9mmの音楽は肉料理に合う

──本番当日を迎えて、Billboard Live TOKYOというハコにはどんな印象を持ちましたか？

菅原　やっぱり「大人な会場じゃのお」という感じですよね（笑）。

──客席のムードもいつもとは真逆とも言えるしね。

菅原　そうですね。自分たちもそうだけど、お客さんも緊張してましたね。特に男の子たち。「俺、この場所に慣れねえ」っていう感じが伝わってきて（笑）。女の子はわりと平気そうだったんですけどね。そもそも僕らが普段どおりのライブをやったら追い出されちゃうような会場だと思うし。おいしく食事ができないっていう（笑）。

──いや、僕はステーキを食べながら9mmの激しいライブを観てみたいなとも思いますよ。

菅原　ああ、そうか。それは考えなかったな。血の気の多い肉料理とかには合うのか（笑）。今回は収録だからお客さんは食事をしていなかったんですけど、いつかああいう会場でエレクトリックのライブをやって、お客さんはマストでステーキを食べるっていうのも面白いかもしれない（笑）。

中村　ワンドリンクじゃなくて“ワンステーキ”っていう（笑）。

菅原　話が大幅に逸れましたけど（笑）。

滝　でも、やっぱりすごく雰囲気のいい会場でしたね。本番では緊張していたので、あの独特のムードを楽しむ余裕はなかったんですけど。

かみじょう　ラグジュアリーって感じですよね。ステージの背後に映る夜景がきれいだったので、僕は目に映る全てのものが欲しいなって思いましたね。

──あはははは。

かみじょう　そんなことを思ってる一方で、本番のときにやたら喉が渇いたんですよ。本番前のリハでは全く汗をかかなかったんですけど、本番では緊張による発汗がすごかった（笑）。曲が終わるごとに水を飲んでましたね。

中村　俺もそう（笑）。

滝　俺も水をがぶ飲みしましたね。それくらい緊張していたんだなと。水が足りない、足りないってなってた（笑）。

──でも、ライブが進むにつれ緊張感が解かれていって、どんどんいいムードが広がっていきましたよね。

菅原　それはライブ前から予想していて。1曲目の「The Revolutionary」なんかはアレンジの違いにお客さんも戸惑っていたと思うんですけど、だんだんなじんでいきましたね。

──中でも熱量の高い演奏が際立った「どうにも止まらない」から「Black Market Blues」への流れが最高でした。

菅原　うん、「Black Market Blues」のフラメンコ的なアプローチはすごく気持ち良かったですね。もう3人くらいギターを入れて、THE GIPSY KINGSみたいな編成でやったらもっと面白いと思う（笑）。いつかやりたいですね。

自分たちはエレクトリックプレイヤーなんだ

──今回大きな緊張感を覚えながら、新たなチャレンジをしたことで、普段やっているライブの痛快さも再確認できたでしょう？

中村　そうですね。「MTV Unplugged」の準備をしている間に1本別のライブが入っていたんですけど。

菅原　KING BROTHERSとの対バンね。

中村　そう。あのライブで爆音を鳴らしたときは相当気持ち良かった（笑）。

菅原　爆音！歪んでる！みたいなね（笑）。「MTV Unplugged」をやれたことで音楽的な新たな発見があったと同時に、自分たちは基本的にエレクトリックのプレイヤーなんだなって思いましたね。「MTV Unplugged」をやったからこそ、それを強く実感できました。

──あと、滝くんはDVDに収録されているオフショットのインタビューで「震災以降にいろんなアーティストがアコースティックライブをしているのに、自分たちはできなくて悔しかった」と言っていて。そういう意味でも「MTV Unplugged」の経験は特別なものになったと思います。

滝　うん、そうですね。あのとき悔しい思いをしてから1年くらいでここまでやれるようになったのはすごくうれしいです。バンドの武器が確実にひとつ増えたし、夢が叶ったような喜びもあります。

──今後またアコースティックライブをやる可能性はありますか？

菅原　今はまだ考えられないですけど、もし次にやることがあったら、普段のライブでアコースティックセクションを設けるのではなくて、今回のように特別な機会を作りたいなと思いますね。そのときが来たらまた本腰を入れて取り組んで、今回の反省とか良かったことを踏まえてやりたいです。次にやるときはゲストミュージシャンを呼んでも面白いと思うし。

──最後に今後の話を。10月24日に4thシングル「ハートに火をつけて」がリリースされますね。

滝　はい。4曲入りのシングルなので、かなりお腹いっぱいになると思います。

菅原　「ハートに火をつけて」は大筋ではいつもの9mmの感じなんですけど、各々の小技がかなり利いてます。あと、今年の頭くらいからライブでいくつか新曲をやっていて「どの曲がリリースされるんだろう？」って思っているお客さんもいると思いますけど、今回のシングルに全部入れてます（笑）。面白いシングルになったと思うので、楽しみにしてもらえたらと思います。