ナタリー PowerPush - Alice Nine

挑戦と更新を繰り返してきたバンド活動の到達点「“9”」

ホントはラップが良かったんですけど

──そしてアルバム最大の衝撃と言うべきなのが「ハロー、ワールド」。なんと言っても、沙我さんのポエトリーリーディングに驚きました。

 こういう曲が出てくると、みんな目がキラキラするんですよ(笑)。

ヒロト 歌詞は違うんですけど、デモの段階からポエトリーリーディングが入っていて。こういう要素を沙我くんが持ってるのはわかってたんですけど、「ホントに作ってきた!」っていう(笑)。

アーティスト写真

沙我 アルバムのなかで1曲は、こういう曲が欲しいんですよね。「マジで?」っていうような。ホントはラップが良かったんですけど、自分ではできないし、やったらやったで本業の方にブチ切れられそうだなって(笑)。

──(笑)。ポエトリーリーディング的な手法って、以前から興味があったんですか?

沙我 バンドとかに興味を持った頃、「ガストロンジャー」っていう曲があったんですよね。

──エレファントカシマシですね。

沙我 テレビで観たんですけど、「こういう方法論もあるんだな」って思って。それを思い出したのかもしれないですね。あとはNHKで放送してた佐野元春さんの「ザ・ソングライターズ」という番組で佐野さんがポエトリーリーディングをやってて。

──お、また意外な名前が出てきましたね。歌詞は将さんとの共作ですね。

 沙我くんの歌詞に呼応しながら書きました。真っ直ぐに真摯な言葉で音楽に対する思いを綴っていたことに胸を打たれたし、そのアティチュードを大事にしながら書こう、と。

──それも新しいスタイルですよね、バンドにとっては。ちなみにこの曲、ライブのイメージは見えてるんですか?

沙我 意外と見えてますよ。多分メンバーは「?」だと思うけど。

ヒロト (笑)。

沙我 これからツアーのリハーサルが始まるんですけど、まあ、普通のやり方じゃないでしょうね。自分たちで工夫しながらライブを楽しみたいっていうのは、常々思ってることだし。

 どんなふうに披露するかは、ぜひ楽しみにしてもらって。

まずはAlice Nineを選んでくれた人を幸せにしたい

──「リニア」もライブ映えしそうな曲ですね。

ヒロト この曲も「GEMINI」のツアーが少し影響してるんですよ。緊張感と緊迫感があるツアーだったから、それが終わったあと……。

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──開放感があった?

ヒロト そうですね(笑)。駆け抜けていくような曲を作りたいって思って。あとは、結成当初の勢いも意識してました。最初はもう、何もわからないまま勢いだけで曲を作ってたんですよ。最近、そういう感じがなかった気がしたので。

──経験の中で得たスキルや知識を反映させつつ、バンドの原点へ回帰する。それは「“9”」全体に言えることかもしれないですね。アルバムのラストを飾る「すべてへ」も、Alice Nineにとって重要な曲になりそうですね。

沙我 「Alice Nineって何? どんなバンド?」って聞かれたときに、この曲をライブで演奏している瞬間は、すごくAlice Nineらしいと言える、そういう曲にしたかったんですよね。過去にも同じスタンスの曲はあったんですけど、それを大事にしつつも、常に更新していきたいと思っていて。長い間活動を続けているバンドを見ていても、過去の自分たちをいい意味で壊して、ずっと更新を続けているバンドを見習いたいと思うんですよね。

──「すべてへ」というタイトルにふさわしい大きさを持った曲だな、と。

 そうですね。イントロからエンディングまで、ひとりの人間の人生を見ているようだなって。どこか達観しているところもあるし、それは歌詞にも出てると思います。感謝を伝えたいっていう気持ちも強かったんですよ。これまでのライブで見た風景だったり、バンドにかかわってくれた人や自分たちの音楽を聴いてくれる人たちの顔が浮かんでくるような曲でもあったので。

──このアルバムを伴った全国ツアーも、Alice Nineにとって大きな意味を持ちそうですね。

沙我 かなり本数が多いんですが、もし全部観たとしても、それぞれ違った後味を感じてもらえるようなツアーにしたいですね。「春と秋に観たけど、一緒だった」っていうのはつまらないので。

ヒロト 楽しみですね。去年はライブの数が少なかったし、アルバムをガッツリ表現するツアーというのも、今までそんなにやってなかったので。「これ以上はない」っていう、その先まで行きたいです。

 こういう時代だからこそ、悲しみや喜びを感じられる選択肢として、Alice Nineを選んでくれた人をまずは幸せにしたいと思うんですよ。それが直接感じられるのは、やっぱりライブなので。あとはヒロトが言ったとおり、やり尽くしたいと思います。

5thアルバム「“9”」 / 2012年2月22日発売 / 徳間ジャパンコミュニケーションズ

  • 初回限定盤[CD+DVD] 3780円(税込) / TKCA-73733 / Amazon.co.jp
  • 通常盤[CD] 3150円(税込) / TKCA-73737 / Amazon.co.jp
CD収録曲
  1. Heavenly Tale
  2. the Arc
  3. GALLOWS
  4. 花霞
  5. BLUE FLAME
  6. ハロー、ワールド
  7. 虹の雪
  8. リニア
  9. Apocalypse [It's not the end]
  10. Heart of Gold
  11. すべてへ
DVD収録内容
  1. 「すべてへ」MUSIC CLIP
  2. MUSIC CLIP MAKING
  3. 「すべてへ」MULTI ANGLE ver.
Alice Nine(ありすないん)

2004年結成のヴィジュアル系バンド。将(Vo)、ヒロト(G)、虎(G)、沙我(B)、Nao(Dr)の5人からなる。所属事務所はthe GazettE等が所属するPS COMPANY。ポップで華やかなパフォーマンスは国内に留まらず世界的に高い人気を誇る。サウンド面ではデビュー当初の和情緒にこだわった作風からロック的な壮大さをもつものへと進化を遂げ、表現の幅を広げている。バンド名表記は2009年より「アリス九號.」から「Alice Nine」に統一。2011年には初の日本武道館ワンマンライブを成功させ、最高傑作との呼び声が高いアルバム「GEMINI」をリリース。2012年には通算5作目となるオリジナルアルバム「“9”」を発表し、春から夏にかけて合計23公演の全国ツアーを敢行する。