Shiggy Jr.がバンド結成記念日である12月5日にニューアルバム「DANCE TO THE MUSIC」をリリースした。
ビクターエンタテインメントに移籍後、モータウンサウンドやブルーアイドソウル、ロックミュージックなどのバンド的ルーツを独自のポップセンスで昇華し、2枚の作品として提示してきた彼ら。それらを経てたどり着いたのは、自他ともに認めるShiggyの真骨頂であるダンスミュージックだった。agehaspringsの釣俊輔をメインのサウンドプロデューサーとして迎え、今の彼らだからこそ作り出せる踊れるポップスが詰め込まれた本作は、音楽シーンにおけるShiggy Jr.の存在感をさらに高めることになるだろう。
放送中のドラマ「僕らは奇跡でできている」オープニングテーマの「ピュアなソルジャー」でも注目を集めている彼らに、本作にまつわる話をじっくりと聞いた。
取材・文 / もりひでゆき 撮影 / moco.(kilioffice)
Shiggyがもともと持っている音楽性は
どんなものなんだろう?
──約2年ぶりとなるフルアルバム「DANCE TO THE MUSIC」はどのような流れで制作されていったのでしょう?
原田茂幸(G, Vo) もともとはこのタイミングでアルバムを作る予定ではなかったんですけど、「僕らは奇跡でできている」というドラマのタイアップが決まったので、「じゃあ、ここでアルバムを出しとくといいんじゃない?」っていう話になって。
──タイアップでShiggy Jr.の認知度が高まるタイミングで、さらなる攻撃に出ようと。
原田 まあそうですね、うん。なのでドラマのオープニングテーマになった「ピュアなソルジャー」をスタートとして制作が始まっていった流れでした。
──ただ、アルバムって急に思い立って作れるものでもない気がするんですけど。
原田 あははは(笑)。確かにその通りではあるんですけど、レーベル移籍とかいろんなことが重なってアルバムがなかなか出せなかった期間にも曲作りはずっと続けていたんですよ。だから予定外のアルバム制作にもすぐに向き合えた感じもあって。ストックから曲を選びつつ、もちろん新たに作った曲もありますけどね。
──本作のテーマに「DANCE」を掲げたのはどうしてだったんですか?
原田 ビクターに移籍してから2作を出してるんだけど、そこではけっこうShiggyとしての変化球的な曲をいっぱいやったんですよね。なので今回のアルバムの全体像をイメージする段階では、「Shiggyがもともと持っている音楽性はどんなものなんだろう?」っていうことを改めて考えてみて。そこで出てきたのが「DANCE」だったんです。ちょっとバズった「LISTEN TO THE MUSIC」(2014年7月リリース)という曲が持っていた踊れる雰囲気こそが、世の中の人がもっともよく知っているShiggyらしい部分なのかもしれないなって思えたので、じゃあ今回はそこを今の自分たちとして表現してみるのが面白いかもなって。
森夏彦(B) Shiggyがダンスミュージックを得意としているっていうのは、メンバー間でも共通認識としてあるしね。
池田智子(Vo) うん。ライブなんかでも踊れる曲っていうのが真ん中にあって、私たちとお客さんをつないでくれる役割を担ってくれてますから。そういう曲を集めてアルバムを作れるのは、今のShiggyとしてもすごくいいなって思えました。
基本は「みんなで楽しもう!」
──曲のタイプはさまざまですが、どれも体が自然と動く心地よさがある。同時に聴いていてとにかく楽しい気持ちになるんですよね。そこもShiggyの大きな魅力だなと。
原田 そうそう。何も考えずに聴けて、でも楽しくなれるっていう。そこもShiggyがもともと持っているよさだと思います。恋愛の物語を描いたり、メッセージを込めたりする曲も中にはあるけど、基本は「みんなで楽しもう!」っていうのが僕ららしさかなって。そこはいつも以上に強く意識していたところがあったと思いますね。
森 今回はコンセプト的にグルーヴを重視した曲が多いんだけど、しげ(原田)の作るものは基本的にメロディがしっかりしてて、わかりやすいサビもある。そういう意味ではダンスミュージックとポップミュージックが高いレベルで融合してると思うんですよ。だからこそ親しみやすさがあるんだろうし、聴いてて楽しいって思ってもらえるんだろうなって。
諸石和馬(Dr) うん。今回はしげの作ったデモの段階で「いい曲ばっかだな」って思えましたけど、それをアレンジャーの釣(俊輔)さんによってさらに高い次元へと引き上げてもらえた感覚もありますね。全体的なバランスもすごくいいし、「これはいいアルバムになるな」って制作途中からずっと思ってました。
──今回は全11曲中、10曲が釣さんによるアレンジになっていますね。
池田 はい。これまでのアルバムは曲ごとにジャンルも違えば、アレンジャーさんも違うので、1枚の作品としてはどこかオムニバスっぽい雰囲気があったと思うんですよ。もちろんそれはそれでよさがあるんです。でも今回は、Shiggyとして初めて「DANCE」を軸にしたコンセプトアルバム的な作品にしようってことになったので、だったらサウンドプロデュースは1人の方にやってもらったほうがいいかなと。結果、いい意味でのまとまりが生まれたし、1枚として飽きずに楽しめるアルバムになったと思うんですよね。
──釣さんは過去にもShiggyの曲を手がけていますしね。
池田 そうそう。ご一緒するのは「サマータイムラブ」(2015年リリースのシングル)以来だからけっこうひさしぶりなんですけど、世の中の人がShiggyっぽいと思ってくれてる曲は釣さんに関わってもらったものが多いので、ここはもう適任かなと。
原田 「サングリア」とか「you are my girl」とか、もともとがシンプルだったものはガラっとアレンジが変わったりもしたんですけど、基本的には俺が作ったデモからそこまでかけ離れたものにはなんないだろうなっていう信頼感もありましたからね。Shiggyのことをちゃんとわかってくれてるので、今回お願いしてほんとによかったなって思います。
次のページ »
ちょっと学生時代っぽいレコーディング