人がいるんだから、ちゃんとやろうよ」みたいな姿勢になっていたけど、今は「自由な気持ちでやろうよ」と言える。「間違えてもいいよ、とにかく楽しくやろうよ」って、昔は言えなかったんだよね。心からそう言えるようになって、自分にとってもよかったなと思います。

──そういう中でも、もっとたくさんの人に音楽が届いてほしいとか、何か叶えたいことはありますか?

池田 そもそもビルボードライブとZeppでの単独公演は、活動してるときからの夢だったんですよね。

 そうそう。Shiggy Jr.がZeppワンマンをやるのはこれが初めてなんです。

池田 解散してから「あれやっておきたかったなあ」と思ったことが、ビルボードライブとZeppでのワンマン。あとイヤモニを使ってライブをすること(笑)。今、それらを全部叶えられそうなところまで来ていて。どういうタイミングで何が叶うかってわからないものですよね。

──お客さんは今のモードのShiggy Jr.の楽曲をもっと聴きたいと思うんですけど、新曲を作りたいという気持ちもありますか?

池田 (原田に向かって)作ってほしい! 茂幸くんは求められたい人だから、うちらが求めないと(笑)。

原田 求められれば作るよ。

諸石 じゃあフルアルバムを!

池田 作って作って!

原田 うーん……みんなで考えましょう(笑)。

Shiggy Jr.

Shiggy Jr.

公演情報

Shiggy Jr. Billboard Live Sessions

2025年1月12日(日)大阪府 ビルボードライブ大阪
[1st]OPEN 14:00 / START 15:00
[2nd]OPEN 17:00 / START 18:00

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2025年1月19日(日)神奈川県 ビルボードライブ横浜
[1st]OPEN 14:00 / START 15:00
[2nd]OPEN 17:00 / START 18:00

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プロフィール

Shiggy Jr.(シギージュニア)

池田智子(Vo)、原田茂幸(G, Vo)、森夏彦(B)、諸石和馬(Dr)からなる4人組バンド。2012年12月に池田と原田の2人を中心に結成され、2014年2月に森と諸石が加入し、現体制となる。ソングライティングは原田が手がけ、R&B、ブルーアイドソウル、ロックなどさまざまな音楽をルーツにしたポップソングを数多くリリース。2015年6月に1stシングル「サマータイムラブ」でメジャーデビューを果たし、2017年にビクターエンタテインメントに移籍したあともコンスタントにリリースやライブ活動を続けてきたが、2019年9月に解散した。2024年3月、結成11周年をきっかけに“再集結”し、4月にEP「LIFE GOES ON -EP」を配信リリース。6月に東京・WWW X、10月に東京・LIQUIDROOMでワンマンライブを行った。2025年1月に大阪と横浜のビルボードライブ、5月に東京・Zepp Shinjuku(TOKYO)でワンマンライブを開催する。