ナタリー PowerPush - Alice Nine
ダンスミュージックの要素を導入した移籍第1弾シングル
Alice Nineがユニバーサルミュージックに移籍し、3月20日に発売される新曲「Daybreak」を皮切りに3カ月連続でシングルをリリースする。
UVERworldの楽曲を数多く手がけていることで知られる平出悟氏をプロデューサーに招いた「Daybreak」は、ダンスミュージックのテイストと生々しいバンドグルーヴを共存させたナンバー。「地図を捨てて 掲げたDaybreak」という歌詞を含め、Alice Nineの新しいスタートを強烈に印象づける楽曲に仕上がっている。今回はアルバム「“9”」(2012年2月発売)を携えた昨年のツアーから本作に至るプロセスをメンバー全員にたっぷりと語ってもらった。
取材・文 / 森朋之
2012年は「Alice Nineのライブはこれだ」というプレイができた
──まずは2012年の活動を軽く振り返ってみたいと思います。アルバム「“9”」のインタビューのときに将さんが「『これがAlice Nineです』と言えるアルバムがようやくできた」と言っていて。その手ごたえは、去年のツアーの中でさらに強くなったんじゃないですか?
将(Vo) うん、そうですね。去年は3回ツアーをやって、代々木(第二体育館)のカウントダウンライブを含め、1年間ずっと「“9”」をひっさげたライブをやってたんですよね。「“9”」はヘヴィメタルっぽい曲からアコースティックな感じの曲、すごくポップなものまで、Alice Nineの幅広い要素を詰め込んだアルバムだったんですけど、ライブを通して、自分たちの個性をちゃんと提示できたんじゃないかなって。
ヒロト(G) やっぱりツアーやライブがバンドにとって一番の主軸だし、アルバムの制作もそれを目がけてやってるんですよね。その中で「Alice Nineのライブはこれだ」という実感とともにプレイできたことはすごく大きくて。(セットリストに)「“9”」の楽曲が入ってきたことによって、それまでの曲の立ち位置もよりハッキリしてきたんですよね。
虎(G) バンドらしい活動ができたなって思いますね。1つのアルバムを引っさげて1年間ライブをやれるっていうのも幸せだし、ライブの中で曲もどんどん育ってきて。そうやって曲を大切にしていきたいな、と。
沙我(B) 2011年に初めて武道館をやったときに、ライブの基礎は固まったと思ってるんですよね。それをさらに突き詰めて、体に染み込ませることができた1年じゃないかな、と。アルバムの新曲もいろんな見せ方ができたんですよね。(セットリストの)並び方を変えるだけでも違う印象になると思うし。
Nao(Dr) アルバムを作ってるときは「プレイ的に大変な曲が多いな」って少し心配してたんですけど、意外と問題なくやれました(笑)。自分の中で理想としているドラムがバンドの中でどう影響していくか、どうしたら他のメンバーにもっと気持ちよくプレイしてもらえるかも、しっかり考えることができて。
いい意味で「変わったな」と感じてもらえる熱い作品を作りたい
──そして3月、4月、5月と3カ月連続のシングルリリースに突入するわけですが…。
将 はい。去年もリリースしたくてしょうがなかったんで、その鬱憤を晴らすように(笑)。
──(笑)。「“9”」はAlice Nineにとっても1つの集大成だし、区切りになるアルバムだと思うんですよね。だからこそ「次にどんな曲をリリースするか?」がとても重要になってくると思ってたんですが、ニューシングル「Daybreak」を聴いた瞬間、まったく新しい場所に進もうとしていることが伝わってきて。
将 そういうふうに感じてもらえたのは、すごくうれしいですね。アーティストの側が「これは新しい」と思っていても、聴く人はそこまで新しいと感じないこともよくあるので。今回は移籍第1弾ということもあって、ユニバーサルのA&Rの方とも「いい意味で『変わったな』と感じてもらえるような、熱い作品を作りたい」っていう気持ちで取り組んでたんですよ。それがリスナーの皆さんにも伝わればいいなって。
──「Daybreak」の作曲は虎さんですが、最初はどんなイメージで作り始めたんですか?
虎 作曲しているときは、Aメロとサビの高低差を付けたいっていうのがテーマでしたね。それが将くんのよさを引き出すことにつながるのかな、と。高いところを歌っていても、あんまり高く聞こえないんですよ、将くんは。
──高い音がラクに出ちゃうから?
虎 そうですね。Aメロを思い切って低くしたら、サビがより高く聞こえるんじゃないかって。つらそうに(高音のフレーズを)歌うのって、セクシーだったりするじゃないですか。まあ、歌う本人はきついだけかもしれないし、作ってるときは「この音域で大丈夫かな?」って思ってるんですけどね。俺はまったく歌えない高さの曲ばっかりだから(笑)。アレンジに関しては、プロデューサー(平出悟)が入ってから変わったところも大きくて。最初から「新しい部分を見せよう」と思っていたわけではなくて、普通に持っていった1曲をみんなで話し合いながらアレンジしていった感じですね。
──まず、リズムのアプローチがすごく新鮮でした。EDMのテイストが入ってますよね、これ。
Nao ループが入ってますからね。ドラム自体はいつもよりはシンプルなんですけど、しっかりグルーヴが感じられるテイクを選んでるんですよ。それはバンドにとっても忘れちゃいけない根本の部分だと思うので。
沙我 平出さんがドラマー出身だからかもしれないけど、要求されることがすごく新鮮でしたね。
ヒロト うん。バンドってよくも悪くもメンバーだけの世界というか、この5人の島国ですべてを完結させることもできるんですよ。でも、今回は新たにプロデューサーの方に6人目のメンバーみたいな感じで入ってもらって。鎖国だったところにペリーが来た、みたいな(笑)。プリプロの段階から、マスタリングの最終的な音まで想像しているところもすごいし、クリエイティブなやり取りができたと思いますね。
──砂漠で撮影したというPVもアップされていて。これ、早朝だったんですよね?
将 実際には1日中撮影してましたけどね(笑)。静岡の中田島砂丘というところで撮ったんですが、朝はマイナス5℃だったんですよ。その寒さの中、春服で。
沙我 肉体はその場所にいたけど、魂は家に帰ってました(笑)。
将 なんで「Daybreak」っていうタイトルを付けたんだよ! って沙我くんが何度も言ってて。「Burning night」だったらよかったのにって。
沙我 「Burning night」だったらクラブで撮影できそうじゃないですか(笑)。
- ニューシングル「Daybreak」/ 2013年3月20日発売 / NAYUTAWAVE RECORDS / 初回限定盤[CD+DVD] 1890円 / UPCH-89134
- SHOU ver.[CD] 1575円 / UPCH-89135
- HIROTO ver.[CD] 1575円 / UPCH-89136
- TORA ver.[CD] 1575円 / UPCH-89137
- SAGA ver.[CD] 1575円 / UPCH-89138
- NAO ver.[CD] 1575円 / UPCH-89139
- 通常盤[CD] 1575円 / UPCH-80305
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初回限定盤CD 収録曲
- Daybreak
- 秘密
- Daybreak(Inst.)
初回限定盤DVD収録内容
- Daybreak(MUSIC VIDEO)
- ハロー、ワールド(Alice Nine Live 2012 Court of “9”#4 Grand Finale COUNTDOWN LIVE 12.31)
- the beautiful name(Alice Nine Live 2012 Court of “9”#4 Grand Finale COUNTDOWN LIVE 12.31)
SHOU ver. 収録曲
- Daybreak
- 秘密
- 暁 (Alice Nine Live 2012 Court of “9”#4 Grand Finale COUNTDOWN LIVE 12.31)
HIROTO ver. 収録曲
- Daybreak
- 秘密
- RED CARPET GOING ON (Alice Nine Live 2012 Court of “9”#4 Grand Finale COUNTDOWN LIVE 12.31)
TORA ver. 収録曲
- Daybreak
- 秘密
- 閃光 (Alice Nine Live 2012 Court of “9”#4 Grand Finale COUNTDOWN LIVE 12.31)
SAGA ver. 収録曲
- Daybreak
- 秘密
- Q.(Alice Nine Live 2012 Court of “9”#4 Grand Finale COUNTDOWN LIVE 12.31)
NAO ver. 収録曲
- Daybreak
- 秘密
- BLUE FLAME(Alice Nine Live 2012 Court of “9”#4 Grand Finale COUNTDOWN LIVE 12.31)
通常盤 収録曲
- Daybreak
- 秘密
- Heavenly Tale (Alice Nine Live 2012 Court of “9”#4 Grand Finale COUNTDOWN LIVE 12.31)
Alice Nine(ありすないん)
将(Vo)、ヒロト(G)、虎(G)、沙我(B)、Nao(Dr)の5人からなる2004年結成のヴィジュアル系バンド。ポップで華やかなパフォーマンスは国内に留まらず世界的に高い人気を誇る。デビュー当初は和情緒にこだわった作風だったが、徐々にさまざまな音楽エッセンスを取り入れるようになり、現在は幅広い表現力を持ったバンドとなった。バンド名表記は2009年より「アリス九號.」から「Alice Nine」に統一。2011年には初の日本武道館ワンマンライブを成功させ、アルバム「GEMINI」をリリースした。翌2012年には通算5作目となるオリジナルアルバム「“9”」を発表。そして、2013年にレコード会社をユニバーサルミュージックへ移籍し、3月20日は3カ月連続リリースシングルの第1弾となる「Daybreak」を発表する。