UNISON SQUARE GARDEN|信頼する仲間7組と画面を通じて提示する「ロックバンドが生きている姿」

エンタテインメントに逆風が吹く世の中でも、ロックバンドはワクワクすることを決して止めない。7月と8月、2カ月連続で開催されたUNISON SQUARE GARDENの配信ライブ「USG2020〈LIVE(in the)HOUSE〉」は、生のライブの代替ではない配信ライブの新しい形を提案する、画期的なプログラムだった。初回はNHKホール、2回目は代官山UNIT、一方は大きな空間を生かしたカメラワークと音響、もう一方は小さなハコならではの臨場感あふれる演奏や照明と、ユニゾンの持つ多面性を見事にすくいあげた演出も秀逸だった。そしてもちろん、全身全霊を込めて演奏しきった3人の気迫は、画面越しでも確かに伝わってきた。

そして9月19日、3度目の配信ライブ「UNISON SQUARE GARDEN presents『fun time HOLIDAY ONLINE』」が開催される。今度はワンマンではなく、7組のゲストバンドを招いたライブだ。参加バンドは、a flood of circle、9mm Parabellum Bullet、THE BACK HORN、東京スカパラダイスオーケストラ、パスピエ、BIGMAMA、フレデリックと、スタイルは違えどライブに絶対の自信を持つ強者たち。さらにDJとしてFM802などで活躍する落合健太郎(FM802「ROCK KIDS 802」)が参戦し、トークコーナーも充実させるという。

音楽ナタリーではこの配信ライブを全力プッシュすべく、本番に向けて演出のアイデアをブラッシュアップ中の3人をキャッチ。それぞれのバンドに対する愛情あふれるコメントを含め、ライブに臨む意気込みを語ってもらった。

取材・文 / 宮本英夫 撮影 / 須田卓馬

新しいフォーマットの中で「ユニゾンらしさ」を伝える努力

──過去の2回の配信ライブ、楽しませてもらいました。振り返って、どんな手応えがありますか?

田淵智也(B) とにかく新しい試みとして、見たことのないものを見せて、見ている人間をワクワクさせるにはすごいチャンスだと思っていました。1回目も2回目も「なんじゃこりゃ!」となるものを作ろうというのは考えていて非常にワクワクしましたし、「俺たち、すごいことやっちゃったな」という現場の空気を味わえたのが、僕的にはとても楽しかったしうれしかったし、とても達成感がありましたね。

鈴木貴雄(Dr) ユニゾンらしさって、もう15、6年の活動の中で自分たちの中にできちゃってるし、見ているほうもわかっちゃってるというか。いい意味でも悪い意味でも、いつも通りに演奏すればユニゾンのライブになるということをずっとやってきたんですけど、配信ライブになると勝手が違うというか、「ユニゾンらしさ」はあくまでライブ会場で、体感する前提ありきで成り立っていたものだったんだなということを、1回目をやったときに思いましたね。そこで今までの「ユニゾンらしさ」を1回ぶち壊して、新しいフォーマットの中で、どこを努力したら今までと変わらない「ユニゾンらしさ」が伝わるんだろうか?ということを、2回終えて思っています。

──なるほど。

鈴木 例えば2回目の配信では、ユニゾンの曲の展開の激しさをセットチェンジの激しさで表現するとか、田淵の速い動きをカメラマンが理解して、もっと近くでカメラを動かすとか、そういうことを試みて。それでようやく画面を通して伝わってくれるものもあったと思っていて。生のライブで直接お客さんを相手にするときにある意味甘えていた部分も、配信だと甘えられないということはすごく感じましたね。2回の配信を終えて、すごく達成感はありますけど、「もっとよくできるじゃん」という部分がいっぱいあるので、引き続きやっていきたいなと思っています。

斎藤宏介(Vo, G) 配信ライブの面白さに気付けたことは自分にとってすごくよかったですし、でも同時にやっぱりお客さんの前でライブしたいという欲が高まっているのも事実で。うまく向き合えたなとは思いつつ、引き続きやっていかないといけないなという感じですね。

このメンツで1つのものを作り上げていくパワーを

──そして9月19日、第3回の配信ライブ「fun time HOLIDAY ONLINE」が近付いてきました。今度はユニゾンを含めて総勢8組のバンド大集合という、また新しい見せ方です。

田淵 3カ月連続で配信ライブをやることで、閉塞的な世の中に対して毎月面白いものを仕掛けていって、音楽で世の中をワクワクさせたいなと思ったときに、1回目と2回目はワンマンで、リクエストの上位から演奏して……ということを思いついたんです。じゃあ3回目に同じことを、今度は71位から下の曲をやるとか考えなくはなかったですけど、あんまり代わり映えがしないなと思ったので。もしやるのなら、山の上でやるとかね。あるいは、3人別々の場所でやるとか。「なんじゃこりゃ!」シリーズの発想で行くと。

鈴木 高尾山と、磐梯山と。

斎藤宏介(Vo, G)

田淵 富士山と。で、5曲目ぐらいで高山病になる(笑)。

斎藤 あはは。いいね。

田淵 そういうことではないなと(笑)。とにかく「配信ライブを観る」ということを風化させたくはなかったし、せっかく楽しいものが始まったから、それを観る人の抵抗感を早めに取り除いてあげたい気持ちがあったので。今のうちに配信ライブを観るという習慣を作っておくことで、音楽の楽しみが無限に広がるなと思うところもあって。で、「3カ月目に何をやろうか?」と考えたときに、みんなが求める「なんじゃこりゃ!」感を作るために、仲間が大集合するのがいいなと思ったんですね。

──インパクト、ありますよね。

田淵 それは僕らのいつもの活動ではやってこなかったことだと思うんですね。見方によっては「ユニゾンフェスだ」とか言い出す人もいるんだろうけど、僕は絶対にバンド主催のフェスはやらない派なので。でも今回、今までの心持ちとは全然違うことをやろうとしているので、配信ならOKかなという新しい基準もあるし、仲間が大集合したほうが見たことのないものが作れるのではないか? とにかく呼べるだけ呼ぶのはどうだ?と。

──なるほど。そういう発想が。

田淵 まずはこの企みに乗ってくれる仲間じゃないとオファーしづらいと思って、「面白そうじゃん、やろう」と言ってくれそうな人たちに声をかけるところから始めたんです。思いついた人たちにバーッと連絡したら、みんな快く「やる」と言ってくれたので、この8バンドになりました。

──すごいメンツだと思いますよ。まさにフェスと言ってもいい。

田淵 配信でやるなら、観ていてずっと楽しい空気が途切れないものにしたいと思うんですよね。フェスには転換という時間があって、その間にメシを食うとかいろいろできるけど、その隙間は工夫次第でつぶせるんじゃないか?と。とにかくずーっと続くものができれば、「なんじゃこりゃ!」感がより出せるのではないかと考えていて、構成には力を入れようと思っています。

鈴木 普通にライブをやって終わり、ということにはならないですね。それはもう、ヤツがいますから。

斎藤 オチケン(落合健太郎)さんがね。

鈴木 FM802のパーソナリティで、若者の音楽を流す人と言えば第一人者。僕らにとっては仕事仲間というよりもお兄ちゃんみたいな、友達みたいな感じの人で、安心感があるし、一緒に遊べる感じになると思います。

田淵 ラジオのトークブースを設けるんですよ。当日はバンド、バンド、ラジオ、バンド、バンド、ラジオ、というふうに回していこうと思っています。

鈴木 大元のコンセプトとしては、1つのラジオ番組の中で流れる曲をバンドが生演奏するみたいな感じ。それで30分ぐらいしっかりライブをやっていただいて、またラジオに戻って、ということになるかもしれない。

田淵智也(B)

──それは絶対に面白そうですね。

田淵 今の世の中的に、みんな一番応援しているバンドしか追いかけられていない気がするんですね。でもロックバンドはみんな生きているわけで、それを目撃してもらう場所を1つにまとめたほうが音楽の楽しさがより広く伝わるかなと思うし、「バンドってやっぱすげえな」ということを伝えるためには、僕らだけじゃない人たちにも協力してもらうことで提供できる楽しみもあるのではないか?と思うので。「どんな時代でもその楽しさを幅広く受け入れられる世の中を作れるのだ」という提案をしたいので、それが実現できるといいなと思っています。

──素晴らしいです。

田淵 でもうれしかったですね、みんなが「出る」と言ってくれたときには。

斎藤 全バンドOKだった。

田淵 こういうときは本当に、仲間の大切さに気付きますね。

斎藤 おう、珍しいこと言うね(笑)。

田淵 仲間っていいなー。

斎藤 僕もめちゃくちゃ楽しみにしていますね。大好きなバンドたちのライブを間近で観られると思うと、それだけでめちゃめちゃご褒美だし、それに加えてこのメンツで1つのものを作り上げていくパワーを感じられるのがすごく楽しみです。このメンバーでイベントをやりますと言うと、今までだったら野外や大きい会場でという形になっていたと思うんですけど、配信だからクーラーの効いた部屋で観られるし、おなかが空いたら台所に何か取りに行けばいいし、スマホで観ていたらそのままトイレにも行ける(笑)。炎天下に立っている必要もないし、「前のお客さんが背が高かったらどうしよう」みたいなこともないわけで。そういうことも含めて、配信ライブの新しい形にできたらいいなと思うんですけどね。