ナタリー PowerPush - Aimer
聴く人の心に寄り添いたい 優しい願いを込めた初アルバム
玉井さんからは歌の奥深さを教わった
──今回のアルバムも含めて、これまでずっとagehaspringsと制作を行なってきましたが、玉井健二さんをはじめとするagehaspringsの方たちとの制作からAimerさん自身、何を得られましたか?
本当にたくさんのことを学ばせてもらいました。去年の頭にJ-WAVEの番組内のクリエイターズオーディションがあって、agehaspringsが曲を提供していたんです。そこに私がゲスト参加させてもらったのが最初でした。そのときは、いい意味で自由に歌わせてもらったんです。まず初めに、私が自分の解釈で歌ってみて、それを聴いてもらうんですが、「それはダメだよ」と言うんじゃなく、「ここをこうしてみたら、こんなふうになるんじゃない?」って、新たな可能性を見せてくれました。そんなふうに、歌うときに玉井さんにディレクションしてもらったのですが、歌の奥深さを教わったような気がします。
──アドバイスやディレクションのやり方は人それぞれ違うと思うけど、玉井さんのやり方がAimerさんに合ってたんでしょう。
はい、そう思います。歌って、体の状態とすごく密接に関係があると思いますから、体がこわばってしまっていたらうまく声が出せないですし、逆に力が抜け過ぎていてもうまく歌えません。程良い緊張感が必要なんですが、そういうものを持たせてくれました。
自分の歌を通して誰かの心に寄り添っていたい
──最初は自由に歌わせてもらったということですが、制作回数が増えていったことで、やり方に変化がありましたか?
私の価値観というか、歌い方に対する解釈というものはいつも尊重してもらっています。回を重ねるごとに、チームワークが生まれてきて、どういうバランスで歌えばいいのかが見えてきましたし、自分のやり方というのもつかめてきた感じはしています。
──同じチームで作ることによって、前回はあんなふうにやったから、今回はこんなふうにやってみようとか、流れを作れますしね。
まさにそんな感じです。歌を歌っていく中で、「次はこうやってみよう」って、新たな課題が見つかってきますから、そういうものを提示してくださることがすごく勉強になっています。そういうことを何度か繰り返してきましたので、少しは成長できたのかなって思います(笑)。
──元々歌うことが好きだからシンガーになったと思いますが、“歌うこと”への思いや考えなどは変わったりしましたか?
以前自分1人で歌っていたときはうまく歌おうという気持ちが強くて、テクニックが第一だと思っていました。人が聴いてくれたときに「上手だね」って言ってもらえるような歌い方をしたいと思っていたんです。でも、玉井さんとお仕事をさせてもらう中で、いかに精神的な部分が歌に大きく影響するかを思い知らされたような気がしますね。どれだけ感情移入して歌えるかで、聴こえ方が変わってくる。ライブでは、自分が書いた歌詞もそのときの気持ちによって自由に変えられて、ひとつの音楽が変化していくという可能性がある。そういったことを玉井さんから教わりました。それによって今は、歌うことに夢中になっているというか、もっといろんな表現をしたいなって思うようになりました。そういう可能性が自分の中にもあるんじゃないかって思えるようになったのが、私の中での大きな変化ですね。
──最後に、Aimerさんが目指す理想のアーティスト像を教えてください。
やりたいことはたくさんあります。でも、デビューしたときから変わらないのは、自分の歌を通して誰かの心に寄り添っていられる、そんな歌をずっと歌い続けていきたいということです。ですから、これからもそういうアーティストでありたいなと思っています。
今回掲載されているライブ写真は、定期的に開催されて人気を博しているインターネットライブ「Live at anywhere」で撮影されたもの。
1stアルバムの発売を記念したインターネットライブも開催予定なので、詳しくはオフィシャルサイトをチェック!
ニューアルバム「Sleepless Nights」2012年10月3日発売 DefSTAR Records
- 「Sleepless Nights」
- 「Sleepless Nights」初回限定盤 [CD+DVD] 3500円 / DFCL-1930~1931
- 「Sleepless Nights」通常盤 [CD] 3059円 / DFCL-1932
収録曲
- TWINKLE TWINKLE LITTLE STAR -prologue-
- 夜行列車~nothing to lose~
- あなたに出会わなければ~夏雪冬花~
- 笑顔
- Re:pray
- 悲しみはオーロラに(Restarred by Takagi Masakatsu)
- 寂しくて眠れない夜は
- AM02:00
- 星屑ビーナス
- 雪の降る街
- 冬のダイヤモンド(Re-echoed by Genki Rockets)
- 六等星の夜
- TWINKLE TWINKLE LITTLE STAR
初回限定盤DVD収録内容
- Re:pray
- 雪の降る街
- あなたに出会わなければ~夏雪冬花~
- 六等星の夜~NO.6 SPECIAL EDIT~
Aimer(えめ)
女性シンガーソングライター。幼少期より両親の影響で音楽に親しみ、ピアノやギターでの作曲や英語での作詞を始める。15歳のとき、声が一切出なくなるアクシデントに見舞われるが、回復するとともに独特のハスキーで甘い歌声を得る。2011年から本格的に音楽活動を開始。幅広いジャンルのクリエイターとコラボレーションし、楽曲提供やゲストボーカリストとしての活動を通じてその才能が知られるようになる。2011年5月にはヒット曲をジャズアレンジでカバーしたコンセプトアルバム「Your favorite things」にボーカリストとして参加。収録曲であるLADY GAGA「Poker Face」のカバーは、iTunes Storeのジャズチャートで初登場1位を記録した。2011年9月シングル「六等星の夜 / 悲しみはオーロラに / TWINKLE TWINKLE LITTLE STAR」でメジャーデビュー。今年8月に発売したシングルのタイトル曲「あなたに出会わなければ ~夏雪冬花~」はテレビアニメ「夏雪ランデブー」エンディングテーマに起用され、大きな注目を集めた。2012年10月には初のフルアルバム「Sleepless Nights」をリリースする。