ナタリー PowerPush - Base Ball Bear

日常が生んだ新たな地平 結成10周年アルバム堂々完成

コンセプトは3.5thアルバムのときに決まってた

──アルバム全体の展開は、日常の風景の連なりが、時間を刻みながら長編のドキュメンタリーとして帰結するようなものになっていて。

小出 そうですね。今回はさっきも言ったみたいにいろんなアイデアが立体的に一致していく感じがあって。「yoakemae」の時点で歌詞に「新しい呼吸」という言葉が入っていたりとか。あと「新呼吸」はタイトルの横に時間の数字を振っているんです。実は「yoakemae」の時点でアルバムのコンセプトが時間に沿ったものになることを予告してるんですよ。「yoakemae」の歌詞カードには「27」という数字を振っていて。

──そこは気付かなかった。

小出 そうやって伏線を張って。時間を示す数字はそのあとの「short hair」にも入ってるし、「Tabibito In The Dark」にも入っていて。最後にアルバムでその伏線を回収すると。あと、シングルのカップリングにも時間が振られていて、アルバムの中にシングルのカップリングが入っても時間軸が成立するようにしたんです。

──シングルにもアルバムと不可分な意味を持たせていたと。

小出 そうなんです。

──そのコンセプトは早い段階で3人にも伝えていたんですか?

小出 3.5枚目のときにはもう伝えてましたね。3.5枚目を作ってるときに、日常の朝の感じを曲にしたいってまず思ったんですよね。それが「yoakemae」につながっていくんです。あと、そもそも3枚目のアルバム(「(WHAT IS THE)LOVE & POP」)の最後の曲(「ラブ&ポップ」)は「曝してみたい自分自身」という歌詞で終わるんですけど。曝してみたいんだけど、内側をどうやって曝したらいいのかわかんないわけですよ、こういうタイプの人間だから(笑)。それから考えて、じゃあ外側を曝してみようっていうことになって。自分の得意な映像っぽい歌詞を通して、要は外を描くことで、中を同時に描いていくっていうやり方ならできるなと思って。そういうところから始まったんですね、1日を時間で区切るという構成は。

──3人は小出くんから出てきたそういったコンセプトをどう受け止めたんですか?

堀之内大介(Dr)

堀之内 どのアルバムもコンセプトを設けて制作しているから、まず今回はこういう感じでいくんだって思いました。個人的にはどちらかというと「新呼吸」というタイトルのほうが印象に残っていて。タイトルも結構前から「新呼吸」にするって言っていたので。それ以上はあまり具体的なことを聞かなかったんですね。だからこそ、僕の中では楽しんでやれたというか。制作をしながら全体像が明確に見えてくるほど、これはすごく濃いアルバムになるぞって思ってました。

──制作しながら、小出くんが描いた全体像を把握していくっていう。

堀之内 そうなんですよ。僕の場合は、ミックスの段階まで本チャンの歌詞も見ないので。

湯浅将平(G)

──いつも?

堀之内 いつも。ボーカル録りには立ち会わないし、ギターの感じもミックスまでどうなっているかわからない。僕の場合はホントにミックスのときにすべてが合致するんです。今回は特に「うわーこうなっていたんだ!」って思いましたね。歌詞はすげえグッときましたね。ミックスのときに、僕はいつも歌詞を見ながら卓の一番前で聴かせてもらうんですけど、そのときに「これはきたな!」と。

──湯浅くんはどうですか?

湯浅 最初にコンセプトを聞いたときは、単純に面白そうだなと思って。完成してみて、なるほどって。曲間に流れる空気にもすごく意味を感じましたね。


常に始まりを繰り返してる

──小出くんにとって「朝」ってどういう時間帯なの?

小出 3.5枚目の制作のときが特にそうだったんですけど、スタジオ出るのがだいたい朝なんですよね。作業が終わるのが朝の4時とかで。明るいうちに帰って寝て、明るいうちに起きて、またスタジオに行って夜の間ずっと仕事をして。で、また朝なんですよね。だから朝がずーっ続いてる感じなんです。日付という概念を抜きにしたら、1日が終わって、明日が始まるみたいなことって、すごく曖昧じゃないですか。「どこで終わってんの?」って聞いたら、誰も答えられないというか。

──恐らく多くの人は睡眠を取って、目覚めたら次っていう感じで捉えてると思います。

小出 そうそう。でも俺は違うなと思って。それをどう説明したらいいのかなと思ったら、終わってないだけだと思ったんですよ。常に始まりを繰り返してる。その始まりを繰り返していくという発想は、これまで27年間生きていて、しなかったから。そこがすごく大きかった。

──始まりを繰り返すって、ネガティブにもポジティブにも捉えられる感覚だと思うんですよね。曲でいえば、「ダビングデイズ」はシニカルにそれを表現してるけど、アルバムを総括するラストの「新呼吸」では、希望の予感を持たせている。このアルバムはそこに至るまでのグラデーションを描いてもいて。

小出 そうなんですよ。そうなったのが逆に自分でもびっくりというか。最初はループさせて終わらせようとしてたんです。「新呼吸」はフェードインではじまってフェードアウトで終わるんですけど、そのフェードアウトの続きに1曲目の「深朝」のフェードインが入ってきてアルバムが終わるという構成をずっと考えていたんですよ。でも……常に日常が始まりながら続いていって、ある日突然終わっていく。そういう着地にしたくて。そういう思いを持って最後の最後に「新呼吸」を作ったんですよ。で、結果的に「新呼吸」は、希望に希望を持つための歌になったんですよね。

ニューアルバム「新呼吸」 / 2011年11月9日発売 / EMI Music Japan

  • 初回限定盤 / 2500円(税込) / TOCT-28016 / Amazon.co.jpへ
  • 通常盤 / 2800円(税込) / TOCT-28017 / Amazon.co.jpへ
  • レコチョクにて着うた(R)、着うたフル(R)配信中!
CD収録曲
  1. 深朝
  2. ダビングデイズ
  3. school zone
  4. 転校生
  5. スローモーションをもう一度
  6. short hair
  7. Tabibito In The Dark
  8. ヒカリナ
  9. 夜空1/2
  10. kodoku no synthesizer
  11. yoakemae (hontou_no_yoakemae ver.)
  12. 新呼吸

「映像版『バンドBについて』第二巻」 / 2011年11月9日発売 /  3500円(税込)/ EMI Music Japan / TOBF-5717 / Amazon.co.jpへ

CD収録曲
  1. changes
  2. SUMMER ANTHEM
  3. LOVE MATHEMATICS
  4. 神々LOOKS YOU
  5. BREEEEZE GIRL
  6. Stairway Generation
  7. ホワイトワイライト
  8. 十字架You and I
  9. 十字架You and I (真のエンディングver.)
  10. kimino-me
  11. クチビル・ディテクティヴ
  12. yoakemae
  13. short hair
  14. Tabibito In The Dark
Base Ball Bear(べーすぼーるべあー)

2001年、同じ高校に通っていた4人のメンバーにより、学園祭に出演するために結成。高校在学中からライブを行い、2003年11月にインディーズで初のミニアルバム「夕方ジェネレーション」を発表。その後も楽曲制作、ライブと精力的な活動を続け、2006年にメジャーデビュー。同年11月にアルバム「C」をリリースした。2007年には「抱きしめたい」「ドラマチック」「真夏の条件」「愛してる」といったシングルや、アルバム「十七歳」を立て続けに発表。その後も順調にリリースを重ね、2010年1月には初の日本武道館単独公演を開催する。2011年6月にバンド結成10周年のアニバーサリーイヤーの幕開けを飾るシングル「yoakemae」を発売。これを皮切りに同年8月に「short hair」、10月に「Tabibito In The Dark / スローモーションをもう一度 part.2」とシングルを立て続けに発表し、11月に4thアルバム「新呼吸」をリリース。2012年1月には2度目の日本武道館公演を控えている。