ナタリー PowerPush - 9mm Parabellum Bullet
菅原卓郎&中村和彦が思う10年の進化
今年2月の日本武道館公演2DAYSで結成10周年イヤーの幕開けを飾った9mm Parabellum Bullet。彼らが初のベストアルバム「Greatest Hits」をリリースした。これを記念してナタリーでは、菅原卓郎(Vo, G)と中村和彦(B)へインタビューを実施。このベストアルバムに込められた彼らの感情とは、果たして?
取材・文 / 小野田雄
9mmみたいなバンドが10年続いた
──2月の武道館2DAYSを皮切りに結成10周年のアニバーサリーイヤーに突入したわけですが、今の心境はいかがですか?
菅原卓郎(Vo, G) 「10年やってきたんだなあ」って……当たり前のことしか言えないんですけど(笑)。今回ベストアルバムを出すにあたって過去の曲やライブテイクを聴き返したら、その時々の記憶がまざまざとよみがえってきました。10年前って僕らは学生でしたから、武道館でライブをやるようになった今の状況とは落差が大きいなって思いましたね。
中村和彦(B) 僕はこれといった実感はないんですけど、ベストの初回盤特典のライブベストCD「Selected Bullet Marks」に明記されているそれぞれのライブ会場名や日付けを見て、改めて「ああ、俺たちいろいろやってきたんだな」って思いました。
菅原 あとは9mmみたいな変わったバンドが10年続いたということが面白い……ひとごとのようですが(笑)。
──自分たちでは、9mmのどこが変わっていると思いますか?
菅原 んー、やっぱり曲が変わってると思う。
中村 しかも、どんな曲をやっても9mmの音楽になるんですよね。
菅原 そう、不思議と9mmらしい音というのがしっかりある。
──“9mmらしい音”についてですが、ヘヴィメタルやハードコアパンクの激しい要素をポップなメロディと同居させるような作風は、結成当初から意図していたものだったんですか?
中村 バンド内で「こういうものがやりたい」と話し合ってそうなっていったわけではないんです。単にその時々で好きなことをやっていたら、結果として今の作風になっていたって感じ。
菅原 僕らは自分たちが聴いている音楽に作品が左右されないんです。曲ができたら、その曲を最もよい形で生かすにはどういうアレンジがいいんだろう?と考えるだけなので、その結果としてメタルっぽかったり、カオスな感じになったりしていて。
──2000年以降、全世界的にヘヴィロックの進化はものすごいものがあって。例えばEnter Shikariだったらトランスとヘヴィロック、Kornだったらダブステップとヘヴィロックといった具合に、それ以前には考えられなかったクロスオーバーが見られるじゃないですか。そうした流れは念頭にありました?
中村 自分たちの楽曲をカッコよくしたいという気持ちは強く持っていますけど、そうした流れまではまったく考えていないですね。
菅原 そうだよね。
中村 「俺たち、こうじゃなきゃいけない」と凝り固まらずに柔軟にやってこられたから、9mmの個性が生まれたんだと思いますし。
──複雑なバンドアンサンブルも9mmの個性だと思うのですが、このあたりは楽器プレイヤー的な視点によって育まれたところも大きいですよね。
菅原 そうですね、みんなさじ加減が絶妙なんですよ。テクニックを見せたいわけではないので、演奏して楽しいってだけの曲にしたくないし、歌入りの曲を作るからには歌を生かしたい。演奏がテクニカルになりすぎて何を伝えたいのかわからないってものにはしたくないというか。その意識はバンドの初期からみんなで共有できていたと思いますね。
次のページ » “荒々しさ”を洗練させていく
- ベストアルバム「Greatest Hits」 / 2014年7月9日発売 / EMI Records Japan
- 「Greatest Hits」
- 初回限定盤 [2CD] 3780円 / TYCT-69027~8
- 通常盤(2014年8月29日までの期間限定出荷盤)[CD] 1999円 / TYCT-69029
収録曲
- The World
- Discommunication
- Supernova
- Wanderland
- Black Market Blues
- Cold Edge
- 命ノゼンマイ
- 新しい光
- カモメ(Strings Version)
- ハートに火をつけて
- Answer And Answer
初回限定盤付属CD収録曲
ライブベストCD「Selected Bullet Marks」
- (teenage)Disaster(2007.02.25 "機械の遺伝子" at 渋谷 O-nest)
- Beautiful Target(2007.09.09 "カオスの百年 vol.4" at 渋谷 CLUB QUATTRO)
- Caucasus(2007.11.28 "硝子越しの暴走" at 恵比寿 LIQUIDROOM)
- Heat-Island(2008.02.08 "Termination Tour 07/08" at 渋谷 CLUB QUATTRO)
- sector(2008.06.06 "無重力のキューブ" at SHIBUYA-AX)
- Living Dying Message(2008.10.18 "暁の野音" at 日比谷野外大音楽堂)
- Vampiregirl(2009.01.29 "VAMPIRE EMPIRE TOUR 08/09" at 京都 磔磔)
- Talking Machine(2009.09.09 "999[アット ブドウカン] " at 日本武道館)
- キャンドルの灯を(2010.06.24 "Revolutionary Tour 2010" at 東京 NHKホール)
- Lovecall From The World(2010.09.09 "カオスの百年 vol.7" at 新木場 STUDIO COAST)
- Termination(2011.06.26 "Movement YOKOHAMA" at 横浜アリーナ)
- Scenes(2011.09.09 "Movement Moment Tour 2011" at Zepp Fukuoka)
- Mr.Suicide(2012.09.09 "カオスの百年 vol.8 昼の部[女性限定ライブ]" at 下北沢 GARDEN)
- The Revolutionary(2012.09.09 "カオスの百年 vol.8 夜の部[男性限定ライブ]" at 下北沢 GARDEN)
- Punishment(2013.03.09 "39 -Thank You- LIVE" at 新宿 風林会館)
- 光の雨が降る夜に(2013.04.17 "桜前線ブッタ斬リ2013" at Zepp Namba)
- Scream For The Future(2013.09.09 "カオスの百年 vol.9" at 横浜BLITZ)
- 新しい光(2013.11.01 "Breaking The Dawn Tour 2013" at Zepp Sapporo)
- Answer And Answer(2014.02.07 "10th Anniversary Live「O」" at 日本武道館)
- 黒い森の旅人(2014.02.08 "10th Anniversary Live「E」" at 日本武道館)
9mm Parabellum Bullet(キューミリパラベラムバレット)
2004年3月横浜にて結成。2枚のミニアルバムをインディーズで発表したのち、2007年10月に「Discommunication e.p.」でメジャーデビュー。パンク、メタル、エモ、ハードコア、J-POPなどさまざまなジャンルを飲み込んだ音楽性と、激しいライブパフォーマンスで人気を博している。2009年9月9日には日本武道館公演「999(アット ブドウカン)」、2011年6月には横浜アリーナ公演「Movement YOKOHAMA」を開催。結成9周年の2013年には5月に5thシングル「Answer And Answer」を、6月に5thアルバム「Dawning」を発表。2014年には2月に日本武道館2DAYS公演「10th Anniversary Live “O”/“E”」を実施し、その様子は5月にリリースされたライブ映像作品「act O+E」にパッケージされた。7月にはベストアルバム「Greatest Hits」を発売。このアルバムは初回限定特典としてライブベストCD「Selected Bullet Marks」が付属することでも話題を集めた。9月から全国ツアー「Next Bullet Marks Tour 2014」をスタートさせる。