あいみょん|愛を伝えるための7つのキーワード

あいみょんが5月3日にメジャー2ndシングル「愛を伝えたいだとか」をリリースする。

表題曲「愛を伝えたいだとか」はフォーク色の強かったこれまでの楽曲とは打って変わって、艶っぽいボーカルやファンクアレンジが光るナンバー。カップリングには愛する人への弔いの思いを歌う「ハッピー」、あいみょんが10代の頃に作った「MIO」が収録され、あいみょんの新たな可能性を感じる1枚となっている。

音楽ナタリーの特集にあいみょんが単独で登場するのは今回が初めて。この特集ではあいみょんが“愛を伝える”ための7つのキーワードをもとに彼女の内面を紐解く。また後半にはあいみょんと親交のある新しい学校のリーダーズ、越智ゆらの、北村匠海(DISH//)、剛力彩芽、咲良菜緒(チームしゃちほこ)、水田わさびからの愛のこもったコメントを掲載する。

取材・文 / 清本千尋 撮影 / Ray Otabe

Keyword 1:影響

──「太陽の塔の下で歌うこと」を夢として挙げるほどに岡本太郎さんに影響を受けているそうですね。岡本太郎さんを知ったきっかけはなんだったんですか?

2001年に公開された「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」っていう映画ですね。この映画は高度経済成長期だった昭和30~40年を描いたシーンが多くて、大阪万博がその象徴として登場するんです。その中で太陽の塔を見たときになぜか強烈に惹かれて。映画を観た頃、私は小学生だったんですけど、図工の授業でピカソと並んで岡本太郎さんのことを習って、大阪の吹田に太陽の塔が実在することを知ったんです。岡本太郎さんの話から少しずれちゃうんですけど、この映画からは音楽的な影響も受けてるんですよね。挿入歌に吉田拓郎さんの「今日までそして明日から」が使われていて、それで吉田拓郎さんを好きになったり、同じく挿入歌のベッツィ&クリスの「白い色は恋人の色」のレコードを大人になってからオークションで落としたり。ほんまに「オトナ帝国の逆襲」は自分にとって大きな映画ですね。

あいみょん

──岡本太郎さんからはどんな影響を受けたんですか?

岡本太郎さんには人生観を学んだと思っています。作品ももちろん好きなんですけど、彼が残した言葉に魅力を感じます。誰かと話していても「岡本太郎はこう言ってましたよ」って岡本太郎さんの言葉を挙げてしまうぐらい彼の考え方が好きで。最初は岡本太郎さんの言葉で自分の人生動かされて大丈夫なのかなと不安になったりしたんですけど、今ではそれでいいんだと思っています。養女にした敏子さんとの関係とかも知れば知るほど面白いなと思うし、岡本太郎さんって本当に人間として掘りがいがある人なので、これだけ偉大な人であることをみんなに伝えたいんです。私と同年代ぐらいの人って岡本太郎さんのことをそんなに知らないんですよ。みんな「岡本太郎と言えば『太陽の塔』とか『芸術は爆発だ』の人でしょ?」って返してくるんですけど、それだけじゃないことを教えてあげたい。今の若い子たちに響く言葉もたくさん残されてるので。岡本太郎さんは私が生まれた翌年、1996年に亡くなってるんですけど、そういう人が自分が生きている平成という時代にいたことは素晴らしいなと思っています。ほんまに影響を与えてもらい続けている存在です。

Keyword 2:フォーク

──音楽的に影響を受けた人はいますか?

あいみょん

最初に衝撃を受けたアーティストはフリッパーズ・ギターです。16歳の頃にバイト先の先輩に教えてもらって初めて聴いて「こんな音楽をやりたい!」と思わされました。最初に聴いたのは「恋してるとか好きだとか」が入っている「three cheers for our side~海へ行くつもりじゃなかった」というアルバムで、「あ、こんなヘタな英語で歌うのもありなんや。カッコいいな」って驚いて。私が音楽の面で一番影響を受けてる浜田省吾さんはお父さんに教えてもらったんですけど、お父さんの部屋に小沢健二さんの「LIFE」のCDが置いてあったので、たぶんお父さんも小沢健二さんのことを好きなんやと思います。小沢健二、フリッパーズ・ギター、浜田省吾……あとスピッツも好きです。お父さんの部屋にあるCDが大体男性アーティストだったので、必然的に男性アーティストを好きになることが多かったですね。

──あいみょんの音楽を語るうえでフォークは外せないと思うんですが、浜田省吾さん以外はどういうアーティストが好きなんですか?

フォークソングはだいたい全部好きなんですけど、「クレヨンしんちゃん」の話で出てきた吉田拓郎さんも好きですね。加山雄三さんもよく聴きます。フォークや歌謡曲がよく流れている家だったので、知らず知らずのうちになじみがある音楽になっていったんだと思います。かと言って小中学生の頃はフォーク歌手以外の音楽も聴いていました。中でもよく聴いたのがORANGE RANGEさんとHYさん。特にHYの仲宗根泉さんにめっちゃ憧れていて、彼女の詩集も2冊持ってます。

──お父さんとの音楽の共有はどうしていたんですか?

あいみょん

Walkmanで共有していましたね。Walkmanに入れてほしい曲を紙に書いてお父さんのパソコンのところにWalkmanと一緒に置いておくと、お父さんが曲を入れてくれたんです。お父さんはリクエストした曲を入れつつ、自分の好きな曲も入れてくれるんですよ(笑)。私に自分が好きな音楽を聴いてほしかったんでしょうね。でもお父さんのオススメはいつも間違いなくて、中でも浜田雅功(ダウンタウン)さんと槇原敬之さんが歌ってる「チキンライス」は大好きな曲になりました。尾崎豊さんを知ったきっかけもお父さんがWalkmanに入れてくれたからですし。お父さんは沖縄に親戚がいて、昔「島唄」っていうバーをやっていたんです。そこでお父さんがバンド演奏をしていてそれをみんなで観に行っていたから、沖縄民謡もなじみ深い音楽の1つですね。家に三線もあったし、沖縄民謡のCDもよくかかっていたし。うちは大家族やし、音楽やる環境としては恵まれてないと思ってたんですけど、こうやって思い返すといろんなところで音楽が耳に入ってくるいい環境だったんです。最近になって親から昔聴かされた曲ってこんなに忘れへんねやと思いました。

Keyword 3:男目線

──あいみょんの曲には男性目線のものが多いですよね。それはなぜですか?

あいみょん

単純に憧れですね。自分が女性だからないものねだりというか。男性が好きな女性に対する必死感が好きなんです。隠しておけばいいような気持ちをわざわざ言葉にして歌うのはその人の最終手段なんやろうなって思うんです。なんか思いの込めっぷりがえげつないなって。だから男の人が書くラブソングには女の人が書くラブソングは到底かなわないと思うんですよ。

──「愛を伝えたいだとか」も男性目線の曲ですよね。

はい。一緒に住んでる女性がいつもいつも朝帰りっていう設定で書きました。見方によっては家で彼女を待ってるだらしない男性にも見えるんですけど、私からしたらけなげな男性のイメージです。

──そしてファンクアレンジもあいみょんの曲にしては新鮮ですよね。

私は今「生きていたんだよな」(2016年発売のメジャーデビューシングル)の死生観を歌うイメージが強いと思うんです。そういう人たちの期待をいい意味で裏切りたかったし、別のサウンドでも私らしさを表現できるということを証明したかった。1つのジャンルにとらわれたくないので。曲と歌詞がほぼほぼできたものをディレクターさんがアレンジャーの方に渡して、提案されたのがこの感じでした。フリッパーズみたいなノリがいいサウンドに憧れていたのもあったし、RIP SLYMEさんとかも大好きなんですよ。ファンキーなトラックにフォークっぽいメロディや歌詞を乗せたら面白いのかなと思っていたら、こういうアレンジを提案されたので今回挑戦してみたんです。この曲ができたことで自分の新しい引き出しを開けられたなと思うし、これからも新しいことにはこれからもどんどん挑戦していきたいです。いろんな曲を歌えるというのはアーティストとして強みになると思いますし。

あいみょん

──男性目線の話に戻るんですが、今、あいみょん自身はロングヘアがトレードマークですし、リップを塗ったり女性らしいビジュアルですよね。

いや、子供の頃はほんまに男の子みたいでしたよ。髪の毛も子供の頃はずっとベリーショートでした。服も阪神タイガースのキャップをかぶって、迷彩柄のカーゴパンツを履いたりして。私は姉弟でつかみ合いのケンカとかをよくしていましたね。中学校に入るときにセーラー服を着たくなくて泣くぐらい男の人に憧れていました。セーラー服を着て諦めがついたのか、いつからかスカートを履くことにも抵抗がなくなっていきましたけど。

──ちなみにあいみょんの理想の男性像ってあるんですか?

お父さんですね。お父さんみたいな人おったら結婚したいなと思いますもん。お母さんはいい人見つけてずるいなって(笑)。

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Keyword 4:10代

あいみょん「愛を伝えたいだとか」
2017年5月3日発売 / unBORDE
あいみょん「愛を伝えたいだとか」

[CD]
1080円 / WPCL-12606

Amazon.co.jp

収録曲
  1. 愛を伝えたいだとか
  2. ハッピー
  3. MIO
“愛を伝えたいだとか” SPECIAL LIVE
  • 2017年5月2日(火)東京都 UNIT
    OPEN 19:00 / START 19:30
あいみょん
あいみょん
兵庫県西宮市出身のシンガーソングライター。歌手を夢見ていた祖母や音響関係の仕事に就いている父の影響で音楽に触れて育ち、中学時代にソングライティングを始める。2015年3月に発表したタワーレコード限定シングル「貴方解剖純愛歌~死ね~」など、センセーショナルな世界観の楽曲でSNSを中心に話題を集め、同年「tamago」「憎まれっ子世に憚る」という2枚のミニアルバムを発表した。2016年11月に1stシングル「生きていたんだよな」でワーナーミュージック内のレーベルunBORDEよりメジャーデビュー。2017年5月にメジャー2ndシングル「愛を伝えたいだとか」をリリース。