ナタリー PowerPush - a flood of circle

ビール片手にメンバーが語る “HISAYO加入後”と“これから”

a flood of circleが、シングル「Dancing Zombiez」をリリースした。

2010年末にベーシストとしてHISAYOが加入して以降、ますます精力的に活動を展開している彼ら。デビューから4年、これまで基本的にはメディアには佐々木亮介(Vo, G)が1人で登場していたが、今回ナタリーでは初めて3人へのインタビューを実施。酒を酌み交わしつつ、それぞれのスタンスからバンドの“今”について語ってもらった。

新曲について、音楽への向き合い方について、そしてバンドマンと生活について、幅広く話を聞くことができたのではないかと思う。

取材・文 / 柴那典 撮影 / 福本和洋

話が来たのはいきなりだった

左から渡邊一丘(Dr)、佐々木亮介(Vo, G)、HISAYO(B)、ライターの柴那典。

──a flood of circleがこの3人でメディアに出ることって、めったにないですよね。

佐々木 相当レアなんじゃないかな。初めてだと思います。

──なぜこのタイミングで全員で取材を受けることにしたんですか?

佐々木 これまでいろんなことがあったけど、姐さん(HISAYO / B)が入ってからバンドのスタンスが変化して。それまでa flood of circleは同じメンバーで2枚アルバムを作ったことがなかったんですけど、2年半近くやっててすごく楽しいし、バンドがいいモードに入ってる。なので、今までは俺1人がメディアに出てたけど、今日はみんなの話を聞いてもらいたいって思って。

──今のバンドの雰囲気ってどんな感じですか?

HISAYO いいっすよ(笑)。この前のツアーをやって、距離がより密接になった気がする。

──そもそもHISAYOさんはどういうことを思ってこのバンドに加入したんでしょう?

HISAYO 話が来たのはいきなりだったんですよ、ぶっちゃけ。それまで対バンをしたことはあったけど、挨拶するくらいの関係だったし。

佐々木 2009年くらいにGHEEEで俺らと対バンしてたんですよね。

──佐々木さんがHISAYOさんに声をかけたのはどういう理由で?

佐々木 まず、ベースが辞めるってことになったときに、俺はナベちゃん(渡邊一丘 / Dr)と2人になってもバンドをやっていこうというのは決めてたんです。だけどギターボーカルとドラムだけでやるんじゃなくて、ベースはマストだと思った。で、近くにいる人よりも、とにかくこの人は面白い、好きだっていう人とやってみようということになって。最初に声をかけたのが姐さんだった。

HISAYO だから、こっちとしては予想してなかったことでしたね。

イチからバンドを作っていった感じ

──HISAYOさんがa flood of circleに加入しての最初の感触はどうでした?

HISAYO 初めてセッションしたときは、ナベちゃんの独自のグルーヴがあって。ぐわーって、持ってかれる!って感じがあったんですよ。予想していたのとは違う、巻き込まれる!って感触。いい意味でそっち側に入っていかないと演奏できないっていう。

渡邊一丘(Dr)

渡邊 ほんと? 初めて聞いた(笑)。

佐々木 19歳とかで知り合った男4人でやってきたから、いびつなグルーヴでやってるわけですよ。そこに入ってきたから大変だったと思うけど。

──渡邊さんとしてはどうでした?

渡邊 バンドってそれぞれがパーツを持ちよって、それが噛み合っていくものだと思うんで。それが前のベースと姐さんでは、全然違ってたんですよ。スキルも、培ってきているものも。そこにアプローチしていくためには、自分の中に手札がないとダメだと思った。そういう意味で自分を高めていく明確な目標はできました。

佐々木 ぶっちゃけると、ナベちゃんは最初戸惑いすぎて悩みながらやってましたね。「俺どうしていいかわかんない」みたいな(笑)。

──「これはイケる!」っていう感じになったのはいつ頃?

佐々木 俺の記憶では2011年に「AFOC THE MIX」を出して、ツアーをやった頃ですね。逆に言うとツアーに出るまでは、そんなに簡単にうまくいくとは俺は思えなかった。改めて思うと、バンドを続けてきた人たちが合わさった感じじゃなくて、やっぱりイチからバンドを作っていったんだと思う。ほんとに1年目のバンドの悩みばっかりだったもんね。

渡邊 俺は去年のツアーからですね。それまで自分の欲しいものと持ってるもののギャップに悩んだりもしていたから。自分の中で手応えがちゃんと感じられるようになってきたのは最近かな。

HISAYO(B)

佐々木 なんでそうなれたかって言うと、やっぱり人が通じ合ったからだと思うんですよ。姐さんは俺がどういう気持ちでロックンロールって言い張ってるか察知してくれてたし。こういうところで初めて言うけど、先輩のバンドを観に行って、ブルースのスタイルじゃない音楽をやってるんだけど、そのガツガツやってる背中を見て俺なりに勝手にブルースを感じてしまうって話をしたんですよ。

HISAYO 佐々木くんがそれを私に言ってくれて、それで精神面がわかった。「あ、あなたの言ってるブルースってこれなのね」っていうことが自分の中にスッと入ってきて。そこが理解できたから一緒にできてると思う。

佐々木 俺もそう思ってます。それがわかると、どういう音を出せばいいかがわかってくる。音とか格好じゃなくて、アティテュードが通じ合うと、ステージでもそれが出るんですよ。

ニューシングル「Dancing Zombiez」 / 2013年4月24日発売 / 1200円 / インペリアルレコード / TECI-298
「Dancing Zombiez」
収録曲
  1. Dancing Zombiez
  2. アイ・ラヴ・ロックンロール
  3. 俺はお前の噛ませ犬じゃない
  4. 月面のプール
ツアー情報
Tour Dancing Zombiez“ROCK'N'ROLL HELL!!! AFOCの地獄突きワンマンツアー”
  • 2013年6月12日(水)愛知県 名古屋Electric Lady Land
  • 2013年6月13日(木)大阪府 umeda AKASO
  • 2013年6月16日(日)東京都 Zepp DiverCity TOKYO

※チケット一般発売中

a flood of circle(あふらっどおぶさーくる)

2006年に結成。メンバーは佐々木亮介(Vo, G)、HISAYO(B)、渡邊一丘(Dr)の3名。ブルースや70年代ロックをベースにしたフリーキーなサウンド、ボーカル佐々木の強烈な歌声と、観る者を圧倒するライブパフォーマンスで話題を集める。結成当初は下北沢・渋谷界隈を中心にライブを行い、次第に活動地域を拡大。2007年7月に初音源となるミニアルバム「a flood of circle」をリリースする。同時期に新人バンドの登竜門「FUJI ROCK FESTIVAL '07」のROOKIE A GO-GOステージに出演し反響を呼ぶ。2009年4月、1stフルアルバム「BUFFALO SOUL」でメジャーデビューを果たすが、全国ツアー中の7月に当時在籍していたギタリストが失踪。しかしバンドは活動を止めることなくライブを継続し、同年11月にアルバム「PARADOX PARADE」を発表。2010年12月より現在の体制で活動している。2012年9月にインペリアルレコードに移籍。同年12月にミニアルバム「FUCK FOREVER」を、2013年4月にシングル「Dancing Zombiez」をリリースした。