ナタリー PowerPush - Base Ball Bear
日常が生んだ新たな地平 結成10周年アルバム堂々完成
「新呼吸」はドキュメンタリー
──3.5枚目から、3枚のシングル、そしてこのアルバムでBase Ball Bearのファイティングポーズを完全に示したよね。
小出 うん。今は特にバンドの在り方が難しい時代じゃないですか。アホみたいに難しい。「誰か攻略本をください」っていう難しさだから。無理ゲーだから(笑)。
──無理ゲーって言いたいだけじゃん(笑)。
小出 鬼ゲーだから(笑)。
一同 (笑)。
小出 そういう中でも、自分のアイデア、自分の音楽をもっと信じたいし。すべての音楽ファンに音楽自体を信用してもらいたい。
──こうやって話をしていて思うのは、やっぱり「新呼吸」とサカナクションの「DocumentaLy」って、共時性がありますよね。いや、必然と言ったほうがいいのかもしれないけど。小出くんと一郎くんが友達だからこじつけてるわけじゃなくて。
小出 俺もそう思います。サカナクションの手前もあって言ってないだけで、「新呼吸」もドキュメンタリーなんですよね。実はドキュメンタリーっていうプラン自体は、去年のアルバムのツアーをやってるときに既にみんなに言っていて。「来年10周年だから、それを記録するっていうのはどうだろう?」って。最初は音楽的な部分ではなくて、僕はあえて映像でやってみようと思って。それで今年2月にUstreamをやったりしたんですけど。あと、地震の直後に山口くんと会って。まだ節電モードの中ごはん屋さんで、2人で「今後どうしようか」っていう話をしていて。そのときにお互い「ドキュメント的なことをやりたい」っていう話になったんですよ。で、そこから山口くんとは5カ月会わなかったんですけど。お互い忙しくて。
──お互いアルバムに向けた制作に入っていって。
小出 そうそう。半年後に「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」の会場で会ったときに、「『DocumentaLy』」っていうアルバムを作ってる」って言われて。「あ、山口くんも貫いたんだ」と思って。
Base Ball Bearっていう指定席に座れた
──Base Ball Bearはこのアルバムをもって、一層特異なロックバンドになったと思うんですけど、シーンにおけるバンドの立ち位置について考えていることってありますか?
小出 今回のアルバムで、Base Ball Bearっていう指定席に座ったっていう感じがあるから、あとはその座席がうわーっと上に伸びていけばいいなっていう(笑)。それと、やっぱり僕らは新しいギターロックの発想と在り方をこのアルバムで提示したいと思うので。これを聴いてギターロックの可能性をいろんな人に感じてもらいたいし、もっと信じてもらいたいなって思う。
──10年目以降というところではどうですか?
小出 (堀之内に向かって)どうですか?
堀之内 今年10周年を迎えて、ホントにツアーでも思うこともいっぱいありましたし、ツアーでは小出ともケンカしたり……(笑)。小出のおじいさんが亡くなった次の日にSHIBUYA-AXでライブがあって。ステージで自分の位置からみんなの背中を見たときにこれからもこの風景がずっと続いていけばいいなって思った瞬間があって。ツアー中ずっとそう思ってたんですけど、特にラスト2本のAXと下北沢GARAGEのときは強くそう感じて。今回のアルバム制作でも、俺は小出の作る曲が好きだし、関根のベースの絡みが好きだし、将平のギターが好きなんだなって実感したんですよね。自分はここでバンドをやってるんだっていう。自分だけの役割もあると感じているし。それをずっと続けていけるのが一番幸せなことなんじゃないかなって思いますね。
──そして、年明け1月3日に武道館ライブがあります。小出くんは前回の武道館ライブが不完全燃焼だと言っていて、それがこのアルバムを作るモチベーションにもなったはずで。そういう意味でも次の武道館のライブは「新呼吸」を作り上げたBase Ball Bearがどんなバンドかを体現する場になると思うんですけど。
小出 とにかく大団円を迎えたいですよね。
──これを読んでる人にアピールしましょうか、武道館。
小出 インターネットの皆さん!
──(笑)。
小出 すべてのインターネットの皆さん! 12月34日……。
──あ、そっか、10周年がまだ続いてるっていうことなんですね。
小出 うん。2011年12月34日、日本武道館でお待ちしております! Base Ball Bearと一緒にステキな年明け、迎えませんか? 10周年を踏まえながら、「新呼吸」を踏まえながら、大団円を迎えたいので。インターネットの皆さん、よろしくお願いします!
CD収録曲
- 深朝
- ダビングデイズ
- school zone
- 転校生
- スローモーションをもう一度
- short hair
- Tabibito In The Dark
- ヒカリナ
- 夜空1/2
- kodoku no synthesizer
- yoakemae (hontou_no_yoakemae ver.)
- 新呼吸
CD収録曲
- changes
- SUMMER ANTHEM
- LOVE MATHEMATICS
- 神々LOOKS YOU
- BREEEEZE GIRL
- Stairway Generation
- ホワイトワイライト
- 十字架You and I
- 十字架You and I (真のエンディングver.)
- kimino-me
- クチビル・ディテクティヴ
- yoakemae
- short hair
- Tabibito In The Dark
Base Ball Bear(べーすぼーるべあー)
2001年、同じ高校に通っていた4人のメンバーにより、学園祭に出演するために結成。高校在学中からライブを行い、2003年11月にインディーズで初のミニアルバム「夕方ジェネレーション」を発表。その後も楽曲制作、ライブと精力的な活動を続け、2006年にメジャーデビュー。同年11月にアルバム「C」をリリースした。2007年には「抱きしめたい」「ドラマチック」「真夏の条件」「愛してる」といったシングルや、アルバム「十七歳」を立て続けに発表。その後も順調にリリースを重ね、2010年1月には初の日本武道館単独公演を開催する。2011年6月にバンド結成10周年のアニバーサリーイヤーの幕開けを飾るシングル「yoakemae」を発売。これを皮切りに同年8月に「short hair」、10月に「Tabibito In The Dark / スローモーションをもう一度 part.2」とシングルを立て続けに発表し、11月に4thアルバム「新呼吸」をリリース。2012年1月には2度目の日本武道館公演を控えている。