ナタリー PowerPush - ACIDMAN
熱狂の武道館公演をパッケージ あのライブに込めた思いを今明かす
ACIDMANが、2枚組DVD「LIVE TOUR "A beautiful greed" in 日本武道館」をリリースする。これは、7thアルバム「A beautiful greed」のリリースツアーのファイナルとして、2009年12月22日に行った2度目の日本武道館ワンマンライブの模様を収めたもの。緊迫から解放へと向かう感動的なライブの様子が完全収録されているのはもちろん、ツアーのドキュメント映像や、会場で撮影されたファンからのメッセージなど、ACIDMANの持つ多面的な魅力が余すことなくパッケージされている。
今回はメンバーの3人に、武道館ライブの感想を入口として、ライブに対する意識からバンド観に至るまで、ACIDMANを徹底解剖するインタビューを行った。
取材・文/高橋美穂 インタビュー撮影/中西求
今回は生々しさやライブっぽさを意識した
──まず、あの日の武道館公演を振りかえっての感想を教えてください。
オオキノブオ(Vo, G) よくできたなとは思いますね。楽しかったし、イメージしてたとおりにできたかなと。
──結構、イメージを固めて挑んだんですか?
オオキ そうですね。ツアーを通して、武道館を意識しながらやってたし。その前のツアーの最終日の幕張公演では、俺、体調悪かったんで、今回は絶対そうならないように。とりあえず当日の朝起きて元気だったのがうれしくて(笑)。ほとんど寝れなかったんですけどね。
ウラヤマイチゴ(Dr) 僕はやっぱり緊張しましたね。前回の武道館も緊張して、次の武道館ではリベンジする気持ちだったんですけど、やっぱり緊張はするもんだし、だったら緊張と共にやろうと。武道館でやるんだよなって意識すると、心の芯がグラグラして、大変だったんですけど(苦笑)、前回よりいい気持ちで叩けたのがよかったですね。
サトウマサトシ(B) 武道館には特別な空気があるので、独特の緊張感は出ますね。ライブハウスではないから、お客さんと距離がある感じもするし、すごく見られてる気もするし。でかいオーラもあって、しっかりこっちも出さないとヤラれるなって緊張感がある。でも、いいライブができたと思ってます。
──武道館でのライブは2回目でしたが、初回とはやっぱり違った?
サトマ 初めてのときは楽しくて楽しくてハイテンションだったんですけど、今回は地に足を着けて挑めたというか。当日はそういう違いはありましたね。特に前々から考えてたわけじゃないんですけど、精神的に受ける感じが違ったなって。
──そんなライブを、DVDとしてパッケージするとなったときにどんなことを考えました?
オオキ 細かくなっちゃうけど、(ライブで)映像を流してたところも、映像がメインじゃなくてもいいって言ったんですよ。映像をバックに演奏してるメンバーをフィーチャーしてって。あと、いつも3人バランスよくって考えてたけど、歌ってる人の口元や目元はちゃんと映しておいてほしいなと。それから、普通じゃつまらないんで、カメラワークを乱雑にするっていうか、アップにしたり急に横にしたりっていう動きを曲ごとに指定しましたね。映像にするとどうしてもライブ感が伝わらないんだけど、でもギリギリまで伝えるとしたら、視覚の作用で作れるかなって。
──ACIDMANって、映像も含めた引き絵で見てほしいと思ってるバンドのイメージがあったから、DVDにそういうコンセプトがあったのは意外ですね。
オオキ そうですね。でも、それは過去にやってきたと思ったから、今回は生々しさやライブっぽさを意識したんです。
ライブとパッケージの比重は両方とも100%
──自分たちがライブバンドだって意識はありますか?
オオキ どうなんですかね。まぁ、ライブバンドではあるとは思いますけど、それにこだわってるってスタンスではないから。ライブは超大事だし大切にしてるけど、音源を録ることも大好きだから、ドサ廻りしてる泥臭いバンドって感じでもないし。でもライブは、誰もがびっくりするくらい集中してやってるんですよ。リハーサルも、音の鳴り方とか3人のアンサンブルとか、ものすごく細かいところまで詰めてるから、熱量は強いと思います。それに、気持ちがのってないと音にすぐ出るんですよね。誰もがパッて聴いてわかるものではないけど、うちらにはわかる。ちょっとここイマイチじゃない、なんなんだ、もしかしたらバスドラの踏み方がちょっと遅いんじゃないかとか、ハットのキレが甘いんじゃないかとか。それを改善していくと全然違うものになって。そういうことをめちゃめちゃ時間を掛けてやってるバンドです。
イチゴ それで、1日の8割くらいは僕に費やされるという(苦笑)。
オオキ そうなんですね(笑)。でも、歌を歌うにあたって、ドラムが一番大事なんですよ。ピッチをとるのも大事なんだけど、ノリながら歌うにはドラムが呼吸と絡んでくれないとダメで、それを摺り合せるにはすごく時間が掛かりますね。
イチゴ 直し直し、直され直され(苦笑)。でも、ほんとにドラム超大事なんで、超がんばってます。
──じゃあ、今までよりライブバンドっていう意識に対する比重が高まってきた?
オオキ でもね、実はそのへんはあんま変わってない。インディーズの頃は「楽しい楽しい」みたいにやってたけど、ちゃんとプロになってお金をもらうようになってからは、意識はあんまり変わってないですね。やり方は変わってきたかもしれないけど。
──ライブとパッケージの比重は同じくらいなんですね。
オオキ うん。しかも50%ずつじゃなく、両方とも100%の比重でずっとやってきてるとは思います。どっちも超大事で、なくしちゃいけないものの2つを同時にやってるから。
DISC 1
- 日本武道館ライブ 本篇(19曲)
DISC 2
- 日本武道館ライブ アンコール(4曲)
- ツアードキュメンタリー映像
- 「HUM」ビデオクリップ<完全版>
収録楽曲
- ±0
- world symphony
- Who are you?
- Bright & Right
- FREE STAR
- Colors of the Wind
- スロウレイン
- 星のひとひら
- ファンタジア
- 銀河の街
- ucess (inst.)
- Slow View
- HUM
- I stand free
- Under the rain
- CARVE WITH THE SENSE
- 造花が笑う
- 飛光
- OVER
- 赤橙
- ある証明
- Your Song
- 廻る、巡る、その核へ
ACIDMAN(あしっどまん)
1997年に結成された、オオキノブオ(Vo,G)、サトウマサトシ(B)、ウラヤマイチゴ(Dr)の3人からなるロックバンド。2002年に限定シングル3作(「造花が笑う」「アレグロ」「赤橙」)を連続リリースし、2002年10月にアルバム「創」でメジャーデビュー。2007年7月に初の日本武道館公演を開催し、2009年のアルバム「A beautiful greed」発表後には、2度目の日本武道館単独公演を実施する。生命をテーマにした独特の詞世界、静と動の両面を表現する幅広いサウンド、映像とリンクした演出を盛り込んだライブなどが高い評価を得ている。またオオキはビデオクリップ集「scene of "LIFE"」で、自身の楽曲をモチーフとした18分におよぶ映像作品の監督を務めるなど多角的な活躍をみせている。