ナタリー PowerPush - 9mm Parabellum Bullet

目標は99周年!9年の歩みを総ざらい

今年の春に結成9周年を迎えた9mm Parabellum Bullet。最新シングル「Answer And Answer」のリリースタイミングで実施した今回のインタビューでは、メンバー全員に9年間の歩みを振り返ってもらった。6月26日にリリースされる5枚目となるニューアルバム「Dawning」に至るまでの濃厚なバンドヒストリーをここに明らかにする。

取材 / 三宅正一(ONBU) 文 / 小島双葉

2004年

9mm Parabellum Bullet結成

──9mmは2004年に大学のサークル内での先輩後輩という関係からスタートしたわけですが、おそらく9年後の状態というのは当初は思い浮かべてなかったかと。

メジャーデビュー前のアーティスト写真。

菅原卓郎(Vo, G) さすがにレコード会社の大会議室でインタビュー受けてるとは思ってなかったですね(笑)。

──長く続けていこうとか、そこまで考えてなかった?

菅原 口に出して言うことはなかったですけど、結成時からできるだけ続けたいなとは思ってました。よっぽどひどいケンカとか脱退とかがない限りは。

──大学卒業後もバンドでやっていくことはメンバーの共通認識としてあったんですか?

菅原 ないですね(笑)。俺はとりあえずバンドを続けようと思ってましたけど、和彦とかみじょうくんは、ちゃんと就職をしようとしていた人たちだったから。俺と滝は就活もしなかったけど。

滝 善充(G) 一切してませんね。俺は30歳くらいまでバンドをやって、実家に帰って米作りでもしようかなって(笑)。

かみじょうちひろ(Dr) 僕は就職してテレビの設計をしてたので(笑)。もちろんメジャーを見据えてバンドを組んだんですけど、当然ダメだった場合のことも考えていて。ダメだったときは、企業で学んでから親父がやっている会社を継ぐだろうなと思っていたから。といってもデビューが決まり、8カ月で退職しましたけど。

──そのタイミングでバンドに賭けようと思った?

かみじょう 初めは掛け持ちしていたんですけど、無理でしたね。そのあたりにデビューに関して、メンバーとわりとシリアスな話し合いもしました。

菅原 和彦は学年が1つ下なんですけど、内定が出ていて、「就職するかちょっと考えたい」って言ってました。個人の選択を尊重しないわけにはいかないですしね。

──そのとき和彦くんはどういう心境だったの?

中村和彦(B) わりと勘違いされることが多いんですけど、バンドをやることと普通に働いて就職することって、僕の中では並列のことだったんです。「せっかく決まったんだからデビューするっしょ」みたいな、そういう考え方がイヤだったので。そういうところで悩んだ記憶があります。結果的にはやっていて自然なほうを選んだ感じですね。

2005年

自主企画イベント「カオスの百年後」スタート

──結成の翌年2005年に自主企画イベント「カオスの百年後」が開催されたんですよね。これはその後、現在に至るまで恒例化していくわけだけど、始まりはどういう感じだったんですか?

 当時、横浜のシーンにまったくなじめず……。ほとんどバンドの友達がいなくて(笑)。

──なんでそんなに孤独だったんですか?

中村 正直言って、周りに共鳴できるようなバンドがいなかった。

菅原 でも「普通のバンドみたいに友達のバンドを集めてイベントやりたい!」って言っていて(笑)。東京で対バンした、かろうじて仲がよかったバンドを呼んだのが始まりですね。

──最初はどんなメンツだったんですか?

 俺らと、jamming O.P.、アラシギ、THE JACKETS、moreathの5バンドですね。

──やってみてどうでした?

菅原 楽しかったです。「バンドやってるな!」という感じで(笑)。

かみじょう 「なれ合うのって楽しいんだ!」って(笑)。

──この頃に残響レコードからCDをリリースする話はあったんですか?

かみじょう 出すことは決まってないけど、バックアップみたいなのはありました。

 残響と絡み出したのは2005年の6月くらいからかな。

──残響との出会いは、間違いなくメジャーへの序章となる出来事ですよね。

菅原 そもそも、渋谷のLa.mamaで働いてた現在の事務所スタッフに会ったことがきっかけになってます。当時はそんなにライブハウスの反応がよくなかったんですよね、俺ら(笑)。

中村 バンドを結成して最初の頃、下北の某ライブハウスに出たときにけっこうボコボコに言われて(笑)。東京に行くには、まだまだ俺たちは全然ダメだって。しばらく横浜で活動して、満を持して渋谷に出てきて、やっとデモを聴いてくれた人が現在の事務所スタッフだったんです。

菅原 その人が出演オーディションをぶっ飛ばして、La.mamaのブッキングに組み込んでくれたんです。

2005年末~2006年

1stミニアルバム「Gjallarhorn」&2ndミニアルバム「Phantomime」

──残響レコードから1stミニアルバム「Gjallarhorn」(2005年12月発売)をリリースするときはメジャーの話は決まっていたんですか?

菅原 いえ、全然。「Phantomime」(2006年9月リリース)くらいのときにはあったけど。

──この2作品を今、振り返るとどんな思いがありますか?

菅原 「Gjallarhorn」は最高だなと思います。かなり無茶して、1日で8曲とか録りました。しかも録音したのに、1曲使ってないっていう(笑)。

 「atmosphere」と「Talking Machine」はワンテイクでOKだったしね。

中村 レコーディングというものがよくわからないから、もはやモニタの調整もしてない(笑)。

かみじょう 俺は置いてあったドラムをノーチューニングで叩いてました(笑)。

菅原 一番大変だったのはエンジニアさんだよね。

 今聴くと「うるさっ」って思います(笑)。でも、テンションがすごいなって。これは本当にみんなビックリしただろうなと思います、あのうるささは。

──その得体の知れなさみたいなものがバンドの磁力となっていたと思うしね。あそこまで早い段階で周りが騒がしくなると思ってました?

 逆に「騒ぎすぎじゃないかな?」と。あまり気にしないようにしてました。

菅原 その感じは今に至るまでずーっとあるんです。評判がいいのはすごくうれしいんですけど、油断しないようにしようと(笑)。

かみじょう いきなり騒がれて、一過性の熱で過ぎ去るのはイヤだなと思ってましたね。

ニューシングル「Answer And Answer」 / 2013年5月29日発売 / EMI Records Japan
完全生産限定盤 [CD+DVD] / 1999円 / TOCT-45078
完全生産限定盤 [CD+DVD] / 1999円 / TOCT-45078
通常盤 [CD] / 1000円 / TOCT-45079
CD収録曲
  1. Answer And Answer
  2. Snow Plants
  3. Mr.Brainbuster
完全生産限定盤DVD収録内容
  • 9th Anniversary Live & Document From “39-Thank You-LIVE” 13.03.09 At Fuurin Kaikan
ニューアルバム「Dawning」 / 2013年6月26日発売 / EMI Records Japan
完全生産限定盤 [CD+DVD] / 4500円 / TOCT-29168
完全生産限定盤 [CD+DVD] / 4500円 / TOCT-29168
通常盤 [CD] / 2800円 / TOCT-29169
CD収録曲
  1. The Lightning
  2. Grasshopper
  3. Answer And Answer
  4. Zero Gravity
  5. シベリアンバード~涙の渡り鳥~
  6. Scarlet Shoes
  7. コスモス
  8. Wild West Mustang
  9. Starlight
  10. ハートに火をつけて(Album Ver.)
  11. Caution!!
  12. 黒い森の旅人
  13. The Silence
完全生産限定盤DVD収録内容

完全生産限定 全ビデオクリップ付 SPECIAL EDITION

  1. The World
  2. Discommunication
  3. Termination
  4. Supernova
  5. Wanderland
  6. Living Dying Message
  7. Vampiregirl
  8. Black Market Blues
  9. Cold Edge
  10. 命ノゼンマイ
  11. The Revolutionary
  12. キャンドルの灯を
  13. 新しい光
  14. カモメ
  15. ハートに火をつけて
  16. Answer And Answer
  17. 黒い森の旅人
9mm Parabellum Bullet
(きゅーみりぱらべらむばれっと)

2004年3月横浜にて結成。2枚のミニアルバムを残響レコードよりリリースした後、2007年10月に「Discommunication e.p.」で鮮烈なメジャーデビューを飾る。パンク、メタル、エモ、ハードコア、J-POPなどさまざまなジャンルを飲み込んだ音楽性と、激しいライブパフォーマンスで人気を博し、現在の音楽シーンを牽引するロックバンドの1組として支持されている。2009年9月9日には初の日本武道館公演「999(アット ブドウカン)」を開催し、1万1000人の観客を動員した。2011年6月には4thアルバム「Movement」を発表し、同月に横浜アリーナにてワンマンライブ「Movement YOKOHAMA」を開催。同公演の模様は、2012年4月に「actIV」としてDVDおよびBlu-rayでリリースされている。2012年6月にはMTVの人気企画「MTV Unplugged」に初出演。アコースティックによるステージの模様は、同年8月にDVD+CD作品として発表され話題を集めた。結成9周年を迎える2013年に入ってからは、5月29日に5thシングル「Answer And Answer」を発表。6月26日に5thアルバム「Dawning」のリリースを控えている。