ナタリー PowerPush - 9mm Parabellum Bullet

「MTV Unplugged」でつかんだ確かな手応え

9mm Parabellum Bulletが、今年5月にBillboard Live TOKYOで行った「MTV Unplugged」の公開収録ライブ。その模様を収めたDVD+CD作品がリリースされた。

アメリカのMTVで1989年にスタートした人気企画「MTV Unplugged」は、その名のとおり“プラグを抜く”ことをコンセプトに、これまで洋邦のトップアーティストたちがアコースティックスタイルの記念碑的なライブを残してきた。9mmは昨年6月に横浜アリーナで開催したワンマンライブにおいてアコースティックセクションのステージを披露。ファンの間で大きな反響を呼んだのは記憶に新しいところだ。それもあって今回の「MTV Unplugged」への出演は、バンドにとって絶好のタイミングだった。その一方で、本番を迎えるまでには楽曲のリアレンジ作業を筆頭に、さまざまな試行錯誤があったという。

ナタリー初登場となるこのインタビューでは、「MTV Unplugged」を通してつかんだ新たな発見や再確認したバンドの本質について、メンバー全員に語ってもらった。

取材・文 / 三宅正一(ONBU)

 
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しっとり聴かせることにこだわらなくてもいい

9mm Parabellum Bullet

──そもそも「MTV Unplugged」にはどんなイメージを持っていましたか?

菅原卓郎(Vo, G) 僕は番組自体のイメージよりも、NIRVANAやエリック・クラプトンがやっていたというイメージが強くあって。特にNIRVANAの「MTV Unplugged」がすごく好きで、いつもの激しいステージとは一転してリラックスしてライブをやっているのが印象的でしたね。

中村和彦(B) 僕は今回「MTV Unplugged」に出演するにあたって、過去に出演したいろんなアーティストのライブ映像を観たんですね。そこで感じたのは、意外になんでもありなんだなということで。特にKORNやPEARL JAMのライブ映像を観て、アコースティックの楽器に持ち替えたからといってしっとり聴かせることにこだわらなくてもいいんだなって思いましたね。

──アコースティックでもテンションの高いライブはできると。

中村 そうですね。ハードルが高いイメージがあったんですけど、楽しみが増えました。

──ただDVDのオフショットを観ても、いざスタジオでリアレンジの作業をする際には難儀なことも多かったみたいですね。曲数も多いし、ひとつの完結したライブとして観せなきゃいけないわけで。

菅原 そうですね。例えば「Discommunication」や「The Revolutionary」はかなり大幅にリアレンジしたんですけど、特に「Discommunication」はホントに力技でしたね。かみじょうくんが滝に「メインのリフを3拍子で弾けないか?」ってずっと言っていて。滝くんは「できないよー」って言っていたんですけど、いざやってみたらできたっていう(笑)。

かみじょうちひろ(Dr) 僕は客だったら、テンポひとつ取ってもいつもと同じことをやるのでは芸がないと思ったので。原曲が4拍子なら、3拍子のほうがいいんじゃないかという単純な発想で(笑)。

菅原 そうやって、実際にやってみたらできたことが結構あったので、いきなりステージの全体像は見えなかったんですよね。ただ、さっき和彦が言ってたようにテンションの高い状態でやれる曲と、しっとりした感じでやれる曲を混ぜたいねとはみんなで話していて。あとは、ギターを振り回してもいいし、アコースティックだからって遠慮するのはやめようと。そんな試行錯誤の中、急遽本番の1週間くらい前に収録分数が足りないと言われ、曲を増やしたりもして。

滝 善充(G) うん。3曲増やしたよね。

菅原 アコースティックアレンジにすると1曲の時間が短くなるから、ライブ全体の尺が埋まらないってなって(笑)。だから、ライブの全体像が見えたのは本番の何日か前でしたね。

テンポを遅くするのが大変

──選曲のポイントはどんなところに置きましたか?

菅原 第一段階では、アレンジの見通しがすぐに立つものを、という感じでした。

 そもそもフォークソングっぽい「カモメ」とか、ラテンっぽいアレンジにしやすい「Black Market Blues」とかをまず優先して。あとはなんとなくアコギで弾いたら合うんじゃないかという見切りをつけて発進した曲もあったし。「Discommunication」なんかは3拍子でいけるってなったら、サクッとアレンジできて。逆にリアレンジする前はいけるだろうと思っていたけど、まとまらなかった曲もありました。

──リアレンジ作業で最も悩んだのはどんなことですか?

 やっぱりテンポが遅くなることですよね(笑)。テンポが遅い演奏に慣れていないのは正直なところなので。そこに向き合うのは難しかった。「フライデーナイト・ファンタジー」(日本テレビ系「金曜ロードショー」の旧テーマ)のカバーなんかは、できるだけテンションを保ちつつ、ヨレず、カッコよく弾くことを念頭にかなり練習しましたね。

──「フライデーナイト・ファンタジー」は以前、滝くんが耳コピで弾いた音源を9mmのデモ音源集に入れていたとか。

 そうなんです。メンバーやスタッフに渡す新曲のデモ音源集にこっそり入れていて(笑)。そこから始まったんです。

──やっぱりこの曲の切ない旋律が好きだったんですか?

 昔から好きで。切なすぎる曲ですよね。過剰なまでに切ないエモさがあるなって(笑)。「MTV Unplugged」の話が来る前から9mmでこの曲を形にしたいなと思っていて。だから、ちょうどいいタイミングで「MTV Unplugged」の話をいただいたんですよ。

菅原 そのデモに入っていた音源も滝がアコースティックギターを弾いていたんですよ。だから、曲選びのときも「あれがあるじゃん!」ってなって。もしデモ音源で滝がエレクトリックギターを弾いていたら「MTV Unplugged」ではやらなかったかもしれないですね。

DVD+CD「MTV Unplugged」2012年8月29日発売 3900円 EMI Music Japan TOBF-5749 / Amazon.co.jpへ

※9999枚完全生産限定アイテム

CD収録曲
  1. The Revolutionary
  2. Living Dying Message
  3. Sleepwalk
  4. Discommunication
  5. 次の駅まで
  6. The World
  7. フライデーナイト・ファンタジー(カバー曲)
  8. どうにもとまらない(カバー曲)
  9. Black Market Blues
  10. キャンドルの灯を
  11. 悪いクスリ
  12. カモメ
  13. Punishment
  14. (teenage)Disaster
DVD収録内容

2012.05.27 MTV Unpluggedライブ映像(全14曲)+ BEHIND-THE-FOOTAGE of MTV Unplugged(オフショット映像)

9mm Parabellum Bullet(きゅーみりぱらべらむばれっと)

2004年3月横浜にて結成。2枚のミニアルバムを残響レコードよりリリースした後、2007年10月10日に「Discommunication e.p.」で鮮烈なメジャーデビューを飾る。パンク、メタル、エモ、ハードコア、J-POPなどさまざまなジャンルを飲み込んだ音楽性と、激しいライブパフォーマンスで人気を博し、現在の音楽シーンを牽引するロックバンドの1組として支持されている。2009年9月9日には初の日本武道館公演「999(アット ブドウカン)」を開催し、1万1000人の観客を動員した。2011年6月には4thアルバム「Movement」を発表し、同月に横浜アリーナにてワンマンライブ「Movement YOKOHAMA」を開催。同公演の模様は、2012年4月に「actIV」としてDVDおよびBlu-rayでリリースされている。