ナタリー PowerPush - 9mm Parabellum Bullet

「MTV Unplugged」でつかんだ確かな手応え

アコースティックはごまかしが利かない

──リアレンジ作業をしていく中で、楽曲が元々持っている奥行きや秘めている可能性を見出すこともできたのでは?

9mm Parabellum Bullet

菅原 そうですね。曲の要素を抜くところまで抜いて、その上でさらに楽器を抜き差ししていくと、こんなに曲の印象が変わるんだなと。ここで得た方法論は、今後新曲のアレンジをするときにも役立つなと思いましたね。

──引き算の醍醐味ですよね。

菅原 そうそう。それがわかったのはすごく大きい。

──本番前にリハーサルスタジオにはどれくらい入れたんですか?

菅原 ガッツリ入ったのは丸1カ月ですね。

──やはりいつものスタジオとは全く違うムードがありましたか?

菅原 うん、新鮮でしたね。難しいのは初めからわかっていたことなので、それはしょうがないと思ってがんばりました(笑)。

中村 みんなやたら疲れてたよね(笑)。

菅原 うん。楽器を持つ位置や弾き方もいつもとガラリと変わるので。

──身体的にも音楽的にもいつもとは違う筋肉を使わなきゃいけないと。

菅原 そう。改めてエレクトリックでやるライブとは全然違うものなんだなって実感しました。アコースティックはちゃんと弾かないと音が出ないぞって。僕はいつもより肺活量も必要だったし。

──卓郎くんはボーカルのアプローチでどんなことを意識しましたか?

菅原 いつもは激しい曲ばかりやっているから、符割りの細かい歪んだギターの上で歌っていると、どこか歌をごまかしちゃうところもあるんですよね。自分にそんなつもりはなくても。でもアコースティックになるとそれが取り払われて、歌も丸裸にされるから、楽器としての歌という意味での比重も上がるし、お客さんもいつもより歌に耳がいく。だから、普段よりさらに意識して丁寧に歌わないとマズいなと思いました。歌も楽器なんだっていう意識を強く持とうと。

──卓郎くんは、作品やライブを重ねるごとに独立した歌の力を強化してきたと思うんですけど、今回はさらに踏み込まなきゃいけなかったと。

菅原 そう思いますね。以前、奥田民生さんがインタビューで「レコーディングの極意はちゃんと弾くことだ」って言っていたんですけど、歌にも同じことが言えるなって。

9mmアコースティックはラテン!?

──プレイヤーとして、アレンジ面や演奏面でどんなことを意識しましたか?

中村 僕はプレイ的に特別意識したことはなかったんですけど。ただ、今回いろんな曲をリアレンジすることで、過去の曲をちゃんと見直せたのは貴重な機会になったなと思います。普段のライブでも、演奏中にアドリブをテキトーに入れたりすることがあるんですけど、今回そういう経験を思い切り活かすことができたなって。

──これまでの経験で得た瞬発力や、熟成したプレイアビリティを注ぐことができた。

中村 そう思います。そういう意味でも、「MTV Unplugged」はバンドとしていろんな経験を積んだ今だからこそできたことだと思います。

──滝くんはどうですか?

 横浜アリーナのアコースティックセクションでは、鉄の弦のフォークギターを弾いていたんですけど、「MTV Unplugged」ではナイロン弦のクラシックギターを使用して。

──そうでしたね。

 まずはそこで音の幅を出そうと思いました。クラシックギターは硬い音も柔らかい音も使い分けて出せるし、あとはフラメンコをやってみたかったんです。今回のためにクラシックギターを仕入れて、1カ月丸々練習して、どうにか完成までもっていけたのはプレイヤーとして新しい挑戦でした。

──フラメンコをやりたいという思いは横浜アリーナ以降に生まれたんですか?

 そうですね。横浜アリーナのときに「Living Dying Message」のアレンジがラテンっぽいということになって。

──そう、横浜アリーナのときに9mmがアコースティックをやるとラテン色が前に出るんだという発見がありましたよね。

 そうなんですよね。いろんな人がライブ後に「新鮮で面白かった」と言ってくれて。バンドとしてもひとつの武器としてそういうネタを持っていたほうが、今後いろいろ面白いアプローチができるなと。ホントは「MTV Unplugged」でボサノバギターにも挑戦したかったんですけど、それは時間的に間に合わなくて。またこういうチャンスがあったら挑戦したいですね。

──なぜ9mmの曲にアコースティックアレンジを施すとこんなにラテン色が出るんだと思いますか?

 そこは自分たちでもよくわからないんですけど。ただ、ラテンミュージックって元々エモーショナルで、符割りが細かいじゃないですか。サンバやフラメンコも少ない時間の中にいっぱい音を詰め込むっていうところがあって、本場ではパンクミュージック的な捉え方をされているところもあるんです。そういう音楽的な構造や背景が自分たちの音楽性にも通じるところがあるんじゃないかと思います。要は、ただ符割りが細かいというのが大きいんですけど(笑)。

「バカみたいだ!」って言われたくて

──かみじょうくんは演奏する上でどんなことを意識しましたか?

かみじょう 僕はスタジオで練習しているときからみんなに「うるさい」って言われて(笑)、スティックにガムテープを巻いてミュートしたりいろいろ工夫して大変でした。

──いつもよりプレイを抑えることがポイントになった。

かみじょう そうですね。ある意味で、手を抜かなきゃいけなかったんですよね。

──試行錯誤する中で、ハンガーでドラムを叩くアイデアも生まれたんですか?(笑)。

かみじょう あれは完全に悪ふざけですね(笑)。まあ、ハンガーひとつでも楽器になるんだぜっていうことを暗に示したかったんですが、あまり伝わらなかったみたいで。

──いや、そんなことない。やっぱりこの人は非凡なドラマーだと改めて思った。

かみじょう ありがとうございます(笑)。俺がお客さんだったらなかなか受け止められないパフォーマンスではあると思うんですけど。

──いや、武田鉄矢が「刑事物語」でハンガーヌンチャクを振り回すようなカッコよさがあった(笑)。

かみじょう ああ、そんなのもありましたね(笑)。じゃあそれのオマージュということにしておいてください。

──ダメでしょ(笑)。ちなみにツーバスのドラムセットを組むというのは最初から決めていたんですか?

かみじょう あれも悪ふざけの延長ですね。アコースティックにすると、セットを小さくして、普段はツーバスでもワンバスにするのが一般的ではあると思うんですけど。「あいつ、サイズが小さくなっただけでやっぱりツーバスでやってる。バカみたいだ!」って言われたくて(笑)。

DVD+CD「MTV Unplugged」2012年8月29日発売 3900円 EMI Music Japan TOBF-5749 / Amazon.co.jpへ

※9999枚完全生産限定アイテム

CD収録曲
  1. The Revolutionary
  2. Living Dying Message
  3. Sleepwalk
  4. Discommunication
  5. 次の駅まで
  6. The World
  7. フライデーナイト・ファンタジー(カバー曲)
  8. どうにもとまらない(カバー曲)
  9. Black Market Blues
  10. キャンドルの灯を
  11. 悪いクスリ
  12. カモメ
  13. Punishment
  14. (teenage)Disaster
DVD収録内容

2012.05.27 MTV Unpluggedライブ映像(全14曲)+ BEHIND-THE-FOOTAGE of MTV Unplugged(オフショット映像)

9mm Parabellum Bullet(きゅーみりぱらべらむばれっと)

2004年3月横浜にて結成。2枚のミニアルバムを残響レコードよりリリースした後、2007年10月10日に「Discommunication e.p.」で鮮烈なメジャーデビューを飾る。パンク、メタル、エモ、ハードコア、J-POPなどさまざまなジャンルを飲み込んだ音楽性と、激しいライブパフォーマンスで人気を博し、現在の音楽シーンを牽引するロックバンドの1組として支持されている。2009年9月9日には初の日本武道館公演「999(アット ブドウカン)」を開催し、1万1000人の観客を動員した。2011年6月には4thアルバム「Movement」を発表し、同月に横浜アリーナにてワンマンライブ「Movement YOKOHAMA」を開催。同公演の模様は、2012年4月に「actIV」としてDVDおよびBlu-rayでリリースされている。