ナタリー PowerPush - aiko
デビュー15周年記念 CDとツアーに込めた”初心”
まだまだ自分では新人の気持ち
──初期の頃のライブのことは覚えていますか?
その頃はね、もう前列のお客さんとあまりに近すぎて、aikoのこと嫌いにならへんかなって思って不安で不安で。
──その頃から不安だったんですね(笑)。
はい(笑)。歌っててつばが飛んだときに「うぇっ」て思うかもしれないとか(笑)、いろんなことを気にしながらやってたんです。
──初期のライブでaikoさんが汗だくになりながら叫んでいた「パンツの替えは持ってきたかー!」というフレーズがツアータイトルになっているのもその頃からのファンの人にとってはグッと来るポイントだと思います。あの頃はインストアライブでもそのフレーズを叫んでましたもんね。
言ってた! ほんまに言ってた。みんなに覚えてほしいっていう気持ちが強かったんです。
──「イジワルな天使よ 世界を笑え!」では、曲の途中でお客さん全員が手を上げてピースをするまでとことん煽ったり。
お客さんが最初は「うっとうしいな」って思っても、最後には「もうしゃーないなあ」って思ってもらえるようにって。無理やりやってもらいましたね、あの頃は。でもよく楽屋で泣いてました。やりすぎたんじゃないかって。
──やっぱり不安になっていた?
そうなんですよ。今でもツアー中は何回か楽屋で泣きますね。でもそれは自分の中で夢が変わってないからだと思うんですよね。
──前回のインタビューでも話していた「歌手になりたい」という夢ですね。(参照:aiko「時のシルエット」特集)
そう、それがずっとあるから。まだ「歌手」になれてないって。だからまだまだ自分では新人の気持ちなんです。
スケジュールが詰まっているのも「初心」
──それにしても今回のツアーは、4種類計33公演を約3カ月半で回るという非常に濃密なスケジュールですね。
最初は自分の中では「ちょっとだけ大変かな?」ぐらいな感覚だったんです。でも行きつけの歯医者さん、美容師さん、洋服屋の店員さんとか、いろんな人から「あのツアーのスケジュール見たんですけど大丈夫ですか?」って言われて。人に言われると「え、そんなに大変かなあ……」ってちょっとビビってきて。で、いざ準備を始めてみたら、やっぱりいろいろ大変で「あ、大変かもしれへん」って(笑)。
──気付くのが遅かったと(笑)。
ほんまにそう思う! びっくりするぐらい。
──でもそれがやりたかった?
はい、やりたかったです。昔はコンディションとかも考えずにもっとやってたし、これも初心やなって思ったんですよね。
──7月17日のデビュー15周年記念日は大阪フェスティバルホールでのライブです。
そう、フェスティバルホールはデビュー当時「将来の夢は?」って言われたときに「フェスでライブすることです!」って言ってた場所なんです。最近改装をしてすごくきれいになって。じゃあデビューの記念日はここでやろう!ってことになりました。
同じところをずっとゆっくり歩いていきたい
──改めてデビュー15周年を迎える気持ちを聞かせてください。
こんなに……なんというか、こういう形でやれてるとは、子供の頃の自分が想像している範疇じゃなかったですね。だから本当にうれしいです。ありがたいです。
──今回お話を伺って、デビューから15年経ってもaikoさんはずっと変わらないんだなと改めて感じました。ご本人としては、変わりたくないという気持ちはありますか?
変わりたくないですね。そうは言っても絶対人間って変わっていくから、自分から変わろうとしなくても変わってしまうと思うんです。でもそれでいいと思っていて。例えばライブのセットリストや演出とかについてはいろんなことをやりたい。でも自分自身はしっかり同じところをずっとゆっくり歩いていきたいです。
- ニューシングル「Loveletter / 4月の雨」/ 2013年7月17日発売 / 1260円 / ポニーキャニオン / PCCA-15015
- 「Loveletter / 4月の雨」初回限定仕様ジャケット
- 「Loveletter / 4月の雨」通常仕様ジャケット
収録曲
- Loveletter
- 4月の雨
- そんな話
- 何処へでも行く
- Loveletter(instrumental)
- 4月の雨(instrumental)
初回限定仕様盤
- 特典ディスク「aiko's Radio」CD
- カラートレイ&初回限定ブックレット
- 生産限定仕様盤「4月の雨 / Loveletter 」
- ※「aiko 15th Anniversary Tour」会場限定販売
aiko(あいこ)
1975年大阪出身の女性シンガーソングライター。1998年にシングル「あした」でメジャーデビュー。その後「花火」「桜の時」「ボーイフレンド」などのシングルがヒットを記録し、2000年に「NHK紅白歌合戦」初出場を果たすなど、トップアーティストとしての人気を不動のものとする。2011年には初のベストアルバム「まとめI」「まとめII」を2枚同時リリースし、2012年6月に10thオリジナルアルバム「時のシルエット」を発表。2013年春にはライブ映像作品集「15」、同年7月にシングル「Loveletter / 4月の雨」をリリース。女性の恋心を綴った歌詞とユニークかつポップなメロディで幅広いファンを獲得し続けている。