音楽ナタリー Power Push - amazarashi

amazarashi 5周年の軌跡と秋田ひろむが見据える未来

amazarashiがニューアルバム「世界収束二一一六」を発表した。今作は2014年10月発表の2ndフルアルバム「夕日信仰ヒガシズム」以来およそ1年4カ月ぶりとなるオリジナルアルバムで、シングルリリースされたアニメ「東京喰種トーキョーグール√A(ルートエー)」のエンディングテーマ「季節は次々死んでいく」とアニメ「乱歩奇譚 Game of Laplace」のオープニングテーマ「スピードと摩擦」を含む全12曲が収められる。

音楽ナタリーではこれまで同様、秋田ひろむへのメールインタビューを実施。昨年メジャーデビュー5周年を迎えたamazarashiの中心人物が今、何を思っているのか? それを探るべく、これまでの軌跡の振り返ってもらいつつ、最新作について回答してもらった。

取材・文 / もりひでゆき

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amazarashiの足跡を辿る

──amazarashiは2010年にデビューした当初、ミステリアスな存在でした。プロフィールも不明な点が多く、メディアへの露出は“てるてる坊主”のビジュアルのみ。だからこそ余計な先入観なくその楽曲と歌詞の世界観がリスナーに向かって鮮烈に響いていったのだと思います。秋田さんがそういった活動スタンスを選択した理由はどんな思いからだったのでしょうか?

最初は本当に、家で曲だけ作ってそれでメシが食えたらいいなって思ってたんですけど、実際にはそううまくはいかなかったです。ただ、曲だけに集中して注目してもらうにはいいやり方だったのかなと思ってます。僕自身、自分を俯瞰して音楽活動ができるタイプではないので、音楽だけに集中できるこのスタイルは自分に合ってる気がします。

──2011年になるとメールインタビューを解禁し、デビュー以来ベールに包まれていたamazarashiの実態が垣間見え始めました。メールインタビューを受けるに至った理由を聞かせてください。

せっかくいい音源を作っても聴いてもらえないと悲しいんで、メールインタビューは僕らを知ってもらうための第一歩という感じでした。取材を受け始めたばかりの頃はどういうことを言ったら聴いてもらえるかすごい考えて書いてたんですけど、それも自分を振り返る作業としてよかったなと思ってます。考えがまとまるというか。ですので曲作りにも影響してました。

──その後ライブ活動もスタートさせ、本格的に実態を伴ってamazarashiの音楽がより幅広い層へと届き始めた印象があります。秋田さんは初ライブの感想として、「やっとスタートラインに立てた」「お客さんに心を開けた印象があります」とおっしゃっていました。自身の内面と向き合って曲を作っていることが多かった秋田さんが、“外界”に目を向けて楽曲制作をするようになったきっかけのような気がします。そういった変化はご自身でも感じますか?

確かに外に向いて曲を投げかけるというのは、ライブをやったからこそ芽生えた感覚だと思います。最初のライブではファンのことすら疑ってましたし、amazarashiが何を求められてるのかわからなかったし。信頼関係って言うと大げさかもしれませんが、ライブを繰り返すごとに徐々に距離を縮めていった感じはあります。お客さんのほうも探り探りなのがわかったので、そこからはこっちの好きにやろうと思いました。

amazarashiの根本

──今のamazarashiにとってライブとはどんな意味を持つものですか?

amazarashiのライブの様子。(写真提供:Sony Music Associated Records)

僕らの歌のゴール地点です。amazarashiの根元にある負を正に浄化するという作業において、浄化される瞬間です。僕らの歌は古い歌も含めて、ライブで歌われるために作られたんだな、と今では思います。

──曲作りにおいてこの5年間で変わらない部分と、変化してきたと感じる部分をそれぞれ教えてください。

5年前を振り返ると、状況も生活も変わったので視点は確実に変わったなと思います。でも自分の中身はほとんど変わってないと思います。立ち位置が変わった分だけ選ぶ言葉が変わったのかもしれません。

──音楽ナタリー初のメールインタビュー時(参照:amazarashi「アノミー」特集)、「秋田さんが歌うことの意味はなんですか?」という質問に対し、「ストレス発散と自分を肯定するための言い訳です。救いかもしれません」と答えていました。今改めて同じ質問をされたらなんと答えますか?

ストレス発散というのは今も変わってないですね。自己肯定と自分にとっての救いという部分はもう済んだことだと思います。今は自分の中の負の感情を、ネガティブなものを浄化する作業です。でも根本には歌が楽しいっていうのが絶対的にあります。

──メジャーデビュー以降、シングル2枚、ミニアルバム6枚、フルアルバム3枚をリリースしてきました。改めてその軌跡を振り返るとどんな思いが沸き上がってきますか? 秋田さんにとってこの5年はどんな時間でしたか?

いやさすがにリリースのペースが早過ぎますね。でもこれだけ作ったからこそ5年目の今があるわけなんで、よかったと思います。怠け者の僕としてはがんばったと思います。人生で一番濃い5年でした。

──すでに始まっている6年目以降に関して、どのように歩んでいきたいと思っていますか? 現段階で思い描いているビジョンがあれば教えてください。

自分の歌いたい歌を作って歌って、というのは変わらずに。マイペースにやっていきたいです。

ニューアルバム「世界収束二一一六」/ 2016年2月24日発売 / Sony Music Associated Records
初回限定盤A [CD+DVD+書籍] / 3780円 / AICL-3068~9
初回限定盤B [CD+グッズ] / 3780円 / AICL-3071~2
通常盤 [CD] / 3000円 / AICL-3070
CD収録曲
  1. タクシードライバー
  2. 多数決
  3. 季節は次々死んでいく
  4. 分岐
  5. 百年経ったら
  6. ライフイズビューティフル
  7. 吐きそうだ
  8. しらふ
  9. スピードと摩擦
  10. エンディングテーマ
  11. 花は誰かの死体に咲く
  12. 収束
初回限定盤A DVD収録内容
amazarashi 5th anniversary live 3D edition 2015.08.16
  • 後期衝動
  • 季節は次々死んでいく
  • ヒガシズム
  • 冷凍睡眠
  • スターライト
MV
  • 多数決
amazarashi 5th anniversary Live Tour 2016「世界分岐二〇一六」
2016年1月17日(日)北海道 Zepp Sapporo(※公演終了)
2016年1月24日(日)愛知県 Zepp Nagoya(※公演終了)
2016年1月31日(日)福岡県 Zepp Fukuoka(※公演終了)
2016年2月20日(土)広島県 広島CLUB QUATTRO(※公演終了)
2016年2月21日(日)大阪府 Zepp Namba(※公演終了)
2016年2月27日(土)東京都 Zepp Tokyo
2016年2月28日(日)東京都 Zepp Tokyo
2016年3月6日(日)東京都 中野サンプラザホール
amazarashi LIVE 360°
2016年10月15日(土)千葉県 幕張イベントホール
amazarashi(アマザラシ)

青森県むつ市在住の秋田ひろむを中心としたバンド。2009年12月に青森県内500枚限定の詩集付きミニアルバム「0.」を、翌2010年2月にその全国盤となる「0.6」をリリースした。その後2010年6月に「爆弾の作り方」をSony Music Associated Recordsから発表。アーティスト本人の露出がないまま、口コミを中心に話題を集めていき、2011年11月には初のフルアルバム「千年幸福論」を発表した。2013年8月に「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2013 in EZO」に初出演。2014年9月にインディーズ時代の「あまざらし」名義でライブ「あまざらし プレミアムライブ 千分の一夜物語『スターライト』」を開催し、秋田ひろむの書き下ろし小説の朗読とストリングスを加えた編成でのライブを行った。10月にリリースした約3年ぶりのフルアルバム「夕日信仰ヒガシズム」を携えて、翌11月より全国ツアーを行い各地盛況に収めた。2015年2月に発表した1stシングル「季節は次々死んでいく」の表題曲がアニメ「東京喰種トーキョーグール√A(ルートエー)」の主題歌となり、3月には台湾にて初の海外ライブを実施。8月には東京・豊洲PITにて3D映像を駆使したアニバーサリーライブを行い、12月末にロックフェス「COUNTDOWN JAPAN 15/16」に出演した。2016年1月に全国ツアー「amazarashi 5th anniversary Live Tour 2016『世界分岐二〇一六』」をスタートさせ、2月にニューアルバム「世界収束二一一六」をリリース。10月には千葉・幕張イベントホールにて360°全方位から映像を投影するという自身初の試みとなるワンマンライブ「amazarashi LIVE 360°」を開催する。