7ORDERの夏、到来!|みんなを笑顔にするメジャー1stシングル「雨が始まりの合図 / SUMMER様様」完成!!

今年の1月に1stアルバム「ONE」でメジャーデビューし、東京・日本武道館と大阪・オリックス劇場で1stツアー「7ORDER LIVE TOUR 2021 "WE ARE ONE"」を行った7ORDER。5月22日には結成2周年を迎え、7月7日にメジャー1stシングル「雨が始まりの合図 / SUMMER様様」とライブDVD / Blu-ray「WE ARE ONE」を同時リリースする。

「雨が始まりの合図」は昨年7月の安井謙太郎の誕生日にメンバー6人がプレゼントした、バンドにとって大切な楽曲。リスナーへのメッセージとも受け取れる2番の歌詞を新たに加えた形で、このたびシングルリリースされることとなった。一方の「SUMMER様様」はORANGE RANGEのNAOTO(G)が作編曲およびプロデュースを担当し、HIROKI(Vo)が歌詞を提供したナンバー。この夏に行われる初の全国規模のツアー「7ORDER 武者修行TOUR ~NICE "TWO" MEET YOU~」で盛り上がること間違いなしのポップなサマーチューンだ。

音楽ナタリーでは、ますます勢いを増して躍進し続ける彼らに、シングルの制作過程について話を聞いた。なお長妻怜央(Key, Vo)は舞台稽古期間中のため欠席となったが、特集の最後に長妻のコメントを掲載している。

取材・文 / 中川麻梨花 撮影 / 曽我美芽

運がいいって、とても大事なこと

──結成2周年を迎えた心境はいかがですか?

萩谷慧悟(Dr, Vo) 2周年を迎えたと言えど、今はまだ始まったばかりという感覚です。50年、60年くらい活動していったときに重みみたいなものが出てくるんですかね。

安井謙太郎(Vo) 60年後って、俺、89歳だよ?(笑)

諸星翔希(Sax, Vo) 体の重みだね。

森田美勇人(B, Vo) 体重的には逆に軽くなってると思うけど(笑)。

萩谷 あはは。でもまあ、その歳に合った形でまた違うことをやってるかもしれないし。今は60年後も忘れられないような思い出をいっぱい作っていきたいですね。例えばインディーズ時代に「Sabãoflower」のCDをリリースしたときに自分たちで1枚1枚シーリングスタンプを押したことや、日本武道館で初めてのワンマンライブをやったことは一生忘れないと思う。

──今年の1月にアルバムでメジャーデビューして日本武道館でライブをやって、そして今回メジャー1stシングルが出るという順調な状況ですが、結成した当初からすると、2年後の今の7ORDERの状況は構想通りですか?

安井 全然構想通りではないですよ(笑)。お恥ずかしい話、当時は戦略を立てられるほどの余裕もなかった。

萩谷 でも、なんとなく「こういうふうにしていきたいね」という話はしてたよね。コロナの影響もあって、ことごとくその通りにはいかなかったけど……。

安井 そうだね。ただ、その時々の人との出会いによって決まっていったものが多いので、そういうところで持ってる運や勘はあるのかなと。いいことが急に舞い降りたこともあるし、悪いことをギリギリのところでかわせたこともある。運がいいってたぶんこの世界ではとっても大事なことだと思うから、それはこれからも引き寄せていきたいですね。

みんなのことを天才だと思ってます

──去年の7月にメンバーの皆さんが誕生日プレゼントとして安井さんにプレゼントした楽曲「雨が始まりの合図」が、2番を加えた新たなバージョンとしてシングル化されます。シングルにはプレゼントの音源も“Present Ver.”として収録されていますが、当時どういう経緯で誕生日に曲をプレゼントしようということになったんですか?

諸星 僕たちはいつもメンバーの誕生日にお祝い企画をやってるんですけど、去年の7月は謙ちゃん(安井)がけっこう忙しくて。

真田佑馬(G, Vo) 舞台(「死神遣いの事件帖」)の稽古中だったんだよね。

安井 そうそう。

諸星 だから、誕生日にみんなでめっちゃふざけるというよりは、まっすぐに祝うのがいいんじゃないかなということになって。それで曲を作ろうということになり、さなぴー(真田)に作曲してもらって。けっこう急ピッチだったよね?

真田 うん。すぐに曲作りに取りかかりました。歌詞はみんなで考えるので、できたメロディをメンバーに渡して。

──この前の結成2周年の生配信特番で、安井さんは「雨が始まりの合図」について「人生で一番大切な曲」とおっしゃっていましたが、プレゼントとして受け取ったときの心境はどうでしたか?

安井 いやあ、もう本当にまずびっくりしました。まさか誕生日プレゼントが曲だとは思ってなかったので。しかも、サプライズで曲をもらえるということだけでもすごくうれしいのに、あまりにも自分の好みの曲すぎて。

──7ORDERは結成を決めた日やイベントの日、レコード会社とメジャー契約した日など、大切な日にはよく雨が降るということですが、この曲ではそんな雨をポジティブなものに捉えて「雨が始まりの合図」と歌っています。

安井 この曲をもらう前から、「やっすー(安井)が雨男なんじゃないの?」ってメンバーにいじられてたんですよ。雨が降ると、いつもみんな俺のことを見るんです。そういうくだりが定着しつつあるときに「雨が始まりの合図」をもらったので、俺は一瞬、とんでもない伏線を張られてたんじゃないかと思っちゃって(笑)。雨男って言い始めたときから、みんなはこの曲のことを考えていたのかと……。

森田 そこまでいったんだ(笑)。

安井 うん(笑)。それくらいこのプレゼントが衝撃的だったのと、自分がまったく関わってない場所で6人が作ったものの輝きに驚きました。何かを作るときは7人みんなで作ることが多かったので。

──YouTubeのバースデーパーティの映像でも、曲を聴いた瞬間に「天才だ!」とおっしゃっていました。

安井 マジで今でも俺はみんなのことを天才だと思ってます! もちろんそれまでもみんなのことをすごいなと思ってたけど、全然違う場所から6人を見たときに改めてその才能に驚いた。「俺、こんなすごい人たちと同じグループなのか!」って。

萩谷 (笑)。受け取る側として外から見て、そう感じてくれたんだね。

安井 うれしい気持ちと……言葉が合ってるかはわからないけど、すごすぎてちょっとした嫉妬みたいなものもあったと思う。不思議な気持ちになりました。

森田 “雨”っていうテーマは、さなぴーの案だったよね。

真田 うん。やっさん(安井)へのプレゼントというのはもちろん前提にありつつ、一生歌っていけるような楽曲にしたいなという気持ちもあって。僕らは大切な日に雨が降ることが多いですけど、雨って農作物が育つという意味では“恵みの雨”でもあるんですよね。そのテーマで僕がサビの歌詞を作ってから「じゃあ、みんな各パートを考えてきてね。校閲はするから」って、メンバー各々にやっさんに向けて言いたいことを1回書いてきてもらった感じです。

それぞれの“距離感”

──日本武道館を含む1stツアーではいち早く「雨が始まりの合図」のフルバージョンが演奏されましたが、その際に流れた映像で阿部さんが「最初は歌詞の感じがバラバラだったけど、真田くんがまとめてくれた」ということをおっしゃっていました。

萩谷 バラバラだったというか、そもそも顕嵐の提出が遅かった!

阿部顕嵐(Vo) あははは。

安井 萩ちゃんと顕嵐のバトルが始まった(笑)。

阿部 まず、Aメロ、Bメロ、Dメロって振り分けられて、1人ひとり家で歌詞を考えてくることになって。僕は提出が遅れちゃったんですけど、各自で考えたものを持ち寄ったら、みんな性格がかなり違うのもあって、歌詞の内容がけっこうバラバラだったんです。でも、次はみんなでアトリエ(7ORDERの拠点)に集まって話し合って。「ここはこうしたほうがいいんじゃない?」って全員で考えましたね。

萩谷 いいふうに言ってる(笑)。

一同 (笑)。

──1曲の歌詞としてまとまっていながらも、6人それぞれの目に安井さんがどう映っているのかがよくわかる内容になっていると思いました。メンバーそれぞれが自分で作詞を担当したところを歌っているPresent Ver.を聴くとわかりやすいですね。

萩谷 やっすーから感じ取るものや恩を感じたシチュエーションは、みんなそれぞれ違いますからね。だからこそ、なかなかまとまらなかった。

森田 メンバーが提出した歌詞の中でワードが被っちゃった箇所もあったんですけど、そういうところはヤス(安井)が持っている特徴なのかなとも思いました。例えば“笑顔”と“笑ってる”という言葉が被ったり。そこはまた違う視点で言葉を変えて、歌詞を整えていきましたね。

──安井さん的には、ご自身について書かれている歌詞を見て、どういう心境だったんでしょうか?

安井 えー、まず「俺って小さいのかな?」というのは思いましたね(笑)。歌い出しが「小さな身体に背負い込んだ」なので。

一同 (笑)。

安井 あと、それぞれが考えたフレーズにそのメンバーっぽい“距離感”があるなと思いました。それが近いからいいとかじゃなくて、それぞれの僕に対する見方、感じ方、思いやりの距離を感じたんですよね。それから、すごいなと思ったのは……もちろんみんなの歌詞も素晴らしいし刺さるんですが、やっぱりさなぴーが書くメロディ。僕に向けての曲でありながら、とてもキャッチーで、みんなが応援ソングとして聴けるものになっていて。7ORDERが始動してからずっと曲を作ってきた、さなぴーのソングライティング能力の高さを改めて感じました。実は歌詞の中で「容易い」と“安井”を掛けてくれてるところもあるんだよね?

真田 うん。なかなか気付かれないですけど(笑)。

萩谷 さなぴーはそこにすごくこだわってたよね。「実は隠れてるんだよ」って。

安井 でもたぶん、さなぴーの中では「絶対に見つけてほしい」という感じでもないんですよね。「わからなくてもいいや」という、ディズニーランドの隠れミッキーみたいな。ディズニー的なセンス。

萩谷 さなぴーすごい褒められてるよ!

諸星 ディズニーと並べられちゃってるね。

真田 (照れた表情で)ちょっと生ビールください!(笑)

一同 あはははは。

──シングル化にあたって加わった2番の作詞は、安井さんが担当されたんですか?

安井 僕もいろいろ考えたりはしましたけど、最終的にはさなぴーがバーッと書いてくれて。

真田 やっさんはそのときめちゃくちゃ忙しかったんです。リーダーとしての仕事もたくさんあるし。一応、一度歌詞をもらったんですけど、やっぱりすでに6人で仕上げた歌詞に2番を足すのは難しいので、僕が校閲という形で入りました。

安井 「こうしたほうがいいんじゃない?」って上がってきたものを見て、ここでもさなぴーのすごさを感じましたね。みんなでまったく同じものにトライすることって、最近は7ORDERの中で少なくなってきてるんですよ。ダンスくらいなのかな。例えば僕が実際にドラムを叩いたりとか、メンバーがやってることを体験する機会はあんまりない。もちろん普段からみんなのことをリスペクトはしてるけど、自分が作詞にトライして、メンバーが普段やってることのすごさを改めてわかる機会があってよかったなと思いました。

第三者が客観的に見ることでできあがる世界

──シングル化にあたって、アレンジが大きく変わっていますよね。ギターロックという軸はありつつ、ストリングスががっつり入っていて。

真田 そうなんです。もともとやっさんがヨルシカさんのようなギターロックにピアノを合わせたサウンドが好きなので、そういうところは大事にしつつ、ストリングスを入れてもらっています。そもそもプレゼントの音源は僕がDTM上で作ったものだったので、完成させるにあたって萩ちゃんのドラムと美勇人のベースを録って、その隙間に僕がギターフレーズを入れていくという作業があり。いわゆるバンドのレコーディングというものを、今回初めてちゃんとやったんですよね。

──なるほど。

真田 僕は曲を作るにあたって「きれいな1本の世界線を描く」というこだわりがあるんです。1人の主人公が1曲を通して動いているイメージで。でも、今回は僕、萩ちゃん、美勇人の楽器隊それぞれにやっさんとの物語がある。誰か1人が主人公になって作る曲でもないし、メンバー以外の第三者が客観的に見るものでこの世界ができあがるんじゃないかなと思ったので、「ストリングスアレンジをちゃんとしたい」というお願いをしました。

──ストリングスが入ったことによって、より大きい世界観の曲になっていますよね。

萩谷 そうですね。「ストリングスどうする?」という最初の打ち合わせで、仮のイメージで弾きに来てくれた方がいたんです。ストリングスが入ったとき、すごく感動したよね。

森田 生のストリングス、すごかったです。

真田 あと細かいこだわりとしては、この曲には雨の音をところどころに入れているんですけど、逆再生している部分があるんですよ。よーく聴いてもらうとそれぞれの雨の音が違うんです。最初に作ったものよりも、より1つの物語になっていると思います。

7ORDER
7ORDER

──日本武道館公演で流れた映像で真田さんが「音楽についてメンバーとディスカッションするのが楽しかった」ということをおっしゃっていましたが、メンバー間でどういうやりとりがあったんでしょうか?

萩谷 さなぴーが僕と美勇人に「自分の楽器のパートを考えられるようになってほしい。1回やってみて」と言ったんです。それで、ディスカッションをしながら作っていって。

真田 「こう叩いてほしい」という僕の頑ななこだわりはないし、リズム隊をすごく信用しているので。萩ちゃんが作ったリズムに美勇人が合わせて、僕は「そうくるんだったら、このアプローチがいいかな」みたいな。

──リズム隊的にレコーディングはいかがでしたか?

萩谷 音作りをプロのエンジニアさんにやってもらったんですよ。マイクやケーブルの種類、エフェクターをつなぐ順番を教えてもらったり、ドラムだったらちょっとずつチューニングしてもらって、吸音材をドラムの下に入れたり。最初は違いがあんまりわからなかったんですけど、ちょっとずつ「あっ、音が違う!」ってわかってきて。このレコーディングを経て、1音1音をすごく大事に思うようになりました。

森田 うん。こういう環境作りをしてもらえたことで、しっかりとレコーディングに臨むことができましたね。